GALAXIES BEAST〜陽出ズル國の巫女〜 作:SimonRIO
あの模擬戦での敗北後、タタラと共にサーリャの機体に回収された俺は、格納スペースにて修理されている自分の機体の前で背伸びをしていた。
モルドスキー医学員が魂の抜けたような表情で整備員に指示しているのを眺めていると、そこへイイジマとサーリャが俺の分の缶コーヒーも持って現れる。
「お疲れ様、姫巫女さん。あれだけの戦い方が出来る人を見たのは、レイラ隊長やバルドザック副長の他に中々いなかったわ」
「俺も先程サーリャの戦闘記録を見せてもらったが、初めて俺と戦った時よりも近距離戦闘での腕が上がっているようだな」
「本当、こんな素直な子がジ・アークに配備されてくれていればね〜」
「あ、あはは……」
まさか元はアルツェイト国の斥候兵でしたとは言えず、俺はサーリャに感謝のそれっぽい愛想笑いを返すしか出来なかった。
すると、次はサーリャから衝撃的な言葉が飛んできた。
「それじゃあ結構な汗もかいてしまったし、姫巫女さんも一緒にシャワーを浴びましょうよ!」
「へっ!?い、いえ私は別に……」
「そう謙遜しなくてもいいのよ!実は私、貴方とは色んな話をしたかったからね〜!」
「ひゃっ!?ちょっ、お姫様抱っこで運ぶのは止めてくださ〜い!!」
早く助けて!と視線でイイジマに助けを求めたけれど、その期待を裏切るが如くニッコリしながら「楽しんでこい」と一言だけ言って去っていってしまった。
あんっの野郎!俺が元男なのを知っててワザと見捨てやがったな〜!
◇◇◇
そんなこんなであれよあれよとサーリャに脱がされてしまった俺は、彼女に抱きかかえられたままいよいよシャワー室まで連れ込まれてしまった。
「ほら!姫巫女さんも可愛い女の子なんだから、しっかり身体を洗っていかないとね〜」
スラッとしていて比較的幼さが残っていた為に自分の裸にこそは慣れたものの、サーリャのそれは殆ど大人の女性のプロポーションだ。
薄く青い毛並みが白磁のような肌や整った顔立ちに合わさり、ゴリゴリと俺のメンタルを削っていく。
い、いくら今は女性だからとはいえ、おねロリの波動は少しじゃないレベルに眩しすぎる!
「んっ……ひぁぁ……っ」
「そ、そんなにくすぐったかったかしら!?まだ背中を優しく洗い始めたばかりなんだけど……あっ、今度は両手を上に上げてね。腋の下の方も洗っていくから」
「ふぇっ!?ひゃ、ひゃい……ぴぁっ!?」
サーリャの洗う手付きに邪なものを感じつつも、俺は必死に自分の身体付きをイメージする事で彼女の裸体を意識しないようにする。
余計な肉付きも殆どなく、第二次性徴を向かえつつある子供のようにスレンダーではあるものの、最近は少しずつ尻や太ももに女性らしさが出てきている。
無論、胸は依然として薄いままだが……って、いかんいかん!妙なところで共通点があるから、サーリャの身体がイメージに割り込んでしまう!
「はーい、洗い終わったわよ〜」
「ふゃぁ……あ、ありがとうございます……」
そう悶々としている内に俺の身体を洗い終えたサーリャは、そのまま自分の身体をシャワーで洗い流し始めた。
すぐさま俺は彼女の身体を見ないよう、背を向けて縮こまるように座り込んだ。
「うふふ、姫巫女さんは案外ウブなのかしら?同じ女の子同士なんだから、そこまで緊張する事はないのに」
「い、今までは1人で身体を洗っていたものですから……」
「へぇ〜、何だか神様に仕えている人みたい」
神に仕える、か……そうだ、今度は会話とかでいけば、話に集中して裸の事なんて気にもならないかもしれない。
「ところで、サーリャさんは神様の存在って信じていらっしゃるんですか?」
「それ、姫巫女さんが聞いちゃう事かしら?だけど、そうね……私は多分、信じていない方だと思うわ。家が没落して親に売られ、挙げ句の果てには生きたままケモナーにされたんですもの。それなのに、神様が救ってくれた事は一度もなかった」
「そう、だったんですね……ごめんなさい」
「謝らなくて良いわ、姫巫女さん。だから、私は自分だけの力で何としても見返してやろうって思ったの。私を売った両親も、手を差し伸べてすらくれなかった神様も皆に「こんなに私は強いんだ!だから、アンタ達がいなくても生きてやる!」ってね」
そのサーリャの強い決意がこもった言葉に、俺は彼女に自分が憧れた理由の1つを何となく理解したような気がした。
――自分に対する存在意義、それをサーリャは全力で証明しようと戦っている。
だから、ただ生きる為だけに国の為と心を偽って働いていた俺にとって、あんなにも彼女の後ろ姿は眩かったのだ。
「強いですね、サーリャさんは……ヒノモトを護りたい私なんかより、人として凄い立派に見えます」
「そんなに私と比べなくても良いのよ。私には私の、姫巫女さんには姫巫女さんの志しがあるんだから。貴方は貴方にしか出来ない事を、ヒノモトの巫女の仕事を全力でやれば良いの」
「ふふっ、ありがとうございます。お陰で、何だか気持ちも楽になりました」
すると、そんなシンミリとした空気の中でサーリャはとんでもない事を聞いてきた。
「……で、あのイイジマ大尉とはどこまでの関係なの?」
「へっ?べ、別に大したものはありませんよ!?ただ、熱心な側近というか何というか……」
「あら?私が見る限り、貴方けっこう彼の事が好きなのかと思ってたけれど?」
「す、すすす好き!?そりゃあ確かに、人柄とか頼もしいところとか、人間として好きな方ではありますが……け、決して恋愛とか、そういうのはありません!からかわないでくださいよ、もう!」
「へぇ〜本当、可愛いわね〜姫巫女さんは」
いかん……何か良く分からない内に、サーリャから変な誤解をされてしまったようだ。
俺は流石に元男なんだから、男性に惚れるなんて馬鹿な話はない……ハズだ。