なろうざまあのアンチテーゼ 作:ざまあ救済委員
初投稿です(大嘘)。
チュートリアル回です(直球)。本作がどんな感じかを理解してもらえれば。
第1回は3話構成、日付が変わるたびに更新です(予約投稿済)。
では、本編をどうぞ。
「ひーふーみーよー……。ふむ今日の稼ぎはこれぐらいか。肉体労働せずに稼げるようになってホント助かるわ。やっぱり人生働いたら負けよな」
並べられた札束を数えながら俺は優雅にティータイム。俺の名はセイバイ=リョウ。しがないカウンセラーだ。
成人の儀で神から授けられたスキルの名前を聞いた時には、あまりにも意☆味☆不☆明すぎて啞然とさせられたが……実際に行使することになってみればこれほど有用なものはない。そのスキルを利用して商売を始めたわけだが、これが儲かって儲かって仕方がない。しかも使っていて面白い。というのも俺のスキル、人の不和に付け込むものなのだ。自分に関係ない他人の愚痴を聞くのが一番面白いと思う。
さて、そのスキルの話だが(カンコーン)……おっと、客が来たようだな。さてさて、今日はどんな面白い案件なんだ?面白い話を聞けるといいんだけど。
「あいつのせいでうちの被害は甚大なんだ!」
バアン!と机に手が叩きつけられる。激昂した男は見るからにチンピラといった風貌だが、持っている装備はそこそこ優秀に見える。よくいる中ランク冒険者ってところか。
「そりゃまた大変なことで。で?あんたに何があったんだい?」
「あいつがうちのパーティに呪いをかけたせいで、うちのパーティの戦力がガタ落ちなんだよ!」
「ほほう……?」
「あいつは今までパーティで全く仕事をしてこなかったんだが、ギルドの決まりでパーティ強化にかかる金を除いた報酬を平等に分けなきゃならねえことになっていた。だから追放してやったんだが、追放したらすぐに俺たちに呪いをかけやがった!今まで俺たちに寄生していた時にどれだけ俺たちが力を貸してやったと思ってるんだ!お前もそう思うだろ!?」
「いや知らんよ」
寄生系か。本当に何もしなかったのかどうかはスキルを使ってみないとわからんが、呪われるほど恨まれるってこいつ何やったんだ……?
その後も話を聞き続けるも、聞けば聞くほどその寄生男を見逃したこいつらが理解できない。人を呪えるスキルを持ってるやつをそのまま放置……。ダンジョンに置き去りにして魔物に殺させるのが最もスムーズだろうに。
俺が困惑して黙ってしまったからか、男は机に拳を叩きつけ唾を飛ばしながら再び叫び始めた。
「とにかく!今まで守ってやった恩を忘れて俺たちを呪いやがったあいつには報いを与えなきゃ気が済まねえ!お前ならそれができるんだろう!?」
「……まあできるかできないかで言えばできる。が、お前たちにかけられた呪いは相当重いものだ。解呪自体は俺にはできんが構わんか?」
「構わねえ!あいつには俺たちが受けた屈辱以上の苦痛を与えねえとなあ!」
「了解した。……では最後に確認するが、うちの成功報酬は今後のあんたらの稼ぎの10%だ。そして俺のスキルの最中では俺を含めたすべての人間に暴力を奮うことは許されない。それでも本当に構わないかね?」
「ああ、パーティ資金と考えたら安いものだからな。呪いが無ければそれだけの稼ぎは余裕でできる」
「……では最終確認も終わったことだし、そろそろ始めよう。……ここからは噓をつくことはまかり通らない世界だ。そこでこの話を解決しようじゃあないか!」
今回の依頼はパーティから追放したメンバーの回収。まあこの類の案件の予後がうまくいった試しはないが、本人の希望だからな。
「開け、断罪の扉!
俺がスキル名を叫ぶと足元に巨大な二対の扉が現れた。そしてその扉が開くと僅かな浮遊感を感じて目の前が真っ白になる。これが俺のスキル、
視界が開けると先ほどの男は向かって右側、パーティメンバーと思われる女二人と一緒に座っていて、左側には冴えない男が一人で座っていた。
……いやなんか他にもちっちゃいのが居るな。なんだあれは?
「な、なんだここ……!?僕は確か宿にいたはずなのに……」
「(カンカン!)被告人は静粛に」
俺はガベルを叩いて黙らせる。突然の音に冴えない男はちらりとこちらを見、そして対面を見て表情を変えた。
「ようケント。久しぶりだな」
「ギ、ギル……!?それにリサにエムまで……」
あいつギルって名前なのか。喚くだけで何言ってるかわからんかったからな……。
まあそれはともかく裁判を始めようか。
「ではこれより、原告『紅蓮剣』に対する被告人ケントによる呪い発動の罪についての裁判を始める」
「「は?」」
「原告、および被告人は質問には噓偽りなく正直に答え、無駄に俺にスキルを使わせることのないように」
こうして俺のスキルによる裁判が始まった。
……なお内容は幼稚なものだった。
「だから彼らは僕が貸したTPを返してくれなかったんです」
「戦闘に必要だったんだから仕方ねえだろ!」
「あんたどれだけ私たちが苦労して魔物を倒してきたと思ってるのよ!何もしなかったくせに!」
「そうですそうです~!」
「何を言っているんですか~。借りたものを返すのは極々当然のコ・ト。ご主人様に借りたものを返済できないあんたらが悪いのですよ~~~」
「てめえ!」「何よ!」「何なんですか!」
子供の喧嘩かよ。というか借りたもんは返すのが当たり前だろ。断罪もクソもなくこいつらが悪いわ。
「静粛に!現時点を以て今回の判決を下す!原告、『紅蓮剣』は被告人ケントに対し、借りたTPを素直に返すこと」
俺は判決を下してガベルを叩く。すると『紅蓮剣』のメンバーから何かがケントが持っている豚に吸い込まれていった。
「な、てめえ!何とかしてくれるんじゃなかったのかよ!」
「役立たず!」
「ふざけるなです~!」
「や、やったよティーピー!」
「まあ当然ですね~。SSS級スキルを持ったご主人様が訳の分からないスキルでここに飛ばされたときには少々取り乱しましたが、正義はこちらにあり!ですからね~~~。勝って当然でしたわな~~~」
敗訴した『紅蓮剣』のメンバーはブチ切れてこちらを睨み、勝訴したケントは安堵、ちっこいの……ティーピーはドヤ顔で『紅蓮剣』を煽っていた。
やれやれ……あほくさ。
借りる方が悪い←ここ重要です。覚えておきましょう。