Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
色々あって翌日になってから、ショウはベイクタウンへと向かった。……なぜか道中からネモもしれっとついてきていたが、もう深く考えるのはやめてそのままにしておくことにした。
ベイクタウンに到着すると、足早にベイクジムへ向かい受付を済ませようとした。だが、受付の係員から告げられたのはまさかの言葉だった。
「申し訳ありません。ジムリーダーのリップは急遽の仕事が入り、まだジムに戻っておりません」
本業である一流メイクアップアーティストとしての仕事なら仕方がない──と納得し、気を取り直して次はナッペジムへ向かおうと背を向けたその時、外の広場がにわかに騒がしくなり、自動扉が勢いよく開いた。
「メンゴねぇ〜! 予定はけつかっちんだったんだけど、ちょっと遅くなっちゃったわぁ!」
そこに現れたのは、ほかならぬジムリーダーのリップ本人だった。
「あら? ネモちゃんに、ショウちゃんじゃない。リップに何か用かしら?」
受付の係員やネモが事情を説明すると、リップは「なーんだ、そういうこと!」と気さくに笑い、すぐさまバトルの準備をしてくれることになった。その準備ができるまでの間、息抜きを兼ねてジムテストを受けていてほしいと言われ、指定された競技場へ向かうと……なぜかそこで、途方に暮れてぽつんと立っているキハダ先生の姿があった。
声をかけて事情を聞いてみると、どうやらジムテストのサポートを頼まれていたがリップが来ておらずどうしようか、悩んでいたそうだ。
「……その、不憫な生き物を見るような温かい目をやめてくれないか?」
哀れみを完全に隠しきれていない目でじっと見つめていると、キハダ先生は涙目でそんな風に反論してきた。隣で見ていたネモも、思わず苦笑しながらポリポリと頬を掻いている。
とりあえず気を取り直してジムテストに挑戦し、なんとかギリギリのスコアで合格をもらうと、すぐに受付へ戻ってリップとのジムバトルへと移った。
雪をかぶったような白とピンクの髪を揺らし、リップが優雅にボールを構える。
「いって! リキキリンちゃん!!」
『リッキーッ!』
「頼むぞ、行ってこいファイアロー!!」
『ファロォ──ッ!!』
リップはキリンリキから見事に進化した【リキキリン】を、ショウは空を切り裂く【ファイアロー】をそれぞれフィールドへ送り出した。
「ファイアロー、【ニトロチャージ】だ!」
『ファロッ!』
「リキキリンちゃん、【噛み砕く】よ!」
『リキッ!』
リキキリンが尻尾の不気味な頭部(テールアーマー)を利かせて鋭く噛みつこうとするが、ファイアローは抜群の機動力でそれを華麗に回避! そのまま首の届かない死角となる後ろ足側から、全身に紅蓮の炎を纏って猛然と突撃した。
「接近戦ばかりは分が悪いわねぇ。──しょうがない、リキキリンちゃん、【ツインビーム】!!」
『リキィ──ッ!!』
リキキリンがぐっと気合を溜め込むと、なぜかその頭部の角の先から凄まじい超能力の光線が発射された!
「ええ──っ!? そこからも出るのかよっ!!」
『ファロァッ!?』
予想の斜め上を行く攻撃角度に、ショウは思わず盛大にツッコミを入れ、不意を突かれたファイアローは動きを完全に止めてしまう。容赦なく放たれた光線は、直撃してファイアローを激しく打ち据えた。観戦席で見守っていたギャラリーたちからも驚きの声が漏れる。
「ゴイスーでしょ? リップのリキキリンちゃんは、頭の角からも【ツインビーム】が撃てるのよ! さぁリキキリンちゃん、今度は【噛み砕く】よ!」
『リキッ!!』
「まずい……ファイアロー、【追い風】だ!!」
『ファロォッ!』
このままでは避けきれないと判断したショウは素早く【追い風】を指示し、ファイアローも直ちに鋭い風を起こして態勢を立て直そうとするが、リキキリンはスピードを緩めず容赦なく強烈な噛みつきを叩き込んだ。
その追撃が致命傷となり、ファイアローはついに耐えきれず、目を回しながらパタパタと地面へ落下して戦闘不能になってしまったのだった。