Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
ショウがコウから言われた通りに出発の時空間ゲートへと急ぐと、すでに二人の人物が待機していた。
「遅くなりました、ヒョウガさん。……って、あれ? アリサ? エイジじゃないのか」
「遅いぞ、ショウ。……まぁ、気にするな」
「私だと何か不満でもありますか?」
ショウが驚きに目を丸くすると、不敵な笑みを浮かべるヒョウガの隣で、アリサがフッと冷ややかな視線を向けてきた。
「いやだって……俺がわざわざ本部から呼び戻されたのは、今回の特殊任務にプラチナテイマーの方が安全で確実って理由だろ? 同期でプラチナに上がってる奴なんてエイジくらいしかいないと思ってたからさ」
アリサの鋭い視線からそっと目を逸らしながらショウが言い訳をすると、ヒョウガが苦笑しながら事情を説明し始めた。
「まぁそう焦るな。最初はエイジを推薦する予定だったんだが、同性のテイマーだけではいざという時に十分な対応ができない事案が含まれている可能性が出てきてね。それで、総合的な判断で彼女に白羽の矢が立ったというわけだ」
「それに、私も少し前にしっかりとプラチナランクへ昇格を果たしていますので」
得意げにそう言いながら、アリサは自身のデジヴァイスをピッとショウの目の前に突きつけた。
「マジかよ……俺、あんなに苦戦してやっと上がったってのに……」
「私は、日頃から努力を怠らない優秀なテイマーですから。あなたとは違って」
ガックリと肩を落とすショウに対し、アリサはふふんと鼻を高くして胸を張った。
「まぁ、積もる話は移動しながらにしようか。そろそろゲートが閉じる頃だ」
ヒョウガが静かに促すと、ショウ、ヒョウガ、アリサの3人は揃って眩い時空間ゲートの中へと飛び込んだ。
光の奔流を抜けた先──そこは、パルデア地方の頂点であるポケモンリーグのバトルフィールドであった。
見回すと、そこには出迎えるように腕を組んで待っていたソウマと、その隣に佇む四天王のハッサクの姿があった。
「師匠! ハッサク先生、お久しぶりです。ただいま戻りました!」
「おう、ショウ。無事にプラチナに昇格して戻ってきたようだな」
「ショウさん、お帰りなさいませ! そしてそちらのお二人は……はじめまして。小生はハッサク、グレープアカデミーの美術教師にして、パルデアポケモンリーグの四天王を務めております。どうぞよろしくお願いします」
ハッサクが情熱的かつ丁寧な挨拶を返すと、ヒョウガとアリサはピシッと背筋を伸ばして敬礼した。
「こちらこそ初めまして。Team【ナイトクロウ】に所属しております、ヒョウガと申します」
「同じく、アリサです。お世話になります」
滞りなく挨拶を済ませると、今後の詳細なすり合わせを行うため、一行はそのままポケモンリーグ内の会議室へと移動することになった。
「あれ? オモダカさんはいらっしゃらないんですか?」
席に腰を下ろしながらショウが尋ねると、ハッサクが穏やかに答えた。
「ええ。トップはチリを連れて、現在イッシュ地方の『ブルーベリー学園』の方へ出張に行かれております」
「急遽、こちらから調査と回収のために追加の人員が押し寄せる形になってしまったからね。向こうの手続きは後回しでいいと、俺の方からオモダカ殿に伝えておいたのさ」
「申し訳ありません、こちらの不手際でご迷惑をお掛けしてしまって……」
ヒョウガが深々と頭を下げて謝罪すると、ハッサクは慌てて手を横に振った。
「いえいえ、気になさらないでください! お聞きしたところによれば、あなたのパートナーである大切なデジモンの一部がこちらへ迷い込んでしまったとのこと。心配で追いかけてこられるのは当然のことです」
ハッサクの寛大な言葉に、ヒョウガやショウたちも胸をなで下ろした。
その後、遅れて合流したクラベル校長も交えて具体的な打ち合わせが行われた。結果として、アリサは周辺調査と身分を隠すためのカモフラージュを兼ねてショウと同じように『グレープアカデミーの転入生』として編入し、ヒョウガは一般の『観光客』という名目でパルデアに滞在することに決まった。
当面の準備や段取りはこれでほぼ完了だ。あとはアリサの制服採寸など細かな手続きを残すのみとなり、アリサはクラベル校長に連れられてアカデミーの本校舎へ向かい、残ったショウとヒョウガ、そしてソウマの3人は、ソウマが今回の滞在のために新しく借り上げた街のアパートへと向かうのだった。