Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
「ドルゴラモン、【ブレイブメタル】!!」
『グルァッ!!』
「ヘクセブラウモン、【サモンフロスト】で周囲の奴らをまとめて凍らせてアシストしろ!」
「了解!!」
ヘクセブラウモンが放つ【サモンフロスト】の冷気が猛烈な勢いで周囲の空間を満たし、群がっていたデジモンたちを次々と氷漬けにして動きを完全に封じ込める。そこにドルゴラモンの超重量級の【ブレイブメタル】が直撃し、次々と残りのデジモンたちも綺麗にデジタマへと還っていった。
「これで……最後のようだな。いやはや、思った以上に時間がかかったな」
「仕方あるまい、やけにデカくて鬱陶しい奴らばかりだからな」
ヒョウガのやれやれといった愚痴を横目に、赤き機械竜の姿をしたカオスドラモンが答えながらデータ回収の仕上げを行う。
「そういえばヒョウガさん……あらかじめズィードミレニアモン本体を出しておけば、もう少し楽に片付いたんじゃないですか?」
「いや、それがな……今回こっちに飛び込んできたミレニアモンの一部っていうのは、よりにもよって『制御機能』を司る中枢部分だったらしくてね。中途半端に本体を呼び出すと、俺自身でも制御できずに大暴れしかねない厄介な状態なのさ」
苦い顔をしながら説明するヒョウガに、ショウは納得したように頷いた。
「なるほど……って、すみません、余計なことを聞いてしまって。……ん?」
「気にするな。……おや、どうした?」
「ハルトに持たせておいた予備のデジヴァイスから反応があります! もしかしたら、ミレニアモンの一部と接触したのかもしれません!」
ショウの鋭い指摘に、ヒョウガの表情が引き締まる。
「それなら一刻を争うな。急いで、ゲートを開いてくれ!」
ショウが手元のデジヴァイスを操作して時空間ゲートを出現させると、二人は迷うことなくその光の中へと飛び込んでいった。
ハルトサイド
エリアゼロ最深部。暴走を極めたテラパゴスとの激闘の末、ハルトは何とかこれを打ち破り、ボールへと収めて捕獲することに成功した。
激しい戦闘の余韻が残る中、その場にいた全員がふぅっと大きく息をつき、一息ついていた──その時。
先ほどのテラパゴスや、外で暴れていたデジモンたちをも遥かに超越する、圧倒的かつ禍々しいプレッシャーが突如として辺りを包み込んだ。全員がハッと息を呑み、気配の震源地を見据えると、そこには青黒く不気味に輝くクリスタルのような結晶体がふわりと浮かんでいた。
「な……なに、あれ……?」
スグリが引きつった声を漏らす。その瞬間、青黒い結晶の内部から、デフォルメされたような二つの頭を持つ凶悪なドラゴンの姿が浮かび上がった。
『──誰だ……我らの永き眠りを邪魔した愚か者どもは?』
響いてきたのは、音声ではなく直接脳内に直接流れ込んでくるような強烈なテレパシーだった。
「まさか、今の……直接頭に響いてきたのか……?」
ブライア先生が冷や汗を流しながら呟くが、それどころではない。発せられるプレッシャーはさらに何倍もの重みを増し、耐えきれなくなったハルト、ブライア、ゼイユ、スグリの4人はその場に膝をつき、呼吸すらままならなくなってしまった。
『……我らが眠りを汚す者には、等しく消滅をくれてやろう。覚悟は出来ているな』
結晶体の中から、容赦ない破壊のエネルギーが練り上げられていく。全員の手持ちポケモンは先ほどの戦いですでに満身創痍であり、戦闘に出せる状態のものはいない。絶望的な死の気配が場を支配したその瞬間──目の前の空間が激しく歪み、まばゆい光の渦が突如として現れた。
「もしかして……ショウが来てくれたの……!?」
ハルトが最後の力を振り絞ってそう叫ぶと、光の渦の奥から、冷徹でありながら聞き慣れた声が響いた。
『小僧……貴様、今『ショウ』と宣ったか? ショウを知っているのか?』
結晶体の中から問いかけられたハルトが必死に頷くと、相手発していた圧倒的なプレッシャーが嘘のようにスッと霧散した。
それと同時に、光の渦を割ってショウとヒョウガの二人が飛び込んできた。
「ハルト! 無事か!」
ショウの声を聞いた瞬間、張り詰めていた糸がプツリと切れたように、ハルトは安堵と恐怖から思わず涙をこぼした。
「ショウ~~っ……よかったぁ……!」
「おいおい、泣くなよ。……まあ、目の前にいるのがムーンミレニアモンのプレッシャーじゃ、そうなるのも無理はないか」
ショウが苦笑しながらハルトの肩を叩く。その脇をすり抜け、ヒョウガが一歩前に進み出て、青黒い結晶体に向かってニヤリと笑みを向けた。
「待たせたな……相棒」
『……フッ、随分と待たせてくれたな……我らがマスターよ』
二人の間に流れる信頼の絆の波動を感じ取りながら、ショウたちは静かに体勢を整えたのだ。