Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
大量の幼年期デジモンたちを無事にデジヴァイスへ回収したショウが顔を上げると、心身ともに疲れ切った表情を浮かべつつも、なお鋭く警戒を怠らない炎組のボス・メロコと同じく此方の動きをつぶさに観察している悪組のボス・ピーニャが近づいてきた。
「テメェ……! さっきから連れてるそのヒーローみたいな奴も含めて、あいつらの事……何か知ってんのか!?」
「できれば一から全部教えてほしいところだけど……どうせ素直に喋る気はなさそうだよね」
二人が厳しい視線を向けてデジモンの正体を問い質す。しかし、ショウは軽い調子で肩をすくめた。
「悪いが、詳しい詳細は教えられない……まぁ、強いて言うなら、数年前にアローラ地方で起こった事件みたいなもんだ。……あ、そうそう。他の組のアジトの周りにも同じ奴らが現れてるから、早めに仲間たちへ連絡しといた方がいいぞ」
そう告げた瞬間、ショウの身体が陽炎のようにぐにゃりとぼやけ、次の瞬間には音もなくその場から姿を消していた。
「……って、消えやがった!?」
「まっ、最初からまともに答える気なんてないと思ってたさ。……それよりメロコ、彼が言ってた『他の組の周辺』って話、本当かもしれね。急いでみんなに連絡しよう」
二人は顔を見合わせると、すぐさま各アジトの仲間たちへ警戒の連絡を入れるのだった。
一方、パルデア各地で同時多発したゲート異変の全対処を終えたショウは、直ちに報告のためテーブルシティのポケモンリーグ本部へと向かっていた。
道中、同行していたカラテンモンが静かに声をかけてくる。
「ショウよ。……少し良いか?」
「どうした、カラテンモン」
「いやなに……今回の件の顛末を聞いておってな。この広大なパルデア全域を、お主一人のみで監視・対処するのは流石に骨が折れるであろう?」
「……こっちとしては手伝ってもらえるならめちゃくちゃ有難いけど、本当にいいのか?」
「構わん。我が力、お主の任務のために役立てるなら本望よ」
「なら、ぜひお願いするわ。この件は、ここのトップであるオモダカさんに報告するついでに話しておくよ」
カラテンモンの心強い提案を受け入れ、リーグ本部へ到着したショウは、変装を解いてオモダカに今回の全域討伐の完了を報告した。そしてカラテンモンを引き合わせ、パルデア防衛のための担当エリアを決定することになった。
「それでは……カラテンモンさんの巡回および防衛担当エリアは、東3番地周辺ということでよろしいでしょうか?」
「問題ない。お任せあれ」
「はい、よろしくお願いします!」
話がまとまると、カラテンモンは即座に東3番地へ向けて空を駆け抜けていった。
ショウもようやく一息ついて帰ろうとしたその時、手首のデジヴァイスがけたたましく振動し、自動で通信回線が開いた。
『──ショウ、今そっちに時間は取れるか? 近くにオモダカトップは居るか?』
通信の相手は、チームリーダーのコウだった。どうやら向こうの調査でも新しい事実が判明したらしい。ショウはすぐにオモダカに声をかけ、二人でしっかりと聞こえる位置に移動して通信に耳を傾けた。
「リーダー、オモダカさんも一緒に聞いてます。どうぞ」
『ああ。今回連絡したのは、そちら側の情報網とデジタルワールド側の解析で判明した重要な事実についてだ』
コウの引き締まった声色に、ショウとオモダカの表情が瞬時に険しくなった。
『結論から言いますと。……今回の次元ゲート多発現象は、このパルデア地方でのみ起こっている特異な現象だと推測しています』
「……他地方では一切起きていないと?」
ショウがそう聞くとオモダカは頷き
「ええ。すでに他のポケモンリーグや周辺地域の関係組織にも確認を取りましたが、パルデア以外での発生報告はゼロだそうです」
「そうですか……」
オモダカが深く息を吐き出し、腕を組んで思索に沈む。パルデア地方だけでゲートが頻発している──この事実が意味するものはあまりにも重い。
後日に緊急の会議を行う事になりショウは退室すると
(……これって、やっぱり……)
ショウは自室へ戻る道を歩きながら、頭の中で一つの確信に行き着いていた。
(……やっぱり、あの『エリアゼロ』の底にある、あのタイムマシンが原因だよな……)
重くのしかかる疲労感と焦燥感を抱えながら学生寮の自室へ戻ると、ショウはシャワーだけを浴びてベッドに倒れ込んだ。緊張の糸が切れたのか、心地よい疲労感とともに、意識は深い眠りへと落ちていくのだった──。