転生オオタチ、変異個体ですが主人公のパートナーです。 作:マスターカード
初めてのバトル後。豪邸にて、登校について行くように言われるネモ。オオタチは傍で聞いている。
アンナは初登校。道程は結構あるので、道案内をすると言うことらしい。
(ふむふむ、此処は流れ的に同じかな? ってなるとミライドンとも出会うわけか)
運命の出会いが待っている。
まあ、オオタチは御三家のポジションを奪っておけば良いし、事実アンナは学校からの支給を断った。
オオタチがいるから、欲しい訳じゃない。
自分で、この先捕まえたい。
それも踏まえて、登校する。
そう言う。彼女の数奇な物語が、待っているのを知るオオタチは危険しか無い前世の記憶を思い出す。
余所の扱いだとここの主人公は災いを解放したり、DLCでライバルを追い込んだり、禁域に無断で立ち入ったりと割りと問題児で、ストーリーは良かったけどボタンなど至っては昨今話題のハッキング行為と仮想通貨偽造を堂々としている。
続編ほどではないが、主人公関係の問題行動はリアルとなった今、止めるべきか。
面白いからいいやという邪神の思惑通りも癪だ。
特にボタンは不味い。完全にオモダカの行為は揉み消しで、不祥事に変わりは無い。仮想通貨の偽装もハッキング行為も犯罪だ。何故こんなキャラを出した友人に。
ここの問題が関わってくる関係上、どうしても避けたい部分。
物量に単身乗り込めとか言う、特攻を持ちかけるボタンだ。相談相手を間違えている。
ペパーもそうだ。怪獣相手に何故素人を巻き込んだ。
ミライドンの一件もあっても、最適なのはネモだ。
ボタンも嫌煙されていても立場上ネモが適任だろうが。
駆け出しのアンナに二つとも持ちかける話では無い。
(あれ、そう考えるとSVって典型的な巻き込まれか? 自分から行くんじゃなくて問題が向こうから来るっていうパターン)
オオタチの言うとおり、ジャンルなら巻き添え型。
アンナは平穏に暮らしたいのに問題がやってくる。
断ろうという意思がゲーム上出来ないが、今はどうだろう。
興味本位の面白そうで首を突っ込むような子ではないと良いが。
どうやら、一回実家に戻って挨拶だけしてくると聞いて、スマホにアカデミーのアプリを入れて解散する。
校長はタクシーでアカデミーに戻り、アンナ達は実家に戻っていくのを同行する。
道中、コサジタウンの近場の分布の情報を貰う。
図鑑の数を聞く。……予想通り、400ではないか。
パラドックスや厄災の図鑑は明記されていない。
あくまで一般ポケモンのみの情報だけだ。
つまり彼女達にとって、パラドックスは完全に未知。
ミライドンもポケモンかも怪しい生き物という認識。
この辺はUBに似ているが、連中は準伝説扱いでこっちは一般ポケモンに一応分類されている。禁域のみにいる、一般ポケモン。
(パラドックスは一匹確定で逃げてるけど、大人達は放置しているのかな。あの怪獣共)
この辺、オオタチは知りたいがポケモン故に知ることが出来ない。
いや、ここに居る邪神に聞くか。
『はい? ああ、この世界の情勢ですか? そうですね、貴女の知る物語の状況と似ては居ますが、大人達は仕事をしていますよ。状況はガラルに似ています。子供たちが集中できるように、野外授業が始まる前にヌシは討伐していますので、ご安心を。逃げたパラドックスもエリアゼロに戻されています』
おい良いのか邪神。ペパーの話が破綻している。
大人達が当然の動きをしたことで、一個物語が壊れている。
『いえ、ですからペパーはある意味途方に暮れているわけですね。治療法がないのですから。跡地も立ち入り禁止。つまり、一人では手詰まりです』
どうしろと言うんだ。愛犬を治癒する方法が無いと、ミライドンも弱ったまま。
『大丈夫ですよ。此処はパルデア。結晶洞窟というものがあるでしょう。そこから稀に発見されるスパイスを手に入れる物語に変わっていますので』
……なるほど。邪神も代案はあったわけだ。
ペパーはバトルが苦手。育成は下手な方。
なのに、欲しいスパイスを入手するにはレベルの高い結晶洞窟に何度も挑む必要がある。
だから一人では手詰まりと。
ネモの需要が高まっている。
作中最強が、ペパーを救う。
接点がないのが問題か。
そう邪神と聞いてる間に、母から重要アイテムサンドイッチを受け取ったアンナが実家を出発する。
「いってらっしゃい」
「うん。オオタチ、行こうか」
お母さんにも愛嬌振りまいて笑っておいて、出て行く。
コサジタウンの小道を歩く一行。
軽い傾斜の道程で、近くには崖と浜辺に原っぱや池もある。
灯台が近くにあるが、そこが重要な接点。
小道の池の近く。ふと、アンナがオオタチに言う。
「オオタチ、あの子に突撃してきて」
そう言って指を指すと、池の畔に鎮座するエクレア。
じゃない、ポケモンがいる。巨体で動きは鈍く、間抜けな顔をした奴は。
(ドオーじゃん。序盤に居て良いポケモンか貴様)
旅の即戦力、ドオー。のそのそと移動しながら、欠伸をしている。
すると、ドオーを認知したアンナの図鑑が更新される。項目は、変異個体。
「また!? 普通の見た目なのに……!?」
ネモも連続で変異個体が出会って、今度は何だと開いてみせる。
変異個体、特性が更新。
特性、泥要塞。
詳細を開くと、水技を受けると無効化して防御が上がる、地面技を受けると無効化して体力が回復する。
「貯水とどしょくが合体してる!?」
ネモも驚きを隠せない。
弱点二つを無効化して回復と防御アップ。
凄い個体が居たモノだ。
「そうなんだ。……オオタチ、ゴー!」
バトルを仕掛けるアンナ。
オオタチ、竜巻を纏って突っ込んでいく。
こんな美味しいキャラ、捕まえたい。
来いよエクレアとドオーの背後に着地したオオタチがドヤ顔で構える。
ドオーは気にしない。
振り返る事も無くマイペースにのそのそ無視して動く。
バトルはお互いに合意の元がSVからの鉄則だが、こいつその気は無いらしい。
オオタチがアンナを見て、仕草でボールを投げても良いと応答する。やる気無いから。
「えぇ……」
ネモも嗾けても無反応のドオーに呆れていた。
アンナもじゃあ容赦なく真横からボールを投げる。
当たって吸収、一回で捕獲。すんなりゲット。
『はて? こんな個体、用意していませんが?』
邪神も知らないと言うことはマジで天然記念物。
ラッキーだった。
邪神がメタで何だ此奴はと種族値を確認する。
H130、A85、B85、C45、D100、S20。合計465。
若干強くなっている。
元々リージョンが下がっている攻防が元通りになった個体。
二人も手元に戻ってきたボールをキャッチして、スマホで技を見る。
自己再生、ダストシュート、地震、のろい。
「今度は帰化したポケモン……じゃないね。技構成もおかしくないし。ただ、普通は覚えにくいだけで。元々ドオーは温厚だから、この辺に天敵居ないし進化したのかも」
ネモも言う。変異個体とはいえオオタチ程じゃない。
ギリギリ常識の範疇だと、言えなくもない。
使いやすい個体で良かったと笑うアンナ。
三匹目、捕獲したと思ったら。
突然一帯に、ポケモンの咆哮が聞こえる。
聞いたことのない怒り狂う声。
「なに……?」
アンナが海の方から聞こえたと言って、一同海の方に走る。
彼女は崖上から、柵に手を掛けて身を乗り出して見下ろす。
遠目で、浜辺に青いポケモンらしき生き物が倒れているのが見えた。大きい。
ネモに伝えると、巨体のポケモンはこの辺には居ないという。外来種か。
見に行くか、とネモに言われると止めておくとアンナは言った。
危ないと思う。
子供やオオタチでも敵いそうにない相手だから。
そう、マトモな判断が出来るアンナで良かった。
オオタチは思う。
慎重に動ける、好奇心旺盛ではない。
これなら、きっと上手くいく。
その時灯台の方から誰かが血相を変えて走ってきた。
「おい、そこの二人! 今の声聞いたか!?」
崖の方の一同に叫ぶ男子生徒だ。
こっちに駆け寄ると、下に何か居るとアンナから聞いて名乗りもせずに焦り出す男子生徒。
「ヤバい……。あいつが逃げ出したって事は、何かあったんだ……」
青ざめて絶望する彼に戸惑いつつ聞くネモ。
「えーと、あなた先輩だよね? 二年の」
「ああ、そっか。そういうあんたは生徒会長か。悪かった。俺はペパー。二年生だ。そっちは生徒会長と、編入生か?」
「はい。アンナと言います」
礼儀正しい態度で挨拶するアンナに、その青いポケモンらしき生き物は、危険だから近寄るなと言い出すペパー。
自分は知り合いだから良いけど、今からボールに戻しに行くという。
手元にしまえるボールがあってそこに回収するだけ。
問題は、海岸沿いに行くにはそこの洞窟を通らないといけない。
ヘルガーの群れが最近住み着いているのだ。
「分かった。私が蹴散らすよ」
生徒会長として、ペパーに同伴するというネモ。
最強に文句は無いというペパーは、アンナはどうするか問う。
「ついていく。危ないと思ったら、助けを呼ぶ人が居ないと」
役割分担。自分は万が一の場合の対処をする。
オオタチなら多少のポケモンならどうにか出来る。
「よく見たら色違いじゃねえか。凄いなお前」
相棒に驚きつつ、急ごうと言うので一行は洞窟に向かう。
走って駆け抜ける。デルビルの群れが行く手を阻むが、ネモのポケモンとオオタチがあっという間に追い払った。
露払いは任せろとオオタチが息巻いて、有象無象を吹き飛ばす。
「オオタチにしては強くねえ!?」
「変異個体だからねこの子」
仰天のペパーにネモが苦笑して突き進む。
海岸に降りると、そこには見たことの無いポケモンのような生き物が横たわる。
ゆっくり顔を上げると、電子機器のような部分が変わる。
「ミライドン……。やっぱりお前か。親父に追い出されたか? 事情は何でも良い。黙ってここに戻れ」
代表のペパーが近寄って、ボールを差し出す。
事情はわからない。ネモは見たこと無い相手に若干興奮しているし、アンナは警戒してスマホでアカデミーに直通の準備をしている。
護衛のオオタチも構えている。
すると、腹の音がした。空腹らしいミライドンの方から。
気力の無いミライドンに、ペパーは今は食う物はないと言うがアンナが言った。
サンドイッチならある。これを上げても良い。
そう言って取り出すと、オオタチに渡して運搬。
ペパーに手渡す。
「だとよ、ミライドン。あの子に感謝して今のうちに食っとけ」
差し出されたサンドイッチを、ペパー故か遠慮無く食うミライドン。
その後、黙ってボールに戻る。
「ごめんな。これ、お昼ご飯だったろ?」
「気にしないで。ネモと分けるようだから大きいサイズだったし。別に後で何か買うよ」
そう言うアンナに、ペパーは借りが出来たという。
共に学校に行くから、ちょっと付き合って欲しい。
この事を校長に報告しないといけない。
そう告げた。
「ありがとちゃんよ、アンナ。初対面でデッカい借りが出来ちまったぜ」
「良いのに」
そう言いながら、小道に戻る。
歩いて戻っていくと、仕返しに来たヘルガーがうなり声を上げて待っていたが、ネモが容赦なく追い払って普通に戻る。ミライドンに見せ場無し。ネモがかっ攫う。
道中、進んでいく三人に増えた彼等は近くの町で休憩を挟んだ。
飲食店に立ち寄り、外の席に座って駄弁る。
さっきのポケモンのことは他言無用の案件で校長に報告するべき事案。自分らの出る幕ではない。
そうペパーは説明する。
「了解」
「オッケー。先生に任せておいた方が妥当だよね」
本当に大人が仕事すると冒険の味が薄くなる。
オオタチは傍で聞いているがそう思った。
『ポケモン世界が治安が悪いと思われても困りますね。無能な大人がいるから冒険できると言うのがおかしいのです。教育者の責任は負う。ご都合主義的な展開は私は面白くないのですよ』
(そりゃそうだ。で、ボタンの一件は?)
有能な判断と妥当な意見。結果、物語は味気ない。
ミライドンは狂った博士の狂気を止めるストッパーになれず、現実的に大人に任せる。
『彼女の一件も起きては居ますが、恐らくこの少女ならネモに一任するでしょう。生徒会長ですし』
(便利過ぎんかネモ。設定的に……)
舞台装置に使われるネモに同情する。
リアルとなった世界では、主人公中心には動かない。
各々が生きている世界。止めるべき存在は、本来のあるべき場所へ。
『私の楽しむ流れは、刺激があれば良いわけではないので。寧ろご都合主義、嫌いですし。成長の過程に無双とか無粋ですよ』
(じゃあ何で私を呼んだよ。無双スペックじゃん)
『いえ、そこは別口。味変の暇潰しです』
(この邪神がッ!!)
休憩中の三人が、アカデミーに行く前に。
オオタチと邪神のやり取りが行われていた。