GALAXIES BEAST〜陽出ズル國の巫女〜   作:SimonRIO

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26 何の為に戦うのか

 

――何故、ヒノモトの巫女として俺は戦う?

 

――何故、こんなにも世界に戦火を拡げておいて尚、平和を求める声を上げ続けている?

 

そんな疑問を忘れさせてくれたのは、いつもイイジマと共に過ごす時間が心地良かったからかもしれない。

 

『アキ……この俺達の選択は、間違っていなかったんだろうか?』

 

「私には正しかったと……ヒノモトの巫女として、そう思っているつもりです」

 

同じような心の傷を持つ者同士で、惹かれ合うものもあったのかもしれない。

 

だから……もし、それ以外に忘れる方法があるとするならば、あのホウチュウア共栄国の基地でDEEPを発動した時のような戦いの高揚感だろう。

あれは三大欲求をも超える快楽を持つ――「もっと気持ち良い何か」だ。

 

『そろそろ、ホウチュウア共栄国とミルディア皇国の国境近くに到達する。アキ、予め火器管制システムを切っておくのを忘れるなよ』

 

「わ、分かっていますって!それやらかしたの、キヨヒコさんと共に出撃し始めた最初の頃だけなんですから!」

 

既に自分達を縛っていた元凶にケリは着けた。

後は飛べるだけ飛んで、暴れるだけ暴れてヒノモトの民として散ってやろう。

 

そう思った刹那、ミサイル接近のアラートがコックピットに鳴り響く。

咄嗟に機体を傾けて回避こそ出来たものの、そこで俺は異常な事態が起こっている事に気がついた。

 

「そんな!ミサイルの誘導が効いている!?キヨヒコさん、塗料によるステルスは期待出来ません!直撃しないよう、気を付けて!」

 

『了解だ!どうやら、向こうも俺達のように特殊ステルスを見破る方法を掴んだようだな!』

 

イイジマはそう叫びながらも、グライダーに近い形のカムイの巡航形態を変形させる。

そこから自由落下とスラスター移動を組み合わせたヒラヒラと舞い落ちるような動きで、ミサイルを撃ってきたホウチュウアの対空戦車部隊に対して右手の巨大なビーム砲を発射する。

 

その一撃はあまりにも凄まじく、たった一発で的確に戦車部隊の中心部を射抜いたどころか、数キロに渡る電磁パルスの波動を伴う大爆発を引き起こした。

 

――これがモルドスキー技研主任の遺した機体データにあった、近接武器にも盾にもなる多目的複合兵装盾「クナウ・シールド」に搭載された大出力ロングバレル・レーザーライフルの力か!

 

『コイツは、なんて強力過ぎる火力だ……戦艦の主力ビーム砲並みはあるぞ』

 

だが、それに見蕩れる間もなく俺もDEEPを発動し、他に飛来してきたミサイルを両腕バインダーのビームキャノンで全て撃ち落としていく。

 

「ふ、ふふ……あっはははははは!!」

 

『この感じ、まさか……アキ、お前またDEEPを発動したのか!?』

 

その自由自在に操れる感覚に、"私"は再び心が踊り出していくのを感じる。

すると、そんな"私"の前に3つのドラムっぽい円柱型な機体がUFOのように飛来してきた。

 

「ちっ、あっぶない奴らですね……ホウチュウアの雇った傭兵ですか」

 

『聞いて驚け、「黒い凶星」!俺は長男のドン・カーター!』

『その弟、デン・カーター!』

『そのまた弟、カン・カーター!』

 

『『『俺達のギア・ドラムが、これ以上お前の侵攻を阻んで――って、危なっ!?』』』

 

すると相手が自己紹介しているにも関わらず、イイジマのカムイが大型ブレードに変形させたクナウ・シールドで一緒くたに真っ二つにしようと大きく振り抜いていた。

 

『こんな茶番に付き合うつもりはない。命が惜しければ、とっととこの戦域から離脱する事だな!』

 

『な、何か見慣れない細身のデカブツ持ちが現れたよ、兄貴!』

『怖気付くな!あの程度、当たらなければどうということはない!そうだろう、兄さん!』

『その通りだ!いつものアレで囲い込むぞ!』

 

そう言うと、カーター三兄弟の機体は横一列に並んで"私"とイイジマに突撃してきたかと思うと、こちらの攻撃を躱しつつ3機で周囲を取り囲んでくる。

 

『名乗りの途中で斬りかかる不届き者に真っ向勝負は不要!やるぞ!スピン・トルネードアタック!』

『これで3方向から擦り潰してやる!』

『恨むなら、俺達兄弟の名乗りを邪魔した自分を恨む事だな!』

 

『いいや、竜巻のようになるのはお前達だけだ』

 

しかし案の定と言うべきか、イイジマのカムイは居合切りのようにグルリと大型ブレードを一閃させ、回転して接近していた三兄弟の機体全ての脚を切り落としていた。

 

『なっ……ちょっ!?近すぎるぞ弟達!』

『兄貴こそ離れないと……わぎゃぎゃ!?』

『というか、どんどんアイツらから離れていってるような〜!?』

 

『『『お、覚えてろよ〜!!』』』

 

そして、回転バランスが取れなくなった三兄弟は互いにコマのようにぶつかり合いまくり、そのままキラーンという音が鳴るように何処かへと飛んでいってしまった。

 

『何だったんだ、あの傭兵三兄弟は……?』

 

「チームプレーが得意そうなイメージがしましたけれど、そんなのは全くの杞憂でしたね……」

 

そう色んな意味で呆けていると、突然レーダーに上空からの襲撃を知らせるアラートが表示された。

 

『敵機、直上からだと!?まさか、妨害電波で――ぐぉっ!?』

 

「キヨヒコさん!!」

 

有り得ないハズの光景にイイジマが驚いた声を上げた瞬間、彼の機体は虎型のビーストユニットに飛びかかられ、そのまま一緒に地面へと堕ちていく。

 

そして、すぐさま助けに向かおうとした"私"の目の前に現れたのは――

 

『なるほど、君らがホウチュウア共栄国の基地を襲った真犯人だったという訳か。やはり、こうして唯一の国境線を確認しに来た甲斐があったな』

 

「しまった!貴方は、ミルディアの……!!」

 

目の前には、あの「黒い凶星」オルグ=バージアス少佐の駆る黒いハコ機の専用カスタム仕様、ケプラーがビームサーベルを構えて"私"の方を睨みつけていた。

 

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