Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
アリサからの緊急連絡を受け、ショウたちは一刻を争う形でそれぞれの目的地へ向けて動き出した。
ショウは自身のデジヴァイスを掲げると、威風堂々とした幻獣型デジモン――グリフォモンをリアライズし、その場にいたクラベル校長に声をかけた。
「校長先生! よければこのグリフォモンを使ってください。飛行タクシーよりもはるかに早く現場に到着できます!」
「ほぉ……! 私が乗ってもよろしいのですか?」
「ええ、構いません。今一番遠くの現場に向かわなければならないのは校長先生ですからね。……グリフォモン、校長先生の指示にしっかり従い、安全に送り届けてやってくれよ!」
「任せて! さぁ、先生、背中にしっかり掴まって!」
「それでは、頼みます……!」
クラベル校長はグリフォモンの広大な背中に跨ると、アリサの向かう格闘組のアジトへ向けて空へと飛び立っていった。
「それじゃ、俺も急ぐ。ショウ、何か動きがあればすぐに連絡をくれ」
ヒョウガも自らのパートナーデジモンを呼び出すと、炎組のアジトへ向けて猛然と走り出した。
ショウは悪組へ向かう直前、ハルトたちへ素早く連絡を入れ、ポケモンリーグの本部に残っているボタンの護衛を厳重にお願いした。その後、自らもサイボーグ型デジモン――ギガドラモンをリアライズし、その背に飛び乗って悪組のアジトへと急行した。
悪組:チーム・セギンのアジトに到着すると、そこではすでにガルダモンが、襲撃してきた見慣れぬデジモンたちの群れと激しい戦闘を繰り広げていた。
「くらえ! 【メテオウィング】!!」
ガルダモンが巨大な翼を羽ばたかせると、まるで無数の流星群と化したエネルギーの羽が敵のデジモンたちへと降り注ぎ、敵陣を大きく怯ませる。
「トドメだ! 【シャドーウィング】!!」
超音速の真空波が周囲を切り裂き、襲撃してきたデジモンたちを次々とデータへと還し、その場に残されたデジタマへと変化させた。
「ガルダモン!! 無事か!?」
「あっ、ショウ~! うん、ギリギリなんとかなったよ~!」
「そうか、よかった。……ほかに生徒や怪我人などはいないか?」
「僕が救援に入る前に少し襲われていた子たちがいたけど、みんな軽傷ですんでるよ~!」
ガルダモンの報告に胸を撫で下ろしたその時、悪組のボスであるピーニャが、少し緊張した面持ちでこちらへ歩み寄ってきた。
「君は……! 誰だか知らないけど、助かったぜ。ありがとう!」
「構わない、今は非常事態だ。それより、このあとすぐにパルデアのジムリーダーであるハイダイさんとアオキさんが救援に駆けつけることになっている。彼らが来たら、事情を説明してやってくれ。俺はまだ別のアジトの救援に行かないといけないんでね」
ショウが早口で告げると同時に、遠くからハイダイとアオキがこちらへ急接近してくるのが見えた。
ショウは即座に新たなデジモンを呼び出す。
「ジャスティモン、ガルダモンと一緒にここの防衛と護衛を頼む!」
「任された! 悪党の相手ならお手の物だ!」
「わかった~、ここは私たちに任せて!」
ジャスティモンを配置すると、ショウは再びギガドラモンの背に飛び乗ろうとした。その時、ポケットのデジヴァイスが振動し、ヒョウガからの通信が入った。
『こちらヒョウガ! 炎組を襲撃していたデジモンたちはすべて無力化した。これから一番近い別の場所の救援に向かう』
「分かりました! そこからだとカラテンモンがいる毒組のアジトが近いので、そちらをお願いします!」
『了解した』
短い通信を終えると、ショウは到着したハイダイとアオキに簡単な状況だけを言い残し、ギガドラモンを加速させて今度はフェアリー組のアジトへ向けて大空へと飛び立った。
フェアリー組のアジトの上空に到着すると、すでに激しい戦闘の音が響き渡っていた。地上では、ユキダルモンからさらなる進化を遂げた完全体デジモン――ポーラーベアモンが、襲撃者のデジモンたちと激しい攻防を繰り広げている。
「手伝うぞ、ポーラーベアモン!」
「ありがとー、ショウ! ちょうど手を焼いてたところだし、助かるよー!」
豪快に笑うポーラーベアモンの声を聞きながら、ショウはギガドラモンと共に急降下し、フェアリー組のアジトを脅かす敵デジモンたちとの戦闘へと突入したのだった。
ポーラーベアモンと共にフェアリー組のアジトを襲撃していたデジモンたちを倒し終えると、ふうと息をついたポーラーベアモンが話しかけてきた。
「ショウ~! 助かったよ。思ったより相手の数が多くて、さらに究極体まで進化しようか悩んだよね」
「流石に究極体まで行ったら周りの被害がでかくなるから、この段階で抑えられて良かったよ。ところで被害は?」
「コカトリモンがいたから何人か石化されちゃってたけど、優先して真っ先に倒したから、そろそろ元に戻っていると思うよ」
「わかった、後で確認してみるよ。……現場で指示を出していたテイマーらしき奴はいたか?」
「いや、その場にはいなかったんだよね。でも、敵デジモンのリーダー格みたいな奴の近くに、スマホがふんわり浮いていたよ」
「スマホロトムを介して遠隔で指示を出していたのか。だから大雑把な突撃指示しかしてこなかったんだな」
「かもね~」
ショウはあごに手を当てて思考を巡らせる。
(妙だな……? なら、スマホロトムで遠隔指示を出していた元凶の本体は一体どこにいるんだ? 各アジトにテイマーが分散していないということは……まさか!)
ショウは胸騒ぎを覚え、すぐさまテーブルシティで待機しているソウマへデジヴァイスで連絡を入れた。
「師匠! そちらに何か異常はありましたか!?」
『いや、こちらは今のところまだ異常はないな。フウマモンたちが念のために周囲の広域偵察をしてくれているから、何かあればすぐに連絡が来る手はずになっている』
「そうですか……良かった」
ショウは、各アジトへの同時多発的な襲撃は自分たちテイマーや戦力を学園から引き離すための「囮」であり、手薄になったアカデミーやテーブルシティを直接襲撃するのが真の狙いではないかという懸念を伝えた。
『確かにその可能性は十分に高いな。マジボスである――ボタンちゃんを炙り出すのが目的かもしれない』
ソウマもショウの考察に即座に賛同した。
「誰か一刻も早く戻った方がいいのではないでしょうか?」
『いや、もしこれがさらに別の目的を隠すための二重のブラフだった場合、安易に動くと対処ができなくなる。俺と俺のデジモンたちが控えているから、アカデミーの防衛は大丈夫だ』
「分かりました。念のため、ヒョウガさんやアリサにもこの懸念を連絡しておきます」
『その方がいいだろう。頼んだぞ』
通信を終えると、フェアリー組のアジトにはパルデアリーグからの要請を受けたジムリーダーのグルーシャとライムが到着していた。
ショウは二人と手分けして怪我人の救護や状況聴取を行ったが、敵のテイマー本体に繋がるようなめぼしい情報は得られなかった。これ以上の手がかりはないと判断し、ヒョウガやアリサと中間地点で合流することにした。
「あっ、ショウさん!」
「そちらも無事に終わったようだな」
「お疲れ様です。あれ? クラベル校長は一緒ではないのですか?」
「先ほどのショウさんの『学園が狙われる可能性』の話を聞いて、一足先にタクシーでアカデミーへ戻られました」
「なるほど。なら先に、お互いの報告を済ませちゃいましょうか」
合流した3人は、それぞれの担当区域での襲撃内容を報告し合った。
「どの組のアジトにも、指示を出しているテイマーらしき人間の姿は影も形もなかった。これはショウの『学園を狙うための囮』という考察、あながち間違っていないだろうな。まあ、テーブルシティにはソウマが控えているから、そう簡単には破られないだろうが」
「「そうですね」」
話がまとまったところへ、足音とともにスター団のボスであるピーニャ、シュウメイ、オルティガ、ビワ、メロコの5人全員がそろってやってきた。
「改めて、お礼を言いたくて来たんだ。僕たちの仲間やアジトを助けてくれて、本当にありがとう」
代表してピーニャが頭を下げ、他のボスたちも深い感謝を口にした。
まさにその時――ショウのデジヴァイスからソウマの緊急通信が響き渡った!
『こちらソウマ! どうやらショウの考えが完全に的中したみたいだ! 今、テーブルシティに向かって、敵の主力と思われるデジモン群が直接襲撃を開始した! こちらはこのまま迎撃戦闘を開始する。そっちも警戒を怠るなよ!』
ソウマからの緊迫した知らせを受け、その場にいた全員の表情が一瞬にして険しく引き締まった。