Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
控え室に入ると、すでに大勢のテイマーたちが緊張した面持ちで待機していた。空いている席を探して視線を走らせると、人込みの中にヒデトの姿が見えた。近づいていくとショウに気づき、隣のスペースを詰めて座る場所を空けてくれた。
「サンキュー、ヒデト。ヒデトも昇格試験か?」
「あぁ! これで俺もいよいよゴールドランクだぞ!」
ヒデトはガッツポーズを作りながら、意気込みを熱く語る。
「ショウはプラチナ試験だろ? 聞いた話じゃ、今回プラチナを受けるのってショウ1人だけらしいじゃん」
「あぁ。本来ならもう少し早く受けておくはずだったんだが……まあ、いろいろあったからそこはしょうがないな」
本番前の緊張を解し合うように雑談を交わしていると、案内係のデジモンが現れ、受付番号順に受験者の名前を呼び始めた。
「ショウさん、どうぞこちらへお進みください」
係員に呼ばれたショウが立ち上がると、
「頑張れよ、ショウ!」
とヒデトから力強い応援が飛んできた。ショウは一瞬振り返り、笑顔で深く頷いて見せた。
◇
案内された試験会場のメインバトルフィールドへ足を踏み入れると、中央に圧倒的な存在感を放つ2体のデジモンが構えていた。
1体はサナギのようなフォルムから背中に6本の鋭利な触手を生やした【クリサリモン】。
もう1体は、深緑色の甲殻を全身に纏った人型昆虫デジモンの【スティングモン】だ。
この2体は幼年期の頃から試験官の任を務め上げている猛者であり、成熟期でありながらその練度と経験値は並みの究極体デジモンをも凌駕する実力を持つことで知られている。
「待っていたぞ!!」
「それでは試験を開始する。試験内容は簡単、我ら2体を倒せば合格だ。ただし、お前のパーティのデジモン6体全てが倒された場合はその時点で失格とする。……理解したな?」
スティングモンとクリサリモンからのルール説明が終わると、フィールドに審判が現れた。ショウは静かにデジヴァイスを掲げ、今回の試験に挑む手持ちの中からまずはラジエルモン、ジャスティモン、ブラックセラフィモンの3体をリアライズさせた。
「それでは――バトル!! Ready, Go!!」
審判の宣言とともに、緊迫した試験の火蓋が切られた。
「頼むぞ! ヘクセブラウモン【アブソリュートブラスト】!! シャイングレイモン【グロリアスバースト】!! ドゥフトモン【エルンストウィル】!!」
『うん!』『おう!!』『了解!!』
間髪を入れず、連戦の中で後陣に控えていた限界突破の究極体3体が前線へ躍り出る! 3体から同時に放たれた最大級の威力を誇る必殺技の奔流が、一射のもとにスティングモンとクリサリモンを呑み込んだ!
轟音と眩い光の奔流が収まると、そこには限界まで力を出し切り、地面に膝をついて動かなくなった試験官2体の姿があった。
「そこまで! 試合終了!! WINNER……ショウ!!」
審判の手が力強くショウ側へ掲げられ、勝敗が決した。
「やったぞ……みんな!!」
ショウは安堵と喜びを露にしながら、試験の死闘を戦い抜き、ボロボロになりながらも立ち尽くすパートナーデジモンたちの元へと駆け寄った。
『ウッシャー!!』『やったな、ショウ!』『ふぅ……上出来の勝利だね』
死力を尽くしたデジモンたちも、ショウに抱きつきながら歓喜の声を爆発させた。
ひとしきり健闘を称え合っていると、倒れていたスティングモンとクリサリモンがゆっくりと起き上がってきた。
「見事だ、よくやった。我らふたりを相手にここまでやるとはな……!」
「これでお前も、名実ともにテイマーユニオン最高峰【プラチナランク】の仲間入りだ。これからも気を引き締め、精進せよ」
強敵である試験官たちからの惜しみない称賛を受け、ショウは晴れやかな顔で深く一礼した。
試験を終えて控え室に戻ると、待機していた他の受験者たちから割れんばかりの拍手と歓声で出迎えられた。
「おめでとう、ショウ! これでついにエイジと並んだな!」
「ヒデトもおめでとう! 無事にゴールドランクに上がれたんだろ?」
無事に合格を果たしていたヒデトとガシッとハイタッチを交わす。
その後、サクヤやアリサ、エイジたち同期メンバーが集まり、ショウとヒデトのW昇格を祝う盛大なパーティーが開催され、ショウはプラチナテイマーとなった喜びを改めて噛み締めるのだった。