Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
光の渦の中から現れたショウは、すぐさまハルトたちの方を振り返り、怪我人がいないかを素早く確認して安堵の息を漏らした。だが、すぐに表情を引き締めて鋭く前方を向き直る。
眼前の異形モンスター――デルタモンは、さらなるテラスタルエネルギーの暴走と進化を完了させていた。その姿は、様々なデジモンの身体の一部が不気味に継ぎ合わされた、先ほどよりもさらに禍々しい合成デジモン――【キメラモン】へと変貌を遂げていた。
「キメラモンか……。デルタモンのままでいてくれたらまだ楽だったんだがな……」
「ショウ!? あのポケモンを知っているの……って、ポケモンじゃないよね、いま何て……!?」
「まぁ……前にも何回か戦ったことがある。……っと、まずは後ろのタイムマシンを絶対に壊されたくないからな」
ネモの必死な問いかけに、ショウは片手で軽く受け流しながらデジヴァイスを操作し、瞬時に『領域隔離シールド・フィールド』を展開した。
フィールドの展開と同時に、セグレイブの姿を模していたテクスチャプログラムが解除され、本来の姿――【クリスペイルドラモン】へと姿が戻る。
「ショウ!あのキメラモン、究極体に匹敵するエネルギーを秘めているよ!」
「そうだな」
「ってショウ……いま、セグレイブから姿が変わったよね……?」
「ていうか、さっきから普通に喋ってなかった……!?」
ハルトやボタンたちは目の前で起きたあまりの非現実的な光景に、完全に混乱して頭を抱えていた。
そんな彼らの困惑をよそに、キメラモンとの死闘が火蓋を切った。
『――ギャオオォォッ!!』
キメラモンは4本の腕を異様にうねらせ、四方八方から凄まじいラッシュを繰り出す。だが、クリスペイルドラモンは鋭い爪を巧みに操り、その全ての攻撃を華麗に受け流していく。
さらに、キメラモンが下の腕で放った一撃を逆に掴み取り、そのまま握り潰そうと力を込めた――その瞬間、キメラモンは上の腕を素早く振り上げ、クリスペイルドラモンの頭頂部へ全体重を乗せた鉄拳を叩きつけた!
ドガッ!!
「ぐっ……!?」
強烈な衝撃にクリスタルペイルドラモンがふらつき、思わず手を離してしまう。すかさずキメラモンが下の腕で追撃の重い一撃を放つと、クリスタルペイルドラモンの巨体は凄まじい勢いで吹き飛ばされ、ショウが立つ足元のすぐ傍へと激突した。
ドゴォンッ!!
「グゥッ……!?」
「……おい、大丈夫か?」
「問題ない……痛いっちゃ痛いけど……ソウマやヒョウガの拳骨に比べれば、この程度へっちゃらだよ!!」
「……だよな」
全身に痛々しい打撲傷を負いながらも、クリスペイルドラモンはすぐに起き上がり、何事もなかったかのように戦闘態勢へ戻る。
――ちなみに、そのあまりにも脳筋でスパルタすぎる2人の回想会話を間近で聞いてしまったハルトたちは、戦いの最中であるにもかかわらず一斉に盛大にドン引きしていた。
自分たちの攻撃を耐え抜かれたことに苛立ったのか、キメラモンは激昂し、口から超高熱の熱線エネルギー弾を放った!
『――【ヒート・バイパー】ッ!!』
直撃を受けたクリスペイルドラモンを黒煙が包み込む。だが、晴れ渡った煙の向こうでクリスペイルドラモンは微動だにせず、致命的なダメージをほとんど受けていなかった。
『ギャオ……!?』
キメラモンが驚愕に目を見開く中、ショウは冷徹に言い放った。
「――今度は、こっちの番だ。【フローズンクロー】!!」
氷雪を纏ったクリスペイルドラモンが神速の踏み込みで一瞬にしてキメラモンの懐へ肉薄し、左の爪を凄まじい勢いで振るった!
シャリィィンッ!という清涼な音とともに、キメラモンの腕が凍りつき、そのまま根本からポッキリと切り飛ばされる。さらに止まらぬ勢いで右の爪をキメラモンの胸部に深く突き立てた!
『――ギャアァァァァーーッ!!』
突き立てられた傷口から極寒の冷気が全身へ爆発的に広がり、キメラモンの巨体をみるみるうちに氷漬けにしていく。
動きの鈍ったキメラモンが再度【ヒート・バイパー】を放とうと口を開けたその瞬間――クリスタルペイルドラモンは容赦なく爪を引き抜き、左の爪で右肩から胴体にかけて鋭く一刀両断した!
ズバァァァンッ!!
鮮血のような物をまき散らしながら、キメラモンはたまらず前のめりに崩れ落ち、そのまま完全に沈黙したのだった。