Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
正体発覚後の日常
ハルトたちへ自身の正体を明かしてから一週間が経過し、彼らとの絆は以前よりもさらに深まっていた。
エリアゼロのタイムマシンが停止したおかげで、デジタルワールドからのエネルギー流失は収まり、パルデア全土を脅かしていた無計画なゲートの発生もピタリと止まった。しかし、空間そのものの歪みまでは完全に修復されていないため、何かの拍子に再びゲートが開くリスクは残されている。
そんな中、師匠であるソウマからショウのスマホロトムへ直接、調査結果の報告と今後の対策についての連絡が入った。
「すんません、師匠。わざわざ連絡してくれて」
『気にするな。この件は、完全にこちら側の管理ミスが発端だからな。デジモンがそちらの世界にまだ誤って現れる可能性ゼロとは言えない以上、そっちの世界の人間が安心できる安全保障は必要だろ?』
ソウマは通信の向こうでやれやれと肩をすくめながら言葉を続ける。
『ホメオスタシスやイグドラシルも、完全にこちらとは無関係の別世界に悪影響を及ぼし続けるのは本意ではないという総意だ。だから今回の事後処理については、デジタルワールド側としても全面的に協力を惜しまない方針で固まった』
「なるほど……。そういえば、七大魔王などの危険な連中が勝手に干渉してきたりはしないんですか?」
『ああ、それなら俺とヒョウガで連中のところへ直接聞きに行ったが、「興味がない」って一蹴されたよ。あの強欲の魔王バルバモンでさえ、あっちの富に一切興味が湧かないとさ』
強欲を司る魔王バルバモンですら見向きもしないという事実に、ショウは思わず苦笑いを浮かべた。
『そういうことだから安心しろ。もし万が一、こちら側から余計な干渉を企む不届き者が現れたときは、俺達やロイヤルナイツ、四聖獣が速やかに排除する手はずになっている。お前はそっちで安心してやれ』
「わかりました。ありがとうございます、師匠」
簡単な報告と今後の安全確認が終わり、ソウマとの通信は終了した。ショウはすぐに、伝えられた「特定の安全な場所以外ではゲートが開かないよう調整・固定されたこと」「デジタルワールド側の上層部もこちら側から干渉する存在がいたら全力で排除するとのこと」をオモダカに報告し、いつものパルデア巡回業務へと戻った。
その途中、南の草原エリアを通りかかった際、ピクニックを楽しんでいるハルトとボタンの姿が目に入った。
「お、珍しい組み合わせだな……」
面白半分に、手持ちのポケモンたちにも気づかれないよう物陰からこっそり覗き見することにしたショウ。数十分ほど、二人の微笑ましい(かつ少し微笑ましくも初々しい)イチャツキ模様を遠くから満喫してから、その場をそっと離れたのだった。
――そして、その翌日。
アカデミーのエントランス付近で、ハルトから深刻そうな顔で呼び止められた。
「あのさ、ショウ……ちょっと相談があるんだけど……」
「ん? どうしたんだよ、珍しく真面目な顔して」
「どうしたら、ボタンともっと仲良くなれるかな……?」
「……は? そんなこと、俺なんかに聞くなよ」
「そんなこと言わずに頼むよ~! 一生のお願い!」
必死な様子で泣き付いてきたハルトに対し、ショウは頭を抱えつつもいくつか質問を投げかけ、適当かつ真剣に知恵を絞った。
「……まぁ、そうだな。取り敢えず、相手の好きなものを自分も一緒にやってみたらどうだ?」
「相手の好きなもの……?」
「そうだな……例えば、手持ちにイーブイの進化系を入れてみるとか、あいつが好きそうなアニメやゲームに触れてみるとかさ。……思い付くのはそれくらいだ、勘弁してくれ!」
「イーブイか……! なるほど、よし、今からすぐに捕まえに行こう! 行くよ、ショウ!!」
「待てぇいっ!! なんで俺までついて行かなきゃならんのだ!?コラ、袖を引っ張るな! ……って、お前、意外と力強いなオイ!」
「だって、イーブイを捕まえてボタンに相談すれば、絶対もっと仲良くなれるもん!」
「知るかんなもん! つか袖が伸びるだろ、引っ張るなって!」
ハルトの謎の暴走と強引な引っ張りは、南エリアで無事にイーブイを捕獲し、ボタンの元へ連れて行くまで止まらなかった。
――そして翌日。
ハルトが捕まえてきたイーブイをきっかけにボタンへ相談を持ちかけたところ、両片思いであった為、トントン拍子でお互いの距離が縮まって……気がつけば、二人はめでたく恋人同士になっていたのであった。
「……まさか、本当にあそこから付き合う流れになるとは思わなかったけどな」
後日、報告を聞いたショウは、青春真っ盛りなハルトたちの様子に盛大に呆れつつも、心の中でこっそり生暖かい祝福を送るのだった。