転生オオタチ、変異個体ですが主人公のパートナーです。 作:マスターカード
レヴェナント。そう名乗った、七つ星の同級生。
『おや、危険な相手が来ましたね。レヴェナント、ですか』
邪神がそんなことを言う。
どういう事か。簡単に言おう。
『伝説使いのレンという通り名は、分かりやすい話が伝説厨ですよ。彼女、ガラル出身でしてね。伝説や準伝説を普通に揃えています、希少性とスペックで黙らせるよく居る……』
(聞きたくもねえよ! ガキか! 伝説厨とか巫山戯んな! さてはダイマックスアドベンチャーで手に入れた個体だな!? あそこは入国できない奴も居るけど伝説出るだろ! しかも色違いも!)
『その通りです。彼女の持っている自前の伝説は、ダイマックスアドベンチャーにより異世界から来た伝説、という定義です。ガラルでも稀少ですが、ダイマックスアドベンチャー自体が解明できない未知の世界ですしおすし』
(勝てるわけねえじゃん! 私オオタチだぞ!)
『スペック570族が何を宣っているんですか?』
詳細知らない奴に何を言うか。無茶振りと訴える。
アンナも嫌な気配を感じ取ったらしい。露骨に言う。
「凄く、ネモを悪化させたような雰囲気がする」
「……」
初対面で伝説の気配を感じるとオオタチに言う変人に、関わりたくないと表情に出ている。
「アンナ……。いや、まあレンも大概嫌われてるからなぁ」
ネモも頭痛がする。レンもまた、七つ星でも煙たいと言われる所以である。
伝説使いのレンとは忌避される通り名で、嫌味だ。
稀少で強力なポケモンを駆使して、戦術もクソも無い暴力で制圧する。
ゲームで言うなら邪神六体でメンツを組むような子供。ダイマックスアドベンチャーとかいう異世界補正なら伝説使いが出来てしまうから困る。
あーあ、出会っちまったな、であった。
「特別なポケモンが居る故郷だった。私はそれだけ」
「伝説使い、って嫌味だよね。普通の人に貴重なポケモンを使って戦うのは別に良いよ。でもオオタチを理由に私に関わるのは止めてくれない?」
嫌味を言われるような格上に興味は無い。
勝手にやれとぶった切るアンナ。
「素っ気ないのね」
「ゴメン、レン。アンナはハッキリ言う子だから……」
嫌だという意思表示はキチンとする。
アンナの態度にレンは構わないとネモに答えた。
「変異個体も十分、稀少。このオオタチは色違いに加えて、人並みの感情も理性もある。見えているわ、オオタチ。私を伝説使いと聞いて嫌がっているんでしょう? つまり、伝説を知っているのよね?」
「オオタチが……?」
オオタチにそう指摘するレンの言うとおり、アンナが見たらオオタチも可愛い顔が台無しになる難しい顔だった。
「何処で知ったのかしら、このオオタチは」
「うわ、本当にオオタチが嫌がってる……」
アンナもオオタチの言動なら理解できる。
伝説を聞いて、微妙な顔をしているのは理解できるからか。
ネモも逃がしたトレーナーの知恵では? と聞く。
変異個体とはいえ多分この子は帰化しているタイプ。
逃がされたのだろうと。
「でもおかしいでしょう。私は伝説使い、としか言ってないわ。何をどういうポケモンかは、多種多様。なのに一律知っているハズが無いのに、どれであろうが嫌がる。頭が良い子。私のこと、知っているの?」
『ヤバいですね、彼女、滅茶苦茶ツッコミ入れてきますよ』
邪神も焦る。こいつはこの世界にいる、モブだった奴がネームドになったらしい。邪神の手心じゃない。
(笑って誤魔化す……のは無理だ。出来たらバレてないし。私はSV時代、伝説厨にオンラインで何度もボコられているせいで愛想笑いも出来ねえ……)
伝説厨は嫌いなのでオオタチも曖昧な笑みで流しておく。
『チャンピオンズで漸く笑えてましたからね、前世のあなた』
(メガシンカで悲鳴上げたけどなぁ。Zとか聞いてねえよ、何だよS151とか。黒馬かっての)
『メガシンカは切り札ですので。パラドックスみたいにお手軽持ち物でブーストよりマシでしょう?』
(パラドックスは良いんだよ、好きだからまだ。でもハバタクカミはやりすぎだと思うんだ)
『重々承知です。大丈夫、こっちには居ない、ハズ?』
(何で疑問形?)
『いえ、結晶洞窟でバージョン超えて登場が有り得るので……。知っての通り、テラスタルは時空超えるので』
(亀がそういえば起こしてたな、最後のイベント。あの頃は普通の博士が本編じゃ死人で挙げ句に狂ってるときた。絶望の上乗せでしょアレ)
『楽園とか言う前ですよ、多分』
などとやり取りをしている中で。
レンは聞いた。このオオタチ、相当強いな?
少なくとも、うちの鍛錬大好きな二匹のポケモンが疼いているぐらいには。
さっきのアンナみたいにスイッチ入って、バトルで殴りたい衝動を諸行無常の心で抑えている。
「ああ、アランさんの時の私みたいになってるのか」
「アランさんに光を見た? なら、あなたはこっち側」
変人に、アンナも同じ穴のなんとやらと言われる。
強さに興味があり、知らない世界を見たいなら。
それはアカデミーの生徒の真っ当な姿だろう。
「鍛錬……あちゃ、あの子らか。ノーマルに格闘は有利でしょ、レン」
「ええ。修行や鍛錬では無く、相手がオオタチでは狩りになってしまうわ。この子達、何匹か師範から譲って頂いたのだけど。もう一年以上こっちに居るのに、未だに故郷の方が良いみたいで心が未熟なのよ。だからこの前お望み通り帰らせて今頃は師範に性根を叩き直されているわ。今は二匹だけ」
「野山で鍛えている方が強いもんねこのポケモン……」
あ、とオオタチ気付く。師範、伝説、二匹。
ガラルで該当する準伝説。いる。
(最悪なモノ手持ちに持ってるなこいつ!?)
『みたいですね。まさかウーラオスですか、この反応』
そう、SV時代歴代シーズンの覇者にして世代を超えて大暴れしたポケモン、ウーラオス。
控えめながら綺麗な種族値、使い勝手の良い無い技にチート特性。
挙げ句SVで強化さえされた。どっちも強い、怪物級。
「まだ疼いているのね、いいわ。少し出て来なさい、ウーラオス」
二匹のポケモンが食堂に出て来る。
双方、拳法の達人みたいな姿の獣人。
一匹はゆっくり一撃でぶん殴ろうとしていて、一匹は流連な動きで猛攻を叩き込もうとする。
「止めなさい」
レンの凍えるような低い声で命じられると、二匹はハッとして冷静になる。
「いつ見ても格好いいよねウーラオス」
「今の無様を見てそう言うのはネモだけ」
ウーラオス達は構えて、礼儀正しい姿勢で佇む。
人様に武闘家として恥ずかしい格好を見せるな、とレンは告げる。ウーラオスは謝罪のように吠えた。
「……」
アンナはチラチラ横目でオオタチを見るウーラオスを見て、解した。
自分となんか似ている。
アランのメガシンカの本質に魅入られたあの時の己。
ウーラオスはオオタチにそれを見たから興奮している。
「律しなさい。好敵手を見ても乱すなと言ったはずよ」
叱りつけると二匹は片膝をついて、頭を下げた。
レン曰く、流派の詫びの姿勢らしい。
「オオタチの強さに見とれて己を忘れる。理由は十分。私と師範の教訓を犯した罰。お前達、今日を以てこの流派を破門とする」
「破門!? えっ、どういう事!?」
ネモが仰天で問うと、これがウーラオス達の厳しい流派の教えであり、破ったウーラオスは何れだけ強くても泥を塗った個体と見なす。
追放処分、即ち破門にする。
ウーラオス達は一派の鍛錬で己を磨くポケモン。
心を乱した個体は、流派にとっても足手纏い。
他のウーラオスから、出来損ないと軽蔑される。
「ウーラオス達は己を完璧に鍛えたい、求道者。そんな中にこの程度の誘惑に負けて血の気が出てる奴は、許されない」
破門の二匹は、分かっていると頷いて立ち上がった。
お辞儀をして、改めて詫びを入れる。
「ふぅん。追放処分って事はこの二匹どうなるの?」
アンナが原因のオオタチを近くに寄せて問う。
大体は破門の通り、行く当てがないので普通に譲渡。
こんな未熟なウーラオスで良ければ、共に来てくれるトレーナーに託すらしい。
「ねえ、そこの流水みたいなウーラオス」
そう、アンナは一匹に問う。
猛攻を叩き込もうとする方だった。
「良いよ。一緒に行こう。オオタチ、仲間なら文句ないよね?」
(おい!? 連撃の方、貰う気か!?)
オオタチが怪訝そうに見ていると、アンナはウーラオスの心境をよく分かると肯定した。
自分も挑みたいと思うメガシンカ、アランがいる。
一緒にぶっ倒しに行こうぜ、的に誘った。
「あら、いいの? こんな不出来な子で」
レンは破門のウーラオスは未熟で、何匹も居るウーラオス達の中でも最弱だと言うが。
(ウーラオス達の基準がおかしいだけでお前ら全員厨ポケだよ!)
ウーラオス達は全員言うまでもなく、厨ポケである。
それを貰おうというアンナ。味方で、共に旅をする中で背中を預かる立場なら、どうだろう。
連撃のウーラオスは、感激のように震えながら構えて頭を下げた。
「そう、良かったわね。なら彼女が新しい主よ。よく指示を聞きなさい」
アンナにボールを渡すレン。
故郷にはウーラオス達がもっと鍛えた連中がいる。
「なら私もそっちの子、受け取るよ。構え的に、一撃入れようとしてた、威力重視の方だよね?」
ネモが一撃の方を譲渡で受け取った。
良きかな、とレンは未熟者には頼もしいトレーナーとウーラオス達に言った。
また新たに鍛え直した二匹をそれぞれ受け取ると説明。まだウーラオス達は居るらしい。
『そもそもウーラオス達は群れで人々と共に鍛錬をする一族ですからね。彼女の故郷にはウーラオス、結構居ます』
(うちに未熟者来たけど?)
編入から日が浅いうちに世代を超えて大暴れしたポケモンが貰えたんだが?
『……だいぶ誤算ですね。ここまで流派が厳しいとは想定外。ウーラオス……ウーラオス、ですか……』
(どうするん。準伝説、伝説使いから貰ったけども)
『何とか……なると思います。いえ、楽しいので良きとしましょう!』
(観客の邪神が困惑してどうしたいんだよ!!)
邪神がそんなことを考えていない。能天気すぎる。
ウーラオス達はそれぞれ、一撃が最強ネモに。
連撃が駆け出しのアンナに譲渡された。
「ありがとう、こんな未熟なウーラオスなのに。編入生さん、あなたの良い旅を応援しているわ。次は……一戦やりましょうね、オオタチ?」
(お断りします断固)
これからもよしなに、と言いつつレンが去って行く。
残されたウーラオス達は全身で感謝を込めお辞儀をして、二匹を鬱陶しいので戻す。
「私もレンの持ってたウーラオスかぁ。キチンとこの子と向き合って鍛えていこうかな」
「私は知らないけどイメージしやすいポケモンだね。一撃必殺と連撃猛攻。どっちも強いと思う。連撃の方がオオタチに似てる」
「猛攻は、確かにオオタチでやってたもんね……」
ネモなら直ぐに一線級だろう。
問題はイメージが曖昧で獣人に慣れてないアンナ。
人型の回避や迎撃のコツは経験。慣れるしか無い。
「ウーラオス、スマホで下調べしてみるよ。手持ち増えたからアカデミーでもっと勉強しないとね」
食事を済ませたその日は、午後もすり合わせなどで終えた。
翌日からアンナの校内の冒険が始まった。
授業はくそ真面目で知識不足を補っていく。
その中で知る、違和感。教師達も、アカデミーに来てまだ日が浅い。一年半適応。これに気付いた。
ネモはこの事に沈黙して言いたくないとだけ告げる。
教鞭で教えているが何やら不良達に思うことがあるよう。
近々二度目の宝探しという名目の野外授業が始まる。
やり直しの野外授業、教師達にも初めての試みらしい。
総合コースのアンナは兎に角、授業は全て受けて課題は速攻片付ける。
その後学生寮の門限まで街に出かけてはオオタチと遊び回っている。
ポケモンリーグの入り口にも記念に行った。
そこで四匹の固まるイッカネズミを捕まえた。
でも図鑑だと変な個体らしい。変異個体、確定。
『またですか! こんなのおかしいですよ! 変異個体はホイホイ出るモノではないんですが!!』
(またかよ)
邪神が知らない、天然物。
イッカネズミ、特性が親子愛。巫山戯てんのか。
ぶっ壊れ特性のイッカネズミだった。
スペックは邪神アイズで見ても普通だったが特性がヤバい。それを知らないアンナは首を傾げた。
ついでに暇そうに夕暮れに黄昏れるレンにまた会った。
「此処には太陽を食らう獣が来たのよ。それの後を追う闇を、私は待っているだけ」
「獣……? また伝説のポケモン?」
「ええ。本人は、旅行記分でパルデアに来たのでしょうけど。ストーカーって、厄介よね」
そう言うと、徐にそう言ってお客様が来たと告げる。
ポケモンリーグの前の道路。そこに、夕暮れに混じって黒い水晶の塊みたいな怪物が突然空から降って来た。
「……来たわね、貪欲な闇の化身。穏やかな月光を食らえば良いモノを。よりまばゆい日輪に触れれば火傷で済むと思うその愚かな浅はかさ、教えてやるわ」
金属音を出すポケモンらしき怪物が、襲ってきた。
退け、とアンナにレンは言った。これはレンの役目。
日輪の主を持つが故の仕事。
「よくわかんないけど、大人呼ぶ?」
「要らないわ。余計な騒乱になるだけ。ここで私が処理する。あなたは帰りなさい」
大人が要らない。大騒ぎの回避。
本人はチャンピオンランクの伝説使い。
見ておく価値はありそうだが客観的に危険だと判断。
アンナは首肯してその場から逃げ去った。
その後、翌日レンがアカデミーに普通に居るから問題ないようだ。
ついでに最近よく喋るクラスメイトに欲しいポケモンが門限で行ける範囲に居ないと駄弁っていて言うので何かと思えばタイカイデン。
唯一の普通のポケモン。
そのクラスメイトがどうしてもアンナのタイカイデンが欲しいというので購買の奢りを条件にプレゼントした。
(うちのメンツの普通枠が!)
『変異個体とウーラオスしかいない!?』
授業でなんか違うんだよな、と時々言っていたので合わないか、上げちゃった。
そして迎える二度目の宝探し。
出発日。校長の朝礼のあと、多くの生徒が飛び出していく中。アンナもまた、出発する。