さて、早速本篇に入りますが、後書きにてお知らせその2、行きたいと思いますので、最後まで読んで下さった方も、途中で飽きちゃった方も、是非ご覧下さい。では、第6話、始まります。
「人を傷つける時は、復讐心が失せるほど徹底的にやるべし」
➖ニッコロ・マッキャヴェリ➖
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時間は少し前にまで遡る。私、篠ノ之箒はあの時、白騎士事件の真っ只中に至るまでは、ずっとぎゃっぴーズと共に福島のピットガレージ➖私が今拠点として使っている自動車工場の廃墟のことだ。誤魔化しのためにこう名付けた➖で、とある事情で待機中だった(だがその割には、側から見れば寛いでいるようにしか見えなかったのは言うまでもない)。傍らのぎゃっぴーズは勝手にハイドロキャノンやジュークボックスを組み立てて遊んでいた。私はと言えば、お気に入りのスティーヴン・キングの「ダーク・タワー」を適当に読み終えて、私の実家近くのコンビニのゴミ箱から拾った東西新聞の今日の朝刊を読んでいた(記事には、《西部署、またもお手柄。湾岸警察署との合同捜査にて東京留置所を脱獄した凶悪犯を銃撃戦の末射殺。しかし警視庁及び湾岸署からはその行き過ぎた捜査を非難される》や《アメリカ・デトロイト市警、オムニコープ社との提携でサイボーグ警察官の配備を正式決定。2030年度末までに配備予定》、《アメリカ・ラクーン
私達が何故その”とある事情”で待機しているのか。其れは、私の読んでいる東西新聞の記事に書かれていたことにあった。
《本日より、
《本日午前2時頃より、アメリカ・ハワイ島マウナ・ケア山の国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡と、NASAなどが運営しているジェイムス・ウェッブ望遠鏡が謎の飛行物体を感知。官房長官は記者会見で「隕石の可能性あり」と発表》
そう。まさしくこの記事が全ての原因だ。今日この日こそ、奴ら………バイドやベルサー、そしてレイブラッドがやって来る日なのだ。その為、かなり余裕があるように見えるが、実際はそうではなく、気持ちを鎮めるためにこうして連中が動くのを待っていた。やがて………、
「………見えた。」
私は、体内外に浮かぶ私自身がマオと共に開発したハッキングナノマシンから、人工衛星ランドサット7を通じて今のハワイの様子を見た。同時に付けていたテレビにも中継が入る。ニュースは、先ほどまでピットガレージに来てはヤクザの池元組と村瀬組の権力抗争を伝えていたニュースキャスターのなんたら伊知郎➖普段からニュースやテレビなぞ見たがらない性格なので、いちいち覚えていない。だがこのニュースキャスターに一時期顔に死相が出ていたということだけは覚えている➖が、冷静にだが何処か慌ただしい様子で報道内容を読み上げる。黒い箱の中にいる彼は、事態の衝撃を受けて早めに伝えようとして、幾分か舌を噛み、途切れ途切れになりながらも、なんとか伝えていた。
『えー、たった今政府からの緊急速報が入りました。えー、それによりますと、日本時間の今日12:58頃に、えー、ハワイ・オアフ島沖合にて、リムパック連合艦隊が、えー、攻撃を受けたとの情報が入りました。政府は今日…、』
「全員集合だ‼︎出撃準備‼︎ほら急いだ急いだ‼︎」
私はぎゃっぴーズを叱咤すると、急いでFAの準備を始めた。ぎゃっぴーズ達が警報を鳴らして作業用アームを起動させる。既に実戦投与可能なレベルに迄完成しているとはいえ、私やマオの技術レベルやOS、其れに武装の威力や消費エネルギーの問題のせいで未だ篠ノ之束のISのような、「待機形態」と呼ばれるアクセサリーのような形態をとることは出来ない。その為、どうしてもこのように作業用アームなどを使った、大袈裟なで面倒な装着作業になってしまうのだ。だが、かといって作業用アーム無しでFAを装着するのは何かと危なっかしく、幾ら私でも装着自体に難儀してしまう。なので私は、こうした、安全で確実な装着が可能な作業用アームを使うことにしたのである。
半覚醒化すると、まずは作業用アームが待機している
僅か数秒で➖ただし、待機形態から装着した時と比べると僅かに遅い➖装着が完了した。すると、前方の古びて錆だらけのシャッターが、かなりゆっくりと開き始めた。私は、このまま秒速208kmでハワイまで飛ぶべきかどうか迷った。大気圏内で秒速208kmなどという音速どころか光速に迫るような速度を出せばあっと言う間に燃え尽きてしまうだろう。いっそのこと、アンチ・プラズマ・フィールドを使って機体ごと保護膜で覆ってしまえば良いのかもしれないが、すると今度は逆に周りに衝撃波の被害を出すことになってしまう。やはり此処はマッハ9で飛ぶべきか…。
『大丈夫だ。速度と衝撃波の計算ぐらい、視野に入れている。其れに、今の今までテスト飛行も繰り返して来たんだ、安心しろ。それとも何か?私が信用出来ないとか?』
「そうじゃないさマオ。私はお前を信じているよ。だが、そう簡単に上手く行くとは思えなんだでな。不安なんだ。本当に私などが上手く戦えるのか、とな。」
『成る程そういうことか。だが、それにしてもお前らしくないな。普通そんなことを心配したりしないだろ?』
「勘違いするな。私は心配しているんじゃない。確実にベストを尽くしたいだけだ。戦う前にくたばるか、戦ってくたばるかなんて御免だからな。」
『まあ、誰しも必ずは思うことだからな。不安になるのも当然だ。それに…、自信を無くしているのだろう?嘗ての自分が、戦いに負けてしまった記憶を持っているから。そうだろ?』
「………ああ。」
『なら私がいる。それもR-戦闘機やその他多くの兵器を知り尽くしたこの私が、だぞ。今のお前は独りじゃないんだ。私を信じて戦ってくれさえすれば必ず勝てるさ。そうだろ?』
「そうだな…、確かにこんなところでウジウジしていても何も始まらん。だが…、相手の実力とて未知数だ。だから気にしているんだ…、此れで良いものか、とな。」
『ふむ…、確かに其れはある。敵の出処や出方などは確かこの私でもよく分からん。だが、よく分からなくとも戦わねばならない。戦わなきゃ…、駄目なんだ…。』
「………。」
『ああ、すまん。つい…、癖が出た…。』
「マオ、まさかお前も…。」
『言うな箒。そうさ………、私だって怖い。また、あの化け物共と戦うことになるのは私だって怖い。私だって、勝っても負けても奴らの仲間入りを果たしてしまったからな。だから、正直な話、怖い。だがな箒、それは、致し方の無いことなんだ。』
「何故だ?」
『”どんなものにも必ず代償はある”…。昔、何処かの偉い奴が言っていた言葉さ。どんなに強くても、どんなに頂点を目指したくても、必ず代償というものはついてくる。必ずな…。』
「代償………。」
「ああ。私の場合、恐らく勝利の為に
私は黙ってマオの話を聞き入っていた。その間にも、錆び付いたシャッターが、奇怪な金切り声のような、油の切れた派手な金属音を立てながらゆっくりと上がっていた。だが、かなりゆっくり上がっているのかそれとも油が切れているのとレール迄もが錆び付いているのだろう、今現在シャッターが上がったのは私の腰より上くらいだった。
『だが、結局バイドになりはしても人間としての自分という存在ではなく、「私という存在」だけは死ななかった。何故かは分からないがな…。だが、此れで分かったことがある。死ぬ気で戦わねば此れ以上に重い代償を払わねばならないのだとな。』
「………。」
『だが、こうも考えてみて欲しい。死ぬ気で戦ったからこそ、負けることも、それ以上に悲惨な結果を齎してしまうこともなかった。…まあ、人間ではなくなってしまったことは頂けないけどな。』
「…確かにな。」
『だがそんなに悲観することもない。要は死ぬ気で戦うしかない、負けるなぞ考えるなということだ。後が無いと考え、冷静に対処する。何時迄も負けた記憶を引きずってはならない、でないと、もっと重い代償を払わねばならなくなる。それだけは、如何しても避けたい。避けたいんだ。箒、お前はこの戦いに勝つ気はあるのか?』
私は暫く黙り込んだ。確かに、彼女の言い分も分からない訳ではない。そもそも、私の本当の目的はこの全ての世界の覇者となること、そして今はそれ相応の、強大な力を持っている筈だ。そんな奴が、如何してたかが目の前の敵に何を怖気付いているというのか。可笑しい…、可笑しいにも程がある…!
「………ある。あるとも。負ける気なぞ毛頭ない。やっと胸のつかえが取れたよ。ああそうだ、今の私は、いや、
『そう。その意気だ篠ノ之箒。その感情が、今のお前を強くする!』
「ああ、心配掛けさせて悪かったな。マオ。今なら私は思う存分、臆することなく戦えるぞ。お前ももう大丈夫だな?」
『ああ、私ももう心置き無く戦うつもりだ。だがもう時間が無い。直ぐに出発しよう。』
「そうだな。……そうだ、マオ。」
『ん?』
「実はさっきのことなんだが…。」
『箒。其処でストップだ。』
「何故だ?私はただ…。」
『そういうのは、生きて帰って来てからにしてくれ箒。謝られるのは好きじゃない。特にこの局面じゃあな。』
「ふむ、分かった。だが後悔するなよ、私は謝れと言われても謝らないし、謝るなと言われなくても謝るつもりはないからな。」
『なんだそれ、意味同じじゃないか。』
暫しの間、私達➖と言っても、マオは私の体内や精神の中にいるのだが➖から笑いが漏れた。やがて、
『………行くか。』
「……ああ。」
シャッターが完全に開ききった頃には、既にカタパルトには私達の姿はなかった。何故なら其の頃にはもうハワイに向かって飛び去り、既に現地に着いてしまっていたからだった。
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➖数時間前、ハワイ オアフ島近海
有働貴文は数名の部下に命じて全速力で哨戒艇を飛ばした。少なくとも、あんな見たことのない不気味な緑色の戦艦は見たことも聞いたこともなかった。そもそも、オアフ島に迫るくらいの大きさの戦艦が空を飛んでいる時点で彼と彼の部下達は先ず自らの正気を疑った。まさか一昨日、本国の薬局から処方された胃腸薬の副作用が見せている幻ではないのかと。まさかリムパック開催前のホテルで飲みすぎたマティーニ・オン・ザ・ロックスによる二日酔いの所為ではないのかと。だが、いずれにしてもその何方もが間違いであった。現に、戦艦はちゃんと実体を持って、リムパック艦隊やあのアンノウンを攻撃している。そしてそのおかげで、自分達哨戒艇組も多大な被害を被ることになった。アメリカ・アフリカ組は先ず空を飛んでいた機体を回転させて飛んでいる戦闘機に次々と突っ込まれて全滅。チーム中国・韓国は海面から姿を現したケーブル状の触手によって海中に引きずりこまれ、水面を紅く染め上げた。EUや東南アジアグループは先程の気違い染みた大きさの緑色のデカブツの放った光線の一撃で出来たモーゼの十戒のような海底や海面の亀裂や割れ目に、数多くの艦艇と共に吸い込まれた。
要するに、とんだとばっちりを受けたのである。
そして現在生き残っている哨戒艇組は自分達海上自衛隊のみだ、と有働は部下達と逃げ回りながら確認した。今はまだ大丈夫だが、また何時連中が襲ってくるかは分からない。
「有働二尉!このまま如何するおつもりでありますか‼︎」
追い風と爆音に負けないくらいの大声で、山田豊明三等海曹が訊いてきた。だが、余りにわかりきっている内容についてのことだった為、有働は声を荒げた。
「ばかやろう、そんなわかりきったことを聞くんじゃねえ、あんなの真正面から戦ったって意味がない!一旦俺たちは急いでいずもへ撤退するに決まっているだろ‼︎そして其処で態勢を立て直す‼︎大丈夫だ、必ず、必ず俺たちは勝って生きて帰るぞ‼︎」
「「「はいっ‼︎」」」」
そう言って有働は部下達を叱咤し、部下達もそれに応えて海上自衛隊旗艦であるいずもへと航路を急いだ。先程からあの緑色の化け物艦の格納庫から出てきた戦闘機からの攻撃は受けてはいるものの、幸いなことに連れて来た海等1士と2士の巧みな舵捌きによって今のところ被害は受けていない。有働も豊明も、持参した89式小銃やFNミニミ軽機関銃などで威嚇射撃を繰り返した。だが運命とは、いつ果てることなく厳しい展開を突きつけてくるものである。
それは、後もう少し持ちさえすればな、と有働が考えた時だった。有働達のゴムボートがいずもまで近づいていたその時、突然海底が眩いばかりの青色に輝き始めた。しかも、ゴムボートの周りだけが。
「おい、いったい何が如何なっているんだ⁉︎」
「さあ、分かりません…?いきなり、海底が輝き始めましたから、自分にも何が何だかさっぱりで………。」
その時、ゴムボートが大きく揺れ、有働達は哨戒艇の中を転げ回った。
「な、なんだっ⁉︎一体、何が起きっ………⁉︎」
有働の焦燥の声が続いたのは其処までだった。下から突き上げるような衝撃と、巨大な水柱によって、有働は青く不気味に輝く海の中へと投げ出され、そのまま海中へと引き摺り込まれてしまった。
「二尉ぃぃぃ!」
「有働二尉っ⁉︎」
「なんてことだ、まさか二尉がっ‼︎」
豊明達3人の部下は、急いで有働の消えた光る海の中へ飛び込もうとした。だが不幸な事に、戦闘機からの攻撃やアンノウンの事に加え、いずもの探照灯がしきりに撤退するよう、モールス信号を発していたため豊明達は泣く泣く諦めて、いずもへと撤退した。
だが、後々の展開や事を考えれば、彼らにとっては幸いな事であっただろう。特にこの後、彼➖有働貴文が、”人間で無くなり、悪の手先になってしまった事を考えれば”、だが。
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暫くすると、オアフ島近海の海域に到着した。私達の判断が正しければ、恐らくこの近くは激戦、いや一方による”一方”的な蹂躙戦が展開されている筈だった。
「確かこの辺りだったな」
『ああ、きっと何処かにいる筈だ。』
そして其れは余りにも簡単に見つかった。織斑千冬とリムパック艦隊だ。バイドの猛攻に全員苦戦を強いられていた。そんなバイド達の猛攻を掻い潜っているゴムボートが見えた。ズームして見てみると、海上自衛隊の哨戒艇のようだった。だが、そんなゴムボートも、海中の青い光からの攻撃を受けて水柱を浴びて自衛官の1人が海に落ちるのが見えた。すると、それを見たらしい白騎士➖間違いなく織斑千冬だろう➖が、彼らを助けようと全速力で迫った。が、
エネルギー切れだろうか?白騎士がバランスを崩して、しかも武装までもが消え始めた。そして、周りを取り囲む、バイドの戦闘機達。
…とても見ていられなかった。
「…マオ。」
『言われんでも。2ループチャージ完了だ。』
「なら、」
ガチャン!
「話は」
キュウウウウッ‼︎
「早い」
ピピピピピピッ‼︎
「………なっ‼︎」
カチリ。
➖ドオォォォォォォォォォンッッッッッッッッ‼︎‼︎
背面武装のスタンダード波動砲を展開して右肩にセット、エネルギーが充填されているか確認、そして照準を合わせて引き金を引いた。狙いは勿論、
白騎士に群がる、バイド共だった。
<な、なんだっ⁉︎>
無線を傍受すると、織斑千冬の、驚いた声が響いてきた。まあ、無理も無いだろうが。
千冬が此方に顔を向けてきた。今頃は自前のハイパーセンサーを使ってこの機体➖戦甲機「アローヘッド」➖の解析を行なっているだろうが、したところで理解なぞ出来ないだろう。そもそもISの姿をしていながら、ISコアを持たないという話になれば、だ。
だが、私は千冬を助け出したから、解析されても心配無いからといって、まだ安心している訳ではなかった。やるべきことはまだ沢山ある。そう、例えば、千冬の真後ろ、あの常識外れな大きさの緑色の戦艦➖マオから聞いていたグリーン・インフェルノのようだがそれにしては大きさが聞いていたR-9Aアローヘッド20機分よりデカすぎるので、恐らくベルサーやレイブラッドの手が加えられているらしかった➖などだ。私は再び千冬と、彼女の向こうにいる戦艦➖グリーン・インフェルノの突然変異種で、後に「グリーン・インフェルノ タイプ・ミューテーション」と名付けることになる個体➖の距離と、波動砲の発射時と直撃時における爆風と衝撃波の計算を瞬時にマオの予測やコンピューターによる分析結果などで割り出し、其の上で再び右肩に装備した背面武装であるスタンダード波動砲を展開・セットする。すると、自分に向けられていると考えたのか、織斑千冬が身構えた。バイザー越しにとはいえ、かなり動揺していたため、あらかじめ彼女の通信プログラムにハッキングしてやや強引に通信を繋げる。
「其れだけでは不十分だ、織斑千冬。もっと離れろ。出来れば200m圏内迄はな。」
<なっ、お前!何故私の名前を知っている⁉︎それにたった今私に荷電粒子砲の砲身を向けておいて、離れろだと⁉︎>
「喋っている暇があるくらいならさっさと此処から離れろ。お前の後ろの敵を今から撃ち抜くからな。」
<それはどういう…⁉︎>
彼女の戸惑いの声が聞こえない内に、また最初のように強引に通信を切った。警告はした。後は彼女のタイミングと悪運の強さ、そして彼女の判断次第だ。マオに現在の機体と波動砲の状況を訊く。そして、
『波動砲エネルギー、フル装填完了!何時でもいけるぞ。狙いは、彼奴だな。』
「ああ。確か、”グリーン・インフェルノ”で、あっていたよな。マオ。」
『そうだ。だが通常のタイプとは大きさも、火力も段違いだ。恐らく本体も別の場所にある可能性も高い。間違いなく突然変異種か、ベルサーやレイブラッドの奴らによって改造されたタイプだろう。正攻法では無理かもしれない。』
「そんなことはやってみなければ、」
そして、砲身をグリーン・インフェルノに向けて、
「分からんだろう?」
撃った。
波動砲は先ず今にも私達に向って撃ち出そうとしていた、所謂”惑星破壊波動砲”によく似た波動砲➖後に、ハイパータイプ・デビルウェーブ砲”と呼ばれていると知った話は別の話になる➖の砲門に直撃した。誘爆を起こして波動砲は沈黙した。向こうからすれば撃沈しなかっただけまだマシだろうが、此方としては波動砲が使えなくなったことは好都合だった。だが、織斑千冬が波動砲発射時の衝撃波を受けて気絶し、墜落していくのが見えると、私は舌打ちを打った。そして頭の中で瞬時に十数秒以内でグリーン・インフェルノを無力化させ、織斑千冬を、海面に叩きつけられないようにして救い出す計画を立てた。普通の奴なら、かなり無謀な真似だと考えたであろう。だが今の私は、其れを極めて短時間で其れを実行出来る自信があった。
「…マオ、カウントは?」
『何時でもOKだ。然し、家事や開発以外で之を行うのは初めてだが…、大丈夫なのか?』
「何事も試してみるのが一番だ。私は、賛成に一票。」
『どうなっても知らないぞ……、私も賛成。』
「じゃあ、織斑千冬が海面に落ちない内に済ませるぞ…!」
そう言って私達は、オーバーブーストでグリーン・インフェルノに急接近してカウンター攻撃➖スポーツの、それもバスケットボールで言うところの速攻である➖を、織斑千冬が海面に激突するまでの「10〜15秒」という制限時間内で仕掛けた。
『1‼︎』
波動砲を薙いで上部の全ての機関砲やビーム砲などの砲台、ミサイルコンテナを全て破壊し、
『2‼︎』
続いて左のコンテナや格納庫、装甲やプレートなどのパーツを壊し、
『3‼︎』
左の機関砲をテンタクランサーを使って黙らせる。
『4‼︎』
そして下部の機関砲やビーム砲を、上部の時と同じ破壊する。
『5‼︎』
そして右の機関砲を綺麗に消滅させ、
『6‼︎』
直ぐさま右側の全てのパーツを左側と同じ運命を辿らせる。
『7‼︎』
続いて上部の装甲やプレートを吹き飛ばす。
『8‼︎』
そして二重になっていたもう一枚の装甲も吹き飛ばした。
『9‼︎』
次に現れた機関部も球状のバイド弾を放たない内に波動砲を叩き込む!
『10‼︎』
そして最後は海面に激突寸前の、織斑千冬の白騎士を、お姫様抱っこの要領で引き上げる‼︎
やがて、派手な爆発を起こしながら、「グリーン・インフェルノ タイプ・ミューテーション」は、これまた派手な波飛沫をあげて沈没した。
『………10秒47、か………。敵さん相手に、なかなかやるじゃないか。ことに、相手があのグリーン・インフェルノか、地球連合のあの名前のない”くそったれ”戦艦よりデカい戦艦なんかにな。』
「確かにな。だが、出来るかどうかの心配はこれでもしていた方だぞ。かなり早く倒せたのは本当にラッキーだ。多分相手が戦艦だったからこそ為せた技だ。………で、彼女はどうすべきか………。」
私は自分の手の中に眠る織斑千冬を見た。このままリムパック艦隊に引き渡してしまう手だってある。だがそれだと彼女は国家反逆罪とテロ行為を問われ、場合によっては死刑が確定してしまうだろう。そうなれば、もう2度と妹の一夏に会えなくなってしまうだろう。如何したものか…。そう考えた、その時だった。
海底に沈んだ筈のグリーン・インフェルノが、再び海底から浮き上がってきたのだ。それも、万全な姿で、海水をまるで滝のように流しながら。
これには私もマオも驚いた。機関部を叩かれて生きている筈がないのに…。一瞬そう考えたが、絶え間なく続いている機関砲撃やビーム砲撃を慌てて避けなければならなかった。織斑千冬を抱えているせいで上手く回避行動が取れなかった。
「クソッ‼︎機関部を叩かれた筈なのに何故まだこんなにも元気なんだっ⁉︎」
『可笑しいな。確かに機関部を叩いてグリーン・インフェルノは墜ちた。まさか叩き方が不十分だったのか…?』
だがその理由は、突然せり上がったグリーン・インフェルノの艦橋で判明した。グリーン・インフェルノの艦橋をまるで貝殻のように背負い、継ぎ目に巨大な波動砲の砲身を備えたそれは…、
「………成る程、”ベルサー艦”、か………。」
ベルサーのヤドカリ型戦艦「マイホームダディ」だった。
だが、敵はマイホームダディだけではなかった…。
突然グリーン・インフェルノの沈んだ海域の丁度反対側の海面が急に盛り上がり始めた。何が起きているのか、首を傾げた時だった。
「グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ‼︎」
…咆哮と共に海面を爆発させるようにして現れたのはトカゲのような姿をした異様で不気味な怪獣だった。トカゲを禍々しくしたような顔、肩部についたサメを思わせる顔、それ以外のどの部位を見ても、明らかにとても味方ではないと自己主張していた。自分で言うの何ではあるが、禍々しくも美しい外見を持っていたかつての私と違い、禍々しさだけが全面に出ていた。だが何よりも、私とマオが興味を抱いたのは”奴”の胸部だった。そう、奴の胸部には…、波動砲が付いていたのだ。そして何よりも、
「馬鹿な…、波動砲だとっ⁉︎」
『なんてこった、バイド反応も検知したぞ‼︎』
「何⁉︎じゃあまさか彼奴は…、」
『ああ、あの中に…、グリーン・インフェルノの中にベルサー艦と一緒に居たんだ!』
私とマオはいきなり窮地に陥ってしまった。2対1。しかも訳の分からない敵がいる。だが、これは同時に私達と、因縁の敵の1人との出会いでもあった。そして、この時は未だ名前の無かった、ベルサー艦と一緒にいる禍々しい私達の因縁の敵の名前は………………………………、
「ビースト・ザ・ワン ベルゼブア」と言った………。
さて、漸く終わりましたね〜。いやあー、長かった。
さてさて、お知らせなのですが、今回までに、なんとレギュラーで登場予定の怪獣達が決まりました!怪獣については以下の通り。
・邪神 イリス(篠ノ之箒)
・ゴモラ(織斑一夏♀)
・邪神 ガタノゾーア(?????)
・レギオン(?????)
・ビオランテ(⁇⁇?)
・デストロイア(⁇⁇?)
・ゴジラ(?????)
・ガメラ(?????)
・キングギドラ(⁇⁇?)
・ビースト・ザ・ワン(有働貴文)
・ゼットン(?????)
いやあ、錚々たるメンバーですねぇ殆ど私の所為ですが。でも私はやると言ったらやります。まあ、またかなり時間がかかってしまうとは思いますが(汗)
あ、作中の新聞や新聞記事の内容は全て続編への伏線となっています。前回のサイバーダインもその一つになります。え、伏線作りすぎだって?それはそれ、これはこれです、はい(笑)でも飽くまで本編自体はバイドや怪獣とのバトルが主体なので今はそんなに出番はないと思います。一部(「ザ・愛国者&ザ・女誑しの息子」のキーワードのキャラクター)を除いて。という訳で、今回も遠慮なく感想、評価、批評、誤字ラ出現報告、質問等をどんどん送って下さい!この前お気に入り解除されて凄く悲しかったので(悲)お待ちしていますー。