Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
「ヒメグマ、戦闘不能! よって勝者、挑戦者ショウ!!」
審判の力強い宣言がフィールドに響き渡り、勝負は決した。
「よしっ!!」
『ウォ〜〜ン!!』
ショウは固く拳を握りしめ、ルガルガンは夕空へ向けて誇らしげに遠吠えを轟かせた。
「やはりお強いですねぇ、ショウ君」
「ありがとうございます、カエデさん」
カエデは微笑みながら歩み寄り、ショウの健闘を心から褒め称えて手を差し出した。ショウもハキハキと答え、差し出されたその手をきゅっと握り返して握手を交わした。
無事にセルクルジムの『バッジ』を受け取り、受付での手続きを終えてエントランスを出ようとした──その時。なぜか目の前には、腕を組んで待ち構えていたネモの姿があった。
「ショウ!! ズルいよ〜っ!! わたしとも今すぐバトルしよっ! ねっ!?」
「わかった、わかったよ……。ただし、相手は
グイグイと迫ってくるネモを宥めるようにそう告げると、彼女は「望むところ!」と言わんばかりに目をキラキラと輝かせて元気よく頷いた。
仕方ないと苦笑し、再びバトルフィールドへ戻ろうとしたその瞬間──ショウの腕のデジヴァイスから鋭い警戒アラームが鳴り響いた!
画面を素早く確認すると、近くのエリアに未知のデジモンの反応が捉えられていた。
「……悪いネモ、仕事だ。すぐに向かわないと!」
「じゃあ、わたしも一緒に行く!」
「はあぁ!? おい、冗談だろ!?」
突然の同行宣言に驚くショウと、一歩も引かないネモ。数分間の激しい押し問答の末、最終的に折れたショウが安全を約束させる形で同行を許可したのだった。
デジヴァイスの反応を追って現場へ急行すると、そこには不気味に蠢く異形のデジモンが佇んでいた。
その姿は巨大な蜘蛛のようであり──一見するとドクグモンに似ていたが、足の形状や禍々しい刺突構造など、細部が明らかに異なっていた。
「なんだ……あいつ? ドクグモンか……? ……いや、違うな。まるでギュウキモンの下半身だけが独立して変異したような形だ……。危険すぎる。ネモ、絶対に俺の後ろから離れるなよ!!」
「……わかった!」
ショウの尋常ではない警戒心と真剣な表情を感じ取り、ネモも一瞬で表情を鋭く引き締めた。
ショウは即座に『領域隔離シールド・フィールド』を展開し、デジヴァイスから強力なパートナーをリアライズさせた!
「頼むぞ、ブラックセラフィモン! 手加減なしだ、一瞬で片付ける!」
『……いいだろう。しかし、何者なのだ……あの異質な存在は……』
重厚な漆黒と深緑の鎧を纏い、背に黒い悪魔の翼を羽ばたかせた究極体──ブラックセラフィモンが降臨した。数々の戦いを潜り抜けてきたブラックセラフィモンですら、目の前の不気味な生命体に強い警戒感を抱いていた。
その瞬間、謎のデジモンは蜘蛛のような8本足を異常な速度で動かし、テイマーであるショウを目がけて一直線に襲いかかってきた!
最初から警戒していたショウは、懐からスピリットを取り出して叫んだ!
「──スピリット・エボリューション!!」
炎の粒子が全身を包み込み、赤い鎧を纏った闘士──【アグニモン】へと超進化を果たしたショウは、すぐさまネモを横抱きにし、爆発的な脚力でその場から大きく跳躍して間一髪で回避した!
「すごいっ! ショウ、他にもなれるんだ!? ねえ、後でわたしとバトルしようよ!」
「今、それどころじゃないだろ!? ……ブラックセラフィモン、【セブンヘルズ】だ!!」
『──承知!! 闇の底へ消え失せよ……【セブンヘルズ】ッッ!!』
ブラックセラフィモンの手から放たれた7つの超高熱の地獄の光球が、逃げ場を失った謎のデジモンの巨体を真っ向から直撃した!
ズドォォォォンッ!!
激しい爆発音がフィールド内に轟く。致命傷を負った謎のデジモンは、甲高い悲鳴を上げる間もなく全身から強烈なデータノイズを撒き散らし、そのまま空気中へ霧散するように消滅していった。
……しかし、通常のデジモンのように、そこに『デジタマ』が残されることはなかった。
『ふむ……消滅したか。デジタマすら残らんとはな……。ショウ、データは収集できたか?』
「ああ、問題ない。ユニオンに既に送信済みだ。ただ……めちゃくちゃ嫌な予感がするな……」
アグニモンから人間の姿へと戻ったショウとブラックセラフィモンは、険しい表情で重々しく頷き合ったのだった。
──ショウたちには、知る由もなかった。
本来であれば外部からのデータ感知を完全に遮断しているはずの『領域隔離シールド』。その空間の『外側』から、彼らの戦いを静かに観察している不気味な影が存在していたことに。
「ククク……実に面白いデータが取れましたねぇ。……さて、次の実験はどのように試すとしましょうかね?」
闇の中で不気味に呟いたその謎の存在は、観察データを手元に収めると、嘲笑を残して静かに空間の歪みの中へと姿を消していったのだった。