勇者連隊戦記   作:バグスター

30 / 39
帝国歴232年1月


第07章 新年
第1節 エレナと高橋


新しい年を迎えたベルノの街は、朝から華やかな賑わいに包まれていた。

 

冬の冷たい空気の中、家々の軒先には色鮮やかな飾りが掛けられ、通りには新年を祝う人々が溢れている。普段は荷馬車や商人が行き交う大通りも、今日は家族連れや晴れ着姿の若者たちが目立った。露店からは焼いた肉の香ばしい匂いが漂い、酒場の扉からは陽気な歌声が聞こえてくる。

 

ベルノ連隊でも、新年に合わせて三日間の休暇が与えられていた。

 

前年末、連隊では新兵の休日外出制限が緩和され、二等兵にも条件付きで外出が認められるようになった。もちろん所属長の許可は必要で、指定時刻までの帰営も義務づけられている。二等兵に限っては外出中も軍服を着用しなければならなかったが、それでも半年近く兵舎と訓練場を往復する生活を送ってきた新兵たちには、待ち望んだ休日だった。

 

高橋亘一も、その恩恵を受けた一人だった。

 

彼は今、浸透偵察小隊のエレナ・ヴァルデン伍長と待ち合わせ、ベルノの中心街へ出かけようとしていた。

 

待ち合わせ場所に到着した高橋は、辺りを見回した。休日の兵士たちが次々に駐屯地を出ていく中、エレナの姿を探したが見当たらない。

 

「亘一、こっちよ」

 

名前を呼ばれて振り向くと、金髪の女性がこちらへ歩いてきた。冬物の上着に長めのスカートを合わせ、普段とは随分と違う雰囲気だった。

 

「あ、エレナさん!」

 

高橋は一瞬、誰だか分からなかった。

 

「何よ、その驚いた顔は」

 

「いや、いつもと格好が違うので……」

 

エレナは自分の服装を見下ろしてから、楽しそうに笑った。

 

「私だって休日くらい私服を着るわよ。亘一は私の軍服姿しか知らないものね」

 

確かにそうだった。長い金髪と青い瞳、すらりとした面長の顔立ちはいつものエレナなのだが、軍服を脱いだだけで随分と印象が変わっていた。

 

「それじゃあ、行きましょうか」

 

エレナはそう言って歩き出した。高橋も慌てて後に続く。

 

「今日はどこへ行くんですか?」

 

「まずは中心街ね。旧王宮の広場で伯爵様の新年の挨拶があるの。その前に、少し街を見て回りましょう」

 

エレナは人混みの向こうを指さし、慣れた様子で露店の間を抜けていった。高橋は道行く人々にぶつからないよう気をつけながら、その後を追った。

 

「ずいぶん賑やかですね。いつもこんな感じなんですか?」

 

「まさか。新年だからよ。今日は街中がお祝いしてるの」

 

ベルノへ戻ってから何か月も経っているが、高橋がこうしてゆっくり市街地を歩くのは初めてだった。これまでは訓練と任務ばかりで、街そのものを知る機会がほとんどなかったのである。

 

通りの両側には、菓子や肉料理、日用品を並べた露店が続いていた。商人たちは威勢のよい声で客を呼び込み、子供たちは買ってもらった菓子を手に人混みを走り回っている。そんな光景を眺めながら歩いていると、焼き菓子の甘い匂いが高橋の鼻をくすぐった。

 

「亘一、何か食べる?」

 

「そうですね。あれ、おいしそうですね」

 

高橋が指さした先では、店主が熱した鉄板の上で丸い菓子を焼いていた。焼き上がったものを紙に包んで客へ渡しており、店の前には小さな列ができている。

 

「じゃあ、買いましょうか」

 

高橋は軍服のポケットから財布を取り出した。中には、軍に入ってから受け取った給与の一部が入っている。貨幣の種類や価値は訓練中に教わっていたが、実際に使う機会はほとんどなかった。

 

「そういえば、こうしてお金を使うの、初めてなんですよ」

 

「あら、そうなの?」

 

「はい。給料はずっともらってたんですけど、今まで外出できませんでしたから」

 

「そうだったわね。新兵は何かと制限が多いものね」

 

高橋は店主に菓子を二つ注文し、覚えたばかりの貨幣を数えて代金を支払った。日本にいた頃なら何でもない買い物だったが、異世界の街で自分の稼いだ金を使うという行為に、何となく不思議な感覚を覚えた。

 

受け取った菓子はまだ温かく、包み紙越しにも熱が伝わってくる。

 

「エレナさん、どうぞ」

 

「あら、私の分まで買ってくれたの?」

 

「はい。いつもお世話になってますから」

 

エレナは少し驚いた顔をしたあと、嬉しそうに微笑んだ。

 

「ありがとう、亘一。遠慮なくいただくわ」

 

二人は菓子を食べながら歩き出した。焼きたての生地は表面が香ばしく、中は柔らかい。高橋が思わず笑顔になると、エレナも満足そうに頷いた。

 

兵舎では、彼女は高橋の訓練や任務に責任を持つ班長だった。しかし今日のエレナは、久しぶりに故郷の街を楽しむ一人の女性に見えた。高橋も軍務のことを忘れ、初めて見る店や建物について次々に質問した。

 

そんな二人の様子は、傍目には休日を楽しむ恋人同士のようでもあった。

 

もっとも、当人たちにはまったくそんな自覚はなかった。

 

中心街を抜けると、視界が大きく開けた。

 

旧王宮前広場である。

 

正面には重厚な石造りの建物がそびえ、広場を囲むように商店や役所の建物が並んでいた。王宮だった時代の名残なのか、建物の正面には細かな装飾が施され、入口へ続く石段の両側には立派な彫像が置かれている。

 

広場にはすでに大勢の人々が集まっていた。人間だけでなく、エルフの姿も多い。子供を肩車した父親や、談笑する老人たち、休日を楽しむ兵士の一団などが、それぞれに新年の賑わいを楽しんでいる。

 

「エレナさん、あの大きな建物は何ですか?」

 

「昔のエルディア王国の王宮よ。今は役所として使われているけどね」

 

「へえ、王宮だったんですか」

 

高橋は改めて建物を見上げた。

 

日本で見た西洋の城や宮殿とは少し違うが、かつて王族が暮らしていたと言われれば納得できる風格がある。その前に帝国の軍服を着た兵士たちが立っている光景は、この国の歴史を知らない高橋には少し不思議にも思えた。

 

「今日はここで伯爵様の新年の挨拶があるのよ」

 

「オリヴィエ大佐ですか?」

 

「そう。今日は連隊長じゃなくて、領主としてのご挨拶ね」

 

エレナが答えたところで、背後から聞き覚えのある声がした。

 

「あら、高橋君?」

 

高橋が振り向くと、人混みの中に丸眼鏡をかけた小柄な女性が立っていた。その周囲には、日本人の女子生徒たちが何人も集まっている。

 

「水野先生!」

 

「やっぱり高橋君だ!」

 

水野香織は嬉しそうに近づいてきた。黒髪と丸眼鏡は日本にいた頃と変わらず、高橋も思わず笑顔になる。

 

「あ、高橋君。久しぶり」

 

水野の後ろから声をかけたのは、委員長の伊藤千尋だった。

 

「伊藤さん! 久しぶり」

 

千尋の隣には、少し年上に見える女性が立っていた。ゆったりとした冬服を着ているが、その下のお腹が大きく膨らんでいるのが分かる。人混みの中で押されないよう、千尋がさりげなく姉の側に立っていた。

 

高橋が視線を向けると、千尋が気づいて紹介した。

 

「あ、高橋君。こちら、私のお姉ちゃん。伊藤和江です」

 

「初めまして。伊藤和江です。千尋がお世話になっています」

 

和江は大きなお腹に片手を添えながら、穏やかに微笑んだ。

 

「高橋亘一です。初めまして」

 

「千尋から話は聞いてるわ。同じ第20期なのよね」

 

「はい。お姉さんは第17期だそうですね」

 

「ええ。今は軍務をお休みしているけどね」

 

和江は自分のお腹を見下ろして、少し笑った。

 

「この子が生まれるまでは、しばらくお休みよ」

 

高橋は何と答えればよいのか迷ったが、千尋が以前、姉の消息を心配していたことを思い出した。

 

「お姉さんに会えて、伊藤さんもよかったですね」

 

「うん。本当に」

 

千尋は嬉しそうに頷いた。

 

水野も二人を眺めながら微笑んでいたが、そこで高橋の隣に立つエレナに気づいた。

 

「ところで高橋君、こちらの方は?」

 

「ああ、エレナ伍長です。僕の班長です」

 

紹介されたエレナは、軽く会釈した。

 

「エレナ・ヴァルデンです。亘一がお世話になっていたんですね」

 

「水野香織です。日本ではこの子たちの先生をしていました」

 

水野も丁寧に挨拶を返したが、すぐに教師らしい表情に戻った。

 

「高橋君、ちゃんとやってますか? あまり要領のいい子ではないので、少し心配してたんです」

 

「先生、それは……」

 

高橋が困った顔をすると、エレナは楽しそうに笑った。

 

「大丈夫ですよ。とても頑張ってます。まだ覚えることは多いですけど、真面目で素直な子ですから」

 

「そうですか。それを聞いて安心しました」

 

高橋は二人の会話を聞きながら、何となく居心地の悪さを感じていた。日本にいた頃の教師と、現在の班長が自分について話しているのである。何も悪いことをしていないのに、妙に落ち着かなかった。

 

その様子を見て、千尋が小さく笑った。

 

「高橋君、浸透偵察小隊に配属されたって聞いて驚いたわ」

 

「僕も驚いたよ」

 

「日本人では初めてなんでしょう?」

 

「うん。そうらしいね」

 

「大変じゃない?」

 

「大変だけど、みんな親切だから」

 

高橋がそう答えると、エレナは隣で満足そうに頷いた。

 

そのとき、広場の奥で人々が動き始めた。

 

旧王宮正面に設けられた壇上では、役人たちが最終的な準備を進めている。警備の兵士が人々を誘導し、最前列では子供を連れた親たちが場所を譲り合っていた。

 

「そろそろ始まるみたいね」

 

水野の言葉に、一同は壇上へ向き直った。

 

やがて役人の紹介に続き、一人の女性が姿を現した。

 

淡い桃色がかった金髪を背中まで伸ばした、柔らかな顔立ちの女性だった。軍服ではなく、領主としての華やかな装いに身を包んでいる。

 

オリヴィエ・フォン・ベルノ伯爵である。

 

広場から歓声が上がった。

 

オリヴィエは笑顔で手を振り、集まった領民たちに向かって新年の挨拶を始めた。

 

「ベルノの皆さん。新年おめでとうございます」

 

明るく、よく通る声が広場に響いた。離れた場所にいた人々も、自然と話をやめて壇上へ顔を向ける。

 

「昨年も決して楽な一年ではありませんでした。戦争は続き、多くの方々に負担をお願いしています」

 

オリヴィエは一度言葉を区切り、広場を見渡した。

 

「それでも、こうして新しい年を迎えることができました。皆さんが日々働き、家族を守り、この街を支えてくださっているおかげです」

 

壇上に立つ彼女の表情は穏やかだった。戦争の話題にも触れてはいたが、領民の前で必要以上に暗い話をするつもりはないらしい。

 

「私は、このベルノが皆さんにとって安心して暮らせる場所であり続けるよう、今年も力を尽くしてまいります」

 

そして最後には、普段の柔らかな笑顔を浮かべた。

 

「今日は新年です。難しい話はこれくらいにしましょう。せっかくのお祝いですから、どうぞ皆さん、楽しい一日をお過ごしください」

 

広場から大きな拍手が湧き起こった。

 

高橋も周囲に合わせて拍手を送りながら、壇上のオリヴィエを眺めていた。連隊長として訓示を述べるときとは服装も雰囲気も違うが、優しそうな印象は同じだった。

 

「優しそうな人ですね」

 

「そうね」

 

エレナも頷いた。

 

もっとも、彼女はヴァルター少佐から少し違う話を聞いていた。

 

オリヴィエはかなり勝気で、身内の前では遠慮のない物言いをするお嬢様なのだという。しかしエレナ自身、オリヴィエと直接言葉を交わしたことはなく、今の穏やかな姿からはとても想像できなかった。

 

やがて拍手が収まると、旧王宮の扉から二人のエルフの女性が姿を現した。

 

先ほどとは違う歓声が、広場のあちこちから上がった。

 

二人とも美しい衣装をまとい、落ち着いた足取りで壇上へ進んでいく。先頭に立つ女性には、長い年月を生きてきた者だけが持つような、静かな威厳が感じられた。

 

「亘一、あちらがクリスタ女王陛下よ」

 

エレナが小声で教えた。

 

「へえ……」

 

高橋は壇上の女性を見つめた。

 

かつてこの地を治めていたエルディア王国の女王。現在は政治を行っていないとはいえ、こうして王宮の前に姿を現せば、領民たちから大きな歓声が上がる。今でも人々に敬愛されていることが、高橋にも分かった。

 

その隣には、もう一人、美しいエルフの女性が立っていた。

 

「エレナさん、隣の人は?」

 

「クレア王太女よ。アウレリア大尉のお母様ね」

 

「えっ、お母さん?」

 

思わず声が大きくなった。

 

エレナが不思議そうに高橋を見る。

 

「そうよ。どうかした?」

 

「いや……てっきりアウレリア大尉のお姉さんかと思いました」

 

高橋は改めてクレア王太女を見た。

 

アウレリア大尉も若々しい容姿をしていたが、その母親だという女性も、見た目だけならそれほど年齢が離れているようには思えない。

 

エレナは口元に手を当て、くすくす笑った。

 

「ふふ。エルフの年齢は見た目じゃ分からないでしょう?」

 

「そうですね……」

 

高橋は素直に頷いた。

 

周囲にはエルフの家族連れも多かったが、親子なのか兄弟姉妹なのか、見ただけでは判断がつかない人たちがいた。人間とは異なる時間を生きる種族なのだと、改めて実感させられた。

 

やがてクリスタ女王が一歩前へ進み、エルフ語で新年の挨拶を始めた。

 

その声が響くと、広場のエルフたちは静かに耳を傾けた。高橋も何とか聞き取ろうとしたが、分かるのは覚えたばかりの単語がいくつかある程度だった。

 

エレナが時折、声を潜めて内容を教えてくれた。

 

女王はエルディアの長い歴史に触れ、この地に暮らすすべての人々の平穏を願っていた。そして、王国時代から続く人間とエルフの交流や、ベルノ伯爵家との長年の友情についても語った。

 

女王の言葉が終わると、オリヴィエが歩み寄った。

 

二人は親しげに言葉を交わし、並んで領民たちに手を振った。その後ろにはクレア王太女が穏やかな笑顔で立っている。

 

再び広場が大きな拍手に包まれた。

 

「ずいぶん仲がいいんですね」

 

高橋が呟くと、エレナは壇上を見ながら頷いた。

 

「昔からそうなのよ。エルディア王国は戦争で滅ぼされたわけじゃないから」

 

「そうなんですか?」

 

「ええ。帝国に加わるときも話し合いで決まったの。ベルノ家はその交渉にも関わっていたそうよ」

 

高橋はもう一度、旧王宮を見上げた。

 

王国はなくなっても、王家は残っている。その王家と帝国の領主が、同じ壇上で新年を祝っている。

 

日本で習った歴史とは少し違う、複雑な成り立ちを持つ国なのだと思った。

 

やがて式典が終わり、広場には再び賑やかな話し声が戻ってきた。壇上の人々が旧王宮へ引き上げると、観衆もそれぞれの目的地へ散り始める。

 

水野たちも別の通りへ向かうことになった。

 

「高橋君、またね。元気で頑張るのよ」

 

水野が笑顔で手を振った。

 

「はい、先生」

 

「エレナさん、高橋君をよろしくお願いします」

 

「ええ。任せてください」

 

エレナが答えると、水野は安心した様子で女子生徒たちを連れて歩き出した。

 

千尋も振り返って手を振った。

 

「高橋君、またね!」

 

「うん、また!」

 

人混みの中に彼女たちの姿が消えるまで見送ってから、高橋はエレナとともに歩き出した。

 

広場から続く通りは、式典を終えた人々で先ほど以上に賑わっていた。

 

露店の前には買い物客が集まり、酒場からは陽気な歌声が聞こえてくる。高橋は店先に並ぶ品物を眺めながら歩いていたが、ふと前方から近づいてくる四人の女性に目を留めた。

 

いずれもエルフの女性で、冬物の外套や上着を着ていた。先頭の女性は短く切りそろえた黒髪で、背筋を伸ばして堂々と歩いている。服装こそ普通の街の女性と変わらないが、その凛々しい顔立ちと落ち着いた身のこなしは、どこか軍人めいた印象を与えた。

 

後ろの三人もそれぞれ私服姿だった。一人は周囲の店を興味深そうに眺め、一人は仲間と楽しげに話し、もう一人はどこか気の抜けた様子で歩いている。

 

高橋は四人を眺めながら、どこかで見たような気がした。

 

だが、すぐには思い出せなかった。

 

「あら、エレナじゃない」

 

先頭の黒髪の女性が声をかけた。エルフ語だった。

 

エレナが振り向き、嬉しそうに手を上げた。

 

「あら、フリーダ! みんなも来てたのね」

 

その名前を聞いて、高橋は思わず四人を見直した。

 

「えっ、フリーダさん?」

 

そこに立っていたのは、フリーダ・ベルガー、イルマ・ケルナー、リーナ・フォルスト、ゾフィー・ハルトマンだった。

 

浸透偵察小隊で毎日のように顔を合わせている仲間たちである。いつもは軍服を着て、武器や装備を身につけている四人が、今日は揃って私服で歩いている。

 

フリーダが高橋の反応に気づき、少し呆れたように笑った。

 

「何よ、亘一。私だって分からなかった?」

 

「すみません。いつもと雰囲気が違ったので」

 

「ふふ。軍服を脱いだくらいで分からなくなるなんて、困った子ね」

 

フリーダはそう言いながらも、どこか楽しそうだった。

 

短い黒髪と凛々しい顔立ちはいつもと変わらない。面倒見のよい姉貴といった雰囲気は、軍服を着ていなくても健在だった。

 

「新年だもの。せっかくの休暇だしね。あなたたちも街を見に来たの?」

 

フリーダが尋ねると、エレナは頷いた。

 

「ええ。亘一がまだゆっくり見て回ったことがないから、案内してたのよ」

 

「そういえば、亘一はベルノに来てから訓練ばかりだったものね」

 

フリーダは納得したように頷いた。

 

その隣で、イルマが高橋に気づいた。

 

「あ、エレナのかわいい子」

 

いつもの短いエルフ語だった。

 

高橋は思わず顔を上げた。

 

「……かわいい?」

 

イルマが頷く。

 

「うん。かわいい」

 

「俺が?」

 

「そう」

 

「男だよ?」

 

「知ってる」

 

イルマは真顔で高橋を見つめた。

 

「小さい。若い。かわいい」

 

高橋は返す言葉に困った。

 

その様子を見ていたリーナが吹き出した。

 

「イルマ、本人に聞こえてるじゃない」

 

ところがフリーダは、別のことに驚いていた。

 

「ちょっと待って。亘一、今イルマとエルフ語で話してた?」

 

「はい。少しだけなら」

 

「もう会話できるの?」

 

高橋は少し考えてから答えた。

 

「イルマさんの言葉は短いから分かるんです」

 

フリーダは二人を見比べた。

 

イルマはもともと口数が少なく、必要なことしか話さない。言葉を省略する癖もあり、長々と説明することを好まなかった。

 

高橋には、それがかえって都合よかったらしい。

 

「……なるほど。本当に会話になってるわね」

 

フリーダが感心すると、エレナは楽しそうに笑った。

 

「意外な組み合わせだったわ」

 

「本当ね。私が普通に話しても、まだほとんど分からないのに」

 

イルマはそんな二人の会話を気にする様子もなく、高橋の袖を引いた。

 

「高橋。こっちに来る」

 

「どこに?」

 

「こっち」

 

イルマが指さした先には、広場に面した酒場があった。大きな扉が開け放たれ、店内からは笑い声と食器の触れ合う音が聞こえている。

 

「とりあえず飲む。新年祝う」

 

「俺、酒は飲んだことない」

 

「高橋、成人。問題ない」

 

イルマは当然のように言った。

 

帝国では、召喚された日本人も成人として扱われる。高橋も軍務につき、給与を受け取り、帝国の法律上は一人前の大人だった。

 

しかし、日本にいた頃は高校生である。酒など飲んだことがなかった。

 

フリーダが苦笑した。

 

「亘一、無理して飲まなくてもいいのよ」

 

「いえ、せっかくなので、ちょっと飲んでみます」

 

高橋が答えると、イルマは満足そうに頷いた。

 

「よし」

 

一行は人々の間を抜け、酒場へ入った。

 

店内は外の寒さを忘れるほど暖かかった。暖炉には火が入り、肉を焼く匂いと酒の香りが漂っている。長い木のテーブルには、休日を楽しむ兵士や街の住民たちが肩を並べていた。

 

空いている席を見つけると、イルマは早速店員を呼んだ。

 

しばらくして、高橋の前に麦酒の入った杯が置かれた。

 

金色の液体の上に白い泡が浮かんでいる。高橋は恐る恐る杯を持ち上げ、一口飲んでみた。

 

「……あれ?」

 

思っていたよりも飲みやすかった。

 

麦の香りと少しの苦味があり、喉を通ると独特の爽快感が残る。日本で嗅いだことのある酒の匂いとは違ったが、嫌な感じはしなかった。

 

「……おいしいですね、これ」

 

イルマが顔を上げた。

 

「うまい?」

 

「うん。うまい」

 

「よかった」

 

イルマは満足そうに頷いた。

 

「乾杯」

 

「乾杯」

 

二人は杯を合わせた。

 

エレナはその様子を眺めながら、初めて飲む酒を気に入ったらしい高橋に微笑んだ。

 

少しくらいなら、新年のお祝いとして悪くないだろう。

 

このときは、そう思っていた。

 

酒場の奥には、いくつかの大きなテーブルが並んでいた。

 

高橋が杯を置いて店内を見回していると、その一角に見覚えのある軍服姿を見つけた。

 

「あれ? 石井軍曹?」

 

声をかけると、テーブルの向こうから顔を上げた男が、驚いたように目を丸くした。

 

「おお、高橋じゃないか!」

 

石井軍曹だった。

 

その周囲にはロイ、リース、サクも座っている。テーブルには料理の皿や酒の杯が並び、すでに随分と賑やかに飲んでいたらしい。

 

「高橋!」

 

サクが勢いよく立ち上がった。

 

「サク! 久しぶり!」

 

「全然顔を見なかったっすから、どうしてるのかと思ってたっすよ!」

 

「そっちも元気そうだな」

 

「元気っす!」

 

サクは嬉しそうに笑い、高橋の肩を軽く叩いた。

 

訓練中はよく顔を合わせていた仲間だったが、配属後は所属する部隊が違い、なかなか会う機会がなかった。

 

「お前、浸透偵察に行ってからどうしてたんだ?」

 

石井が尋ねた。

 

「山で訓練ばかりですよ」

 

「そうか。あそこは厳しいって聞くからな」

 

石井は頷いたところで、高橋の隣に立つエレナに気づいた。

 

少し身を寄せ、日本語で小声になる。

 

「高橋、おまえの上司か? えらい美人だな」

 

「え? あ、はい。エレナ伍長です。僕の班長です」

 

「ほう。浸透偵察小隊の?」

 

「はい」

 

石井はエレナに向き直り、帝国共通語で挨拶した。

 

高橋が日本人として初めて浸透偵察小隊へ配属されたことは、石井も知っていた。しかし、そもそも連隊の一般兵にとって、浸透偵察小隊は接する機会の少ない部隊だった。

 

その隊員がどのような人物なのか、石井も詳しくは知らなかったのである。

 

「高橋がお世話になっています」

 

「こちらこそ。亘一には頑張ってもらってますよ」

 

エレナが微笑んで答えると、石井も満足そうに頷いた。

 

そして、二人を交互に見た。

 

「ところで高橋、今日は二人で?」

 

「はい。エレナさんが街を案内してくれることになって」

 

「なるほどなあ」

 

石井は何やら納得したように、にやりと笑った。

 

高橋には、その意味が分からなかった。

 

そのとき、少し離れた席から大きな声が上がった。

 

「おっ、高橋じゃん!」

 

振り向くと、山田直樹が手を振っていた。

 

その隣には井上翔太、川崎晴斗、岡田修平がいる。岡田の近くにはリュージュの姿もあった。

 

「山田! 井上! 川崎も! 岡田もいたんだ」

 

高橋は驚いた。

 

新年休暇で街へ出た日本人たちが、同じ酒場に集まっていたらしい。広場の周囲にはいくつも酒場があったが、兵士たちが入りやすい店は自然と限られるのだろう。

 

井上が笑いながら声をかけた。

 

「お前、何やってんだよ!」

 

「新年のお祝いだよ」

 

「そりゃそうだろうけどさ」

 

井上は言いかけて、高橋の周囲に立つ女性たちに気づいた。

 

そして何とも言えない顔になった。

 

山田の反応は、さらに大げさだった。

 

「……なあ、井上」

 

「何だよ」

 

「エルフだぞ」

 

「見りゃ分かるよ」

 

「エルフが五人もいるぞ!」

 

山田は目を輝かせていた。

 

「しかも全員美人じゃん!」

 

井上は呆れたようにため息をついた。

 

「高橋! お前、毎日この人たちと一緒なのか?」

 

「うん。同じ小隊だから」

 

「なんだよ、この格差!」

 

「何が?」

 

高橋は本気で分からない様子だった。

 

その表情を見て、川崎が笑い出した。

 

「山田、お前さっきもこんな調子だったじゃないか」

 

「何がだよ!」

 

「クリスタ女王の挨拶のときだよ。お前一人で興奮して恥ずかしかったわ」

 

「おい、川崎!」

 

山田は慌てたが、川崎は構わず続けた。

 

「女王様が出てきた途端、すげえ勢いで騒ぎ始めたんだぜ」

 

「だって本物のエルフの女王だぞ! しかも王宮の前で挨拶してるんだぞ! 感動するだろ!」

 

「お前、話の内容も分かってなかったじゃないか」

 

井上が呆れたように言った。

 

「雰囲気が大事なんだよ!」

 

日本人たちの間に笑いが起こった。

 

周囲のエルフたちには日本語の会話が分からないため、何がそんなに面白いのかと不思議そうに眺めている。

 

高橋が大まかな事情を説明すると、リーナも面白そうに山田を見た。

 

「亘一の同期って、面白い子が多いのね」

 

「そうですか?」

 

「ええ。見ていて飽きないわ」

 

山田はまだ何か言いたそうだったが、井上と川崎にからかわれ、ようやく少し落ち着いた。

 

代わってリュージュが高橋に声をかけた。

 

「高橋、久しぶり!」

 

「リュージュも元気そうだね」

 

「うん!」

 

リュージュは嬉しそうに椅子を寄せた。

 

小柄な体に明るい金髪。訓練時代と変わらない人懐っこい笑顔だった。

 

「覚えてる? 高橋と水野先生とサク、みんな寝台が近かったでしょう」

 

「ああ、覚えてるよ」

 

「よく話してたよね」

 

「うん。みんな片言の帝国共通語だったけど」

 

「そうそう!」

 

リュージュは懐かしそうに笑った。

 

訓練所では日本人と現地新兵が一緒に生活していたが、最初の頃は言葉がほとんど通じなかった。それでも身振り手振りで会話し、少しずつ言葉を覚えていったのである。

 

わずか半年ほど前のことなのに、随分昔の出来事に思えた。

 

そんな中、イルマが高橋の杯に目を向けた。

 

「高橋。飲む?」

 

「うん。飲む」

 

「おいしい?」

 

「うん。おいしい」

 

何気ない短いやり取りだったが、リュージュが不意に目を丸くした。

 

「……高橋、今エルフ語で話した?」

 

「うん。少しだけ」

 

「ええっ! いつの間に覚えたの?」

 

「浸透偵察小隊に入ってからだよ」

 

「すごいね! 訓練の頃は帝国共通語で話してたのに!」

 

リュージュは嬉しそうに身を乗り出した。

 

高橋も笑った。

 

「まだ短い言葉しか分からないよ」

 

「そうなの?」

 

リュージュは早速、エルフ語で質問を始めた。

 

ところが、彼女の話し方はイルマとはまるで違った。久しぶりに会った高橋に聞きたいことがいくつもあるらしく、言葉が次々に出てくる。

 

高橋は最初のうちは頷いていたものの、途中から困った顔になった。

 

「……ごめん、分からない」

 

「え? さっきは話せてたのに?」

 

リュージュが首を傾げた。

 

横からイルマが口を挟んだ。

 

「リュージュ。長い」

 

「え?」

 

「高橋、分からない」

 

リュージュは一瞬きょとんとしたが、すぐに笑い出した。

 

「あはは! そういうこと!」

 

フリーダも肩を揺らしていた。

 

「私もさっき驚いたのよ。イルマと普通に会話してるんだもの」

 

「イルマの話し方だから通じるのね」

 

エレナも楽しそうだった。

 

高橋はまだエルフ語を十分に理解できない。それでも、こうして仲間たちと少しずつ会話ができるようになっている。

 

訓練中は帝国共通語ですら苦労していたことを思えば、大きな進歩だった。

 

そんな周囲の会話にはあまり関心がないらしく、イルマは自分の杯を空にすると、高橋を見た。

 

「高橋。もう一杯?」

 

「うん」

 

「よし」

 

イルマは嬉しそうに店員を呼んだ。

 

間もなく新しい麦酒が運ばれてきた。

 

二人は再び杯を合わせた。

 

「乾杯」

 

「乾杯」

 

高橋は楽しそうに麦酒を飲んでいた。

 

久しぶりに会った仲間たちとの会話も弾み、店内には笑い声が絶えなかった。石井が日本人たちに訓練所での話を尋ねれば、井上や川崎が次々に話し始める。サクも負けじと口を挟み、そのたびにリースやロイが笑った。

 

料理の皿が運ばれるたび、誰かが手を伸ばし、杯が空けば店員を呼ぶ。酒場の賑わいは時間が経つにつれて一層大きくなっていった。

 

エレナも仲間たちとの会話を楽しんでいたが、ふと高橋の方を見ると、彼はイルマと何やら楽しそうに話していた。

 

正確には、イルマが短い言葉を発し、高橋がそれに答えている。

 

二人とも機嫌がよかった。

 

エレナは微笑ましく眺めていたが、何気なくテーブルに目を落としたところで、その笑顔が止まった。

 

高橋の前に、空の杯がいくつも並んでいる。

 

「……ちょっと、亘一?」

 

「はい?」

 

高橋が上機嫌で振り向いた。

 

「あなた、どれくらい飲んだの?」

 

「ええと……」

 

高橋は目の前の杯を見た。

 

しばらく考えたが、どうにも数が分からないらしい。

 

「何杯でしたっけ?」

 

横からイルマが答えた。

 

エレナは目を丸くした。

 

「ちょっと! 亘一、初めてのお酒でしょう?」

 

「はい。でも、けっこうおいしいですよ」

 

「おいしいかどうかじゃないの!」

 

エレナはイルマを見た。

 

「イルマ! 亘一にそんなに飲ませちゃ駄目でしょう!」

 

「なぜ?」

 

イルマは不思議そうに首を傾げた。

 

「高橋。元気」

 

「そういう問題じゃないわよ!」

 

そのやり取りを聞いていたリーナが、とうとう吹き出した。

 

「エレナ、気づくの遅かったわね」

 

「だって、普通に話してるから!」

 

エレナは慌てて高橋の様子を確かめた。

 

顔は少し赤くなっているものの、受け答えはしっかりしている。目つきも特におかしくはない。ただ、初めて酒を飲んだ人間としては、明らかに飲みすぎだった。

 

「亘一、立てる?」

 

「はい。大丈夫ですよ」

 

高橋はそう言って椅子から立ち上がった。

 

ところが、一歩踏み出したところで体がわずかに傾いた。

 

「あれ?」

 

「ほら!」

 

エレナは慌てて腕を支えた。

 

高橋自身は平気なつもりだったらしいが、足元が少しおぼつかない。座っている間は気づかなかった酔いが、立ち上がった途端に現れたようだった。

 

「もう、今日はここまで! 帰るわよ」

 

「ええ? まだ大丈夫ですけど」

 

「駄目!」

 

エレナがきっぱりと言うと、高橋は素直に頷いた。

 

その隣で、イルマが残念そうに高橋を見た。

 

「高橋。もう帰る?」

 

「そうみたいです」

 

「残念」

 

「また今度ですね」

 

「うん。また飲む」

 

「イルマ!」

 

エレナが睨むと、イルマは黙って自分の杯を持ち上げた。

 

悪びれた様子はまったくない。

 

フリーダは笑いをこらえながら、高橋の様子を眺めていた。

 

「まあ、初めてにしては随分飲んだわね」

 

「フリーダも笑ってないで止めてよ!」

 

「ごめんなさい。私も気づかなかったわ」

 

リーナとゾフィーも苦笑していた。

 

どうやらイルマにとっては、高橋が飲んだ程度の酒など大した量ではないらしい。自分と同じ調子で杯を勧めていたのだろう。

 

エレナはため息をつき、帰り支度を始めた。

 

高橋は飲食代を支払い、石井たちの方へ向き直った。

 

「石井軍曹、お先に失礼します」

 

「おう。気をつけて帰れよ」

 

石井は上機嫌で片手を上げた。

 

その目は、並んで立つ高橋とエレナを面白そうに眺めていた。

 

山田が何か言いかけたが、川崎に肩をつかまれて止められた。

 

「おい、余計なこと言うなよ」

 

「まだ何も言ってないだろ!」

 

そんな声を背中に聞きながら、エレナは高橋を連れて酒場を出た。

 

酒場の外は、夕方の冷たい空気に包まれていた。

 

昼間は眩しく感じられた冬の陽射しも弱まり、建物の影が通りへ長く伸びている。露店の中には店じまいを始めるところもあったが、広場の周囲ではまだ新年のお祝いが続いていた。

 

酒場の扉が閉まると、中の騒がしさが遠ざかった。

 

高橋は外気に触れて気持ちよさそうに息を吐いた。

 

「いやあ、お酒っておいしいですね」

 

「……亘一」

 

「はい?」

 

エレナは呆れた顔で高橋を見た。

 

「イルマに付き合ったら、とんでもないことになるから」

 

「え?」

 

「あの子、酒の強さはたぶん連隊で一番だと思うわ」

 

高橋は驚いたように瞬きした。

 

「そんなに強いんですか?」

 

「強いなんてもんじゃないわよ。あの子と同じ調子で飲んでたら、普通の人間は先に潰れるわ」

 

「たしかに。イルマさん、全然酔ってませんでしたね」

 

「でしょう? あれくらい、イルマには飲んだうちにも入らないのよ」

 

高橋は感心したように頷いた。

 

「へえ……」

 

「感心してる場合じゃないわ。あなたも十分飲んでるんだから」

 

「はい」

 

「まったく。初めてのお酒であんなに飲むなんて」

 

エレナは口では叱りながらも、高橋の歩幅に合わせてゆっくり歩いていた。

 

酒場を出てしばらくすると、高橋の足取りも多少は落ち着いてきた。しかし、時折ふらつくことがあり、そのたびにエレナが腕を支えた。

 

「すみません」

 

高橋が申し訳なさそうに言うと、エレナは小さく息をついた。

 

「まあ、楽しかったならいいけどね」

 

「はい。すごく楽しかったです」

 

高橋は素直に答えた。

 

初めての街歩き。自分の給与で買った菓子。懐かしい日本人の仲間たちとの再会。そして、初めて口にした酒。

 

召喚されてから、こんなふうに一日を楽しんだことはなかったかもしれない。

 

エレナはその表情を見て、思わず笑ってしまった。

 

「それならよかったわ」

 

二人は並んで大通りを歩いた。

 

周囲では家族連れが帰り支度を始め、露店の店主たちが残った商品を片づけている。建物の窓には明かりが灯り始め、夕暮れの街を暖かな色に染めていた。

 

「亘一、ちゃんと歩ける?」

 

「はい。大丈夫です」

 

「本当に?」

 

「……たぶん」

 

「もう!」

 

エレナは呆れながらも笑った。

 

高橋もつられて笑ったが、その直後にまた少しふらついたため、エレナに腕をつかまれることになった。

 

「ほら、ちゃんと前を見て」

 

「はい」

 

「転ばないでよ。せっかくの新年なんだから」

 

「気をつけます」

 

二人はそんな会話を交わしながら、駐屯地へ向かって歩いていった。

 

ベルノの街には、まだ新年を祝う人々の笑い声が響いていた。

 

高橋にとって、初めてのベルノでの新年休暇。

 

その初日は、思いがけず賑やかで、楽しいものになった。

 

そして、エレナと二人で過ごした一日でもあった。

 

周囲から見れば、初めてのデートのようなものだったのかもしれない。

 

もっとも、当の二人にはそんな自覚はまったくなかった。

 

新年休暇は、まだ二日残っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。