どうもどんぐりです❗️早速最新話投稿しちゃいます。え❓前回までの話に掛かった期間❓知らない子ですね…♨️
然し、仮面ライダーブレイドがまさかあんなことに…。アレだけは本当に許せない。警察や裁判所には是非とも厳罰を与えて頂くよう思う限りです。そもそも仲間呼んでゴルフクラブの時点で、ねぇ…。
さて、今回のシナリオは前編で尚且つ戦闘回ではありませんが、皆様がお楽しみ頂ければ幸いです。後編は戦闘回になると思われますのでどうかご安心を。因みに、第0.5話にて説明していたMAOについてですが本話を執筆するに当たり、若干の設定変更を行いました。宜しければ其方も見て頂けると幸いであります。
因みに、「MAO」という表記になったのは、箒の体内から独立し、R戦闘機やR戦闘機の力を持つ、ISコアの無いパワードスーツ「ファイターアーマー」通称・FAの、メインAIというか、サブパイロットになっていることを指し示しています。え❓パワードスーツが何で飯を食うのか❓そりゃバイドでもあるからです♨️
其れでは、どうぞ。
「西暦2164年、
かつてアジアと呼ばれた場所」
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既に白騎士事件から、早半年が経とうとしていた。既に青々とした葉は散り、弱々しい細い枯れ枝だけが虚しく木枯らしに揺れているのを見ながら、箒達は川沿いの遊歩道を歩いていた。
「…然し早いものだな。あれからまだ半年しか経過していないのか…。」
『ああ、だがアレからまだ半年とも言えるが。暫くなんの音沙汰も無いのが幸いだな。前回の戦闘データなどのおかげで、漸く”デルタ”以降のR-9Aシリーズの開発に漕ぎ着けられたところだしな。』
R-9A2「デルタ」。
MAOの口から語られた其れは、R-9A「アローヘッド」の後継として開発された第二の異相次元戦闘機のことだった。
MAOの世界に於ける2163年に行われた第一次バイドミッションの後、運用されたR-9の設計をベースに、大気圏内での運用という名目で試作された小型軽量化が特徴の後継機が存在した。其れがこのR-9A2で、半年前に試験用として箒達がバイド達を葬る為に使用したDOSEシステム・デルタウェポン量産型を初搭載した機体であり、また試験用として散弾式の波動砲、所謂「拡散波動砲」のプロトタイプも積載されている。因みに、機体コードである「デルタ」はこの機体の開発計画である「デルタプロジェクト」のことを指し、飽くまでその計画の為として「デルタ」と呼ばれていたものが、後に機体そのもの名称を指すようになったのはかつて人間だった頃のMAOの所属していた「TEAM R-TYPE」や地球連合軍では有名な話である。
「然し、まさかお前の言う”サタニック・ラプソディーの四英雄”と名高い機体の一つを製作することになるとはな…。」
『史実上、2番目に製作されたのは同期である3機を除いては其れだからな。其れに、アローヘッドから作り上げたのならやはり先ずは同じアローヘッド系列から組み立ててやるのが良い。他の機体をばんばん作り出せるならいいが、そんなことは不可能だし何より段取りが狂ってしまう。其れに、私の記憶とて頼りにならない部分もあるからな。』
箒の紺色のカーディガンの内ポケットから顔を出して、ラウンド、いやスタンダード・フォース型のFA待機形態のMAOは言った。実はバイド化したうえ転生までしているMAOにとって、機体開発は戦力を整える以外にも、失われつつある既存の己の記憶を繋ぎ止める他、未だ欠落していたり、曖昧になっている部分➖其れこそ、自身の人間関係や、まだ把握出来ていないTEAM R-TYPE・地球連合軍時代の記憶や、”あの子”の記憶などの、膨大な数々➖の記憶を捜すことにも重要な行程だった。
「だがお前の言う時代の歴史や文化、バイドにR戦闘機のことは殆ど覚えているだろう?”サタニック・ラプソディー”のことも、”デモンシード・クライシス”のことも、全部お前から聞いたんだぞ?」
『ああ、その通りだ。だがアレらは、あの事件らは、日本をグラウンド・ゼロとしたアジア全域全てが壊滅し、アジアだけでなく世界規模で多くの犠牲者や難民を生み出した程の大災害だったんだぞ?お陰で22世紀末時点でも、未だに帰宅困難地帯に認定されていた。彼処は、私がバイドとの最後の戦いに出撃した後でも、不毛地帯のままだったな…。だから、そんな当たり前なことを忘れるなんて頭がよっぽどイかれているとしか思えん。』
例え記憶が薄れゆくとも、MAOにはその脳髄に深く刻まれた記憶もあった。
そのうちの一つが、サタニック・ラプソディーとデモンシード・クライシス、別名「第1.5次バイドミッション」と呼ばれる、2つの事件だった。
MAOの世界線での2163年、未だバイド研究などの一切が発展途上だった第一次バイドミッション終結直後、終結に貢献したプロトタイプR-9アローヘッドが、当時の地球連合軍の大気圏外防衛用拠点では最大の規模を誇った、衛星軌道宇宙要塞「アイギス」に収容された時点で始まった悪夢だった。
プロトタイプR-9がバイド粒子に汚染されていた事、そしてバイドの全貌が明らかになったことに気づいた時には、既にバイド粒子による汚染はアイギス全体に広がってしまっていた。その為、翌2164年には対バイド兵器の凍結作業を行っていた一部の残存部隊を周辺に残してアイギスは閉鎖、バイド汚染の拡大を食い止めようとした。
だが不運なことに、時同じくして大気圏に突入しているにも関わらずその形を保ったままの正体不明の物体(此方は再出現したバイドの本体であるバイドコアの攻撃であったことが後年判明、尚このバイドコアは汚染されていたプロトR-9に引き寄せられていたことも分かっている)が、隕石群と共に地球に接近していることが発覚。地球に降下した後、数々の都市や軍事施設などの電子機器を使ったモノの殆どを狂わせた。そしてその極め付けが、
アイギスに搭載されていた投下型局地殲滅用機動兵器「モリッツG」の、其れも東京への直接降下であった。
一つ目のような波動砲を装備した巨大な戦車のような其れは、暴走しバイド粒子を大量に放出しながら自己防衛システムと惑星破壊プログラム(モリッツGは主力兵器という位置づけだが、元はバイドに侵食され、星そのものがバイド化してしまった際にその惑星を破壊するための決戦兵器の一つであり、このモリッツGの「局地殲滅」とは大体「惑星破壊」のことを指す)を持ってして東京を壊滅にまで追い込んだ。
そして、遂に各都市においても、先の降下した物体により暴走した一部の軍部の兵器の猛攻が始まってしまったのである。
当時の連合軍上層部は、鎮圧の為にいくつもの戦力をモリッツGや戦闘兵器に回したが、モリッツGは此れを自己防衛システムなどで対抗、同じく戦闘兵器群からも反撃され、連合軍部が向かわせた戦力全てが返り討ちにされ、またばら撒かれたバイド粒子により新たなバイドも地球上に出現してしまう。
その上後に「バイドの種子」と呼ばれるようになる、降下した物体の影響により宇宙コロニー「エバーグリーン」までもが、衛星軌道上を外れ太平洋南部に墜落してしまうという、予想の遥か斜め上を往く最悪の事態、文字通り阿鼻叫喚の地獄絵図とも言える大惨事となってしまった(後にこの時、エバーグリーンの警備任務に当たっていた人型兵器「ゲインズ」のエースパイロットにして、”赤色の番人”と言われた元警官のマット・ゲーブルスが、バイド化し戦死したと伝えられ、世間に衝撃が走った)。
当時の軍部は此れを重く受け止め、止む無く当時開発中であった試作型Rシリーズ三機と、一機の改造された補給機、そして民間の武装警察に其々鎮圧に向かわせた。
一つは、「R-9A2 デルタ」。
二つ目は、連合軍部とTEAM R-TYPE、そして航空機メーカー「マクガイヤー社」と共同開発され、民生用R戦闘機「R-11シリーズ」開発のきっかけともなった、「RX-10 アルバトロス」。
三つ目は、同じく軍部及びTEAM R-TYPEと、軍事メーカー「ウォー・レリック社」と共同開発された、「R-13A ケルベロス」。
そして最後に、本来無人用として設計されていたものを急遽有人用に改造された無人補給機、「TP-2
民間武装警察からは、当時としては最新型だった2機の暴動鎮圧用R戦闘機のうち、「R-11B ピース・メーカー」を装備した部隊が選出された(この世界での警察には、犯罪への抑止やバイド、左派勢力や利権団体、テロなどによる暴動鎮圧の為に民生用のR戦闘機が幾つか支給されており、その一つがこのR-11Bである)。
此れら名も無き英雄達を乗せた4機は、最終的にはモリッツGは愚か、ばら撒かれたバイド粒子によって誕生したバイドや汚染されたプロトR-9と、その随伴機と化したR-11Bの姉妹機である武装警察所属R戦闘機「R-11A フューチャーワールド」、バイドに乗っ取られ暴走を開始したアイギス、そして再び異相次元に姿を現したバイドコアを倒すことに成功し、また武装警察の戦闘機群も無事に都市部で起きた機械の暴走の鎮圧に成功した。
これにより、宇宙要塞「アイギス」に搭載されていた局地殲滅機動兵器「モリッツG」の東京降下を発端としたアジア壊滅事件である「サタニック・ラプソディー」と、同時に起きたバイドコアより放たれた機械型バイドによる都市部の機械群の叛乱と、其れに立ち向かった民間武装警察との戦いである「デモンシード・クライシス」は、双方に多大な被害を被って終わりを告げ、デルタ、アルバトロス、そしてPOWアーマーの3機も無事に異相次元のバイドコアを破壊して帰還した。
だが残りのR-13Aは…。
「…い、おいMAO!どうした?」
『ん?ああ、済まない。少し考え事を、な…。』
「そうか…、返事が無いから心配したぞ。まさか意識ごとバイドに喰われたりはしないか、とな。」
『そんなことになったら私もお前も終わりだろうが。冗談でもそういうことを言うのはやめてくれ。』
不機嫌にMAOは言った。2人は共にバイドの力と本能を、元・人外の怪獣にして人造の邪神の力と、自らの動力源でもあるエネルギー「マナ」をその体内に持つ箒と、MAOが人間の時から持っていた持ち前の理性と気合の強さによって抑えつけている。もしこの不安定な力と精神の均衡が破られようものなら、忽ち2人は凶悪なバイドと化してしまう危険性を孕んでいる。
其れは、MAOの意識がFA「アローヘッド」に移った後でも同じだった。
「まあ、そうだな…。一瞬でも油断したら御終いなのはお互い様だから、縁起でもないのは当たり前、か…。」
『其れはそうと、箒よ?先は何を言おうとしていた?』
「ああ、お前の出した案だが…、
『合理的、か?』
「うむ。確かに
一瞬間が空いて、MAOは語り出した。
『…昔の、人間だった頃の私の世界の話は聞いたな?』
「ああ。」
『……私の世界では、対バイド戦では常に”死んで帰って来い”は当たり前だった。そもそもバイドに接触した時点で自爆する機能があった辺り、生存率が低かったからな。』
「だがお前は、この案を使えば、継続して戦闘を続行出来るどころか、生存率も非常に高くなり、将来における慢性的な人員不足の解決にも繋がる。だが…、逆にバイド化する可能性も高いだろう?」
『…其れについては否定しない。だが私は…、甘え、と、言うのか?…生きたい、という思いが強くなってな。其れで…』
「他の奴にも同じことが言えるかもしれない、と考えたわけか…。」
『コクピットまでもがやられたら其れはリスクがかなり高いが、かといっても折角FAを開発したのだから、やらない訳にもいかないさ…。其れに、この命を守り抜きつつ、バイドに一矢報いたいんだ。私の両親の、仇でもあるからな…。』
「確かお前は…。」
『…台湾と日本のハーフだった。私の両親はサタニック・ラプソディーの犠牲者だった…。』
「ほう…。」
MAOは静かに語り出した。
『当時北米のTEAM R-TYPEの施設にいた私は、両親がサタニック・ラプソディーに巻き込まれたことに気づかなかった。軍が発見した際には、あまりにも悲惨な状況だったよ。私も出撃したかったが、その頃はまだ、所謂唯の「TEAM R-TYPEの誇った、まだあどけなさと幼さの残る危なっかしい10代前半の天才少女科学者」でしかなかった。”幼体固定”技術などまだ試作段階の時期だったからな…。』
「10代の天才科学者に幼体固定…、いつ聞いても凄い話だな…。然し、当時お前の両親は何処に…?」
『石川だ。』
其処で箒は考えた。此奴は確か”大切な人”を亡くしたと言っていた。そしてその前にも自分の両親を失っている。だが彼女の世界は、国家規模は当たり前な地球規模での総力戦だったのだ。そんな世界では、大切なものを守る以前に自分の命を守り災禍の根源であるバイドを殲滅するのが優先事項、自分の命も守れずに何が大切なものを守るだ。
食うか食われるか。
奪うか奪われるか。
生きるか死ぬか。
殺すか殺されるか。
兄弟家族一族郎党、親友恩人老若男女。
全てを救い敵を葬る為には、全てを見捨て全てを殺さざるを得ない覚悟を持たねばならない。
其れ故に彼女は後悔しているのだろう。そんな生き方しか出来なかった自分達に。
守るべきものを守るようで、蔑ろにしか出来なかったことに。
「バイドをもってバイドを制す」を、自分達の守る意義にまで反映させ、次第にバイドそのものと遜色なくなりやがては本物のバイドになって…。
だが箒には理解出来なかった。そもそも自分には大切なものだとか、家族に相当するような存在は居ない。
ギャオスによる世界浄化。ただそれだけのためにそんなギャオス達を導き守る存在として産み出され、利用出来るものなら使い潰すまで利用する本能を植え付けられ、尚且つ学習していく知能を持たされた
ガメラや他の人間共ならば、自分やギャオス達の存在を許さない筈だ。そして其れは、自分達と似たような存在に脅かされる世界の出身であるMAOとて同じ筈なのだ。だが…、
「…後悔は、しているのか?」
『いや。だがせめてもの、取り零しの無いように、後続には頑張って欲しいだけさ。その為なら、何だって利用するさ。バイドだろうが何だろうが、な…。』
「……分からんな。」
『?何か言ったか?』
「ん、いや…」
此奴の世界は愚か、人間や、人間に影響を受けた、ガメラのような奴や心や感情を持つ者は、守る為であれば、尊厳や人権、生命すら投げ打ってまで迎え討ち、滅ぼそうとする。何故あんな自己犠牲の精神を産み出すことが出来るのだろう?普通であれば生き残ろうとするのが生物としての基本なのに。其れに斯く言うこの私も、未だ当の自分でさえ考えられない、あの時ガメラに負けないくらいの激情を露わにした。何より、生まれる前からのアヤナ達あの集落の人間全員への精神干渉の際に得た、どす黒い喜悦さえも…。
そして今も、ぎゃっぴーズなどと言った自分の分身を、昔では考えられないことに大切な仲間として受け入れている。だがそれ故に、どう接したらいいのかも、未だに試行錯誤の連続だ。
今思えば、もっと感情や心について学ぶべきで、急かし過ぎたと考えていた。自分は、心や感情を持った人間や生物などを客観的に理解していたようで、実は何も分かっていなかったのではないか?
だとしたら、と箒は結論を出した。
もっと彼ら彼女らを観察していく必要がある。このMAOといい、私の家族といい、織斑姉妹といい、この世界の人間全てといい。
そうでなければ、今度もまた失敗してしまいかねないだろう…。
『そういえば、まだ今月はフェアリーは来ていなかったか?』
「いわれてみればまだだったな…、何故そんなことを?」
『正直あまり気に入らんのだ、奴のことがな…。』
「何故だ?彼奴は”例の波動砲を持ったトカゲ”の話をしてくれたじゃないか?味方を騙すようなことを、普通ならしないと思うが?」
『其れはそうだが…、何故か、胡散臭くて、不自然に感じられて、な…。』
「ほう?理由は?」
『…いや。何となくだ。予感だけ。』
「………あまり先入観を持つのは良くない筈だが?前に言っていたような気がするが?」
『そうだな…。まあ、あまり鵜呑みにはしない方が良いと言いたいだけだ。気にするな…。ま、確かに私も言えた義理ではないが…。』
「何か言ったか?」
『いや、何も。』
「…。」
箒は、それきり黙ってポケットの中に入って眠り始めたMAOを尻目に、彼女の言う通り、たしかにフェアリーは何かを隠していると考えた。当初は考えもしなかったがそもそも何故、フェアリー達にとっては敵でしかない自分達を味方に引き入れたのかという理由も依然不明瞭なままだ。あまつさえ侵略行為を行うと宣言した自分に対しても、躊躇うことなく黙認の立場を貫いている。
「不自然、か…。」
風に揺れる枯れ枝を見て、箒は呟いた。だが、そのようなことは何れは明らかになる。其れが最善か最悪かが分かるまで、自分達は備えていれば良いだけだ。
それに…、
「あのトカゲ…、”スペースビースト”とか言ったな…。まあ、あの時死んでいたとは考えてはいなかったが…。」
あの白騎士事件の時のトカゲ、まだこの時は名も知らぬスペースビースト「ビースト・ザ・ワン」が生きている。
アジア各地で連続猟奇的殺人を繰り返しながら、ついこの間中国〜朝鮮半島経由でこの日本に、人間として上陸して来たらしい。あの時邪魔をした連中➖つまり箒達➖を、完全に敵とみなしたようだから気をつけろ、とフェアリーが、異相次元内に漂っていた”あるもの”を幾つか持って来た際に警告してきたのだ。だが、そのお陰で戦力の増強は前よりもかなりのスピードで漸進している。この分なら或いは…。
「いや、予想外のこともある。侮っていては非常に不味いことになる。飽くまで水面下で対策を練らないとな…。其れに…。」
ポケットの中にいる、琥珀色の球体姿の自分の相棒を見た。若干の記憶喪失だというMAOだが、時々何かを隠しているような素振りを見せることが度々あった。背中を預け、尚且つ共に生命線を握り合っている危うい関係の上に、この何かを隠しているような素振り。危うさに、拍車がかかってしまっていることに、箒は苛立っていた。そういったことから、箒は危惧していた。果たして此れで大丈夫なのだろうか、と。
箒は、遊歩道から、琥珀色の秋の夕暮れを眺めながら、此れから起きるであろう事態に嘆息した。
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「うーん…。」
「はあ…。束、頼むから何度も言わせないでくれ。ツキナ達は我々が邪魔でもしない限りは敵対はしてこないんだぞ?其れに我々を取り巻く状況も、予想よりはマシでも、別の方向では不味い状況下に
置かれている。寧ろ我々が協力すれば少なくとも彼女は我々の脅威にはなり得なければ心強い味方になれば、何より彼女の持つ超技術までも手に入れられる。なのに何故そんなに拒絶する?」
「いや、敵対しないのは分かるんだけどね?でも…。」
「なら何故彼女に協力的にはなれないんだ?」
関東某所の、廃校舎内の篠ノ之束の極秘ラボ「我輩は猫である(名前はまだ無い)」。
半年前の白騎士事件にて千冬と太平洋艦隊が遭遇した敵は、何れも篠ノ之束の発明であるというのが各国と世間一般の常識になりつつある中、千冬はIS「白騎士」内に残されていた戦闘データを根拠に、粘り強く束に「ツキナと共闘しないか?」と持ちかけ説得していた。だが当の束本人は、頑なに其れを拒んでいた。
束は本来、こういったものに出くわすと血眼になってでも協力には賛成すると考えたのだ。
だが実際はどうだろう、束が彼女に対して協力する意図は無いと頑なに言い張った。
分からない。
千冬には、その理由がいまいち掴めていなかった。
…束がこの一言を言うまでは。
「…ちーちゃん?ちーちゃんは、あの女達の技術のことをどう考えてる?」
唐突に問われ、千冬は面食らいつつも答えた。
「あ…、た、端的に言っても凄い技術だ。荷電粒子砲が花火にしか見えない火力と、最早化け物としか思えない速度と機動。其れにあの球体。何れ一つとっても、化け物としか思えないくらいだが…?」
「そう。だからだよちーちゃん。」
「?どういうことだ?」
束は語り出した。その、自分達が知るには早過ぎたその内容を。
「ちーちゃんは気絶する直前、青白い稲光を見たんだよね?多分だけどそれ…、”核融合反応”で起きたプラズマかもしれないんだ…。」
一瞬の間の後で、千冬は驚いた。
「…⁉︎核融合だと⁉︎」
「痕跡も見つかったし、発生源もベクトルの形とかからあの球体から発せられたものと分かったよ。其れに、あのビーム…。」
千冬は息を呑んだ。一体束は何を言うのか?
「アレね、ぶっちゃけるとマジもんの波動砲なんだよ。」
千冬は、ポカンとした表情になった。
「………すまん、もう一度言ってくれ。波動なんだって?」
「ああもうっ!だから、タキオンらしきエネルギーが残留していた痕跡が、核融合反応の痕跡と一緒に見つかったんだよ‼︎其れに、戦闘後にはタキオンっぽい何かも放射性残留物も、痕跡の一切が消えてたんだ‼︎信じられないしこっちが聞きたいくらいだよ…、この束さんが‼︎」
束が大型ディスプレイに表示したデータを見て、千冬の顔に一瞬だけ戦慄が走った。タキオンと思しき未知のエネルギーや核融合反応の様子を記録したデータ、そして其れらが戦闘後にはどうなったか。
尋常ではないことが、確かに起きていた。
「……嘘だろう?」
「此れが嘘だったらケーサツなんていらないよちーちゃん、だけど残念。此れが現実、て奴。全く、ふざけてるのかなぁこれ…。」
束は、ディスプレイの電源を切ると、千冬に向き直った。
「…でもね?だからこそ自分を試したいんだ、ちーちゃん。束さん、此れでも負けず嫌いだからね〜。あの技術は手に入れたいけど、協力は最悪の場合だけだよ。まだISは白騎士とゴーレム以外はまだ未完成だし、見直す部分だってあるし。其れにー、彼奴らの方が実はあの化け物共をけしかけたか、或いは何というかその、ほら、「まっちぽんぷー」をしたって可能性もあるでしょー?だから束さんはね、ツキナ達に協力はしない方が良いって思うのー。そもそも能面つけてるとこからして怪しいし…。」
「まあ、確かにな…。…じゃあつまり、信用は出来ないということか?」
「まあ向こうからちょっかい出してくるなら迎え撃ってやるけど、何もしないならこっちからも何もしないのが一番だよ。でも、其れと協力するのは別問題、何もしないから備えないなんてのは別問題、てこと。」
「…分かった。つまり、万一に備えて此方の戦力と技術の向上を優先させた方が得策ということか。」
「んー、分かりやすく言えばそうかもー。何しても、大変なことになっちゃったなー。ま、束さんは限界と思うところまでやるけど流石にちーちゃん程無茶はしないから安心して。この束さんなら大丈夫だからさ、ね?」
「…ああ。」
そう言う束の言葉に、千冬は憂いだ。確かに束の言い分は分かる。能面に、超技術。其れに加え、何もかもが不自然に感じられたのだ。
まるで、人間でないような…。
「本当は、宇宙人か何かなんじゃないのか…?」
だとしたらあのリボンをどこで見かけたというのだ?
分からない、分からなさすぎる。此れはとても、自分は愚か束にさえ手に負えない問題なのではないのか?自分達はうっかり、一寸先の闇に、足を踏み入れてしまったのではないか?
そうして其処まで考えた時千冬は、「灯り」が必要だ、と考えた。「灯り」さえあればどんな闇でも足元や出口は見えてくる。束は、その「灯り」を技術や戦力などの向上や整備と考えているようだ。
勿論千冬もその事は視野に入れている。だが其れにはもう一つ、後もう一つだけ要素がいる。
”ツキナ”が、何者なのかを突き止める。
➖恐らく、これらでしか私達はこの闇の中から出ることは永遠に出来ないだろう。
千冬は無機質な天井を見上げながら思った。
だが、彼女達はまだ知らない。
自分達が踏み入れてしまった領域は、自分達どころか、この世界の人間にさえ踏み入れてはならなかった領域だということを。
一生知らなければ良かったということを。
そして今、篠ノ之姉妹と織斑姉妹にとっては人生を一変させる最悪の出来事が、そして特に箒とMAO達にとっては、戦いが第二段階へと入ったことを告げる、最悪の事態が、其れも一時間もしないうちに起きようとしていることにも、直ぐ側にまで迫っていることにも、
未だ、気づいていない…。
そして其れは、箒達とて例外ではなかった…。
如何だったでしょうか?皆様の琴線に響居たのであれば幸いです。宜しければ感想・誤字ら出現の指摘・評価・アドバイスや質問・メッセージなどを送って頂ければ幸いです。
次回はいよいよ有働貴文の登場です。果たして、奴はどのようなことをしでかすのか…、お楽しみに。
では、また何処か時間のある時まで。