Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
「……本当に、大変だったねぇ、ショウ」
「ほんとだよ……。まさか翌日の早朝まで付き合わされるとは思わなかったよ……」
モグモグ、ハフハフと熱々の具材を口に放り込みながら、ショウは恨めしげに呟いた。
ハルトの暴走に巻き込まれてから、早いもので2日が経っていた。
結局、お互いに重度の両想いだったハルトとボタンは、翌日にはあっという間に付き合い始めていた。結果として、ハルトの暴走に付き合わされたショウだけが盛大なとばっちりを受けた形である。
そのため、こうして友人であるユキダルモンの元へ食材を持ち寄り、料理を作ってもらって盛大にやけ食いをしていたのだ。
「しかもさぁ! 『特定のポケモンが出やすくなるから』って理由で、サンドイッチを大量に食べさせられたんだけど……遭遇パワー重視のレシピだと、具材の味がパンとその具材やスパイスの味しかしなくて、途中でめちゃくちゃ飽きるんだよ!!」
「ははは、まあまあ。温かいものでも食べて、ゆっくり気分転換しようよ」
「あぁ、そのつもりで来たからな。……取り敢えず、お代わりくれ!」
「はい、どうぞ」
ユキダルモンから受け取った2杯目の鍋をガツガツと口へ運ぶ。
「……しかし、このキムチ鍋、めちゃくちゃ旨いな。腕上げたろ、ユキダルモン?」
「ふふっ、わかる? 今回使った自作のキムチ漬け、そのまま食べるといまいちなんだけど、鍋にして火を通すとすごく深みが出て美味しくなるんだよね」
「へぇー……! ズルズルッ……ゴックン! うん、最高だわ」
このユキダルモン、実は相当な料理上手で、人間界のプロの店レベルの腕前を持っている。氷雪系デジモンでありながら、なぜか「激辛料理」が大好物でよく作るらしく、本人曰く「強い刺激がたまらない」のだそうだ。
〆の雑炊まで綺麗に完食し、食後のお茶を啜りながらショウはほっと一息ついた。
「ご馳走様。美味しかったよ、生き返ったわ」
「お粗末様。……そういえば、そのハルト君は今日はどうしたの? 一緒じゃないの?」
「あぁ。ハルトは林間学校の参加者に選ばれたから、今日から『キタカミの里』って所へ旅立っていったよ」
昨日がちょうど、DLC の翠の仮面のメインであるアカデミー主催の林間学校の出発日だったのだ。参加する生徒たちは早朝からバスで出かけていった。(ちなみにショウは一連の疲労で爆睡しており、今日の昼頃にペパーから聞いて知った)。
「向こうで何か異変でも起きれば俺も飛んでいかなきゃいけないけど……まあ、今は安定してるし大丈夫だろ」
「そうなの?」
「まあ、そういうもんだ。……あ、そうだ。ユキダルモン、お前に紹介したい奴がいるんだ。出てこい!」
ショウが腰からモンスターボールを取り出して投げると、ポーンと光とともに一匹のイーブイが姿を現した。
……だが、そのイーブイは、通常の個体よりも遥かに巨大な体躯をしていた。
「わぁ〜っ! この子、すごく大きくてかわいいね!」
「さっき話したイーブイ捕獲劇の最中に遭遇したんだ。なぜかめちゃくちゃ懐かれちゃってさ。俺がアカデミーに戻ろうとしてもずっと後ろをついてこようとするから、根負けしてゲットしたんだよ。それで……少し悩んでてさ」
「どうしたの?」
「いや……俺はこのパルデアやポケモン世界のものではないからさ。いずれ任務が終わって本来の世界へ戻る時、この子をどうすればいいのかなって……」
「あぁー……確かにそれは難しい問題だね。ソウマやコウリーダーたちには相談したの?」
「一応な。『デジタルワールドに連れてくる分には構わないが、人間界へ持ち込むのはNG』って言われた。でも……コイツの幸せを考えると、本来の世界であるこの世界で暮らした方がいいのかな、とか思ったりな」
「うーん……まあ、帰還まではまだ時間があると思うし、ソウマたちとも相談しながらゆっくり考えてみたら?」
巨大なイーブイの頭を優しく撫でながら悩みを打ち明けたが、ユキダルモンも明確な解決策までは思い浮かばず、その答えは一旦先延ばしにすることにした。