GALAXIES BEAST〜陽出ズル國の巫女〜 作:SimonRIO
――いよいよ建国記念祭が最大の盛り上がりを見せる夜。
俺の次なる乗機のイヅナは首都から海辺に近い分社にて、その本当の姿を皆の前に現した。
「これが姫巫女様の新たな……なんと神々しい」
「あの狐の部分、トリイにチョコンと乗ってるみたいで可愛い〜!」
あれからモルドスキー医学員と相談して、外見を多少カスタムした結果がコレだ。
お陰で、見た目はトリイの上に大筒の大砲を抱えた狐が乗っているという形になり、完全にギア・シリーズを主体にしている事はヒノモト国民には全く分からない。
「あっ!姫巫女様だ!おーい!!」
「きゃ〜!新しい機体、似合っています〜!!」
無論、コックピット周りも神輿にしていた物をベースにした為、周りからは俺が巨大な神輿の砲台に乗っているという状況だ。
それもあってか普段よりも皆の様子はテンションが高いし、ちょっと周囲からの期待が強くて照れてしまいそうだ。
すると、近くの別の分社にて待機しているイイジマから通信が入ってくる。
『こちらイイジマ。先程、花火業者より作戦の準備が完了したとの報告が入った。後は姫巫女様の合図で射出を開始するそうだ』
「了解です。では、皆様もお待ちかねでしょうし……撃ち方、始め!!」
そう俺が合図の一声を上げたと同時に、首都を取り囲う山々から複数の花火の玉がレーダー上に表示される。
すかさず俺はトリイ型の4本脚のスラスターを吹かせて飛び上がり、最も早く上がった花火の方へと砲の照準を合わせた。
「大きいやつの反応は――そこっ!」
俺が大型の花火を咲かせた直後、後方からも複数のビームが飛んで小型の花火を全て花開かせる。
一発も外さずに拡散ビーム砲を全て当てるなんて、やっぱりイイジマのパイロット技術はケモナーに並ぶか、それ以上だ。
「次は……そっちか!」
その凄さに感嘆する間もなく、俺は続けて各所のスラスターを吹かせて砲の向きを全力で動かし、次から次にと空中に放られていく花火の群れを迎撃していく。
「くっ、このっ!マニューバが悪いな、コイツ!」
しかし、今のところは大型も小型も花火の撃ち漏らしはないものの……全てが炸裂していく満開だらけの花火やイイジマの放つビームが美しい中、人型フォルムの腕も脚も無いイヅナを動かすのは中々に大変だ。
車で例えるならば旋回機能はハンドルにあるのに、アクセルやブレーキは何故か別に繋がれているゲームコントローラーで四輪ごとにそれぞれ動かさなければいけないような感覚といったところか。
とにかく、たまに街中へ墜落しそうになるから動かしている身としては恐ろしい事この上ない!
その度に街の人達は楽しげにキャーキャー騒いでいるけれど、こちとら色んな意味で必死なんですよ!
すると、急発進や急停止といったあまりの無茶な操縦が祟ったか、うっかりレーダーに捉えたハズの花火の1つを見失ってしまった。
「しまった!このままじゃ、街に落ちて――うわったぁ!?今の撃ち落としたの、イイジマさん!?」
『これで1つ貸しだな、姫巫女様。言っただろう、1人で花火を撃ち落とす訳でないと』
「むっ……言ってくれますね〜!こうなったら――うりゃぁぁあ!!」
援護射撃で助けてもらったにも関わらず、俺はイイジマの言葉にカチンときてしまった。
そして上空に砲を向けながら、ビームの出力を全開にしたまま巨大なビームサーベルを身体全体で振り回すが如く、レーダーに捉えた花火全てに直撃させていく。
だけど……。
『なっ……バカ!そんな一気に出力を全開にしたまま、空中でビーム砲を撃ち続けるやつがあるか!』
「あ〜もう、知るか!こうなったら残る全部、俺が――あれ?ウソ、ここでもうエネルギー切れ!?」
『待ってろ!姫巫女様、今助けに……あー、マジか』
最後の花火を撃ち落とした瞬間、案の定というべきか……よりにもよって首都のド真ん中でエネルギーを使い果たしてしまった俺は、機体のケツからそのままズドン!と街中へ墜落してしまったのであった。
墜落した周りじゃ何か凄く盛り上がっちゃってるけれど……本当にコレ、大丈夫なんでしょうかね?