Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
「いやぁ、最近のバタバタで忘れてたわ!」
ショウのツッコミにチリはゲラゲラと笑いながら返した。そしてアオキが仕切り直すように壁のブザーのボタンを押すと、けたたましい音が響き渡り、重厚な扉が開いてハッサクがゆっくりと歩み出てきた。
「あぁ、そういえばブザーが直っていたのでしたね」
「先生も忘れてたんかい!」
ハッサクの呑気な発言に思わず重ねてツッコミを入れてしまうショウだったが、ハッサクは温かい笑顔を浮かべたあと、一転して引き締まった真摯な表情となった。
「いや、申し訳ありません。しかし、あなたならいずれここまでたどり着くと思っておりましたですよ。若い芽の成長は本当にね……著しい! これほどまでに早く相見えることになるとは……想像を遥かに超えていました。本来、教師とは教え子を導きその成長を助ける者……ですが、今は教育者としての本分は忘れ……貴方を倒すためにこの力を奮いましょう!」
感極まりそうな情熱を胸にそう言い放つハッサクに対し、ショウは不敵な笑みを浮かべて返答した。
「望むところです!」
ショウが早速手持ちのポケモンを出そうとボールに手をかけたその時、ハッサクから制止の声がかかった。
「……先ほどあんなことを言っておきながらこんなことをお願いするのは心苦しいのですが……ショウ君、可能ならばあなたの『デジモン』と戦わせてはいただけないでしょうか?」
「自分は構いませんが……いいんですか? リーグの規定とか」
「構いませんよ。実は事前にトップ(オモダカ)にも相談し、許可を得ております。先日の事件では、デジモンたちの脅威に対してショウ君たちに頼りすぎてしまっていると痛感いたしました。もし今後、似たような事件が起こってしまった時……生徒たちを自分たちの手で守れるよう、私たち教師陣もデジモンとの実戦経験を積んでおきたいのですよ」
ハッサクの誠実で責任感に満ちた言葉に応えるかのように、ショウの腰のデジヴァイスが眩い光を放ち、実戦の気配を察知した1体のデジモンがフィールド上にリアライズした。
「――そういうことなら、オレが相手になるよ!」
光の中から姿を現したのは、頭部に頑強な兜を戴く超竜型デジモン・ジオグレイモンであった!
「よし、なら頼むぞ、ジオグレイモン! ……ハッサク先生、この条件でいいですか?」
ショウはデジモンの強力な攻撃が周囲に及ばないよう簡易的なデジタル空間のフィールドを展開しながら確認をとると、ハッサクは深く頷いた。
「構いませんよ! それでは……実技試験最終戦を始めましょう! お願いします、オンバーン!」
「オンバァァーッ!」
ハッサクが威厳を込めて繰り出したのは、音波ポケモンのオンバーンであった。
「オンバーン! 【竜の波動】!」
「バーンッ!」
「ジオグレイモン、威力を抑えて撃てよ! 【メガフレイム】!」
「おうっ! 【メガフレイム】!!」
ジオグレイモンが口から解き放った超高熱の巨大な火球が、正面から迫るオンバーンの【竜の波動】を文字通り呑み込み、そのまま突進! オンバーンは持ち前の優れた飛行能力で身を翻し、紙一重で火球の直撃を回避した。
爆炎が背後で上がる中、空を舞うオンバーンと地上で脚を踏み鳴らすジオグレイモンは鋭い眼光で睨み合い、互いに次の動きを注視しながら次の指示を待った。
四天王最終戦――前代未聞の「デジモンVSポケモン」の異種格闘バトルが、ついにその幕を開けたのだった。
ハッサク先生のオンバーンは、高い飛行能力でジオグレイモンの【メガフレイム】を難なく回避してみせた。
「小手調べの【メガフレイム】では避けられるか……本気を出してもいいか? ショウ?」
「うーん? それは……」
ジオグレイモンからの打診に少し悩む様子を見せるショウだったが、それを見たハッサク先生は力強い声で応じた。
「私としては全然構いませんよ! むしろ望むところです!」
「ハッサク先生がそう断言するなら……よし、覚悟を決めよう。ジオグレイモン、本気で行くぞ! 制限解除! そして、【メガフレイム】!」
「よっしゃー! 【メガフレイム】!!」
ショウの指示に嬉しそうに返事をしたジオグレイモンの全身が一瞬眩しく光り輝く。解き放たれた火球は先程とは比較にならない速度と密度を誇り、オンバーンは避けることすら許されずに直撃を受けた。激しい爆炎が収まると、オンバーンは一撃で倒れ伏し戦闘不能となっていた。
「まさか、ドラゴンタイプで半減とはいえ一撃とは……!」
「これでも相当鍛えていますからね。先程までは平均的な個体の能力に抑えていましたが、ここからはこいつ本来のスペックで相手をさせてもらいます」
「くっ……望むところです! お行きなさい! アップリュー!」
「プリュー!」
ハッサク先生が続いて繰り出したのは、りんごの姿をしたドラゴン・アップリューであった。
「アップリュー! 【宿り木の種】!」
「プリュュー!」
「ジオグレイモン! 【ワイドブレイカー】!」
「グルォォォッ!」
射出された【宿り木の種】がジオグレイモンの体表に付着して芽を吹き出すが、ジオグレイモンは一切気にすることなく、太く頑丈な尻尾をしならせて激しく叩きつけた! 効果抜群の一撃を受け、アップリューは一気に瀕死のダメージを負う。
「なんと!? ポケモンの姿にならなくても技が使えるのですか!」
デジモンの異質なバトルスタイルにハッサク先生や観覧席の四天王たちが目を丸くして驚くと、ジオグレイモンはニヤリと不敵に笑った。
「俺たちはデータの塊のようなものだからな! ポケモンの技データをインストールすれば、その技を自由に使いこなせるのさ。――こんな風にな!」
ジオグレイモンがそう叫ぶと同時に、その巨体に激しい業火が巻き起こる。身体にまとわりついていた【宿り木の種】を瞬時に焼き尽くすと、そのまま炎の塊となって疾走! 圧倒的な勢いの体当たりでアップリューを弾き飛ばし、一気に戦闘不能へ追い込んだ。
「今度は【フレアドライブ】……」
驚きを隠せない様子のハッサク先生に対し、ショウは種明かしをするように説明を加えた。
「先にネタばらしをしておくと、ジオグレイモンにはメガリザードンXとオノノクスの技やタイプ属性のデータをインストールしてあります。だから今のジオグレイモンは、炎・ドラゴンタイプと同等の属性補正を持っています」
「なるほど……どちらも圧倒的な攻撃力を誇るポケモンたちですね。ならばお行きなさい、ドラミドロ!」
「ミドッ!」
ハッサク先生が次に投入したのは、毒々しい姿をしたドラミドロであった。
「ドラミドロ! 【竜の波動】!」
「ドラミッ!」
「ジオグレイモン! 【ワイドブレイカー】で吹き飛ばせ!」
「グルォォォッ!」
極彩色のエネルギー波と、龍の気迫を纏った激しい尻尾の一撃が正面から真っ向激突した!
ドラミドロの【竜の波動】とジオグレイモンの【ワイドブレイカー】がぶつかり合うと爆発し煙が発生した。
「ドラミドロ! 【ヘドロ爆弾】!」
「ミドロ!」
ハッサク先生は追撃を指示するとショウは
「ジオグレイモン、【地均し】!」
「どっせーい!」
ジオグレイモンの【地均し】の衝撃波がドラミドロの【ヘドロ爆弾】を破壊するもドラミドロはジャンプをしてなんとかかわしていた。
「ほんまに【地均し】かいな!? まるで【地震】並みの威力やんか!?」
チリは驚いていると
「俺のパワーはパーティの中で随一だからな!」
そうジオグレイモンは自信満々に言った。
「成る程、ならばドラミドロ! 【ハイドロポンプ】!」
「ドラミ!」
「ジオグレイモン! 【ホーンインパルス】!」
「応!」
頭部を下げて突進し【ハイドロポンプ】を割きながら近づきドラミドロを掬い上げるように天井に叩き付けた。天井から落ちたドラミドロは目を回し戦闘不能になっていた。
「けっこう威力あるな。鼻の角が痛てーぜ!」
そう言いながら角をさすっているジオグレイモンを見ながら
「本来の状態でもポケモンの技は痛いものなのですか?」
アオキが質問すると
「今の俺はポケモンのデータをいれているからそれなりのダメージを受けているが、素の状態なら、流石に究極体になればダメージはあまりないが、成長期や成熟期だと下手すれば倒せるじゃないか。完全体でもそこそこのダメージになると思うぞ」
ジオグレイモンはそう分析すると
「そう言われると安心しました。お行きなさい! オノノクス!」
「ノクス!」
次に出したのはオノノクスであった。
「オノノクス! 【ドラゴンクロー】!」
「ノクスッ!」
「此方も【ドラゴンクロー】で迎え撃て!」
「応!」
どちらも同じ技を指示し両手にエネルギーを纏わせると2体は殴り合うように切付けあった。オノノクスはもとよりジオグレイモンは2体のドラゴンタイプのポケモンのデータをインストールしているためかドラゴンタイプの技は効果抜群となりどちらの体も傷だらけとなっていた。
「ジオグレイモン! 【プラズマブレイド】!」
「ガアアァ!」
ショウがそう指示するとジオグレイモンの左腕からプラズマエネルギー放たれ、左腕のトゲがブレイド状となった。
「オノノクス! 【逆鱗】で受け止めなさい!」
「ノークス!!」
ハッサク先生は危険と判断しオノノクスにそう指示すると怒涛の攻撃を仕掛けるもジオグレイモンは、攻撃を受けながらも左腕を振り上げオノノクスを切付けるとオノノクスは膝から崩れ落ちて戦闘不能になってしまった。