神々の剣士は電脳都市で生きる   作:アイエオ

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第九話 銃弾の雨と神々の剣

神々の剣士、ナイトシティの洗礼を受ける

 銃声が鳴り止まない。

 

 乾いた破裂音が連続して響き、そのたびに輸送車両の装甲が激しく震えた。

 

 窓の外では、先ほどの爆発によって黒煙が立ち上っている。

 

 焦げたゴムの臭い。

 

 焼けた金属の臭い。

 

 そして、鼻の奥に残る火薬の臭い。

 

 元の世界で何度も戦場を経験してきた俺にとって、決して馴染みのない状況ではなかった。

 

 ただし、今回は勝手が違う。

 

「クソッ! 完全に道を塞がれた!」

 

 運転席から怒声が響いた。

 

 マーカスが窓の外を確認しながら舌打ちする。

 

「前方にバリケード! 後ろにも車が来やがった!」

 

「……挟み撃ちか」

 

 俺は呟いた。

 

 どうやら、相手は最初からこちらを逃がすつもりがないらしい。

 

 前方には故障車を装った車両。

 

 後方には新たに現れた二台の車。

 

 さらに、道路の左右にある建物には武装した人間が配置されている。

 

 少なくとも、七人。

 

 いや、もっといるかもしれない。

 

 この状況で正面から撃ち合えば、こちらが不利なのは明らかだった。

 

 こちらの人数は四人。

 

 しかも、運転手を除けば戦闘要員は三人だけだ。

 

「……マーカス」

 

「何だ!」

 

「積み荷を運ぶのが目的なんだよな?」

 

「当たり前だろ!」

 

「だったら、ここで敵を全滅させる必要はない」

 

 マーカスがこちらを見た。

 

「……何?」

 

「道を開ければいい」

 

 俺は静かに答えた。

 

 マーカスは一瞬、言葉を失った。

 

 そして。

 

「……簡単に言ってくれるぜ」

 

 苦笑した。

 

「前には車が二台、後ろにも二台。おまけに周囲は銃を持った連中だらけだぞ?」

 

「分かってる」

 

 俺は頷いた。

 

「だから、まずは前を塞いでる車を何とかする」

 

「……どうやって?」

 

 俺は少し考えた。

 

 そして、背負っていたケースを開いた。

 

 中から取り出したのは、一振りの長剣。

 

 鍛冶と炎の神が鍛えた、神造の武器。

 

 元の世界で幾度となく俺の命を救い、邪神との戦いでも最後まで折れなかった剣だ。

 

 俺はそれを鞘ごと手に取った。

 

「……これを使う」

 

 マーカスが絶句した。

 

 レナも目を丸くする。

 

「……ちょっと待って」

 

 彼女が言った。

 

「まさか、剣で車を斬るつもり?」

 

「……できなくはないと思う」

 

「できなくはない!?」

 

 レナが叫んだ。

 

 俺は肩をすくめた。

 

「元の世界では、もっと硬いものを斬ったこともあるからな」

 

「……元の世界?」

 

「……いや、こっちの話だ」

 

 危ない。

 

 つい口が滑った。

 

 レナは怪訝そうな顔をしていたが、今は追及する余裕がないらしい。

 

 再び銃声が響いた。

 

 車体が揺れる。

 

「……おい!」

 

 マーカスが怒鳴った。

 

「話してる暇はねえ! どうするんだ!」

 

 俺は剣の柄を握った。

 

「……少しだけ、時間を稼いでくれ」

 

 マーカスが俺を見た。

 

「……何する気だ?」

 

「道を作る」

 

 俺は静かに答えた。

 

     ◇

 

 まず、敵の位置を確認する。

 

 前方のバリケード付近に四人。

 

 右側の建物の陰に二人。

 

 後方の車両付近に三人。

 

 さらに、左側の高所にも一人。

 

 合計十人。

 

 少なくとも、目視できる範囲ではそれだけいた。

 

 ……厄介だな。

 

 元の世界であれば、弓兵や魔術師が配置されているようなものだ。

 

 だが、銃は弓よりも遥かに速い。

 

 しかも、連続して撃てる。

 

 いくら俺でも、十人から同時に撃たれれば無傷では済まない。

 

 俺は窓の外を見た。

 

 敵の射線。

 

 建物の配置。

 

 車両の位置。

 

 そして、煙の流れ。

 

 頭の中で、動きを組み立てる。

 

「……レナ」

 

「何?」

 

「右側の二人を牽制できるか?」

 

 レナが窓の外を確認した。

 

「……できるけど、どうするの?」

 

「俺が前に出る。その間、右側から撃たれないようにしてほしい」

 

 レナは目を見開いた。

 

「……あんた、外に出るつもり?」

 

「ああ」

 

「正気!?」

 

「多分な」

 

「多分って!」

 

 俺は苦笑した。

 

 だが、すぐに真剣な顔になる。

 

「……頼めるか?」

 

 レナは俺を見つめた。

 

 そして、短く息を吐いた。

 

「……分かった」

 

 銃を構える。

 

「でも、死んでも知らないからね」

 

「気をつけるよ」

 

 俺は頷いた。

 

 次に、マーカスを見る。

 

「前方の敵を抑えてくれ」

 

「……お前、本当にやる気か?」

 

「ああ」

 

 俺は答えた。

 

「車を動かせる状態にしておいてくれ。道が開いたら、すぐに出発する」

 

 マーカスはしばらく俺を見つめていた。

 

 そして、低く笑った。

 

「……ったく」

 

 男は銃を構えた。

 

「エリオットの野郎、とんでもねえガキを寄越しやがった」

 

 俺は小さく笑った。

 

「……よろしく頼む」

 

     ◇

 

 車両の側面扉が開いた。

 

 その瞬間。

 

 銃声。

 

 弾丸が扉の縁を叩いた。

 

 俺はすぐには飛び出さなかった。

 

 相手の射撃間隔を読む。

 

 右側の二人。

 

 前方の四人。

 

 後方の三人。

 

 それぞれが別の位置から撃っている。

 

 連携しているように見えるが、完全ではない。

 

 射撃のタイミングには、わずかな隙間がある。

 

 俺はその瞬間を待った。

 

「――今だ!」

 

 レナが右側へ銃撃を開始した。

 

 マーカスも前方へ向けて発砲する。

 

 敵の射撃が一瞬、乱れた。

 

 俺は地面を蹴った。

 

 身体が、煙の中へ飛び込む。

 

 視界が灰色に染まる。

 

 だが、敵の位置はすでに把握している。

 

 俺は低い姿勢で走った。

 

 足元のアスファルトを蹴り、車両の陰へ滑り込む。

 

 直後。

 

 銃弾が、先ほどまで俺のいた場所を穿った。

 

「……っ!」

 

 危ない。

 

 ほんの少し判断が遅れていれば、脚を撃ち抜かれていたかもしれない。

 

 俺は呼吸を整えた。

 

 銃口の向き。

 

 敵の視線。

 

 引き金に指がかかるまでの動き。

 

 それらを読み取り、射線から外れる。

 

 弾丸そのものを見て避けているわけではない。

 

 そんな芸当は、俺にもできない。

 

 ただ、撃たれる前に動いているだけだ。

 

 それでも、複数人を相手にするのは厄介だった。

 

「……さて」

 

 俺は剣を抜いた。

 

 金属音。

 

 鞘から現れた刃が、煙の中で淡い光を反射する。

 

 神造の長剣。

 

 魔物の甲殻を断ち、邪神の眷属を斬り伏せてきた武器。

 

 この世界の金属に対して、どこまで通用するのか。

 

 試すには、ちょうどいい。

 

 俺は前方の車両へ視線を向けた。

 

 そして。

 

 地面を蹴った。

 

     ◇

 

「――あいつ、出てきやがった!」

 

 敵の一人が叫んだ。

 

 銃口がこちらへ向く。

 

 俺はすぐに横へ跳んだ。

 

 銃声。

 

 弾丸が地面を叩く。

 

 俺は低い姿勢のまま、車両の側面へ回り込んだ。

 

 そこにいた男が、慌てて銃を向ける。

 

「くたばれ!」

 

 引き金が引かれる。

 

 だが、その前に俺は踏み込んでいた。

 

 剣の柄頭を、男の腹へ叩き込む。

 

「がっ!」

 

 男が身体を折る。

 

 続けて、首筋へ手刀。

 

 意識を失った男が地面へ崩れ落ちた。

 

 俺はすぐに銃を蹴り飛ばす。

 

 これで一人。

 

 だが、立ち止まる暇はない。

 

「――右だ!」

 

 背後から声がした。

 

 俺は反射的に身体を捻る。

 

 右側から、銃を持った男が飛び出してきた。

 

 距離は数メートル。

 

 近い。

 

 男が銃を構える。

 

 俺は剣を振るった。

 

 狙ったのは、男の身体ではない。

 

 銃そのものだ。

 

 鋭い金属音。

 

 刃が銃身を斜めに断ち切った。

 

「……は?」

 

 男が呆然とする。

 

 俺はその隙を逃さなかった。

 

 左手で男の胸倉を掴み、足を払う。

 

 地面へ叩きつける。

 

「ぐあっ!」

 

 男が呻いた。

 

 俺はその腕を押さえ、動きを封じる。

 

「……動くな」

 

 低く告げる。

 

 男は顔を引きつらせ、頷いた。

 

 俺はすぐに離れた。

 

 これで二人。

 

 残りは八人。

 

 だが、目的は敵を全滅させることではない。

 

 俺は前方のバリケードへ視線を向けた。

 

 車両が二台。

 

 一台は横向きに停められている。

 

 もう一台は、その後ろに斜めに置かれていた。

 

 ……あれを動かせば、道が開く。

 

 俺は剣を握り直した。

 

 そして、走り出した。

 

     ◇

 

 前方の車両へ近づいた瞬間。

 

 背筋に、嫌な感覚が走った。

 

 ……上か!

 

 俺は咄嗟に身体を沈めた。

 

 直後。

 

 頭上を何かが通過した。

 

 鋭い破裂音。

 

 地面が弾ける。

 

 狙撃だ。

 

 俺はすぐに車両の陰へ滑り込んだ。

 

「……なるほど」

 

 左側の高所にいた一人。

 

 どうやら、狙撃手らしい。

 

 厄介だ。

 

 あの位置からでは、こちらの動きをかなり広い範囲で捉えられる。

 

 俺は壁の向こうを見上げた。

 

 建物の三階付近。

 

 割れた窓の奥に、わずかな光が見える。

 

 ……あそこか。

 

 俺は剣を握り直した。

 

 だが、すぐには動かなかった。

 

 狙撃手がこちらを狙っている以上、無闇に飛び出すのは危険だ。

 

 俺は周囲を見回した。

 

 そして、足元に落ちていた金属片を拾った。

 

 小さな鉄の破片。

 

 おそらく、先ほどの爆発で飛び散ったものだろう。

 

 俺はそれを手の中で転がした。

 

 ……使えるな。

 

 狙撃手の位置。

 

 窓までの距離。

 

 そして、角度。

 

 俺は呼吸を整えた。

 

 次の瞬間。

 

 金属片を、全力で投げた。

 

 風を切る音。

 

 破片が一直線に飛ぶ。

 

 そして。

 

 甲高い破砕音。

 

 窓ガラスが砕け散った。

 

「――っ!?」

 

 狙撃手が驚いたように身を引く。

 

 その一瞬。

 

 俺は地面を蹴った。

 

 車両の陰から飛び出し、前方へ走る。

 

 銃声。

 

 だが、弾丸は俺の背後を通過した。

 

 狙撃手の体勢が崩れている。

 

 今なら、数秒は稼げる。

 

 俺はバリケードの車両へ到達した。

 

 そして、剣を構えた。

 

「……よし」

 

 狙うのは、車体の一部。

 

 前輪付近の構造を支える金属。

 

 ここを断ち切れば、車両を動かしやすくなるはずだ。

 

 俺は剣に力を込めた。

 

 神造の刃が、淡く輝く。

 

 そして。

 

「――はっ!」

 

 一閃。

 

 金属が裂ける音。

 

 刃が車体の一部を断ち切った。

 

 だが。

 

「……っ!」

 

 思った以上に硬い。

 

 魔物の甲殻とは、また違う抵抗があった。

 

 金属そのものは断てる。

 

 しかし、内部には複雑な構造がある。

 

 無闇に斬れば、燃料や電源に影響するかもしれない。

 

 爆発でも起こせば、かえって道を塞いでしまう。

 

 俺はすぐに剣を引いた。

 

「……力任せじゃ駄目か」

 

 小さく呟く。

 

 そして、車両の下を覗き込んだ。

 

 車輪。

 

 車軸。

 

 駆動部。

 

 前世の自動車に関する知識を思い出す。

 

 もちろん、詳しい構造までは分からない。

 

 だが、車を動かすために必要な部分くらいは理解している。

 

 ……なら。

 

 俺は剣を鞘に収めた。

 

 そして、車体の側面へ回り込んだ。

 

 両手を、車体の下部にかける。

 

 足を踏ん張る。

 

 腰を落とす。

 

 そして。

 

「……ふんっ!」

 

 全身に力を込めた。

 

 金属が軋む。

 

 車体が、わずかに浮いた。

 

「……っ!」

 

 重い。

 

 当然だ。

 

 相手は巨大な鉄の塊なのだから。

 

 だが、動かせないほどではない。

 

 俺はさらに力を込めた。

 

 車体が傾く。

 

 そして。

 

 轟音。

 

 横向きに停められていた車両が、道路脇へ倒れ込んだ。

 

「……よし!」

 

 俺は息を吐いた。

 

 道が、半分ほど開いた。

 

 あとは、もう一台。

 

 だが、そのときだった。

 

「――てめえ!」

 

 背後から怒声が響いた。

 

 振り返る。

 

 そこには、巨大な男が立っていた。

 

 身長は二メートル近い。

 

 両腕は、肩から先が完全に機械化されている。

 

 胸部にも金属製の装甲が埋め込まれていた。

 

 そして、右腕には大型の銃器が固定されている。

 

 男は俺を見下ろした。

 

「……ガキが」

 

 低い声。

 

「調子に乗ってんじゃねえぞ」

 

 俺は静かに剣を抜いた。

 

「……お前が、この連中の頭か?」

 

 男は笑った。

 

「だったら何だ?」

 

「……いや」

 

 俺は剣を構えた。

 

「道を開けてもらいたいだけだ」

 

 男の笑みが消えた。

 

 次の瞬間。

 

 巨大な金属製の腕が、俺へ向かって振り下ろされた。

 

     ◇

 

 速い。

 

 そして、重い。

 

 俺は咄嗟に横へ跳んだ。

 

 拳が地面を叩く。

 

 アスファルトが砕け、破片が飛び散った。

 

「……っ!」

 

 俺は距離を取った。

 

 男が笑う。

 

「どうした! 逃げるだけか!」

 

 再び拳が振るわれる。

 

 俺はその軌道を見極め、身体を捻った。

 

 拳が頬のすぐ横を通過する。

 

 風圧が肌を撫でた。

 

 ……なるほど。

 

 昨夜の男よりも、さらに強い。

 

 単純な腕力だけなら、かなりのものだ。

 

 だが。

 

 俺は静かに息を吐いた。

 

 元の世界には、これ以上の怪力を持つ魔物がいくらでもいた。

 

 岩を砕く巨人。

 

 城壁を破壊する魔獣。

 

 そして、山のような身体を持つ竜。

 

 それらと戦ってきた経験は、無駄ではない。

 

 俺は男の動きを観察した。

 

 拳を振るう前の肩の動き。

 

 腰の回転。

 

 足の踏み込み。

 

 そして、機械化された腕の駆動音。

 

 ……読める。

 

 男が再び踏み込んだ。

 

 右腕が唸る。

 

 俺は半歩、前へ出た。

 

「――っ!?」

 

 男の表情が変わる。

 

 俺は拳の内側へ潜り込んだ。

 

 そして、剣の柄頭を男の脇腹へ叩き込む。

 

「ぐっ!」

 

 男が呻く。

 

 だが、倒れない。

 

 胸部の装甲が衝撃を分散しているらしい。

 

 俺はすぐに距離を取った。

 

 ……なるほど。

 

 生身の部分を狙う必要があるか。

 

 男が怒鳴った。

 

「この野郎!」

 

 左腕が振るわれる。

 

 俺はそれをかわし、男の背後へ回り込んだ。

 

 そして、膝裏を狙って蹴りを放つ。

 

「がっ!」

 

 男の体勢が崩れる。

 

 だが、まだ倒れない。

 

 俺はそのまま剣を逆手に持ち替えた。

 

 狙うのは、機械化された腕の関節部分。

 

 装甲の継ぎ目。

 

 そこなら、刃が通る。

 

「……悪いな」

 

 俺は小さく呟いた。

 

 そして。

 

 一閃。

 

 金属音。

 

 火花。

 

 男の右腕から、激しい火花が散った。

 

「――ぐああっ!?」

 

 男が叫ぶ。

 

 機械化された腕が、力を失ったように垂れ下がった。

 

 俺はすぐに距離を取った。

 

 腕を切り落としたわけではない。

 

 関節部分の駆動機構を破壊しただけだ。

 

 これなら、命に関わる可能性は低い。

 

 もっとも、修理費は相当なものになるだろうが。

 

 男は膝をついた。

 

「……て、てめえ……!」

 

 俺は剣を構えたまま、静かに言った。

 

「……まだやるか?」

 

 男は俺を睨みつけた。

 

 だが、立ち上がることはできなかった。

 

 俺は小さく息を吐いた。

 

 ……よし。

 

 これで、前方の脅威はほぼ排除できた。

 

 あとは、車両を動かすだけだ。

 

 俺は振り返った。

 

 そして、マーカスたちのいる輸送車両へ向けて叫んだ。

 

「――道を開ける! 準備してくれ!」

 

 遠くから、マーカスの声が返ってきた。

 

「――了解!」

 

 俺は再び車両へ向かった。

 

 だが。

 

 その瞬間。

 

 背筋に、冷たいものが走った。

 

 ……何だ?

 

 俺は足を止めた。

 

 周囲を見回す。

 

 銃声。

 

 怒号。

 

 煙。

 

 その中に、何か異質なものが混じっている。

 

 ……嫌な予感がする。

 

 俺は目を細めた。

 

 そして、気づいた。

 

 倒れた男の背後。

 

 道路脇に停められた小型車両。

 

 その中で、赤い光が点滅している。

 

「……まさか」

 

 俺は息を呑んだ。

 

 爆発物。

 

 しかも、先ほどのものとは違う。

 

 車両そのものに仕掛けられている。

 

 ……まずい!

 

 俺はすぐに叫んだ。

 

「――マーカス! 車を止めろ!」

 

 だが、遅かった。

 

 赤い光が、激しく点滅する。

 

 そして。

 

 耳をつんざくような警告音。

 

 俺は反射的に地面を蹴った。

 

 向かう先は、爆発物を積んだ車両。

 

 その向こうには、輸送車両がある。

 

 このままでは、積み荷ごと吹き飛ばされる。

 

 ……考える暇はない。

 

 俺は剣を握りしめた。

 

 そして、全身の力を込めた。

 

「――間に合え!」

 

 次の瞬間。

 

 ナイトシティの空に、巨大な爆発音が響き渡った。

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