GALAXIES BEAST〜陽出ズル國の巫女〜   作:SimonRIO

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19 陸上とは違う感覚の戦い

 

ビッグホール・オーシャンの壁付近でアングラーの活動を確認する事は出来たものの、逆に俺とイイジマも哨戒部隊によって発見されてしまった。

 

すかさず俺は外付けに増設した魚雷でシーラカンス型の機体を攻撃するも、向こうの方が海中での機動性に優れている為にヒラリと躱されてしまう。

 

「速い!確実に当たると思ったのに、同じくらいのサイズでもここまで違いますか……!」

 

『ふん、そんな弾道の読める遅い魚雷など我々の武器に比べれば玩具も同然!』

 

そうして俺が相手機体の捕捉に手間取る中、イイジマのコリエステもウツボ型の敵機に翻弄されて攻撃を当てられないのが見えた。

むしろ、蛇のようにグルグルと周囲を回られながら全方位から爆雷を浴びせかけられているのに、それでも撃破されていないのが不思議なぐらいだ。

 

『そろそろ弄ぶのも終わりだ。せめて、トドメは一撃で苦痛もなく――ぬぉっ!?』

 

『悪いが、こっちにもそれなりの意地はある。いかに海での戦いが得意だろうと、1つの油断が命取りになると教えてやろう!』

 

だけど、イイジマは一瞬のすれ違い様にコリエステのクローアームで相手の機体をガッシリと掴み、そのまま宙返りする形で潜航形態から人機形態に変形した。

 

その姿は上半身こそ見覚えのあるシノダの形をしてはいたものの、ゴテッとした腰部とクローアームが鳥のような脚となった下半身は海中で使う機体とは思えない程の異形感があった。

 

『なっ!?まさか陸の奴らも、我々の機体と同等の性能を――ぐごぁっ!!』

 

そのままイイジマは踏みつけるようにして、相手を掴んだ脚部クローアームに内蔵されたパイルバンカーでウツボ型の機体を貫き、それが爆散する衝撃をクッション代わりにして海底へ着地する。

 

「す、凄い――って、しまった!」

 

当の俺はというと、人機形態になった相手の機体に背面から組み付かれてしまっていた。

イイジマの戦い方に見蕩れてしまったからというのもあるが、やはり航行形態だとアングラーの機体には追いつけないようだ。

 

そして、変形したイイジマの機体に向けて俺の機体を盾のように突き出してくると、彼のコリエステのモノアイは睨みつけるようにギョロリと相手の機体へ向けられる。

 

『人質を取るとは……海に住んでいても、アングラーも陸の連中と変わらん感性だな』

 

『くっ、うるさい!これ以上寄るな!貴様の相方が、どうなっても――何ぃっ!?』

 

「あいにくですが、私の方も変形出来ますよ!」

 

だけど、勿論それで大人しく人質にされるつもりもなく、俺もタタラを人機形態に変形させつつ、背面に装備した大型レーザーライフルごと相手の機体を海底へ叩き落とした。

 

『ば、馬鹿な……!これほどまでの機体を、陸の奴らが作り上げるなど……認めん、認めるかぁ!!』

 

すると、既に2対1で不利なのにも関わらず相手の機体はハープーンガンや高速魚雷を乱射して、最後の抵抗といわんばかりに俺を狙ってきた。

 

一瞬やられる!と思った俺は目を瞑りかけたが、その瞬間タタラの前にイイジマのコリエステが降り立ち、急速潜航形態でも水圧から機体を守り通した大型シールドが全ての攻撃を受け止めきる。

 

『これで終わりだ』

 

『ひっ!嫌だ!死にたく――』

 

そして断末魔を上げる間もなく、コリエステのレーザーランチャーから放たれた凄まじい光線が相手を機体ごと消滅させた。

 

しかし、それと同時に敵機が救難信号を放ったからか、おびただしい数の敵機反応がソナーの探知範囲に映り始める。

 

『流石に暴れ過ぎたか!姫巫女様、アレを使うぞ!』

 

「ええ、了解です!マトモに動いてくれれば良いのですけれど……!」

 

その場から撤退するべく、俺はイイジマと共にコックピット内に配置された急浮上用の緊急スラスターのレバーを引っ張った。

 

――瞬間、凄まじい衝撃と共に身体がフワッと浮く感覚が俺を襲う。

 

視界がレッドアウトする程の勢いで深度メーターが狂ったような速度で上に回っていく中、何度も耳に空気が詰まってきては耳抜きを繰り返し、それによるキーンとした耳鳴りと痛みで自然と涙が浮かんできた。

 

だけど、ようやく視界が元に戻ってきたと同時に、通信でイイジマが必死で呼びかけてくる声が聞こえてくる。

 

『……様!おい、姫巫女様!聞こえているか!?まさか、急浮上の衝撃で失神したんじゃないだろうな!』

 

「え、ええ……何とか無事ですよ。でも、やはり急浮上のせいで機体のアチコチはボロボロになってしまったようですね」

 

『もう輸送船が近くまで回収に来てくれている。それにどうやら、PNDにも連絡して護衛を付けてくれたようだな』

 

「そうですか……ふぅ、ひとまずこれでビッグホール・オーシャンの現状はある程度把握出来ましたね」

 

俺はPNDの使う天使型の機体にコックピットブロックと共に回収される中、証拠隠滅の為に攻撃されて海の藻屑となっていくタタラとコリエステに対してヒノモト式の敬礼を送った。

 

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