Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
朝になり目を覚ましたアリサは、身支度を手早く整えて食堂へと向かった。現在は事件の後ということもあってか、いつもは賑やかな食堂も生徒の姿はまばらであった。朝食のメニューを選んで空いている席に座ると、転入してから仲良くなった女子生徒が「おはよう!」と明るく挨拶し、そのまま向かいの席へと座ってきた。
「ねぇねぇアリサちゃん。アリサちゃんって、よくショウ君と一緒にいるけど……実際どういう関係なの?」
「どういう関係……と言われると……うーん、知り合い、ですかね?」
唐突な質問に少し悩みながら答えると、向かいの友人は意外そうな顔をした。
「えっ、そうなの? いっつも仲良さそうに一緒にいるから、てっきり付き合っているのかと思ってた〜」
友人からの予想外の追求に、アリサは思わず顔が赤くなりそうになるのを必死に堪え、平静を装いながら口を開いた。
「違いますよ……っ! ショウさんが旅をしている時に、たまたま知り合ったんです」
「ふ〜ん、そっかぁ。いやね、ショウ君ってハルト君ともしょっちゅう一緒に行動してるでしょ? だから学園内で『実はハルト君と怪しい関係なんじゃないか』なんて変な噂まで流れてたのよ」
「……それ、本人が聞いたら怒り狂うんじゃないですか?」
アリサの至極もっともなツッコミに対し、友人はクスッと笑いながら続きを話した。
「それがね、先週ついに本人の耳に入っちゃったらしいの。ショウ君、もの凄い般若みたいな顔で噂を流した男子生徒と原因となったハルト君を追い回していたらしいわよ? 止めようとした別の生徒の格闘タイプポケモンが組み付いて押さえ込もうとしたのに、そのままそのポケモンごと引きずりながら追いかけてたんですって」
「……あはは、想像が容易にできちゃいますね……」
目に浮かぶような光景に、アリサは苦笑いするしかなかった。
朝食を終えると、暫くは授業も休みということもあり、気分転換を兼ねて外へ出かけることにした。
「よし、今日は『オージャの湖』まで足を伸ばしてみましょう」
目的地を決めると、空飛ぶタクシーを利用して湖の近くの停留所まで一気に移動した。そこから心地よい風を感じながら歩いていると、草むらから野生のキノガッサが勢いよく飛び出し、バトルが勃発した。
「お願いします、マスカーニャ!」
「ニァア!」
「ガッサァァッ!」
キノガッサは鋭い踏み込みから【マッハパンチ】を繰り出してきた。
「マスカーニャ、かわして【燕返し】!」
「ニァアァァッ!」
マスカーニャは素早い身ごなしで拳を紙一重でかわすと、お返しとばかりに必必殺の【燕返し】を叩き込み、一撃でキノガッサを戦闘不能へと追い込んだ。
「ありがとうございます、マスカーニャ。ナイスバトルでした」
アリサはお礼を言いながら、マスカーニャの顎の下を優しく撫でて労った。
バトルを終えて無事にオージャの湖畔に到着すると、広々とした草台地にピクニックの準備を整えた。
「みんな、出てきてください!」
アリサがモンスターボールを掲げると、光とともに今の手持ちポケモンたちが一斉に姿を現した。
先ほどのマスカーニャをはじめ、サーナイト、ルカリオ、グレイシア、チルタリス、マリルリの頼もしい6体である。
「さてと……今日はここで、メガシンカの特訓を本格的に進めましょう!」
アリサの言葉に、サーナイトやルカリオたち全員がやる気満々の表情で力強く頷いた。
「まずはサーナイト、あなたから始めましょう!」
ショウから預かったキーストーンとメガストーンの同調を意識しながら、オージャの湖周辺に生息する強力な野生ポケモンたちを相手に、何度も実践的なバトル特訓を繰り返した。
空が茜色に染まる夕方になり、
「ふぅ……今日はこれくらいにしておきましょうか」
アリサは特訓を切り上げると、ポケモンたちを労いながら近くのチャンプルタウンへと移動した。宝食堂で温かい夕食を美味しくいただいたあと、夜風に吹かれながらアカデミーの寮へと戻ると、エントランス近くでショウの姿を見かけた。
「ショウさん、こんばんは。こんな時間にどうしたんですか?」
「ああ、こんばんは。日中に自分のデジモンたちの特訓に没頭しすぎてさ、いつもやってる巡回をすっかり忘れてたんだよ。だから今から回ってこようと思ってな」
「そうだったんですか。……なら、私も手伝いますよ」
「えっ、いいのか? 特訓で疲れてるだろ」
「構いませんよ。二人で回った方が早いですしね」
アリサが微笑みながらそう言うと、ショウも嬉しそうに頷き、二人は月明かりが照らす夜のアカデミー周辺へと、仲良く夜間巡回に出かけていったのだった。