最高のヒーローになる幼馴染と戦場に響く歌声 作:適合者
また、個性というテストは長くなったので分けて投稿してます。
にて椿様 高評価(星9)ありがとうございます!
評価バーが赤色になりました!?皆様本作の高評価本当にありがとうございます!
合格通知を受け取って私は改めて雄英高校ヒーロー科の門を潜る。
「合格者は……どうなってるかな」
4月……暖かな春風が雄英高校の制服を揺らす。私の隣を歩く幼馴染の出久は校門をくぐった時からずっと、呼吸を忘れた金魚のように口をパクパクと開閉させていた。
「出久、顔が青いよ。はい息吸って……吐いて」
「う……うん! 吸って……吐いて……っ、あだだだ、舌噛んだ……!」
「落ち着きなよ。せっかくの合格なんだから、もっと胸を張りなよ」
全く……出久が合格通知を貰った話を聞いて私だって肩の荷が降りたなんて言い難いじゃん。
「う、うん……でも、本当に僕が雄英のヒーロー科にいるなんて、未だに夢みたいで……」
「自分で勝ち取った椅子でしょ? 誇れば良いよ」
曰く出久の戦闘試験での獲得ポイントは【撃破0P・救助60P】の極端な数字。私の獲得内訳は【撃破45P・救助35P】だから詳細は忘れたけど合格者のラインは分からないけど出久が筆記で余程酷い点数でないなら私も合格の筈。
「まっ……合格したならそこから先は意味のない話だよ。最も……入学後にふるい落とされる可能性はあるけど」
「あはは……怖いこと言わないでよ姫香ちゃん……」
出久はぎこちなく肩を揺らしながらも、その瞳には小さな、けれど確かな誇りの光を宿していた。入試での彼の成績や出来事は詳しく聞いていないけれど、彼が自分の足で最初の一歩を踏み出し結果を掴み取ったことだけは確かだ。
「さて……そろそろ校舎に着くね。私と出久は同じ『1-A』だっけ?」
「姫香ちゃんが『1-A』なら同じクラスだよ?」
「どんなクラスメートがいるのかな」
巨大な校舎の廊下を進み、私たちは目的の教室の前にたどり着いた。
「ん……大きいなぁ」
「体格を大きく変える個性を持つ人にも配慮されたバリアフリー設計……なんだと思うけれど、圧倒されるね」
見上げるほど巨大な木製の扉。そこにはドカンと『1-A』と赤文字で刻まれていた。
「……爆豪も同じA組なのかな?」
「確かヒーロー科って2クラスだっけ? どっちにいるんだろうね?」
「まぁ……大丈夫だとは思うよ? 何か言われても私が前に立つから」
「あはは……ありがとうね姫香ちゃん。でも、僕ももう逃げないよ」
「出久は個性や力が無かっただけで志は誰よりも気高いヒーローだよ。今だって手が震えても前に進む覚悟を見せてるから」
出久がゴクリと唾を呑み込み、意を決して巨大なドアを横に引いた。
——ガチャリ。
「机に脚を載せるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わんのか!?」
「あぁん!? 思わねぇよ! テメェどこの中学だクソ脇役が!!」
「僕の中学が何処かなど君に答える必要は無いと思うが教えておこう。僕は」
「ハッ! ボンボンの気取った中学かァ! ますます気に入らねぇなァオイ!」
見知った人物がクラスメートと言い争いをしている。机に脚を豪快に投げ出している爆豪勝己と、それを真面目すぎる手つきでロボットのように注意する眼鏡の少年——飯田天哉君の不毛な口論だった。
「そろそろ社会性を身につけてなくて痛い目に遭えば良いのになんで
「えっ!? 僕!?」
「私から見れば
(……まぁ知ってた。いつもの爆豪で社会性の欠片も無い言動が出来る
私が小さく溜息をついた、その時だった。
「あっ! お前……入試で助けてくれた、確か歌川って名乗った奴じゃねえか!!」
「姫香ちゃんの知り合い?」
「入試の時の縁でね。まぁ私が自己紹介の最中に倒れたから何処まで挨拶できたかは怪しいけど……」
教室の奥から、赤毛を逆立てた熱血そうな少年——切島鋭児郎君がこちらに気づき、バッと立ち上がった。
「切島君……だっけ。おはよう……君も無事に合格できたんだね」
「おうよ! お前のおかげだ! つーかお前、試験が終わった瞬間に倒れたから心配したんだぞ! 体はもう大丈夫なのか!?」
「ただの過呼吸と一時的な疲労だからね。心配かけてごめんね?」
流石に個性の反動……とは恥ずかしくて言い難いかな。シンフォギアは私の身に余る……ね。まだ私はギアを使いこなせていない。イグナイトも、アマルガムも持ち得ない今の私は本当に未熟だ。
「良かったぜ……! お前は男気あふれる戦い方だったもんな! 改めてよろしくな!」
「試験の時と今で姿と印象が違うよね。やっぱあの姿って個性を発動した姿なの?」
切島君が無邪気に白い歯を見せて笑う。するとその隣の席に座っていた少女——耳郎響香さんもこちらに視線を向けた。耳から伸びたプラグを指でいじりながら、少しニヤリと微笑む。
「……あの綺麗な歌声の歌姫さん、やっぱりA組だったんだ。……まあ、歌うだけじゃなくて、ミサイルに乗って大暴れしてたけど」
「え……? ミサイル? 乗った? 姫香ちゃん……何をしたの?」
「ん〜……
「それで何がどうしたらミサイルと姫香ちゃんが結びつくのか説明がつかないよ!」
「うぐっ……それは言わないでよ……」
流石に恥ずかしい。本当に爆豪を笑えないくらいの悪目立ちをしてる自分に嫌気がする。
「ククッ……静と動を併せ持つ歌姫か。無事に同じ学び舎へ集えたことはまさに祝着至極だな」
「入試の……貴女も同じクラスだったのね。よろしく」
「常闇踏陰だ。こちらこそ」
腕を組んで静かに佇んでいた常闇踏陰君まで、独特のフレーズで頷いてくれた。仮設演習場Cで一緒に戦った面々からの予想外の歓迎に、私が苦笑いを浮かべていると少し離れた周囲のクラスメイトたちからヒソヒソと囁き声が漏れ聞こえ始めた。
『あいつだろ……演習場Cでミサイルに乗って飛んでたって噂の女子……』
『見た目、すっごく清楚でドレスみたいな個性を纏うのに、戦い方がエグいって噂の……』
『最後、血吐いて倒れて救護所に運ばれたって聞いてたけど……』
(……うわぁ、やっぱり目立ちすぎてたなぁ……)
『ってかアイツ入試2位らしいよ?』
『マジ? このクラスにそんな大物が集められてるの?』
『推薦枠の奴が
死にたい。恥ずかしすぎてこの場の全員の記憶を奪いたい。ミサイルに搭乗したのは間違いなく黒歴史……とまでは言わないけれど、だいぶ破天荒な戦術だったと自分でも反省している。
「……けッ。死にぞ損ないがァ、コソコソ噂されて調子乗ってんじゃねェ」
「その言葉は自分にも適用される事を忘れてない爆豪? そっちだって
「っせェ! 殺すぞ!」
「それを出来たなら私はここにいない。それが分からない人間とは思わないけどね?」
飯田君と喧嘩を中断した爆豪が、脚を机から下ろし、不機嫌そのものの顔で私を睨みつけてきた。痛々しい傷痕は薄くなっているけれど、その目つきの鋭さは相変わらずだ。病室で置いていった造血サプリの件があるから、私はもう彼の毒舌を怖がる気にはなれなかった。
「アンタ達って知り合いなの?」
「出久も含めて同じ中学の腐れ縁。まぁ世間ではこういうのを幼馴染って言うんだっけ?」
「姫香ちゃん……コレ以上かっちゃんを煽るのは不味いよ……」
「そう? 年齢に対して幼い側にも問題があると思うよ? 現にこうやって揉め事を起こしてるのがその証明じゃない?」
この際に爆豪が社会性を持っていたらまぁ原作のルートには入らないけどさ……なんかこう当事者としては言いたい事もあるんだよね
「調子に乗ってなんてないよ爆豪。……元気そうで何よりだね。流石は入試1位……って言えば良いのかな? あぁそれとちゃんとサプリのお礼は言っておくね。そっちは礼を言うべき事だから」
「〜〜〜っ! 余計なことペラペラ喋んんじゃねえクソ歌女ァ!!」
「はいはい静かにね。どうせもうじき担任の先生が来るでしょ? 第一印象って大切だから卒業したいなら色々考えなよ」
顔を真っ赤にして怒鳴る爆豪をさらりと受け流すと、クラスの何人か(特に切島君や耳郎さん)が噂してる。
「あの入試1位をあんなに軽くあしらうなんて……」
「猛獣使いかよ……」
「どういう幼馴染だよ……」
私達の事を呆然とした顔で見つめていた。ごめん出久……巻き込んだ事は本当にごめん。
「あ! 君は……! あの時のボサボサ頭の……!」
教室の入口から弾んだ声が響いて出久に近付いて来る。振り返ると、そこにはボブカットの可愛らしい少女——麗日お茶子ちゃんが立っていた。
「あ、君は……! 麗日さん……!?」
「うわぁ、ほんまに同じクラスになれたんや! うち、麗日お茶子! 入試の時は助けてくれてほんまにありがとうな!」
お茶子ちゃんが出久の手を両手で握りしめ、ブンブンと振る。出久は案の定、女子との接近に顔をリンゴのように真っ赤にして失神寸前だ。
「もしかして出久の中の私って女子認定されてない? そりゃまぁ私は恵まれた身体をしてないけど……」
今更だが私の身長は165㌢の胸囲73㌢……一応胸の話で絶壁とか言われたら爆豪程じゃなくてもブチギレる自信はある。まぁシンフォギアの時点で胸云々関係なく扇情的な格好になるから数字自体の意味はあまりないかもしれない。いや……無いと信じたい
「あ、初めまして! うち、麗日お茶子言います! 姫香ちゃんだっけ? 入試の噂、聞いてたよ!」
「あ〜……うん。初めまして……歌川姫香です。よろしくね、麗日ちゃん」
「うん! よろしくね、姫香ちゃん!」
裏表のない太陽のような笑顔。お茶子ちゃんの明るさに、ピリついていた教室の空気が一気に和らいでいく。 出久、爆豪、飯田君、切島君、耳郎さん、常闇君、そしてお茶子ちゃん。識ってるメンバーが誰一人として欠けていない辺り私が転生して原作が少し……いや、もしかしたらかなりズレてるかもしれない。繊細に立ちまわれる程覚えてないから今更かもしれないけど。
個性豊かなクラスメイトたちに囲まれ、私の「雄英高校1年A組」としての新しい日常が、確かにここから動き出そうとしていたのだった。教室が和やかな歓談に包まれかけた、まさにその時だった。
「——お友達ごっこしたいなら、他所へ行きな」
ボソリと、地獄の底から響くような不気味な声が聞こえた。教室の入口……いや廊下の床? 違う……巨大な黄色の芋虫……? ううん違う。寝袋に包まれた男が転がっていた。その声にざわついていた教室に静寂が訪れる。
「「「寝袋!???」」」
クラス中から驚愕の声が上がる。男はズリズリと寝袋から這い出ると、ボサボサの黒髪に血走った目、そして首元に白い帯のような布を巻きつけた不審極まりない姿を現した。彼はゼリー飲料を口にくわえて無気力な眼光で私たちを射抜く。
「はい……君達が静かになるまでに八秒かかりました。時間は有限なのに君たちの行動は合理性に欠けるね」
(……イレイザーヘッド……プロヒーローだ……!)
出久が息を呑み心の中で叫んでいるのが伝わってくる。メディア嫌いの地下ヒーロー。だがその実力は折り紙付きだ。
「流石は合理主義の化身にして冷静な分析に基づく迅速な対応で
「中々どうして博識な生徒もいるようだ。その通り……俺が君達の担任である相澤消太だ。よろしくなヒーローの卵諸君」
「イレイザーヘッド!? プロの中でも上澄みだろ!?」
「そんなヒーローが俺達の担任!?」
「噂では生徒を除籍した噂がある先生!?」
「……ほぅ。少しは俺の教育スタンスを理解している生徒もいるか。ならば説明の手間が省ける。それは実に合理的だ」
相澤先生は無造作にそう告げると、寝袋の中から体操服の詰まった袋を取り出し、教卓へ投げ置いた。
「教卓の上に……体操服?」
1番教卓に近かった飯田君が袋を開けて内容物を確認する。
「さっそく集まりだが、これを着てグラウンドへ出ろ」
「「「えええっ!? 入学式は!?? ガイダンスは!?」」」
お茶子ちゃんたちが声を揃えて困惑の声を上げる。だが、相澤先生は心底くだらなさそうに吐き捨てた。
「ヒーローになりたいなら、そんな悠長な行事に出ている時間はない。雄英は『自由』な校風が売りだ。そしてそれは……『講師側』も同様なんだよ」
「自由……つまりは責任を伴う。そして先生は全てを熟すだけの技量と経験を持ち合わせてる」
私の呟きはこの状況への理解と、朧げになっている記憶を探りこの後に起こる事象を思い出そうとする。今の私は……どれほど通用するか確かめたい……かな?
次回は個性把握テストです。既に出来上がっているので明日の朝には更新出来るように予約投稿済です!ついでに次回の前書きでは姫香の3サイズや身長も触れて行きます!
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