北の聖女と南の聖女に挟まれる一般TSチート始元者 作:始元Υ紳士
翌朝。
カーテンの隙間から射し込む朝日。
その眩しさで、私は目を覚ました。
「……ふぁぁ。よく寝た」
ベッドから起き上がり、大きく伸びをする。
そのまま、トコトコとリビングへと向かった。
そういえば、昨夜のことだ。
深夜に喉が渇いて起きた時、ノルスもサアスも部屋におらず、しかも窓の外では、魔法のド派手な爆発がドッカンバッカン起きていたが……。
(あれは一体、なんだったんだろう……?)
半分寝ぼけた頭で、リビングのドアを開ける。
——その時だった。
「おはようございます、ルーツさん。起床予定時刻よりわずかに遅れていますが、睡眠の質は良好のようですね」
「おっはよー、ルーツちゃん! 寝起きのお顔も天使みたいに可愛いよっ!」
リビングには、エプロン姿の二人。
ノルスとサアスが、何食わぬ顔で並んでいた。
テーブルには、朝食がずらりと並んでいる。
「あ、おはよう二人とも。……って、あれ?」
私は目をこすり、二人の姿をじっと見た。
ノルスが着ている修道服風の制服。
その裾が、なぜかチリチリと黒く焦げている。
サアスの髪の毛先には、なぜかキラキラと輝く氷の結晶がこびりついていた。
「ねえ、二人とも昨夜どこか行ってた? 服が焦げてるし、髪も凍ってるみたいだけど……」
私が恐る恐る尋ねると。
——ピタリ、と。
二人の動きが同時に止まった。
「……いいえ。私めは一晩中、ルーツさんの寝息を計測しておりました(現実改変)……」
「私は夢の中でルーツちゃんと南国のビーチを走り回ってたよ(存在しない記憶)!」
うん……絶対ウソだね?
どっちも目がバッキバキに血走っているし。
(間違いない。この二人、昨夜の当事者だ!)
私の背筋に、ツーッと冷たい汗が流れた。
魔力測定でカンストを叩き出し、夜な夜な聖地の郊外で氷と炎の抗争を繰り広げる特待生。
つまるところだ。
この二人はただの一般人ではない。
——北と南の裏社会から送り込まれた、『非合法な戦闘工作員』か何かに違いない‼︎
(やばい、完全に部屋割りのガチャを外した⁉︎ 下手にツッコんだら消される! ここは気づかないふりをして、全力で話を合わせよう!)
私は自分の平穏な命を守るため、引きつった笑顔で頷いた(自己防衛)。
「そ、そっかあ! なら仕方ないね。うんうん」
私が席に着くと、ノルスがスッと前に進み出た。
「ではルーツさん、本日の朝食でございます。栄養バランスを完璧に計算した、白身魚のポワレと季節の温野菜。そして食後のデザートには、北の氷菓と特製焼きプリンをご用意いたしました」
「わあ、すごい。朝から立派だねえ」
「ええ。朝は一日の規律を作る神聖な時間ですから、朝の『お世話権』は私が掌握しております」
「むぅ……! 朝を譲ったんだから、夕方は絶対に私の時間なんだからね、ノルスちゃん!」
サアスがむすっと頬を膨らませる。
見ると、壁にスケジュール帳が広げられていた。
赤と青のペンで、『境界線』が引かれている。
『朝:ノルス管轄領域』
『夕:サアス管轄領域』
……あの、私の自由時間はいずこへ?
——ドンドンッ!
その時、部屋の扉が乱暴にノックされた。
いや、ノックと同時に扉が勝手に開いた!
「抜き打ち検査です! 特待生ルーツ、あなたの身辺に『不正』がないか、この私が徹底的に調べさせてもらいますわ!」
入り口に仁王立ちしていたのは、ヒルデだった。
手には『不正調査』と書かれたノートがある。
(げっ、王女様が来ちゃったよ! なんでマークされてるの⁉︎ ただの七七点の一般人ですよ!)
「あの、ヒルデさん。私、なにも不正なんてしてないんですけど……」
「お黙りなさい! 魔力七七の凡人が特待生枠にいること自体、そもそもおかしいというのです! 今日一日、あなたの行動をすべて監視し、裏口入学の証拠を……って、あっ」
ヒルデの厳しい追及が、ピタリと止まった。
彼女の青い瞳が、テーブルの端に置かれた『特製の焼きプリン』に吸い寄せられたのだ。
「…………」
ヒルデの喉が、ゴクリと大きく鳴った。
「……ふん。な、なんですの、この黄色くてプルプルした甘美な物体は。朝からこのような糖分の塊を摂取するなど、北の教義における重大な規律違反ですわ!」
「あ、これノルスちゃんが作ってくれたんですけど、二人分くらい余りがあるみたいだから、よかったらヒルデさんも食べます?」
「なっ⁉︎ だ、誰がそんな怠惰の象徴を……! いいでしょう、特待生が毒物を持ち込んでいないか、王族たる私が『毒見』として胃袋に証拠隠滅して差し上げます!」
ヒルデは震える手でスプーンを握りしめた。
そして、目にも留まらぬ速さで口へ運んだ!
「んん〜っ‼︎ この濃厚な卵のコクと、ほろ苦いカラメルのハーモニー……! け、けしからん、実にけしからんことです(もぐもぐ)!」
ほっぺたを押さえて幸せそうに悶絶する王女様。
もはや何をしに来たのか完全に忘れている。
「……あの、不正調査は?」
「本日のところは、不問とします(完食)!」
ヒルデは空になった皿を置くと、満足げに鼻を鳴らして去っていった。
……チョロい。
あまりにもチョロすぎるぞ、北のお姫様。
□■□■□
午前の授業が終わり、ようやく待ちに待った昼休みがやってきた。
私が向かったのは、学園の中央にある巨大食堂——『学食』である。
「さてさて、念願のオニオンリングはっと……」
私はトレイを片手に、カウンターへと並んだ。
ちなみにノルスとサアスは、私の両脇をガードするようにピタリと張り付いている。
「朝が北で、夕が南なら、昼は『中立』ですよ」
「ここで抜け駆けしたら協定違反だからね、ノルスちゃん!」
二人がバチバチと睨み合う中、私は厨房の中を見て、こくりと小首を傾げた。
なぜか学食スタッフは、全員がコック帽の下に『黒いサングラス』をかけ、屈強な体つきをした黒服のおじさんたちばかりだったのだ。
コック帽に黒服は流石に似合わないのでは……?
「お、お待ちしておりました……! 特待生ルーツ様……いえ、一般生徒のルーツ殿!」
「あ、はい。えーと、Aランチの『オニオンリング&オニオングラタンスープ定食』を一つ」
私が注文した、その瞬間。
厨房の黒服スタッフ全員が、同時に「「「ハッ‼︎」」」と直立不動の敬礼をかました。
そして、少しの時間が経ち。
うやうやしく差し出されたオニオンリング。
黄金色に輝く魅力的な食べ物。
それこそが、昨夜の『聖地郊外・玉ねぎ聖戦』の果てに生まれた奇跡の結晶であった!
——遡ること、昨夜の未明。
最後の玉ねぎ一袋を巡って激突した『北』『南』『原理主義』の三陣営。
彼らは夜明け前に、「このまま戦えば玉ねぎがミンチになって誰も料理できなくなる」という冷酷な事実に気づき、緊急の休戦協定を締結した。
北の氷結魔法で涙腺刺激成分だけを凍結除去。
南の炎熱魔法で甘みを極限まで引き出す。
そして原理主義側が買収した腕っぷしのシェフ。
これは、世界一コストのかかった一皿なのだ!
……もちろん、私はそんな血と汗と涙の裏事情など知る由もないが。
「わあ、揚げたてだ! いただきまーす!」
私はテーブルに着くと、さっそくオニオンリングを一つ摘み、サクッと一口かじった。
その瞬間。
厨房の黒服たち、両隣のノルスとサアス、そして遠くの柱の陰からこっそり覗いている学園長たちが、一斉に息を呑んで私の『目元』を凝視した。
(((……な、泣かないか⁉︎ 刺激で涙は出ないか⁉︎ 悲しみのお涙を流されないか⁉︎)))
食堂全体の空気が、張り詰めた糸のようにピーンと凍りつく。
私はモグモグと咀嚼し、ゴクリと飲み込んでから、素直な感想を口にした。
「……うん、美味しい! すごく甘いし、全然ツーンとしないね!」
——パァァァァァッ!
私のその一言で、厨房の黒服のおじさんたちが抱き合って号泣し始めた。
ノルスとサアスも、胸を安堵で撫で下ろす。
なんか遠くのおじさんたちが拍手すらしてる。
いや……たかが学食のフライに何事だよ?
「ルーツさん。相席、よろしいでしょうか」
そこへ、分厚い黒革の『参考書(第七版)』を抱えたミナが、トレイを持ってやってきた。
彼女は自然な流れで私の向かいにストンと座ると、真顔でこう切り出した。
「昼食時に友人と『お弁当のおかずを交換する』のは、ごく『普通』の学園生活における行為です。つきましては、私のこの最高級ステーキと、ルーツさんのオニオンリングを一つ、交換していただけませんか?」
「えっ、交換レートがおかしくない⁉︎」
「いえ。『普通』の等価交換ですので」
ミナは参考書を指差しながら、私の皿に分厚い肉を置き、オニオンリングを一つ丁寧に回収した。
なんだろう……ありがとうございます!(素直)
□■□■□
そして、放課後。
チャイムが鳴り響いた瞬間、私の左腕にむぎゅっと柔らかな感触が押し当てられた。
「はいっ、ここからは私とルーツちゃんの時間でーす! ノルスちゃんは協定通り、寮でお留守番しててねっ!」
「……くっ。夜に少しでも過ぎたら、北の教義に従い実力行使に出ますからね、サアスさん」
氷のような視線を残して去っていくノルスを見送り、私はサアスに引っ張られて学園の外——聖都のおしゃれなオープンカフェへと連れ出された。
「ほらほらルーツちゃん、あーんして! この季節限定のベリータルト、すっごく美味しいよ!」
「んぐっ……! お、美味しいけど、ちょっと食べるペースが早いかもごっ⁉︎」
「いいのいいの! 美味しいものをいっぱい食べて、楽しく笑って過ごすのが一番なんだから!」
サアスは満面の笑みで、次から次へと私の口にスイーツを放り込んでくる。
いわゆる『餌付け』というやつだ。
だが、私はスイーツを味わいながらも、周囲の異様な光景に冷や汗が止まらなかった。
オープンカフェの客席。
そこに座っているお客さんたちが、昼間の学食にいた『黒服サングラスたち』であり、それはもう全く同じ顔ぶれなのだ。
しかも彼らは、私服のトレンチコートにベレー帽という「ぼくのかんがえたさいきょうの一般人変装」に身を包み、カフェラテを前にして全員が新聞紙を逆さまに持って読んでいる!
さらには、向かいの植込みの陰。
そこからは、さっきのヒルデ王女が双眼鏡を覗き込みながら、片手でチュロスをモグモグと頬張っている姿まで丸見えだった。
(……おかしい。絶対におかしいぞ、これ!)
脳内で、警報が鳴り響く。
夜中に魔法で戦うルームメイト(戦闘工作員)。
私の動きを全て監視する黒服軍団。
こちらをモグモグしながら監視する王女様。
(まさか……私が生まれた時に使った『奇跡』が、感づかれていた……? いや、もしそうなら接触はもっと早かったはず。考えても何も答えは出ない……。だが一つだけ確かなのは、この状況は間違いなく異常ということ……)
得体の知れぬ緊張感が、喉元を締め付けた。
(誓って私は何もしておりません‼︎)
---
一方その頃、オープンカフェの隅のテーブル。
一般客に変装した(つもりの)原理主義教団の黒服たちは、逆さまの新聞紙の陰でこそこそと小声で口論を繰り広げていた。
「……班長。南の聖女が、あのお方にタルトを三皿も食べさせております。このままでは南の『享楽教義』に染められてしまうのでは……?」
「落ち着け。我々の任務はあくまで『あのお方がお涙を流されないよう見守ること』だ。うかつに介入してご機嫌を損ねたらどうする」
「し、しかし! 先ほど私が注文したこの『激辛アラビアータ』、この湯気がずっと目に染みて私の涙が止まらないのですが⁉︎」
「バカ野郎! なぜそんな危険物を頼んだ! 今すぐテーブルごと異空間へ転送して隠滅しろ!」
黒服たちがパニックになり、テーブルの下で魔導陣を展開しようとした、その時——。
植込みの陰で双眼鏡を覗いていたヒルデ王女が、手元の『不正調査ノート』をパタンと閉じた。
「……なるほど、見えましたわ。特待生ルーツを囲むあの二人の異常な護衛ぶり、周囲を固める謎の黒服たち……」
ヒルデはチュロスの最後のひと口を飲み込み、口の端についた砂糖をハンカチで拭き取りながら、そっと静かな声で呟いた。
「あの三人、ただの平民ではありませんわ」
そしてヒルデは考察を続ける。
「特に、横にいるあの二人の特待生……! 親が敬虔すぎて五人に一人が名付けるというありふれた『ノルス』と『サアス』の名ではありますが、魔力は測定上限の『一〇〇〇』……!」
そこでヒルデの脳内に、一つの完璧な(そして致命的にズレてもいる)推理が閃いた。
「まさか……本物の聖女様が、あんな平民の特待生枠に紛れているはずがありません。つまりあれは、学園長が北と南の目を盗んで極秘裏に育成している、『特務工作員』に違いありませんわ!」
そして、その最強工作員二人が、片時も離れずに護衛している少女——魔力『七七』のルーツ。
「間違いありません……! あのルーツという少女こそ、学園長が聖地の覇権を握るために用意した『裏の切り札』! これは私一人では手に負えませんね。——協力を仰ぐことにしましょう!」
□■□■□
——夕暮れ時。
校舎の最上階にある特別室。
コン、コン。
ヒルデが重厚な木の扉をノックするが、中からの返事はない。
「失礼しますわよ、カイル卿」
ため息をつきながら扉を開けると、そこには夕日に照らされた広々とした部屋があった。
そこにある窓際の長椅子には、一人の少年がだらしなく寝そべっている。
少し癖のある赤銅色の髪に、端正な顔立ち。
南の教国において最高位の貴族である公爵家の嫡男にして、南側生徒の代表格——『カイル』。
「……すぴー……すぴー……」
「起きなさい、この怠惰の権化! まだ日も沈んでおりませんわよ!」
ヒルデが容赦なくカーテンを開け放つ。
眩しい西日を浴びたカイルは、うっすらと目を開け、大きなあくびを一つした。
「……ふぁぁ。なんだ、ヒルデ王女か。せっかく気持ちよく昼寝してたのに……南の教義じゃ『眠い時に寝るのも神への奉仕』って決まってるんだけどなあ」
「いいえ、南の教義は『起きて祭りを楽しめ』でしょうが! あなたは南の代表のくせに、いつもそうやって寝てばかり……!」
そう、このカイルという男。
情熱と享楽の国・南の貴公子でありながら、実は騒がしいパーティーや祭りが大の苦手で、『早寝早起きと静寂』を何よりも愛する、極めて北寄りな体質の持ち主だったのである。
「うるさいなあ……。で、北のお姫様が、わざわざ僕に何の用?」
「ふん。あなたにも関わる重大な案件ですわ」
ヒルデは歩み寄ると、カイルの目の前に『不正調査ノート』をドンッと突きつけた。
「今年の特待生三人——特にあの『ルーツ』という少女についてです。魔力測定では『七七』という凡庸な数値を出しながら、学園長直属の黒服たちが二十四時間体制で彼女を護衛し、他の二人の特待生がまるで従者のように傅いています!」
「ふーん……? まあ、どこかの大貴族の隠し子か何かじゃないの?」
「いいえ! 私の調査によれば、昨日、聖地中の食料庫から『玉ねぎ』が一斉に消滅し、今朝彼女が学食で玉ねぎ料理を所望した瞬間、黒服たちが涙を流して敬礼したのです! これは間違いなく、玉ねぎを暗号とした国家規模の陰謀!」
「……玉ねぎ?」
カイルは半分閉じた目で、心底どうでもよさそうに頭を掻いた。
「考えすぎじゃない? ただその子が玉ねぎ好きなだけだと思うけど」
「そんなわけがありません! とにかく、明日の合同授業『宗教史』で、彼女の正体を暴きますわよ! もし彼女が学園長の送り込んだスパイなら、北と南の教義問答をぶつければ、必ずボロを出すはずですわ!」
「えぇー……明日の『宗教史』? あれ、一〇〇〇年前と五〇〇年前の預言者様の言葉を巡って、北と南の生徒が毎回バチバチに口喧嘩する一番めんどくさい授業じゃないか。僕、明日は後ろの席で隠れてる予定なんだけど……」
「隠れるんじゃありません! あなたも南の代表として、少しは危機感を持ちなさい!」
ガミガミと怒鳴るヒルデを前に、カイルは「やれやれ」と肩をすくめて再び目を閉じた。
---
一方、同じ時刻。
学園長室の隠し地下室では。
昼間の学食で『ミナ』が丁寧に回収してきた、ルーツのオニオンリング一個が、厳重なガラスケースの中に納められ、丁重に祀られていた。
「おお……見よ、この神々しい輝きを……! あのお方が直々にお選びになり、皿の上で息吹を浴びた『聖遺物』……! これぞ、我ら原理主義教団の新たな国宝である‼︎」
白髪の学園長をはじめとする老人たちが、揚げ物の前で心からの祈りを捧げている。
「して、明日の予定はどうなっておるか?」
「はっ! 明日は一時間目より、北と南の合同科目『宗教史』にてございます!」
その言葉に、学園長がガバッと顔を上げた。
「宗教史だと⁉︎ まずい、あの授業は北の『禁欲教義』と南の『享楽教義』のどちらが正しいか、生徒たちが血眼で議論する場ではないか!」
「さようでございます。もしあのお方の御前で、一〇〇〇年前と五〇〇年前の『神託』の解釈違いを巡って醜い争いが起きれば……あのお方は自分の言葉が曲解されていることに嘆かれ、今度こそ終末の涙を流されるやもしれません!」
「うおおおっ、なんたる危機! 担当教師に命じよ! 明日の授業では、少しでもあのお方が不快な顔をされたら、即座に学園のチャイムを鳴らして強制終了させるのだ!」
□■□■□
そして、その頃の私はというと。
「……はっくしょん!」
寮の自分のベッドの上で、ゴロゴロしていた。
夕方の門限ちょうどにサアスからノルスへと『身柄の引き渡し』が行われ、今はノルスの淹れた温かいお茶を飲んで一息ついているところだ。
「ルーツさん、くしゃみをされましたね? 室温が少し下がっております。ただちに毛布を三枚追加し、部屋の湿度も引き上げましょう」
「いや、過保護すぎる⁉︎」
とまあ、私は苦笑いを浮かべながら、明日の時間割表に目を落とした。
「えー、明日の授業は……『宗教史』、か」
どうやら、この世界の歴史や宗教について学べる、基礎的な座学らしい。
(まあ、座って先生の話を聞いてるだけの授業なら、一番安全で安心だな! うん、明日は絶対に平和な一日になるぞ!)
お茶をもう一口含み、ベッドに再び転がる。
その授業で扱われる『歴史上の偉大なる聖女』というのが、一〇〇〇年前と五〇〇年前に適当なことを自分が言い散らかした『彼女たち』であることを、忘却の彼方に置き去りにしたままで——。
「いや待てよ、宗教史ってもしかして私のことも……? うわ休も(即落ち)」
すいません第四話見た方、記憶をなかったことにしてくださいOrz
投稿時間を間違えるという痛恨のミス……!