神々の剣士は電脳都市で生きる   作:アイエオ

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第三十五話 支配者の末路

神々の剣士、命を数える夜

 かつて、俺たち勇者一行は、一人の魔術師を追っていた。

 

 名をグラディウス。

 

 王都の北にある小国で、何百人もの住民を操り人形に変えた男だ。

 

 そいつは、人間の自由意志を何よりも嫌っていた。

 

 人は嘘をつく。

 

 人は裏切る。

 

 人は間違える。

 

 だから、自分がすべてを決めてやるのだと。

 

 グラディウスはそう言って笑っていた。

 

 俺たちは三日かけて彼の城を攻略した。

 

 操られた兵士たちを殺さずに突破するのは、魔物の軍勢を相手にするより難しかった。剣を向けてくる相手の中には、家族の名前を叫びながら涙を流す者もいたからだ。

 

 最後にグラディウスを追い詰めたとき、俺は彼を斬ろうとした。

 

 だが、セレーネが止めた。

 

『待って、カイ。あの人に聞きたいことがあるの』

 

 彼女は魔術師の支配術式を解除した。

 

 それだけだった。

 

 たったそれだけで、グラディウスは取り乱した。

 

 解放された人々が彼を取り囲み、一人ずつ自分の名前を名乗り始めたのだ。

 

 誰も彼の命令に従わなかった。

 

 誰も彼を恐れなかった。

 

 彼が黙れと叫んでも、誰一人として口を閉じなかった。

 

 最後に、一人の老人が言った。

 

『お前は、わしらが自分で物事を決めることを恐れていたんだな』

 

 グラディウスは、その言葉を聞いて泣き叫んだ。

 

 死を宣告されたときよりも、ずっと激しく。

 

 そのとき、俺は知った。

 

 他人の自由を奪うことに執着する者は、自分が誰の意思も支配できなくなった瞬間、最も深く打ちのめされる。

 

 今夜、俺はその教訓を思い出していた。

 

 目の前にいる敵は、魔術師ではない。

 

 科学者だ。

 

 だが、やっていることは同じだった。

 

     ◇

 

 午後九時三十二分。

 

 旧ヘリックス研究施設、地下第三階層。

 

 天井の換気口から、乾いた金属音が聞こえた。

 

 カン、カン、カン。

 

 何かがダクトの内部を移動している。

 

 中央制御室の床には、先ほどの戦闘で飛び散った破片が散乱していた。壁の端末には、赤い警告が表示されている。

 

 生体試料処分シーケンス:準備中

 

 隔離区画・空調切替

 

 俺はリナを壁際へ座らせた。

 

 彼女の呼吸は安定してきたものの、義体の駆動系はまだ正常に動かない。先ほど太陽の祝福で生身の傷を癒したが、機械部分までは修復できない。

 

「リナ。歩けそうか?」

 

 彼女は左脚を動かそうとした。

 

 関節が小さく鳴り、顔が歪む。

 

「……少しなら。でも、走るのは無理」

 

「十分だ。無理はしなくていい」

 

 俺は通信機を押した。

 

「ノア。処分システムの詳細は?」

 

『空調の隔離弁が開き始めてる。薬剤の種類はまだ特定できないけど、少なくとも普通の消毒剤じゃない』

 

「止める方法は?」

 

『オスカーが調べてる。ちょっと待って』

 

 通信の向こうで、何かを叩く音がした。

 

 オスカーの声が割り込む。

 

『カイ、聞こえるか。地下三階の空調は独立系統だ。処分用の薬剤は専用タンクから供給される』

 

「つまり、そのタンクを止めればいい?」

 

『そうだが、問題がある。遠隔操作できる弁はヴォス側に握られている。俺たちのいる地下第一階層からでは届かない』

 

 俺は室内を見渡した。

 

「この制御室からは?」

 

『端末の権限が足りない。ただし、物理的な緊急遮断弁があるはずだ』

 

「場所は?」

 

『施設の古い図面だと、中央試験室の西側。薬剤供給用の保守室だ』

 

 中央試験室。

 

 そこには、救出した被験者たちがいる。

 

 マーカスとガレスも。

 

 そして、あの少女も。

 

「残り時間は?」

 

 ノアが答えた。

 

『薬剤の供給開始まで、推定四分弱』

 

 俺は腕時計を見た。

 

 午後九時三十三分。

 

 四分。

 

 十二人以上の負傷者を運び出すには短すぎる。

 

 なら、供給そのものを止めるしかない。

 

「マーカス、聞こえるか?」

 

『ああ。こっちは大変なことになってるぞ』

 

「西側に薬剤供給用の保守室がある。そこへ向かいたい」

 

『西側? 待て、今は隔壁が下りてる。俺たちのいる場所からは行けねえ』

 

 俺は目を閉じ、頭の中で施設の構造を組み立てた。

 

 中央制御室は試験室の二階部分。

 

 西側の保守室は一階。

 

 その間には、閉鎖された防火隔壁がある。

 

 ……だったら。

 

「制御室から保守用の通路は?」

 

『あるはずだ』

 

 オスカーが答えた。

 

『北西の壁に点検扉がないか? 昔の設計なら、空調設備へ直接降りる梯子がある』

 

 俺は振り返った。

 

 壁際に、灰色の扉がある。

 

 小さな文字で「AUTHORIZED MAINTENANCE ONLY」と書かれていた。

 

「見つけた」

 

『そこだ。扉の先は狭い。剣を振り回すなよ』

 

「了解」

 

 俺はリナへ手を差し出した。

 

「ここから出る。肩を貸すよ」

 

 彼女は一瞬、戸惑った。

 

「私も行くの?」

 

「置いていくわけないだろ」

 

「でも、私は……」

 

 リナは自分の手を見た。

 

 細い指。

 

 人工皮膚の下に走る接続線。

 

「さっきまで、あなたを殺そうとしていた」

 

「俺を捕まえようとしてたんだろ。命令で」

 

「それでも、私の身体がやったことよ」

 

 その声には、深い疲労が滲んでいた。

 

 俺は少し考えた。

 

「じゃあ、これから何をするかは、自分で決めてくれ」

 

 リナが顔を上げた。

 

「……自分で?」

 

「ああ。俺は保守室へ行く。君はここで休んでもいいし、俺と来てもいい」

 

 彼女はしばらく黙っていた。

 

 やがて、俺の手を取った。

 

「行くわ」

 

 その瞳には、もう赤い光はない。

 

「今度は、私が決めたことだから」

 

 俺は彼女を支えて立ち上がった。

 

「分かった。行こう」

 

     ◇

 

 点検扉の先は、幅一メートルほどの狭い通路だった。

 

 頭上には配管が密集し、床には金属製の格子が敷かれている。

 

 下の階から、機械の唸りが響いていた。

 

 俺は剣を鞘に収め、リナの身体を支えながら進んだ。

 

 彼女は歩くたびに苦しそうに顔をしかめる。

 

「無理するな。背負おうか?」

 

「平気よ。これでも、昔は体力に自信があったの」

 

「近接戦闘の教官だったんだって?」

 

 リナは驚いた顔をした。

 

「知ってるの?」

 

「仲間が記録を見つけた」

 

「……そう」

 

 彼女は視線を落とした。

 

「昔は企業の警備員を訓練していた。剣も、銃も、素手での戦い方も教えていたわ」

 

「どうしてここへ?」

 

 リナの足が止まった。

 

 少しの沈黙。

 

「契約を更新しなかったの」

 

「契約?」

 

「会社を辞めようとした。ある仕事で、民間人が巻き込まれるのを見て……もう続けたくなくなった」

 

 彼女は唇を噛んだ。

 

「退職手続きの途中で、呼び出されたの。新しい医療技術の適性検査だって」

 

 俺は何も言えなかった。

 

 リナは続けた。

 

「目が覚めたら、ここにいた」

 

 彼女の指が、俺の腕を強く掴んだ。

 

「最初は、身体を動かせなかった。声も出なかった。でも、全部聞こえていたの」

 

 配管の向こうから、送風機の回転音が響く。

 

「博士は私のことを、成功例だって言った。何を命令しても従うからって」

 

 リナは笑おうとした。

 

 だが、うまくいかなかった。

 

「本当は、ずっと嫌だったのに」

 

 俺は足を止めた。

 

「リナ」

 

「何?」

 

「ここから出たら、もう誰の命令にも従わなくていい」

 

 彼女は俺を見た。

 

「もちろん、誰かと約束したり、仕事をしたりすることはあるだろうけどさ」

 

 俺は少し笑った。

 

「嫌なことには、嫌だって言っていいんだ」

 

 リナは目を伏せた。

 

 そして、静かに答えた。

 

「……覚えておくわ」

 

     ◇

 

 午後九時三十五分。

 

 薬剤供給開始まで、推定二分。

 

 俺たちは梯子を降り、保守用の小部屋へ入った。

 

 壁には三本の太い配管が走っている。

 

 それぞれに赤、黄、青の識別帯。

 

 中央には大型の弁が取り付けられていた。

 

「オスカー、到着した!」

 

『よし。配管を確認してくれ。赤い識別帯があるか?』

 

「ある。三本のうち一番太い」

 

『それが処分薬剤の供給ラインだ。手動遮断弁は?』

 

 俺は赤い配管を目で追った。

 

 壁際に、大きな円形のハンドルがある。

 

 だが、その周囲には分厚い保護枠が取り付けられていた。

 

「見つけた。けど、封印されてる」

 

『緊急時の誤操作防止だろう。外側の保護枠なら外して構わない。ただし、配管本体は傷つけるな』

 

「了解」

 

 俺はリナを壁際へ座らせた。

 

 そして、剣を抜く。

 

 保護枠を固定するボルトは四本。

 

 刃を差し込める隙間もある。

 

 俺は呼吸を整え、最初の固定部を斬った。

 

 ――キンッ。

 

 金属片が床へ落ちる。

 

 二つ目。

 

 三つ目。

 

 四つ目。

 

 最後の固定部を外すと、保護枠が傾いた。

 

 俺は片手で支え、静かに床へ置いた。

 

「外れた!」

 

『よし。ハンドルを時計回りに回せ!』

 

 俺は剣を収め、ハンドルを掴んだ。

 

 ……重い。

 

 長い間、動かされていなかったのだろう。

 

 錆びついたように固い。

 

 俺は両手に力を込めた。

 

 ――ギギギッ。

 

 僅かに動く。

 

 さらに力を込める。

 

 ――ガコンッ!

 

 ハンドルが回り始めた。

 

 俺は息を吐きながら、最後まで回した。

 

 ――ゴンッ。

 

 弁が閉じる。

 

 同時に、壁の表示灯が緑から赤へ切り替わった。

 

 CHEMICAL SUPPLY:CLOSED

 

「閉じた!」

 

 通信機の向こうで、ノアが息を呑む音がした。

 

『確認する……』

 

 数秒。

 

『薬剤供給圧が下がってる!』

 

 俺は壁にもたれた。

 

 ……よかった。

 

 だが、オスカーの声が続いた。

 

『まだ安心するな。供給ラインを閉じても、配管内に残留している薬剤がある』

 

「どうすればいい?」

 

『排気側の遮断弁も閉じる必要がある。黄色の配管だ』

 

 俺は振り返った。

 

 黄色の配管。

 

 その先にもハンドルがある。

 

 だが、そこには保護枠がない。

 

「見つけた!」

 

 俺は駆け寄り、ハンドルを回した。

 

 ――ギギッ。

 

 今度は比較的軽い。

 

 数回転させると、表示灯が切り替わった。

 

 DISPOSAL AIRFLOW:ISOLATED

 

 直後、頭上の送風機が停止した。

 

 静寂。

 

 耳の奥に残っていた低い唸りが消えた。

 

『カイ!』

 

 ノアの声が弾んだ。

 

『処分シーケンスが停止した! 地下三階への薬剤流入は確認されてない!』

 

 俺は大きく息を吐いた。

 

「……間に合った」

 

 リナが壁際で笑った。

 

「あなた、本当に無茶をするのね」

 

「よく言われる」

 

「でしょうね」

 

 彼女は小さく笑った。

 

 その笑顔を見て、俺はようやく肩の力を抜いた。

 

 ……これで、ひとまず。

 

 みんなを守れた。

 

 そう思った。

 

 だが、次の瞬間。

 

 通信機からマーカスの声が響いた。

 

『カイ! まだ終わってねえ!』

 

 俺は顔を上げた。

 

「何があった!?」

 

『中央試験室の隔壁が閉じたままだ! 医療班が入れねえ!』

 

 ……そうだった。

 

 処分システムを止めても、封鎖は解除されていない。

 

 俺は額の汗を拭った。

 

「ノア、隔壁は?」

 

『非常封鎖の管理系が独立してる。ヴォスが管理権限を保持してるみたい』

 

「つまり、あいつを捕まえないと開かない?」

 

『物理的な解除装置もあるけど、場所は博士の管理区画。しかも、施設全体の封鎖命令を取り消すには管理者の認証が必要』

 

 俺は目を閉じた。

 

 ……なるほど。

 

 ようやく、行き先が決まった。

 

「ヴォスはどこにいる?」

 

 ノアが答えた。

 

『地下三階の北端。中央研究管理室。監視映像では、まだそこにいる』

 

 俺は剣の柄に触れた。

 

「分かった」

 

 リナが顔を上げた。

 

「博士のところへ行くの?」

 

「ああ」

 

 彼女は少し考えた。

 

「なら、私も連れていって」

 

「危険だぞ」

 

「知ってる」

 

 リナはまっすぐ俺を見た。

 

「でも、あの男に言いたいことがあるの」

 

 俺は彼女の表情を見つめた。

 

 そこにあるのは、復讐心だけではなかった。

 

 恐怖もある。

 

 怒りもある。

 

 だが、それ以上に。

 

 自分の意思で立ち上がろうとする強さがあった。

 

「……分かった」

 

 俺は手を差し出した。

 

「一緒に行こう」

 

     ◇

 

 午後九時四十二分。

 

 中央研究管理区画へ続く通路。

 

 俺たちは狭い保守用の廊下を進んでいた。

 

 リナの歩みは遅い。

 

 俺自身も、相当消耗している。

 

 右肩は痛み続けているし、脇腹の傷も完全には塞がっていない。

 

 太陽の祝福を何度も使ったせいで、頭の奥に鈍い疲労が残っていた。

 

 ……さすがに、今日は働きすぎだな。

 

 そう思ったとき、通信機からヴィクターの声が聞こえた。

 

『カイ』

 

「ヴィクター?」

 

『状況は聞いてる。よくやった』

 

「まだ終わってないよ」

 

『ああ。だから、次の話だ』

 

 俺は足を止めた。

 

『医療班は地下二階の入口まで来てる。レオンは保護した。意識はあるが、歩けない状態だ』

 

「よかった」

 

『地下三階への搬出経路はオスカーが確保中だ。大型の設備用昇降機が使える可能性がある』

 

「エリックも運べる?」

 

『重量次第だが、可能性はある。ガレスにはそう伝えた』

 

 俺は胸を撫で下ろした。

 

「ありがとう」

 

『礼は後だ。それと、気になることがある』

 

「何?」

 

『ヴォスがまだ逃げていない』

 

 俺は眉を寄せた。

 

「……確かに」

 

『研究成果を失い、施設の処分システムまで止められた。普通なら、もう逃走を考える』

 

 俺は通路の先を見た。

 

「何か隠してるってこと?」

 

『その可能性が高い。気をつけろ』

 

「分かった」

 

 通信が切れた。

 

 リナが俺を見た。

 

「博士は、逃げないと思う」

 

「どうして?」

 

「あの人は、自分が負けるなんて考えないから」

 

 彼女は苦い表情を浮かべた。

 

「私たちのことも、最後まで自分の所有物だと思ってる」

 

 俺は静かに息を吐いた。

 

 ……そうか。

 

 だったら。

 

 あいつには、理解してもらう必要があるな。

 

 人間は、誰かの所有物じゃない。

 

 そして、どれほど優れた技術を持っていても。

 

 他人の人生を、勝手に決めていい理由にはならない。

 

     ◇

 

 中央研究管理室。

 

 ドクター・エイドリアン・ヴォスは、端末に表示された警告を見つめていた。

 

 DISPOSAL SEQUENCE:ABORTED

 

 CENTRAL NEURAL CONTROL:OFFLINE

 

 CHM-013:INDEPENDENT CONTROL LOST

 

 画面には、赤い文字が並んでいる。

 

 研究員の一人が、震える声で報告した。

 

「博士……処分システムが停止しました」

 

「見れば分かる」

 

 ヴォスは静かに答えた。

 

「非常封鎖は?」

 

「継続中です。しかし、中央試験室の被験者たちは、すでに制御から解放されています」

 

 ヴォスは眼鏡を押し上げた。

 

「……そうか」

 

 その表情には、怒りよりも困惑が浮かんでいた。

 

 自分の設計したシステムが、次々と突破されている。

 

 それが理解できないのだ。

 

「カイという少年は、いったい何者なんだ……」

 

 ヴォスは呟いた。

 

 神経制御に依存しない戦闘能力。

 

 常識外れの治癒。

 

 未知の材質で作られた剣。

 

 そして、何よりも。

 

 被験者を殺さずに無力化し続ける技術。

 

 彼にとって、それらはすべて研究対象だった。

 

 だが、一つだけ理解できないことがある。

 

 なぜ、あの少年はそこまで他人のために戦うのか。

 

 報酬でもない。

 

 契約でもない。

 

 利益でもない。

 

 ただ、助けたいから。

 

 そんな理由で、自分の命を危険に晒す。

 

 ヴォスはそれを、非合理的だと考えていた。

 

 そのとき、端末が鳴った。

 

 ――ピッ。

 

 新しい映像が表示される。

 

 保守用通路。

 

 黒髪の少年。

 

 そして、その隣を歩く女。

 

 ヴォスは目を見開いた。

 

「……十三号?」

 

 映像の中で、リナが顔を上げた。

 

 監視カメラを見つめる。

 

 その瞳に、赤い光はない。

 

 ヴォスは思わず立ち上がった。

 

「なぜ……」

 

 彼女は、すでに制御から解放されている。

 

 それは分かっていた。

 

 だが。

 

 自分の意思で、カイと共に歩いている。

 

 その光景が、ヴォスには理解できなかった。

 

「十三号……」

 

 男は端末へ手を伸ばした。

 

 そして、命令を送信する。

 

 CHM-013:RETURN TO LABORATORY

 

 画面に表示されたのは、短いエラーメッセージだった。

 

 CONNECTION FAILED

 

 ヴォスはもう一度、命令を送った。

 

 CONNECTION FAILED

 

 さらにもう一度。

 

 CONNECTION FAILED

 

 ヴォスの指が止まった。

 

「……馬鹿な」

 

 そのとき。

 

 管理室の外で、金属音が響いた。

 

 ――キンッ。

 

 続いて、重い扉が軋む。

 

 ヴォスは顔を上げた。

 

 そして。

 

 ――ガァンッ!

 

 管理室の扉が、内側へ倒れ込んだ。

 

     ◇

 

 俺は剣を構えたまま、管理室へ足を踏み入れた。

 

 広い部屋だった。

 

 壁一面に監視画面が並び、中央には大型の端末が設置されている。

 

 その奥に、一人の男が立っていた。

 

 痩せた身体。

 

 白衣。

 

 眼鏡。

 

 五十歳ほどの顔立ち。

 

 ドクター・エイドリアン・ヴォス。

 

 俺たちを監視し、被験者たちを操り、何度も殺そうとした男。

 

 ようやく、顔を合わせた。

 

「……君が、カイか」

 

 ヴォスは俺を見た。

 

 その視線には、恐怖よりも好奇心があった。

 

「直接会うのは初めてだね」

 

「そうだな」

 

 俺は一歩進んだ。

 

「ずいぶん遠回りさせられたよ」

 

 ヴォスは笑った。

 

「君の能力には、非常に興味がある。あの治癒現象は、どのような原理で――」

 

「研究の話をしに来たんじゃない」

 

 俺は遮った。

 

 ヴォスの笑みが僅かに消えた。

 

「施設の封鎖を解除しろ」

 

「それはできない」

 

「なぜ?」

 

「研究資産の保護が優先されるからだ」

 

 俺はしばらく黙った。

 

 そして、静かに尋ねた。

 

「研究資産って、誰のことだ?」

 

 ヴォスは答えた。

 

「もちろん、被験者たちだよ」

 

 その瞬間。

 

 俺の隣で、リナが息を呑んだ。

 

 彼女の手が震えている。

 

 俺は剣を下ろした。

 

「リナ」

 

 彼女が俺を見た。

 

「話していいよ」

 

 リナは戸惑った。

 

「……いいの?」

 

「君が決めていい」

 

 彼女はゆっくりと前へ出た。

 

 ヴォスが眉を寄せる。

 

「十三号。元の収容区画へ戻りたまえ」

 

 リナの肩が跳ねた。

 

 長い間、身体に刻み込まれてきた命令。

 

 反射的に従いそうになる。

 

 だが、彼女は立ち止まった。

 

 そして、顔を上げた。

 

「……嫌です」

 

 ヴォスが目を見開いた。

 

「何?」

 

「戻りません」

 

 リナの声は震えていた。

 

 だが、言葉ははっきりしていた。

 

「私の名前は、リナです」

 

 ヴォスは無言だった。

 

「十三号じゃありません」

 

 彼女は一歩進んだ。

 

「私は、あなたのものじゃない」

 

 管理室に、静寂が落ちた。

 

 ヴォスはリナを見つめた。

 

 その顔に、初めて明確な苛立ちが浮かんだ。

 

「……君は、神経制御の後遺症で判断力が低下している」

 

「違います」

 

「今は冷静ではない。適切な処置を受ければ――」

 

「違う!」

 

 リナの声が響いた。

 

 彼女は拳を握りしめた。

 

「私は、ずっと嫌だった!」

 

 その瞳から涙が流れる。

 

「あなたの命令で、人を傷つけるのも! 自分の身体が勝手に動くのも! 何もできずに、ただ見ていることしかできないのも!」

 

 ヴォスは何も言わなかった。

 

「もう、あなたの命令には従わない」

 

 リナは涙を拭った。

 

「二度と」

 

 俺は彼女の横に立った。

 

 ヴォスを見た。

 

「聞こえたか?」

 

 男は唇を引き結んだ。

 

「……君が、彼女をそう仕向けたのか」

 

 俺は首を横に振った。

 

「違う」

 

「では、なぜ――」

 

「彼女が自分で決めたんだ」

 

 ヴォスの表情が歪んだ。

 

 俺は続けた。

 

「それが、あんたに一番分からないことなんだろうな」

 

     ◇

 

 ヴォスは突然、机の下へ手を伸ばした。

 

 俺はその動きを見逃さなかった。

 

 ――カチッ。

 

 小さな音。

 

 男の手には、黒い拳銃が握られていた。

 

「動くな!」

 

 ヴォスが叫んだ。

 

 銃口がリナへ向く。

 

 俺は一歩踏み出した。

 

「やめろ」

 

「近づくな!」

 

 ヴォスの声は上ずっていた。

 

「君たちは、何も分かっていない! この研究が完成すれば、戦争のあり方が変わる! 人間の不確実性を排除できるんだ!」

 

 俺は男を見た。

 

「不確実性?」

 

「恐怖も、迷いも、裏切りもない兵士を作れる! 命令に絶対服従する、完璧な――」

 

「それは兵士じゃない」

 

 俺は言った。

 

「奴隷だ」

 

 ヴォスの顔が引きつった。

 

「黙れ!」

 

 引き金にかかった指が動く。

 

 俺は床を蹴った。

 

 距離は五メートルほど。

 

 ヴォスが引き金を引くより早く、俺は男の懐へ踏み込んだ。

 

 右手首を掴み、銃口を天井へ逸らす。

 

 ――パンッ!

 

 銃声。

 

 弾丸が天井へ突き刺さった。

 

 俺は男の手首を捻り、拳銃を取り上げた。

 

 そして、足を払う。

 

 ――ドンッ!

 

 ヴォスが床へ倒れた。

 

「ぐあっ!」

 

 俺は剣を抜き、男の喉元へ刃を突きつけた。

 

 冷たい金属が、白衣の襟に触れる。

 

 ヴォスの顔が青ざめた。

 

「……ま、待て」

 

 俺は何も言わなかった。

 

「君は、人を殺さないのだろう?」

 

 俺は男を見下ろした。

 

「必要なら殺すよ」

 

 ヴォスの喉が動いた。

 

「ただ、今はその必要がない」

 

 俺は剣を引いた。

 

 そして、ヴォスの両手を背中側へ回し、研究室にあった拘束具で固定した。

 

 男は抵抗しようとしたが、無駄だった。

 

「何をする! 私はこの研究施設の責任者だぞ!」

 

「知ってる」

 

「私を拘束する権限など――」

 

「権限?」

 

 俺は男の言葉を遮った。

 

「それを、あんたが言うのか?」

 

 ヴォスは黙った。

 

 俺は通信機を押した。

 

「ノア。ヴォスを確保した」

 

『……本当!?』

 

「ああ。生きてる。管理者認証が必要なんだろ?」

 

『そう! 封鎖解除の承認を取って!』

 

 俺はヴォスへ顔を向けた。

 

「施設の封鎖を解除してくれ」

 

 男は唇を引き結んだ。

 

「断る」

 

 俺は少し考えた。

 

「そうか」

 

 そして、通信機へ声をかけた。

 

「ノア。本人が協力しない場合は?」

 

『管理者の生体認証と、端末の操作権限が必要。本人が拒否しても、認証手順を確認できれば……』

 

「分かった。端末はどれ?」

 

『中央の大型端末!』

 

 俺はヴォスを立たせた。

 

 男は抵抗した。

 

「やめろ! 君は何をするつもりだ!」

 

「封鎖を解除する」

 

「それは私の権限だ!」

 

「なら、使わせてもらう」

 

 俺は男を端末の前へ連れていった。

 

 ヴォスの手を認証装置へ近づける。

 

 画面に表示が現れた。

 

 ADMINISTRATOR IDENTIFIED

 

 DR. ADRIAN VOSS

 

 ノアが通信機越しに操作を進める。

 

『認証確認! 管理者セッションを確保した!』

 

 ヴォスが目を見開いた。

 

「……何?」

 

『封鎖解除命令を送信!』

 

 端末の表示が切り替わる。

 

 EMERGENCY LOCKDOWN:RELEASED

 

 数秒後。

 

 施設の奥から、重い金属音が響いた。

 

 ――ガコンッ。

 

 ――ガコンッ。

 

 隔壁が、次々と開いていく。

 

 通信機からマーカスの声が聞こえた。

 

『カイ! 隔壁が開いたぞ!』

 

 俺は大きく息を吐いた。

 

「よかった」

 

『医療班を入れる! こっちは任せろ!』

 

「頼む!」

 

 通信が切れた。

 

 俺はヴォスを見た。

 

 男は端末を凝視していた。

 

「……私の権限が……」

 

 その声には、信じられないという響きがあった。

 

 俺は静かに答えた。

 

「もう、あんたの命令で人を閉じ込めることはできない」

 

 ヴォスは顔を上げた。

 

 その目には、怒りが宿っていた。

 

「……君は、何をしたか分かっているのか?」

 

「ああ」

 

 俺は答えた。

 

「人を助けた」

 

     ◇

 

 午後九時五十一分。

 

 中央研究管理室。

 

 ヴォスは拘束されたまま、椅子に座らされていた。

 

 ノアは遠隔で端末の記録を複製している。

 

 実験記録。

 

 被験者名簿。

 

 神経制御の設計図。

 

 薬剤処分システムの起動履歴。

 

 そして、研究資金の流れ。

 

 すべてが重要な証拠になる。

 

 俺は端末の横に立ち、画面を見つめていた。

 

 そこには、CHM-014の記録が表示されている。

 

 あの小さな少女。

 

 まだ十歳ほどの子供。

 

 名前の欄には、何も書かれていなかった。

 

 ……名前さえ、残していないのか。

 

 俺は拳を握った。

 

 ヴォスが口を開いた。

 

「……君は、私をどうするつもりだ?」

 

 俺は振り返った。

 

「どうすると思う?」

 

「殺すのか?」

 

「さあ」

 

 俺は男を見た。

 

「少なくとも、今ここで斬るつもりはない」

 

 ヴォスは僅かに安堵したようだった。

 

 だが、俺は続けた。

 

「その前に、あんたがやったことを、みんなに知ってもらう」

 

 男の表情が変わった。

 

「……何?」

 

「研究記録を残す。被験者たちの証言も聞く。そして、あんたが何をしたのか、全部明らかにする」

 

 ヴォスは鼻で笑った。

 

「証言? 彼らは神経制御の影響を受けている。記憶も曖昧だろう。信用できるものか」

 

 俺は首を横に振った。

 

「一人の証言だけじゃない」

 

 端末を指差した。

 

「記録がある。映像もある。あんた自身が残したデータもある」

 

 ヴォスの顔が強張った。

 

 俺は続けた。

 

「そして何より、彼らはもう、自分で話せる」

 

 そのとき、リナが一歩前へ出た。

 

 彼女はまだふらついていたが、まっすぐ立っていた。

 

「博士」

 

 ヴォスが顔を上げた。

 

「十三号――」

 

「リナです」

 

 彼女は静かに訂正した。

 

 ヴォスは唇を噛んだ。

 

「……リナ」

 

「私は、あなたを許しません」

 

 その声は、落ち着いていた。

 

「でも、あなたに命令されて人を傷つけたことも、忘れたくありません」

 

 ヴォスは何も言わなかった。

 

「これからは、自分の意思で生きます」

 

 リナは続けた。

 

「そのために、あなたが何をしたのか、全部話します」

 

 ヴォスの顔が歪んだ。

 

「……君は、私の研究成果だ」

 

 リナは首を横に振った。

 

「違います」

 

 そして、はっきりと言った。

 

「私は、人間です」

 

 俺は彼女の横に立った。

 

 そのとき、通信機からノアの声が響いた。

 

『カイ、証拠の複製が進んでる。ヴィクターにも一部を送った』

 

「ありがとう」

 

『それと……気になる記録がある』

 

 俺は眉を寄せた。

 

「何?」

 

『研究資金の送金元。何重にも隠されてるけど、ヘリックスの内部資金だけじゃない』

 

「外部のスポンサー?」

 

『そう。しかも、ヴォス本人より上位の承認権限が存在する』

 

 俺はヴォスを見た。

 

 男は目を逸らした。

 

 ……なるほど。

 

 やっぱり、こいつ一人でやっていたわけじゃないのか。

 

「ノア、その記録も保存してくれ」

 

『もちろん』

 

 俺は通信を切った。

 

 そして、ヴォスへ顔を向けた。

 

「まだ、話してもらうことがありそうだな」

 

 ヴォスは黙っていた。

 

 だが、その額には汗が浮かんでいた。

 

     ◇

 

 午後十時六分。

 

 中央試験室。

 

 俺はヴォスを拘束したまま、リナと一緒に階下へ戻った。

 

 隔壁は開いている。

 

 医療班が入り、負傷した被験者たちの搬送が始まっていた。

 

 白い担架。

 

 携帯型の生命維持装置。

 

 医療用の義体接続機器。

 

 現場は慌ただしかった。

 

 だが、先ほどまでの銃声や悲鳴は聞こえない。

 

 代わりに、医療班の声が響いていた。

 

「こちらの患者、血圧が低下しています!」

 

「神経接続は切るな! 安定化を優先!」

 

「担架をもう一台!」

 

 俺はその光景を見て、胸を撫で下ろした。

 

 ……間に合った。

 

 全員を救えたかどうかは、まだ分からない。

 

 だが、少なくとも。

 

 今ここにいる人たちは、生きている。

 

 マーカスが近づいてきた。

 

「カイ!」

 

「マーカス。みんなは?」

 

「搬送中だ。重傷者は多いが、医療班が対応してる」

 

「少女は?」

 

「あそこだ」

 

 マーカスが指差した。

 

 壁際の担架。

 

 そこに、あの小さな少女が座っていた。

 

 彼女は毛布に包まれ、医療班の女性と話している。

 

 俺に気づくと、顔を上げた。

 

「……おにいちゃん!」

 

 俺は少し笑った。

 

「元気そうだな」

 

 少女は小さく頷いた。

 

 そして、俺の背後にいるヴォスを見た。

 

 その瞬間。

 

 顔が強張った。

 

 身体が震える。

 

 俺はすぐに、少女の前へ立った。

 

「大丈夫」

 

 彼女の視線を遮る。

 

「もう、あの人の命令には従わなくていい」

 

 少女は俺を見上げた。

 

「……ほんとう?」

 

「ああ」

 

 俺は答えた。

 

「君は自由だ」

 

 少女の目から、涙が溢れた。

 

 そして、毛布を握りしめながら、小さく言った。

 

「……わたし……」

 

 俺は膝をついた。

 

「ん?」

 

「……わたし、ミオっていうの」

 

 俺は息を呑んだ。

 

 ……ミオ。

 

 初めて聞く名前だった。

 

 だが、何よりも。

 

 彼女が自分の名前を教えてくれたことが嬉しかった。

 

「ミオか」

 

 俺は笑った。

 

「いい名前だな」

 

 少女は涙を拭った。

 

「……うん」

 

 俺は彼女の頭を優しく撫でた。

 

「よろしく、ミオ」

 

     ◇

 

 そのとき。

 

 背後で、ガレスの声が響いた。

 

「……おい、ヴォス」

 

 俺は振り返った。

 

 ガレスが立っていた。

 

 左肩には応急処置が施されている。

 

 だが、その顔には怒りが浮かんでいた。

 

 男はヴォスへ近づいた。

 

「……エリックを、あんな身体にしたのはお前か?」

 

 ヴォスは答えなかった。

 

 ガレスの拳が震える。

 

「……答えろ」

 

 俺は一歩近づいた。

 

「ガレス」

 

「……分かってる」

 

 男は低く言った。

 

「今ここで殺したら、何も聞けねえ」

 

 そして、ヴォスを睨んだ。

 

「……だが、絶対に忘れねえからな」

 

 ヴォスは目を逸らした。

 

 ガレスは拳を下ろした。

 

 俺はその横顔を見た。

 

 ……こいつも、変わり始めてるのかもしれない。

 

 もちろん、過去にやったことが消えるわけじゃない。

 

 医療品を奪おうとしたことも。

 

 俺たちを襲ったことも。

 

 リクとミナの周囲を探らせたことも。

 

 全部、事実だ。

 

 だが、今は。

 

 自分の部下を助けようとしている。

 

 その気持ちまで、否定するつもりはなかった。

 

     ◇

 

 午後十時十八分。

 

 地下第三階層、中央試験室。

 

 医療班による搬送は続いていた。

 

 エリックの巨大義体も、設備用昇降機へ移される準備が進んでいる。

 

 ガレスはその作業を見守っていた。

 

 リナは医療班の診察を受けている。

 

 ミオは毛布に包まれたまま、担架で運ばれていった。

 

 俺は壁際に座り、ようやく息を吐いた。

 

 ……疲れた。

 

 身体のあちこちが痛む。

 

 頭も重い。

 

 太陽の祝福を何度も使ったせいで、精神的な疲労が大きい。

 

 それでも。

 

 誰かの泣き声ではなく、医療班の声が聞こえる。

 

 それが、今は何よりありがたかった。

 

 通信機が鳴った。

 

『カイ』

 

 ヴィクターだった。

 

「どうした?」

 

『ヴォスの身柄は確保した。証拠もかなり集まってる』

 

「よかった」

 

『ただし、問題がある』

 

 俺は顔を上げた。

 

「……何?」

 

『ヘリックスの外部スポンサー。ノアが送金記録を追っているが、相当な大物が関わっている可能性がある』

 

 俺は黙った。

 

『ヴォスを捕まえたことで、相手も動くだろう』

 

 俺は天井を見上げた。

 

 白い照明。

 

 冷たい空気。

 

 そして、遠くから聞こえる搬送車の駆動音。

 

 ……そうか。

 

 まだ終わりじゃないんだな。

 

「ヴィクター」

 

『何だ?』

 

「リクとミナは?」

 

『無事だ。シルヴァもいる。今のところ、隠れ家に異常はない』

 

 俺はようやく笑った。

 

「……よかった」

 

『帰ってこい、カイ。あの二人も待ってる』

 

 俺は立ち上がった。

 

「分かった」

 

 剣を鞘へ収める。

 

 そして、最後に中央試験室を見渡した。

 

 ここで、多くの人が苦しんだ。

 

 自由を奪われ。

 

 名前を奪われ。

 

 身体さえ、勝手に作り替えられた。

 

 だが、今夜。

 

 少なくとも、その鎖の一つは断ち切れた。

 

 俺は胸元の護符に触れた。

 

 ……セレーネ。

 

 君がここにいたら、きっと言うだろう。

 

『まだ全部終わってないんだから、気を抜かないで』

 

 ……ああ。

 

 分かってるよ。

 

 俺は小さく笑った。

 

 そして、歩き出した。

 

 まだ、助けなければならない人がいる。

 

 まだ、知らなければならないことがある。

 

 そして。

 

 俺には、帰る場所がある。

 

 ナイトシティの夜は、まだ終わらない。

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