Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
アキヒコからもたらされたあまりにスケールの大きなトラブルに、ショウは胃が痛くなるのを覚えながら頭を抱えた。
「……ちなみに、師匠たちはどうしたんですか? ソウマさんやヒョウガさんなら、時空を突っ切って俺を回収しに来るなんて朝飯前でしょう?」
『それがな……ちょうど君の事故の直前、二人は大事な用事で別の次元領域へ出かけてしまっていて、通信すら届かないんだ……』
(あ……そういえば『数日留守にする』って言ってたな……!)
最凶の師匠たちの不在を思い出し、ショウはますます頭が痛くなってきた。そこへ、アキヒコのデジヴァイスの向こうから重厚な声が割り込む。
『そう悲観することはないぞ、ショウ。幸いにも、通信や『ファーム島』へのアクセス・データ転送機能は生きている。これらを上手く活用すれば、いずれ自力で帰還する道も開けるはずじゃ』
アキヒコのパートナ──―魔人型デジモン・ランプモンからの冷静なフォローに、ショウはふうっと息を吐いた。
「そうですね……。あっ、先輩。さっき、以前からデジタルワールドで追跡されていたスコピオモンたち4体を撃破して、デジタマに戻しました」
『本当か!? さすがだな。なら、そのままファーム島経由でこちらへ送ってくれ。本部で回収・保護する』
「了解しました。今送ります」
ショウは仲間たちに持ってきてもらっていた4個のデジタマへデジヴァイスを向ける。端末から放たれた転送光がデジタマを包み込むと、それらは吸い込まれるように画面の向こうへと消失していった。
「……失礼。お話は一段落されましたでしょうか?」
背後から掛けられた落ち着いた声に振り返ると、毒から完全に回復したオモダカが真摯な眼差しでショウを見つめていた。
「あっ、申し訳ありません! 会話の途中でしたね。……先輩、そういうわけなんで後でまた連絡します」
『分かった。僕たちも一度ユニオンCITYに戻る。何かあればいつでも連絡してくれ』
通信が切れると、ショウは居住まいを正し、オモダカたちに向き直ってピシッと姿勢を正した。
「遅くなりましたが、改めて自己紹介をさせていただきます! 自分はテイマーユニオン【Teamライトファング】所属、ゴールドテイマーのショウといいます!」
ショウが名乗ると同時に、背後に陣取っていたデジモンたちが一斉に一歩前へ出た。さらに、先ほどまでデジヴァイスで待機していた右腕が機械化されたヒーロー型の究極体──ジャスティモンも実体化(リアライズ)して列に加わる。
「そしてこちらが、自分の大切なパートナーたちです!」
『『『『『『よろしくお願いいたします!!』』』』』』
ショウがビシッと敬礼すると、クリスペイルドラモン、ライズグレイモン、イェーガードルルモン、ピポグリフォモン(翼を器用に使って)ジャスティモン、ラジエルモンの4体の完全体デジモンと2体の究極体デジモンたちも、一糸乱れぬ見事な敬礼を返してみせた。
その圧巻の光景と、彼らが見せる高度な知性と礼節に、チリもアオキも息を呑む。
「……丁寧な自己紹介、ありがとうございます。私はパルデアポケモンリーグ委員長、オモダカと申します。先ほどは我々の窮地を救っていただき、本当にありがとうございました。……ショウさん、詳しい事情をリーグの本部にて伺いたいのですが、よろしいでしょうか?」
「はい、もちろんです!」
ショウは快諾し、オモダカたちの案内のもとテーブルシティにあるポケモンリーグ本部へと向かった。
ポケモンリーグ本部の会議室。
集められたのは、オモダカをはじめとするリーグ幹部、そして国際警察のリラ。
ショウはデジヴァイスの広域通信機能を起動し、デジタルワールド側の最高責任者二人──【Teamライトファング】リーダーのコウ、そして【Teamナイトクロウ】リーダーのサヨをホログラムモニターで接続した。
ショウたち「テイマー」と「デジモン」が、ポケモンとは異なる『別次元の生物』であり、別次元にあるデジタルワールドから漂流してきたという事実に、オモダカたちは激しい衝撃を受けつつも、先ほどの圧倒的な戦闘力を思い返して深く納得した。
通信画面の向こうで、コウとサヨが真剣な表情で語りかける。
『……我が方の不手際により、貴方がたの世界にまで事故の影響が及び、大変申し訳ない』
『今後も、次元の亀裂を通って未警戒のデジモンがパルデア地方へ迷い込む可能性があります。故に……事態が収束するまで、現地にいるショウを『派遣協力者』として留まらせ、対処にあたらせたいと考えています』
コウとサヨの言葉を受け、オモダカは深く頷いた。
「異議はありません。ショウさんの実力と高潔な人格は、すでにこの目で確かめさせていただきました。こちらとしても、未知の存在による混乱を防ぐため、その提案を全面的に受け入れます。……ショウさんがこのパルデアで自由に動き、調査を行えるよう、身分と拠点を手配いたしましょう」
オモダカの宣言により、事態は一気に動き出した。
『頼んだぞ、ショウ。異世界の調査と、迷い込んだデジモンの保護・撃破……そして次元の歪みの原因解明。健闘を祈る』
「了解! 任せてください!」
二人のリーダーからの新たなミッションを受け、ショウは胸の奥で静かに闘志を燃やすのだった。