Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
あの後、あの巨大なイーブイがヒスイ地方などで見られる『オヤブン個体』ではないかと思い、ボタンに鑑定してもらうことにした。(生物学の専門であるジニア先生は、林間学校の引率でキタカミの里へ出かけていて不在だったためだ)。
「……うん、この子は『オヤブン』って奴じゃないね。ただ生まれつき身体がすっごく大きいだけの、普通のイーブイだよ」
ボタンはモフモフのイーブイに顔を埋めてワシャワシャと毛並みを撫で回しながら、呆れ混じりに教えてくれた。
そのままの体勢でイーブイの育て方のコツや注意点を聞き出し、意図しないタイミングで勝手に進化してしまわないよう、持たせると進化を阻止できる『かわらずのいし』を身に付けさせてから自室へと帰宅したのだった。
そして翌日。
ショウは、イーブイが寂しくならないよう、手持ちのポケモンを新しく増やすことに決めた。
まずは捕獲用のモンスターボールを補充しようと購買部へ向かうと、そこでちょうどネモと出くわした。ショウが買い物を終えると、なぜかネモが「ワタシも付いて行って手伝うよ!」と嬉々として申し出てきた。理由を尋ねてみると、
「だってぇ! ハルトが林間学校に行っちゃったから、今アカデミーに全力でバトルしてくれる相手がいないんだもん! それに、ショウとまたバトルしたいし!」
いかにもネモらしい、どこまでもバトル一筋な理由にショウは苦笑しつつも承諾し、ネモを伴ってパルデアのフィールドへポケモン探しに出かけることにした。
「それでショウ、捕まえたいポケモンの候補とかもう決めてるの?」
「……そうだな。取り敢えず、他の生徒たちにも存在が知られている『黄昏の姿のルガルガン』は手持ちに欲しいかな。移動のたびにいつまでもドルルモンに頼み込むわけにもいかないしな」
そう方針を固めると、夕暮れ時にのみ『たそがれのすがた』へ進化できる特別な特性『マイペース』を持つイワンコを探すことにした。
西パルデアの特定の場所に生息している、テラスタルエネルギーを纏ったマイペースイワンコの出現ポイントへ足を運んでみると──狙い通り、光り輝く野生のイワンコがそこに佇んでいた。
「よし、行ってこい、イーブイ!」
『ブイッ!!』
戦闘が始まると同時に、イワンコの全身が強い光を放ち、頭上に不気味な瞳の結晶が出現した。
「あれは……エスパータイプのテラスタルだよ、ショウ!」
「了解! イーブイ、【シャドーボール】だ!」
『ブーイッ!!』
事前にレベルアップで覚えている技を確認していたショウは、間髪入れずに弱点を突く指示を出した。
イーブイの口元から放たれた黒い影の塊が直撃し、タイプ相性抜群のダメージを受けてイワンコが大きく体勢を崩す。……だが、まだテラスタル結晶は砕けていない!
すぐさま体勢を立て直したイワンコは、牙にエスパーエネルギーを宿らせて反撃の【サイコファング】を繰り出してきた!
『ワォンッ!!』
「避けろ!」
『イブッ!?』
指示を出したものの、体の大きいイーブイは一歩回避が遅れ、鋭い牙の打撃をまともに受けてしまった。
「大丈夫か!?」
『ブイ……っ』
まだ実戦慣れしていないせいか、思った以上のダメージを受けてしまい、イーブイの足がプルプルと細かく震えている。
「よし、次で決めるぞ! 【電光石火】!!」
『ブーイ──ッ!!』
凄まじいスピードで突進したイーブイがイワンコの身体を弾き飛ばす!
いわタイプ本来のイワンコなら『効果はい今一つ』となるノーマル技だが、テラスタルによってエスパータイプに変化していたため『等倍』のダメージが通り、耐えかねたイワンコの頭上のテラスタル結晶が甲高い音を立てて砕け散った!
「今だっ!!」
テラスタルが解除された瞬間を見逃さず、ショウは手にしたモンスターボールを勢いよく投げつけた。
吸い込まれるようにボールの中へ収まったイワンコ。地表でボールがコロン……コロン……と数回揺れた後──カチッと捕獲完了の電子音が響いた。
「よしッ! イワンコ、ゲットだ!」
「おめでとう、ショウ! ナイスバトルだったよ!」
無事に目当てのイワンコをゲットできたショウがガッツポーズを決めると、隣で見ていたネモも自分のことのように弾けるような笑顔でお祝いしてくれた。
ひとしきり勝利の喜びに浸った後、傷ついたイーブイをボールへ戻し、近くのポケモンセンターへ移動して二匹をきっちり回復してもらった。
回復を終えた後、ショウは自分がパルデアの『ジムバッジ』を一つも持っていないため、ゲットしたばかりのイワンコが言うことを聞いてくれるか少し不安だった。……が、ボールから出してみると、イワンコは嬉しそうに尾を振り、ショウの足元に擦り寄ってくる非常に従順な姿勢を見せたため、ほっと胸を撫でおろしたのだった。