Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
ショウ達が襲撃してきた敵のデジモンたちを返り討ちにして、テーブルシティへと向かうと、そこにはデジモンたちの突進や爆撃で削らた痛々しい地面が広がっていた。
「……やっぱりあの野郎、暴れやがったな」
ヒョウガが呆れ果てたように言うと、ショウがすかさずフォローを入れた。
「でも、これでもいつもよりだいぶ被害の規模が抑えられているんじゃないですか?」
「まあ……それもそうか」
ヒョウガも納得し、三人はそのままテーブルシティ内へと足を踏み入れた。街の中を見渡すと、中央広場にあるバトルフィールドとその周辺以外には、奇跡的に大きな被害は見受けられなかった。
「どうやら途中で周囲を巻き込まないよう、デジタルワールドへ戦場を移動させたみたいだな」
「それだとしたら……よほど危険で巨大なデジモンが相手だったのでしょうか?」
「今、ハイビジョンモニタモンから一報を受けていたんだが、どうやらオニスモンにガルフモン、それにグランドジェネラモンだったらしい」
ショウからの報告を聞いたアリサは、思わず顔をしかめた。
「だとしたらソウマさん……闘争本能を抑えきれていなかったんじゃないですか?」
その問いに、ヒョウガは「まったくあいつは……」と溜め息を吐きながら深く頷いた。
まさにその時――広場の中央の空間が歪み、デジタルワールドへと繋がるゲートが出現!
そこから先ほど倒された3体のデジタマと、黄金の輝きを纏ったシャウトモンEX7が舞い戻ってきた。地面に着地すると同時にシャウトモンEX7は眩い光に包まれ、元の姿に戻ったソウマがゆっくりと歩いて近づいてきた。
「お疲れ。ちょっと遅かったな?」
「お前なぁ……」
ソウマの能天気な挨拶にヒョウガは呆れ返ったが、すぐに真剣な表情へと切り替えた。
「それで、一体どういう状況だったんだ?」
「今回の襲撃犯は、グレープアカデミーの元教頭と、おそらく過去に退学処分になったいじめの加害者たちの生き残りだ。加害者たちが使役していたのは、特殊なテクスチャを貼り付けただけの張り子の存在が多数だったが、元教頭の方は本物のデジモンを使役していた。最後は自らグランドジェネラモンに変異して襲いかかってきたよ。……ちなみに黒幕に雇われていたビッグデスターズは確保してある。これから問い詰めて情報を引き出すつもりだ」
ソウマも先ほどの能天気さを消し、険しい眼差しで簡潔に事の顛末を説明した。説明が終わると、空間の歪みが完全に収まり、その場には大量のデジタマと、気を失って倒れ込んでいる襲撃犯の少年少女たちが残された。
駆けつけた救急隊と警察の手により、意識のない襲撃犯たちが次々と運ばれていく。全員が著しく衰弱していた。
「どうやら少年たちは、オニスモンやガルフモンを制御するための『生体ユニット』として取り込まれていたみたいだな……」
「限界まで生命エネルギーを削り、強引にデジソウルへと変換させられていたみたいですね……」
ショウとアリサが痛ましい様子で観察していると、遠くから声が響いた。
「ショーウ!!」
声をかけてきた方へ向き直ると、ハルト、ペパー、ネモ、ボタン、そしてクラベル校長が急ぎ足で駆け寄ってくるところだった。
「良かった、無事だったんだね! 怪我はない!?」
「ああ、問題ない。スター団の連中も全員無事だ」
ショウがそう伝えると、ボタンたちは胸を撫で下ろし、ホッと安堵の表情を浮かべた。
――しかし、その直後だった。
「グワァァァァッ!!?」
突如として、搬送されかけていた元教頭が激しい悲鳴を上げてその場にのたうち回った! 全員が息を呑んで見守る中、元教頭の身体はまるで風船の空気が抜けるかのように、見る見るうちに萎びていく。
「これは……!?」「な、何が起きているんだ!?」
周囲の警察官や救急隊員が驚愕の声をあげるが、救う術もないまま、ほんの数十秒で元教頭の肉体は完全に干からび、息絶えてしまった。
突如訪れた不穏で恐ろしい光景に、その場にいた全員が言葉を失い、絶句した。
ソウマとヒョウガが即座に意識を取り戻して冷静さを取り戻すと、現場を仕切る警察に許可を取り、遺体の状態とデジヴァイスの残滓を確認した。
「……どうやら、己の身体を強引にグランドジェネラモンへ変異させ、デジモンたちを制御するために、許容量を超えたデジソウルを過剰消費していたんだろうな……」
「その代償として、自らの生命エネルギーすらも完全に使い尽くしてしまい、こうなってしまったのか……」
二人はそう推測し、重い溜め息を漏らした。
黒幕の足がかりとなりそうだった元教頭が命を落とし、極めて後味の悪い結末を迎えたものの、こうしてテーブルシティとパルデア全土を巻き込んだ大規模な同時多発襲撃事件は、ひとまずの解決を見たのだった。