Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
報告のあった「未知のポケモン」を調査するため、南5番エリアの入り口には4人の人物が集まっていた。
パルデアポケモンリーグ委員長・オモダカ、四天王のチリとアオキ。そしてウルトラビースト(UB)の可能性を危慮し、国際警察から緊急派遣された捜査官・リラ。
「……件の『ポケモン』が見当たりませんね」
オモダカが周囲の草原を見渡し、眉をひそめる。
「おかしいなぁ。早朝に目撃された時は、確かにこの付近におったんやけど……」
「まさか、すでに移動した……!?」
チリとリラが表情を硬くする。
「その可能性が高いですね。アオキさん、上空からの探索をお願いできますか?」
「了解しました。……やれやれ、残業確定ですかね」
指示を受けたアオキはムクホークを繰り出し、足に捕まって上空へと飛び立っていった。
残された3人が痕跡を探そうと一歩踏み出した、その時――。
――ズズズ……ッ!
空間が歪み、空気そのものが悲鳴を上げるような重低音が響いた。
「あれは……ウルトラホール!? いいえ、波形が微妙に違う……!」
リラが叫ぶのと同時に、空中に生じた光の亀裂から凶悪な気配を放つ4つの巨大な影が滑り出してきた。
1つは、砂色の硬質甲殻を持つ、巨大なメガヤンマのような姿。
1つは、毒々しい黄色の装甲と、雷光のような目を光らせるスピアーのような姿。
1つは、不気味な黒い甲殻に人間の顔を持つ昆虫。
そして最後――前3体を遥かに凌ぐ巨体を誇り、白い甲殻と血のような赤を纏った、三つ目の巨大なサソリ――完全体デジモン、スコピオモン。
『『『『キシャアアアアアッ――!!!!』』』』
異形の存在たちはパルデアの人間を認識するや否や、狂気じみた雄叫びを上げて襲いかかってきた。
「応戦します! 出てください!」
オモダカたちは即座にパートナーポケモンを繰り出し、迎撃態勢を取った。
しかし、群れのボスであるスコピオモンは配下3体に何事かを命じると、あざ笑うかのように単体で前に躍り出てきた。
「なっ……強い……!?」
「腹立つことに、チリちゃんたちを痛めつけて楽しんでおる……!」
スコピオモンの放つ攻撃は、一撃一撃がポケモンの想定を超える破壊力と質量を持っていた。
さらに不気味なのは、後ろに控える3体の昆虫型デジモンだ。直接攻撃はしてこないものの、一定の距離を保ちながら不快な羽音を響かせ、絶え間なく羽ばたいている。
遅れて異変に気づいたアオキが上空から加勢に駆けつけ、4人がかりで立ち向かうも、スコピオモン1体に対して優勢に立つことすらできない。
今戦わせている手持ちポケモンが戦闘不能に追い込まれ、4人が次のモンスターボールへ手を伸ばそうとした――その瞬間。
『ギシャアアアッ!』
スコピオモンが凶悪なテールブレードを鞭のように横一文字に振るった。
直後、凄まじい衝撃波と突風が襲いかかり、4人は崩れるように倒れ込んでしまう。
「くっ……体が……動かない……!?」
「これはっ……毒……!? いつの間に……!」
立ち上がろうとするものの、膝に力が入らない。
後ろの3体が羽ばたきによって、戦場全体に不可視の遅効性麻痺毒を散布していたのだ。
視界が霞む中、スコピオモンは勝ち誇ったようにハサミを鳴らし、4人を見下ろした。そして、トドメとばかりに巨大なハサミと毒針を振り下ろす。
誰もが死を覚悟し、目を閉じた――その時。
「――リアライズ! クリスペイルドラモン、ライズグレイモン、イェーガードルルモン、ピポグリフォモン!」
静寂を切り裂く少年の声とともに、空間から眩い光の奔流が溢れ出した。
ドォンッ!!と激しい着地音が響き、スコピオモンのハサミが弾き返される。
光が収まったそこには、見たこともない重装甲の竜や機械の翼を持つ巨体、二足歩行の騎士の姿を狼、そして妖艶な鳥獣型デジモン――4体の完全体デジモンが陣取っていた。
崖の上から軽やかに飛び降りてきたのは、どこか面倒くさそうな、しかし鋭い眼光を宿した一人の少年――ショウ。
ショウは不敵な笑みを浮かべ、デジヴァイスを構えた。
「さあ――害虫駆除の時間だ」