Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
3体の完全体デジモン(トリケラモン、ヴァーミリモン、メガドラモン)を撃破したショウは、すぐさま足早にハルトたちの後を追った。
ゼロラボの重厚な大扉前へと到着すると、ネモ、ペパー、ボタンの3人がハルトに続いてラボ内部へ滑り込んでいくのが見えた。ショウも続いて内部へ飛び込もうとした――その瞬間。
ガンッ!と重苦しい金属音が響き、隔壁扉が緊急ロックされて固く閉ざされてしまった。
「あちゃー……! こっち側も閉まっちゃうか……。どうしよう、力づくで壊したらラボ全体が崩落しそうだしな……」
ショウが腕を組んで思索に耽っていると――デジヴァイス内にいる究極体ロトスモンが呆れ顔で声をかけてきた。
「ショウ」
「う〜ん……どうやって突破するか……」
「……ショウってば!」
「うおっ!? びっくりした……どうしたんだ、ロトスモン?」
「貴方、出発前にハルトという少年とネモという少女に“あれ”を渡していませんでしたか?」
「あれ……? ……あっ! そうだ! もしもの時の緊急連絡用兼・空間転送用として、ハルトとネモにお守りを渡しておいたんだ! サンキュー、ロトスモン!」
思い出したショウは速やかにデジヴァイスを操作し、ハルトたちが持つお守りの通信・転送用回路を同期させた。すると、お守りのスピーカーを通じてラボ内部のハルトたちの声が鮮明に聞こえ始めた。
(……どうやら、向こうも決着がついたみたいだな)
聞こえてくる会話の感じから、楽園防衛プログラムが放ったもう1体のミライドンとの死闘が終わりを迎えたようだ。
ハルトサイド。
楽園防衛プログラムが繰り出したもう一体の凶暴なミライドンを打ち破ると、セキュリティプログラムは停止し、フトゥー博士のAIも元の落ち着いた人格へと戻った。
AIはハルトたちに心からの感謝を伝えたが、自分がこの時代に存在する限りタイムマシンは自動修復して再稼働してしまうこと、そして自身もまた一人の冒険者として未来の世界を見に行き、自らの『宝物』を見つけたいという想いを告げた。
タイムマシンが眩い光を放ちながら再起動を始める。
フトゥーAIは涙ぐむペパーに心からの謝罪と、亡くなった本物の博士の深い愛情を伝えると、爽やかな笑顔を浮かべた。
「……さらばだ、自由な冒険者たちよ!」
「ボン・ボヤージュ!」
その言葉を最後に、フトゥーAIはタイムマシンの放つ光の奔流の中へと吸い込まれて行った。そしてタイムマシンは完全に機能を停止し、ゼロラボの部屋は静まり返った元の状態へと戻っていったのだ。
「……行っちゃったね」
「……あぁ。でも、父ちゃん……最後の笑顔、すごくカッコよかったな」
寂しさを抱えつつ、一旦地上へ戻ろうと中央のエレベーターへ向かおうとした――その時。
ズズズズズ……ッ!
突如としてゼロラボ全体の床が激しく揺れ動き、クリスタルの床を激しく粉砕しながら何かが這い出てきた!
それはサザンドラに似た姿をしていたが、両腕の頭部を含めた3つの顔がそれぞれ異なる不気味な表情を浮かべ、凶暴なエネルギーを全身から撒き散らしていた。
「あいつは……!? みんな気をつけろ!! あいつが……あいつがマフィティフに大怪我を負わせた奴だ!!」
ペパーが顔色を真っ青に変え、叫ぶようにハルトたちへ注意を促す。
すると、異形のポケモンの全身が激しい光に包まれ始めた。
「もしかして……進化するの!?」
ボタンが悲鳴混じりに呟いたその瞬間――ハルトのポケットから、見覚えのある人物の声が響き渡った。
『――ハルト! 聞こえるか!?』
「えっ!? この声……ショウ!? 何で『お守り』からショウの声が聞こえるの!?」
『話は後だ! すまんが時間がない、こちらの指示に従ってくれ! 今すぐお前に渡したお守りの中身を取り出して、目の前の敵にかざしてくれ!』
ハルトが急いでポケットからお守りを解き、中身を取り出すと、それはポケッチの画面のような小型の電子端末だった。言われた通り端末を異形のポケモンへかざすと――端末の画面から眩い光の渦が溢れ出した!
光の空間から颯爽と現れたのは、仮面とコートを纏ったショウその人だった!
「サンキューハルト! ――こっからは選手交代だ!」
ショウはハルトたちの前に立ち塞がると、不敵な笑みを浮かべ、眼前で光を放つ異形のモンスターを鋭い眼光で睨みつけた。