Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
「ホテルだとどうにも落ち着かなくてな。幸い短期で借りられるアパートがあって助かったよ」
そう言いながら、ショウたちを室内に招き入れるソウマ。部屋の中は必要最低限の家具しか置かれておらず、どこか物寂しい様子が漂っていた。
「物を置きすぎると、退去するときに片付けが大変だからな」
ショウとヒョウガをソファに座らせると、湯気の立つお茶を淹れて持ってきたソウマがそう説明した。
「師匠! 自分の分くらい自分でやりますよ!!」
「いやお前、どこに何があるか分からんだろう。……それよりも」
ショウが慌てて立ち上がって準備を手伝おうとすると、ソウマは制するように手を振って座らせ、そのまま本題へと入っていった。
「アリサは手続きが終わったら連絡が来ると思うから、それまでに現状の情報をまとめておくぞ」
「頼む」
「俺が本部から連絡をもらったのは、ショウを送り出した翌日だった。それから丸一日使ってこのパルデア地方をくまなく探してみたが、まったく手応えがなくてな。そこで翌日、オモダカトップに許可をもらってエリアゼロへ調査に入ったんだ。……そうしたら、僅かだが例の反応を感知できた」
その言葉にヒョウガの表情が一変し、思わず立ち上がりかける。しかし、ソウマが手で制すると、ぐっと息を呑んで座り直した。
「ただ、タイムマシンがあるゼロラボまで降りて探してみたが見つからなかった。……そうなると、もしかしたら『テラパゴス』だったか? あの伝説のポケモンの近く……さらに深い深度にいるんじゃないかと踏んでいる」
「なるほど……。そうなると、主人公の少年……ハルト君だったか? 彼らがテラパゴスを巡る事態を解決して捕獲してからじゃないと、我々も奥へ踏み込めないな」
ヒョウガがそう結論を出したその時、ショウのポケットの中でスマホロトムが飛び出してきた。
『クラベル校長先生から電話ロト!』
採寸や手続きが終わったアリサからの合流の連絡だったため、ショウは一旦アパートを出て彼女を迎えに向かった。
無事にアリサを連れてショウが戻ると、今後の作戦会議が再開された。
「まずはオモダカさんにエリアゼロ最深部への再進入の許可を取らないとな。そして、実際に同行して動くとしたら俺とショウの二人か」
「ヒョウガさんは分かりますが……何故、ソウマさんではなくショウさんなのですか?」
アリサが素朴な疑問を投げかけると、ソウマが腕を組んで代わりに答えた。
「理由としては、やはり同世代の友人であるショウから頼む方が、ハルト君の協力を仰ぎやすいからだ。それに……ショウ、ハルト君には予備のデジヴァイスを渡してあるんだったな?」
問いかけられ、ショウは「はい、非常時の連絡用としても渡してあります」と頷いた。
「なるほど。何か不測の事態があれば、あちらからもすぐに時空間ゲートを開いてもらえるわけですね」
アリサも納得したように頷いた。
「いずれにせよ、オモダカ殿たちは明日にはイッシュ地方からパルデアへ戻ってくるそうだ。戻り次第、すぐに正式な許可をもらうとしよう」
ソウマがそう話をまとめると、一通りの密密な話し合いは終了した。
緊迫した雰囲気が和らぐと、アリサがふと思い出したようにソウマへ質問を投げかけた。
「そういえばソウマさん、パルデア滞在中にポケモンは捕まえられたのですか?」
その問いに対し、ソウマはどこか遠い目をして口を開いた。
「いや……それがな。どうも俺の『圧』が強すぎるせいか、並の野生ポケモンだと姿を気配を察知したら全速力で逃げ出すんだよ。あのケッキングにさえ、死に物狂いの全速力で逃げられたからな……」
あまりにも切なさすぎる体験談を残念そうに語るソウマ。その背中を見つめながら、ヒョウガはニヤニヤと笑いを噛み殺し、ひょいと肩を叩いた。
「まあ……ドンマイ……ッ」プクク……
「笑うな! お前だって似たようなもんだろうが!!」
耐えきれずに吹き出したヒョウガに対し、ソウマは「人ごとみたいに言いおって!」と噛みつくのだった。