「バイドとは、
人類が生み出した悪夢。
覚めることのない悪夢。
…バイドとは…」
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私は困惑していた。それはそうだ、いきなり口調を変えて何を言い出すのかと思えば、「私の糧となれ」などと言い出したのだ。どう返したらいいのか分かる奴なぞ、殆ど居ないだろう。
気をとりなおして、私は”彼女”➖もちろん、目の前のイリスのことだ。奴を彼女と言ったのは、先程までの口調と声色が女性だったから、恐らく雌であろうと考えたからだ➖に、慎重に考えてから、こう訊いた。
「イツ テイ ルコ トガ ワカ ラナ イナ ツマ リ オマ
エハ ワタ シノ バイ ドノ チカ ラヲ ホツ シテ
イル ノダ ナ」
「ああ、そうだ。言っていることが理解できないのか?貴様、どうやら外見の割に結構頭が硬いようだな。」
それを聞いて、思わず私は少しムッとした。確かに私は融通の利かない奴だが、そこまで言われる必要はないと思うぞ……………恐らく、だが。
「ジヤ ア アラ タメ テキ クガ オマ エハ ワタ シカ
ラ バイ ドノ チカ ラヲ テニ イレ タト キ オマ
エハ ソレ デ ナニ ヲス ル」
私はそのことが一番気になった。確かにバイドの力は強大だ。それも、誰もが一度は手に入れたがる程に。そういえば、人間であった時に聞いた噂の中に”地球連合”に対して反乱を起こした”グランゼーラ革命軍”➖反乱を起こした理由は、危険とされる非破壊武装”フォース”やその他のバイド関連兵器の破棄とバイドの”平和利用”を求めたところ、虚仮にされたことらしい。馬鹿馬鹿しいことこの上ない➖の上層部が”バイドバインドシステム➖通称”BBS”➖なるものをかつてTEAM R-TYPEに所属していた科学者と共に共同開発していたと言うのを聞いたことがある。まさか、イリスまでもグランゼーラのようにバイドの力に魅せられてしまったのではないかと考えた。
だが、彼女の答えは予想の割に狂っていて、そして……、
意外にまともだった。
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私は目の前の肉塊➖バイド➖の飲み込みの悪さに対して苛ついていた。
それにそんな質問にも答えろと言うのか。本当に、バイドと言い、人間と言い、本当に理解し難い存在だ。
だが、だからこそ私は、彼女に…、アヤナに惹かれていったのかもしれない。
確かに、今のバイドの話を聞いて私の中のアヤナの利用価値は無くなった。そして、それ以前にも彼処で始末出来る筈だったガメラに怖じ気付いて➖或いは、たかがガメラと小五月蝿い屑の人間どもの説得ごときに➖逃げ出した彼女に対する不信感と残念さに失望し、そして恨んでいた。だが、不思議なことにアヤナのことを「必要でない」と思うと、何故か”心”の中で「それでいいのか?お前はもう、アヤナのくれた”愛”をゴミをドブ川に捨てるように諦めるのか?」と言う声が聞こえてくる。
私は何度かその声を振り払おうとした。だが、声は以前にも増して、酷くなっていった。何度何度無視しても収まらないこの声に対して、私は叫んだ。何故私に語りかける。何故そんなにアヤナに固執する。あんな臆病者の弱者なぞ、切って捨てしまえ。そもそも彼女は、私の期待どころか、私自身を裏切ったのだぞ。そして”愛”とは一体何のことだ、そんなものを思う気持ち、人造の邪神たる私が持ち合わせている訳がないだろう、と。だが、声はそんな私の叫びを無視して私の心の中で私の叫びよりも声高々に叫んだ。やがて、そこまで声に苦しまされた私は理解した。この声の正体を。
無意識だ。本当の私であり、ガメラと私達➖勿論ガメラもだ➖の力の源である大自然のエネルギー”マナ”の祝福を受けた私の無意識が、アヤナを求めていたのだ。
確かに、私が生まれた時、そこにいたアヤナ➖そして私とアヤナが、始めて出会った瞬間でもある➖をギャオスの本能に従って始末せずに、心を通じ合わせてみようとしたことはあった。だが、あれは飽くまで、彼女を取り込んで”誰もが恐れ、敬い、震え上がる完全なる孤高の存在にして新世界を統べる王”となるためにしただけのことだ➖結構姑息な手を使ったが、その頃の私はまだ幼かったから致し方の無いことだ➖。
だが、この湧き上がる不思議な”感情”➖少し前から私は感情と言う存在を知ったからこう言った➖…、私もアヤナと同じになったのだと思うと同時に、逆にまた弱くなってしまったのだろうなとも思った。だが、それによって、私は愛というものの本質を理解出来た気がした。そしてそれによって分かったことがいくつかある。
…それは私がアヤナを道具とでしか見ていなかったから。そして私がガメラに負けたのは、私が本気でアヤナと”愛し合おう”といなかったからではないのかと…。
だから、私は考えた。真なる融合、或いは全てを支配し、ガメラに打ち勝つためには”愛”が必要なのだと➖それも、万人のための愛ではなく、
「そうだな。もし私が…、もし私がこの力を手に入れたとしたら…、」
私は先程まで、自分はもう死んだのだから眠ってしまいたいと、放っておいて欲しいとまで思っていた。だが、今は違う。死んでしまったから何だ。チャンスがあるのにそれをものにしないのはもったいない。それに今ならこの暗闇から
だから、
「あの、滅びへ向かっていた、最早虫の息だった私の世界を、この力を使って楽にする。そして全く新しい世界を創り上げる。アヤナのような、私を愛する者達だけが暮らし、誰もが愛を受け合い、誰も悲しむ者がいない、平和な世界をな。」
もう止まらない。もう、誰にも私を止めることはできない。もう、覚悟を決めたのだから。全ての覇者となるという覚悟を。
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最初私は、あまり理解が出来なかった。確かに”彼女”がいた世界は、大自然のエネルギー”マナ”が尽きたせいで➖彼女が仲間のギャオスから聞いた話では、その直前に地球に飛来した人間達が”レギオン”と呼んでいた怪物がやって来たらしい。その強さは尋常ではなかったらしく、流石のガメラも全ての”マナ”を使った渾身の一撃でしか倒せなかったほどらしい。➖地球のパワーバランスが崩れ、放っておいても滅んでしまう運命だったらしい。だが、だからと言って、
「ウン メイ ニ アラ ガウ コト グラ イ デキ ルダ
ロウ ジツ サイ サイ ゴマ デ アラ ガツ テイ ルヤ
ツガ イタ ダロ ウ…」
「彼女は最初から最後まで諦めが悪かった。少なくとも私が思うに、もうあの世界は手遅れだった。無駄な足掻きだったのだよ。だったら、そんな見苦しいものを見るより、さっさと終わらせて新しく創り上げてしまった方が楽だ。バイドに汚染したらもう手遅れ、ならいっそ全てバイドした方がマシなのと同じことだ、そうだろう?」
「タシ カニ ソウ カモ シレ ナイ ガ…」
「?何か不安でも?お前だって私の立場なら同じことをすると思うぞ。何と言ってもお前は、恋人を救うために未来を変えて、バチが当たったようにバイドになったのだからな」
「 アレ ハ シカ タガ ナカ ツタ ノダ ソレ ニ オマ エト イツ シヨ に「此処に居たのですね…」…ン…、ナン ダ コノ コエ ハ…」
私達は会話を中断して、その時突然割り込んで来た声の元を探して辺りを見回した。
すると、
イリスと同じくらいの美しさを持った、蛾を見つけたのだ。
「…誰だ、貴様は…?」
イリスが、警戒しつつ、その蛾に訊いた。すると、その蛾は、親切に自己紹介してくれた。
「私はフェアリー。地球の守護神”モスラ”の使者です。」
私とイリスは、二人して頭をひねった。確か地球の守護神は
「お二方はどうやら驚かれているようですね。まあ、無理もありません。私や”モスラ”は貴方がたとは違う世界の存在です。知らないのも無理はないでしょう。」
フェアリーは続けた。この世界、この宇宙は多元であり、無限の可能性、無限の次元が存在する。だから、私達のような存在も居るのだと。貴方がたが知らないのも無理はないと言ったのは、そのためだと。
「じゃあ、フェアリー。お前は何のために私達の元へ現れた。まさか、そんな話をするために此処へ来た訳ではないだろう?」
その疑問はもっともだと思った。そもそも、私達とは何の縁も所縁もない筈の
「はい、実は…、」
「お二方に、助力を請いたいのです。ある世界を救うために。」
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私達はポカンとした。世界を救って欲しい?奴➖バイド➖は兎も角、邪神たるこの”私”まで?
「おい、お前、確か”フェアリー”とか言ったが…、誰に向かって助けて欲しいと言ったか、分かっているのか?私は…」
「分かっています。ですが、状況は一刻を争うのです。先程話した多元宇宙のうちの一つに存在する”レイブラッド星人”と名乗る者が多元宇宙制覇のために様々な勢力と徒党を組んで、手始めにこの世界を侵略し始めたのです。」
フェアリーがそう言うと、突然先程まで暗闇だった空間が打って変わり、まるで戦場のような光景に変わった。
そこでは、露出度の高い、鎧のようなもの➖バイド風に言えば、”パワードスーツ”のようなもの➖を纏った人間の雌達が、頭の無い、奇妙な青い巨人に連れられた魚のような戦艦と見たことも無いような、金ピカの、神々しい出で立ちの三つ首の龍や、先程の魚の戦艦の連れていた小さな乗り物などに立ち向かっては千切られては投げられ、千切られては投げられていた。そして傍らのバイドはその奥にいた、不気味な長頭の、腹が別の生き物に食い破られているのに平気でいる生き物を見て、驚いていた。
「オイ オク ノヤ ツハ マサ カ」
「ええ、そうです。貴方がよく知るバイド、”ドプケラドプス”です。」
フェアリーは言った。レイブラッド星人は、惑星ダライアスのある銀河にて、”ベルサー”という勢力と結託し、バイドを何らかの方法を用いて使役して、宇宙を再び支配しようとしていると➖因みに、この映像は未来の戦場での様子らしい➖。また、バイドばかりか、この三つ首の金ピカの龍➖普段は人間の雌の姿を取っているのだと言う。何のためにそんなことをするのかと言うと、人間達を内側から攻撃するためと、目立たないようにするためなんだとか➖のような宇宙怪獣迄も雇い入れているらしい。
「ジヤ ア コノ レン チユ ウハ バイ ドマ デモ ミカ タニ ヒキ イレ タト イウ ノカ ナラ ワタ シガ オト サレ タノ モナ ツト クガ イク バイ ドニ セツ スル ニハ アル テイ ドノ タイ バイ ドへ イソ ウガ ヒツ ヨウ ダカ ラナ ダト シタ ラ ワタ シノ ギセ イハ イツ タイ …、グゥお…!」
「⁉︎おい、どうした‼︎」
「ワカ…、らな イ ダガ、おソ ラク 先程受けた キズ ガ イマ ごろになって イタ ンデ 来た ノダ…、ロウ」
「痛むどころの騒ぎではないぞ‼︎何故今迄黙っていたのだ⁉︎兎に角見せろ!どこが痛む‼︎」
私はバイドに近づいて、嫌がる奴の傷をフェアリーと共に探したが、見つけたところで手遅れだった。
何故なら、機械の心臓部”ザイオング慣性制御システム”を深く抉っていたのだから。
「この傷ではもう助かりませんね。このさい致し方のないことでしょう。せめて、最後くらいは…」
「何故だ⁉︎助けられるかもしれな「モウ、イい イリす…、」え…?」
私はバイドを見た。その表情は分からなかったが、アヤナが私を慰めてくれた時と同じくらい優しい声で言ったからだ。
「私も、デキ レば 一緒に戦 イタ イ ダガ…、それは モウ 無理 ラシ イ…」
そして決意を固めたように私を真っ直ぐ見た。そして今でも忘れない。あの時、あの場所で、”奴”が見せた、私に託した、この力と、思いを…。
「ワタ しの…、バイド の チカ ら 受け取 ツテ くれ
ルカ…?」
私は一瞬、間を置いて訊いた。
「…いいのか?私は邪神だぞ?世界を滅ぼすかもしれないのだぞ?」
だが、バイドはこう返した。
「確かに、オマ エ、は 人類…、ヲ滅ぼす タメ ニウ まれた。ダガ 少なく トモ お前ナラ…、今のオマ エナ らば、 この力を…、 バイドの力を使…、わせてもいい ト 思ったのだ… ソレに…、オマ エニ 使わせようと オモ ツタ ノハ 今のオマ エナ…、らば信用、デキ ルト、ナン…、となく、ソウ 思ったからだ。オマ えは…、ヤヤ ゴウ…インデ イツ ケン すると ツカ イカ タ を マチ ガエ、ソウ ナ 奴に見える… ダが、私はお前…ヲ信用 スル ことニしようと オモ ウ 私 も デキ レば もう 一度 戦い タイ がもう 私には…、ノコ され タ 時間が ナイ。ダカ ラ ワタ シノ 代わりに 二度と 私 ノヨウ ナ モノ ガ、出て来ない…、ヨウに してくれ。後は、オマ エノ 好き ナヨウ ニシても カマ わない。ヤク ソク出来 ルカ?」
私は瀕死のバイドの➖ただでさえ聞き取り辛いのにそのせいで余計聞き辛くなっている➖、聞き取り辛い言葉の一つ一つを注意深く聞いた。
つまり、
『確かに、お前は人類を滅ぼす為に生まれた。だが少なくともお前なら、今のお前ならば、この力を…、バイドの力を使わせてもいいと思ったのだ。それに、お前に使わせようと思ったのは、今のお前ならば信用出来ると何と無く、そう思ったからだ。お前はやや強引で、一見使い方を間違えそうな奴に見える。だが、私はお前を信用することにしようと思う。私も出来ればもう一度戦いたいが、私には、もう残された時間がない。だから私の代わりに二度と私のような者が出て来ないようにしてくれ。後は、何をしても構わない。約束出来るか?」
と、言っているらしい。
私としては、こんな話、願ってやまない美味しい話なのだが、
「じゃあ、何故私を信用しようというきになったのだ?何と言っても、世界は違えど、私達は敵同士だからな。」
「お前…、ノ、ハナ、シ、は…、タシ かに クル ッ…て、イル だが その イキ 込み ト リソウ ハ 対し タ モのだ。ダカ…ラ オマ…エナ ら 何トか 上手く デキ ルト…、オモ…、グゥワァァァ⁉︎」
「⁈おい、もうやめろ‼︎これ以上喋るな‼︎お前死んでしまうぞ‼︎」
「それ…デモ…構わ、ワナ、い…。ドウ…せ、ワタ…し…ハもう…、助か、ラナイ だから、」
「…ハヤク、早く、私を……‼︎」
「…分かった。」
そう言って、私は腹部の”ジーン・スナッチャー”を展開する準備を始めた。
「⁉︎よろしいのですが?」
すかさず、フェアリーが訊いてきた。それはそうだ。今から私がバイドに為そうとしていることは、ある意味殺してしまうことと同義だ。だが、だからこそ、
「今奴にとって最も辛いのは、死の恐怖よりも苦しむことと自分が無力のままだと思って死ぬことだ。だったら、何も成さずに苦しんで死ぬよりも、此方の方が楽だ。だから、私は…、敢えて…、敢えて、この道を…、選ぶ…。」
そして、私が言い終わらないうちに、
”ジーン・スナッチャー”が展開して、バイドを、極めてゆっくりと、取り込んだ。
それは、あまりにも、虚しく、少しばかり悲しく、呆気なく、あっと言う間の出来事だった。
「…終わったのですか?」
フェアリーが恐る恐る、訊いてきた。
「…ああ。可哀想なことをしたが、致し方のないことだろう。だから、せめて安らかに眠っておいて欲しいところだが。」
「そうですか…。…残念です。」
身体から何かしらの拒否反応が出ていないかを確認しながら、私はフェアリーにそう返した。確かにパッと見ではこれといった変化は見受けられない。だが私は、自分の中で力が溢れてくるのを感じ取った。これからは、奴の思いも受け取って大事に使わねばな、と思いながらフェアリーに向き直ろうとして、
『…勝手に私を殺すのだけは止めて欲しいな。』
…そんな声が響いて、私はそれまでの動作を一旦中断して、あまりの衝撃に固まった。
「…⁉︎まさか、お前は…、バイドか⁈何故だ、何故生きている⁉︎あんな、死に急ぐような体だった筈なの…、待て。まさか、私のマナのせいか?私のマナが、お前を生き長らえさせたのか?」
『詳しいことは分からんが、恐らくそうだろう。だが、それによって私は生かされているに過ぎない。だから、一旦私がお前の中から出てしまったら、即死だろうな。だが、まあこんな私でも、アドバイスとお前にバイドの力を使わせるぐらいなら出来るかもしれないが。』
「確かにな。その方が尤もかもしれん。しかし…、意外だな。」
『?ん、何がだ?』
「いや、お前のことだ。私はてっきり、雄だとばかり思っていたのだが…。」
『ああ、そっちのことか。まあ、言わなかったから無理もないか。だが、教訓風に言うなれば”先入観は持たない方がいい”だな。私の力を使うのは構わないが、あまりそういうことだけはしてくれるなよ。』
「フン、分かっている。そのためにお前と約束したんじゃないか。」
「あの、すみません。話が見えませんがつまり、バイドさんは生きていた、ということなんですね?」
ちょうどいいタイミングで、フェアリーが尋ねてきた。恐らく、自分だけ仲間外れにされたいるのではと思い込んだんだろうと思ったが、別に気にしてないようだった。
「まあ、そうなるな。因みに、今の会話の内容は分かるか。」
そう訊いて、バイドの声がフェアリーにも聞こえたか確かめた。答えは「いいえ、全く分かりません。」だった。
それを聞いて私は、ふむ、と顎に手を当てるような動作をして、バイドとの会話を聞かれないようにするためには物陰にて小声で会話をする必要があるな、と考えた。
「では、お二人は私達と共に戦ってくれるのですね?」
そこまで考えてから、フェアリーが訊いてきた。私は顔を上げて、首を縦に振って、戦う意思を伝えた➖フェアリーは「バイドさんはどう言われていますか?」とも訊いてきたが、バイドもまた、私と同意見だった➖。
「どうやら満場一致のようですね。では、お二方は”準備”をして下さい。」
「準備?一体何のことだ?」
「”転生”です。お二方…もといイリスさん。並行世界や宇宙には全て”理の力”というものが働いています。唯この力はあまりにも大きな負荷➖つまり度を越したような力のことですね➖を与え続けると、この”理の力”そのものが耐えきれなくなって、最悪世界や宇宙が崩壊してしまう恐れがあるのです。なので通常は、ある程度の制約を設けなければならないのです。…特に、貴女や、貴女の中にいる”彼女”には…、ね。それに現地でその姿はあまりにも目立ちますから、その辺りの調整も必要なんです。」
「つまり私達には今とは別の姿になって欲しいということだな。だが、その制約とやらは逆にデメリットになりはしまいか?それにどんな姿になるのか、少々不安なのだが。」
「あ、それについては多分大丈夫だと思います。短時間なら、”理の力”もそこまでの影響は受けないみたいですし、転生する種族は”最良の”人間ですから。唯、結構脆いのが玉に瑕ですけど。」
それについて私は何かしらのデメリットがないか考え合わせた。確かに人間は➖それこそ指で潰せてしまいそうな程に➖脆い。だが他の種族でも特別目立った特徴はないし、何より潜伏するには適している。また、私が彼らと関わってゆくことによって、アヤナの人間に対する憎しみ以外の部分を覗いてみたい気がしたのだ。私はあの時、アヤナの仲間たちを沢山殺した。だが、アヤナに説得していた人間の雌が自分達の可能性のためにガメラを殺さないで欲しいと言っていたのと、ガメラが己の命を懸けてまで、
「成る程な。じゃあ、早く済ませてくれ。少しばかり、楽しみになってきた。お前はどう思う。バイド?」
『私としては、賛成だな。人間なら、ある程度の情報収集がしやすい。それに私は元”人間”だからな、少なくとも今のお前が羨ましい…。後悪い奴もいるとはいえ、優しい奴も結構いるから、一応オススメだな。』
「フッ、そうか。じゃあこれからもよろしく頼むぞ、”相棒”。」
『そっちこそな。』
その会話が、ここでの最後のものだった。私はフェアリーに準備完了の合図をすると、目を閉じて➖そんなものは私にはないが、一応気分として➖待った。そして、
「では、出発いたしましょう‼︎他の皆様が待っていらっしゃる”インフィニット・ストラトス”が存在する世界へ…‼︎」
///////////////////
今に至る訳である。最初、私もバイドもいい家庭で生まれることが出来たなと思ったが、フェアリーによれば、決してそうではなく、あと残っていたのがこの人物しかいなかったのと、私の家族の内の一人➖主に私の姉のことだ➖の監視➖と言っても、ある程度の期間だけらしい➖をするために選んだとのことだった。バイド…もとい”マオ”➖人間であった頃の彼女の名前で、バイドが敵の中にいるので区別のために呼んで欲しいという彼女の提案で、こう呼んでいる➖も、重要人物だというなら仕方がない、ならば我々に任せろと言っていた➖因みに私も同意見だったので、満場一致でフェアリーも満足していた。まあ、私が言ったような形となってしまったが➖。
勿論、私も怪獣であった頃の名前はもう無い。
……”篠ノ之箒”である…。
いやーーーーーーーーー長っ‼︎長いっすよ、今回の話。読んでて飽きませんでしたか?別に重要なとこだけ読んで後飛ばしちゃっても良いですよ?で。まあ、言った通り、今回で少しばかり燃え尽きてしまいました。明日から石屋でローソン作るアルバイトしなきゃいけないってんで、急いだ結果ですけど、なんか可笑しいと思ったところがあったら、遠慮なく言って下さい。まぢで。まあ、そんな訳で、本来後書き等で予定していた瀕死のバイドの台詞の訳は後日投稿予定の”解説・設定等資料”の上書きや後書きなんかでしたいと思います。ホントにご迷惑をお掛けして、申し訳ございません。これからはなるべくこんなことにならないようにしたいと思います…多分。
では、最後まで読んでくれた方も、途中で飽きちゃった人も、今回はありがとうございました‼︎では、また、次の機会に。