Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い   作:ガチャガチャクツワムシ

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防衛戦

ハルトサイド

「凄まじい爆発音や衝撃が、ここまでダイレクトに伝わってくるなんて……」

ハルトが青ざめた顔でそう呟くと、周囲を警戒していたハイビジョンモニタモンが苦笑いを浮かべながら言った。

「驚かれるのも無理はありますまい。……いえ、これでもソウマ殿はだいぶ手加減して相手をいなしておられるのですぞ」

「これで手加減って……本気を出したらこの街ごとどうなっちまうんだよ!」

ペパーが思わずといった様子で呻き声をあげる。

(因みに、もしショウがこの場に居合わせたら、激しく首がもげるほど頷いていたに違いない)

「ソウマ殿は広範囲の敵を一掃する大技の使い手ですからな。わざわざ手加減して局所的に叩くよりも、いっそ派手に吹き飛ばしたほうが楽な上に、敵の心をも完全にへし折れるそうですぞ」

その恐ろしい事実を聞かされ、ハルトたちは再び激しくドン引きして言葉を失った。

その時、控室のドアが勢いよく開き、慌てふためいた様子でツワーモンが飛び込んできた。

「大変ネ! BOSSが一時的に突破されたネ!」

「なんですって……!? それじゃあ、ソウマさんはご無事なのでしょうか?」

報告を聞いたクラベル校長がすぐに立ち上がり、ツワーモンへと詰め寄って確認する。

「それに関してはNo Problemネ! 捕縛寸前のところまで完璧に追い詰めていたみたいだけど……どうやら敵の『強力な援軍』が横槍を入れてきたみたいネ!」

その説明に連動するかのように、残っていたHDモニタモンのデジヴァイスにも通信が入り、モニターが自動で起動した。

「こちらでも状況を確認できました。……どうやら、敵の援軍は『ビッグデスターズ』の連中のようですな」

「ビッグデスターズ?」

「完全体や究極体クラスのデジモンからなる、名だたる傭兵集団です。そして、我が物顔で敗走した襲撃犯の連中も、その隙にこの街の内部へと逃げ込んでしまったようです」

ハイビジョンモニタモンは自分の顔のテレビ画面に街の監視カメラ映像を映し出しながら冷静に説明する。映像を映し終えると、ツワーモンと無言でアイコンタクトを交わし、キリッとした表情で告げた。

「自分は、街の内部へ侵入した連中の動向を監視するため、先行して移動しますぞ」

「Meは、またladyたちの護衛に戻るネ。ハイビジョンモニタモン、後の偵察は頼んだネ!」

「御意!」

そう言い残すと、ハイビジョンモニタモンは足元の影にスルスルと溶け込むようにして消えていった。

窓の外で荒れ狂う戦煙を見つめながら、ボタンは不安そうにギュッと拳を握りしめるのだった。

??? サイド

「やぁ、お疲れ様。みんな、よくここまで戻ってきたねぇ」

混乱に乗じてテーブルシティの裏通りへと逃げ込んできた少年少女たちを、あのフードを被った人物――自らを「Dr.クラハシ」と名乗る男が、穏やかな笑みを浮かべながら出迎えた。

「おい、ふざけんなよ! 聞いてねぇぞ! あんなバケモノみたいな奴が守ってて、あんなの勝てるわけねぇだろ!」

計画が完全に崩壊した恐怖と怒りから、少年の一人がさっそく声を荒らげて文句を言い始める。しかしクラハシは、どこか冷めた苦笑いを浮かべるだけであった。

「最初に忠告したはずだけどねぇ。今、あの街を守っているのは、私たちの世界でも最強クラスの実力者さ。君たちだって、パルデアのチャンピオンや四天王にポケモンバトルで正攻法で挑んで勝てるかい? それと同じことさね」

その冷徹な正論に、少年少女たちは返す言葉を失い、全員が気まずそうに黙り込んだ。

「……ま、いいさ。計画はまだ終わっちゃいないよ。安心しなさい、君たちには今度こそとびきり強力で従順なデジモンを用意してあげるからねぇ」

クラハシがそう優しく囁いた瞬間、彼らが立っていたアスファルトの地面が突如として禍々しく発光し、複雑怪奇な巨大な魔法陣のような紋様が展開された!

「なっ……!?」

少年少女たちが悲鳴を上げようとしたが、魔力的な拘束によって声帯すらも封じられ、声すら出すことができない。

「ただねぇ、ここで用意したデジモンたちは少しばかり暴走しやすくてね。制御するのが難しいんだ。だからさ……君たちに、その『制御ユニット』になってもらうことにしたのさ。なぁに、怖がることはないよ……このDr.クラハシの実験に、失敗なんてありえないんからねぇ!」

クラハシが悪辣な笑みを浮かべた次の瞬間、足元の魔法陣から凄まじい引力が解き放たれ、恐怖に顔を歪める少年少女たちの身体を丸ごと飲み込んでいった。

光が収まったとき、そこには誰の姿もなく、ただ冷たい風だけが吹き抜ける静寂が残されていたのだった。

少年少女たちを魔方陣の彼方へと吸い込み終えると、Dr.クラハシは冷酷な笑みを浮かべながらデジヴァイスを取り出し、新たなデジモンをその場でリアライズした。

それとほぼ同時、建物の影から一人の中年男性がふらりと姿を現す。かつてアカデミーの教頭であった男――その人だった。

「それじゃ、子どもたちを材料にした『素体データ』と、これらを譲りますよ。好きに使うといい」

クラハシは薄気味悪い笑みを浮かべながらデジヴァイスを元教頭へと手渡し、元教頭もまた歪んだ笑みを返しながら、アカデミーの本館がある中央広場へと歩き出した。

「さてと、どのような絶望と混乱の化学反応を見せてくれるか……楽しみですねぇ。フフフ、フハハハーッ!」

クラハシは不気味な笑い声を残し、手ずから召喚したデジモンと共に闇へと溶けるように姿を消していった。

かつて自分をクビに追い込んだアカデミーへ復讐するという歪んだ妄執に駆られた元教頭は、まっすぐに中央広場へとたどり着いた。彼は譲り受けたデジヴァイスを掲げ、そこに封じられていた強力なデジモンたちを一気にリアライズさせる。

突如として広場に出現した不気味で禍々しい巨大デジモンたちの姿に、周囲にいた生徒や職員たちは瞬く間にパニックへと陥った。

しかし、元教頭がそのままアカデミーの校舎へ向けて進もうとした、その瞬間――。

「邪魔だ! どけっ!」

「教え子が世話になっている場所だ。はいそうですかと通すわけにはいかないだろ」

冷ややかな声とともに、目の前に立ちはだかったのは、本来ならテーブルシティの外にいるはずのソウマだった。

その圧倒的な存在感と、周囲の空気を凍りつかせるようなとんでもない威圧感を浴びせられてもなお、元教頭は正気を失った狂喜の目をギラギラと輝かせながらソウマを睨みつけた。

「邪魔をするな……! 私の輝かしい未来と人生をあいつら――あの学校の連中に潰されたんだ! 私が復讐するのは、当然の権利なんだよおっ!!」

「いや、生徒に対するいじめや不正を隠蔽したんだから、クビになったのは当たり前の因果応報だろ」

「黙れ、黙れ黙れ! 既に当時の加害者は卒業してこの場にいないのだから、今の生徒や学校をどうしようが勝手だろうが!」

「普通にダメに決まってるだろ。お前の脳みそはどうなってやがる」

身勝手で自己中心的な言い分をまくし立てる元教頭に、ソウマは心底うんざりしたような目を向ける。

「それより……何で貴様がここにいる! 外の連中の相手をしているはずじゃなかったのか!?」

「そんなもん、とうとうと雑魚どもを掃除して対処を終えたからに決まっているだろ。……お前、もしかして思考能力が完全に溶けてるのか?」

だんだん相手をするのが面倒臭くなってきたソウマは、やれやれと首を横に振った。

「あんたの身勝手な言い分はもう聞き飽きた。さっさと捕まって、あんたにそのデジモンどもを与えた黒幕の情報を吐いてもらおうか」

「ふざけるな……! この私に逆らう者は、すべて排除する! 出てこい、私を侮辱する者たちを灰にしろ!!」

狂ったように叫ぶ元教頭の命令に応じ、周囲に展開していたデジモンたちがさらに禍々しい気炎を上げた。

「今度は……スイジンモン、フウジンモン、ライジンモン、それにライデンモンか。……おいおい、さっきからゴクモンやイーバモンも含めて、やけにサイボーグ型やマシーン型の厄介な連中が多いな」

ソウマは次々と現れる強力なデジモンたちを見据えながら、ふと胸中にひとつの疑問を抱いた。

(……待てよ。外の連中は成熟期や完全体が大半で、しかも種類こそ豊富だったが、どこか特殊なテクスチャを貼り付けただけのホログラムみたいな代物だった。だが、目の前のこいつらはどう見ても『本物』だ。こんな底の浅い傲慢な男に、本物の究極体や特殊なデジモンを何体も使役できるだけの適性があるわけがない……。いったいどうやって制御している? 何か特殊な強制プログラムでも埋め込まれているのか……?)

ほんの一瞬、思考を巡らせたものの、目の前の敵を前にして深く考えても答えが出ないと悟ったソウマは、肩をすくめて息を吐き出した。

「ま、今ここで頭を捻っても仕方ないか……。とりあえず、こいつらを叩きのめしてからじっくり考えさせてもらうとするか!」

ソウマは鋭い眼光を光らせると、手元のデジヴァイスをしっかりと握り締め、自分の相棒となる頼もしいパートナーデジモンたちを次々と戦場へと呼び出したのだった。

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