深紅   作:天城ある

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10.限界

こちらを見て呆然と立ち尽くす遊馬にくすくすと笑いながら話しかける。

 

 

「だから言ったのに。どうしてこんな時間にこんな場所に?中学生はお家でテレビでも観てる時間だよ」

「塾に行った小鳥を迎えにきたら『また』いきなり時間が止まって、叫び声が聞こえた方に来たらここに辿り着いた。.....そんなことどうでもいいんだ、そっちもオレの質問に答えろよ!」

 

 

そこで何してんだって聞いてんだよ!そう言う遊馬の顔には明らかに困惑の色が滲んでいた。目の前の光景を信じられないと、否定してほしいと言う声さえ聞こえてきそうだ。

ふふふ、と笑いながら長く黒い髪を揺らす。変に隠すことがなくなって少し気持ちが楽になった気がする。

 

 

「何って、ねえ?見てわからない?最近ちょっと話題みたいなんだけど」

「ーーやはりあのジンと言う奴が言っていたように、キミもカイトと同じくナンバーズ・ハンターだったと言うことか、セツナ」

「ジン...?ああ、あの私達の手下を名乗ってたよくわかんない占い師のことね。迷惑してたの、勝手に名前を吹聴されてさぁ。何せ天城セツナわたしがナンバーズ狩りをしてるのはトップシークレットだもの。この前しっかりお灸を据えておいたわ。

.....それにしても、カイトの事を知ってるのね」

 

 

予想外の名前が出てきた事に純粋に驚く。オービタルが足元で「アッ、セツナ様!アイツハコノ前カイト様ガ回収シ損ネタナンバーズノ所有者デアリマス」と騒いでいる。ふうん、と手に持つナンバーズで口元を隠しながら笑う。

 

「カイトがナンバーズを回収し損ねるなんて、珍しいというか初めてじゃない?」

「イエ、ソノ日ハハルト様ノ調子ガ悪ク...途中デ」

「....ああ、あの日か。ならとんでもなく運がよかったのね。あの人相手に助かるなんて有り得ないもの」

 

まあ、此処でその運が収束しちゃったけど。

如何にも悪役、と言うように意地悪そうに笑って見せるといつも冷静な表情を崩さないアストラルが黙り込んでいる遊馬に向かって焦ったように声を飛ばす。

 

 

「遊馬!今の彼女は危険だ、我々の知っているセツナとは違う!早く、」

「嘘だ」

「?」

「遊馬!?」

 

 

「ーー嘘だ、絶対に。アンタが、あんな堂々とカッコいいデュエルをするアンタが、オレやシャークを助けてくれたアンタが、ナンバーズ・ハンターなんてするはずがねぇ!何か理由が...、そうだ、ナンバーズを持ってる奴はみんなナンバーズに取り憑かれて操られてた。きっとセツナだってそうだ!!」

 

 

「遊馬、キミというヤツは.....」

「ムキーッ!セツナ様ガソコイラノナンバーズ如キ二操ラレルワケガナイダロウガ!」

「......オービタル、これお願いね」

 

 

手に持ったままだったレディ・ジャスティスをオービタルに渡すと、カツカツと音を鳴らしながら遊馬の方へ歩いて行く。庇う様に前に出てきたアストラルにどけ、と手で払いのけるような仕草を見せると悔しそうにその顔を歪めた。

 

「そうだったら、よかったのにね」

「えっ」

「ねえ、遊馬。今目の前にいる私は何かに操られて、無理矢理ナンバーズを集めてるようにみえる?」

 

 

高いヒールを履いているから今は遊馬より私の身長の方が上だ。両手で頬を掴んで少しだけ顔を上げさせると、

ゆらゆらと揺れる赤い目の中には物騒な顔をした女が映っている。

じっと見つめ合ったのは何十秒か何分かわからない。けれど、遊馬が声を発するまでは一瞬のことのように感じた。

 

 

「見え、ねぇ」

「.....」

「いつもの、セツナにしか。見えねぇ」

「そうでしょうね、私は正気よ。誰かに操られてる訳じゃなく自分の意思でナンバーズを集めてる。貴方たちが見ていたセツナは全部嘘。本当の私はこっち。騙されてくれてありがとう」

「そんな訳ねぇ!なんでそんなこと、」

「何で、ねぇ。仮に、何かの事情があったとして、私の事情なんて貴方に関係ないでしょ。でも、そうだな....口を割らせたいっていうならデュエルでもしましょうか。貴方が私に勝てたなら、お話ししてあげてもいいわ」

 

 

でも負けた時はナンバーズもアストラルも、貴方自身その魂さえ失うことになる。

まだ理解しきれていない遊馬にピシャリとそう言うと、鼻で笑った後くるりと背を向けて元居た位置まで戻る。

 

 

「喜びなさいオービタル。カイトが獲り損ねたナンバーズ、私が代わりに回収してあげる」

「!」

「セ、セツナ様!」

「あはは!自分が回収し損ねたナンバーズを私が持って帰ってきたらあの人どんな顔するかなあ、....って言いたい所なんだけど、」

 

フォトン・モードの身体負荷率は?現在68%、危険水域デアリマス!コレ以上ノフォトン・モード継続ハ危険デアリマス!!

オービタルからの返事を聞いてだろうね、と心の中で返事をする。身体が重い、鉛を何個も身体に巻きつけられてるみたいだ。軽く頭痛と眩暈もする。

 

 

正直早くこの場から離れてフォトン・モードを解除したい。今日は時間が早すぎる、この姿では時の流れる街中を彷徨けない。さっきナンバーズを回収してから今この瞬間まで何分経ってる?ここまでフォトン・モード状態を維持した事はない。いつも速攻でナンバーズを回収出来てたからこんなにしっかりと『副作用』を味わうのは初めてだ。

 

「(これ以上は流石にまずい)」

軽く咳込む、なんか息もしにくい気がするな。笑うのもしんどくなってきた、そう思いながら無理矢理口角を上げて遊馬とアストラルに話しかける。

 

 

「やっぱり運がいいわね。私は今日の目的をもう遂げてる。....特別に見逃してあげるよ」

「な、何だよそれ!」

「...キミは一体何を考えてる、セツナ」

「煩いなあ、こっちにも事情があるんだよ。見逃してやるって言ってんだから早く消えな。但し、次に私と出会った時には容赦しない。持ってる全てのナンバーズと、....アストラル、アンタを頂く」

「セツナ様!宜シイノデスカ!?」

「いいんだよ、予定通りナンバーズは回収してる。それにこっちももう限界だし。....でも、カイトには黙っておいてね。あれは私の獲物」

内緒ね、と人差し指を唇に当てるとオービタルかグヌヌ、とよくわからない擬音が聞こえてきた。あとでもう一度口止めしておかねばならなそうだ。

帰路に着こうと彼等に背を向け歩き出す。黒いコートがひらりと揺らめいた。

 

 

「じゃあね、もう私に出会わない事を祈って、」

「ーー待てよ、セツナ」

「!遊馬、」

「....早く帰れと言ったのが聞こえなかった?私の気が変わらない内に早く消えたほうが身の為よ」

「おかしいんだ。だってアンタの力なら最初からオレに勝てたはずなんだ。初めてデュエルして、サイバーエンドにボコボコに負けた日だって、その後だっていつだってオレからホープを奪えたはずなんだ。それなのにしなかった。それどころか何度も助けてくれた。

ーー確かにアンタは誰にも操られてねぇ。でも、それは絶対にアンタの意思なんかじゃねぇんだ!」

「...おめでたい頭だな。雑魚が勝手にナンバーズ集めてくれるなら、その後ソイツを倒した方が楽だと思っただけ。喧しいその口早く閉じないと、」

 

 

 

「じゃあ何で、アンタずっと苦しそうなんだよ!!」

 

 

 

「!?っ、」

「今日のアンタは笑ってるみたいで全然笑えてねぇ!今まで会った時はずっとちゃんと楽しそうに笑ってたのに...、本心から、こんなことしてる奴ならそんな苦しそうな、辛そうな顔なんかしねぇだろ!

ーーだから本当のアンタは絶対に、ナンバーズ・ハンターになんかなる奴じゃねえ!一度デュエルした奴はみんなオレの大切な仲間だ!セツナ、アンタだって!

だから勝負だデュエルチャンピオン、オレが倒してそんな事辞めさせてやる!!」

 

背中に突き刺さる遊馬の言葉にギリ、と歯軋りする。人の心の中に土足で入り込んでくる、おまけにこのクソガキ全く人の言う事を聞かない。極めて不愉快だ。

体調不良も相まってさぞ凶悪な顔をしているであろう私を見てオービタルがガタガタと震えている。

苛立つ気持ちを抑えつけて冷静であろう彼の相棒を諭す。

 

「....何を黙ってるの、アストラル。貴方、私と戦ってまさか遊馬が勝てるとでも思ってるの?そこの無謀なバカを止めないと消える事になるわよ」

「ーー確かにキミは強い、あのカイトに匹敵する程に。本来ならば避けるのが得策だろう。

...だが、私も遊馬と同じだ。キミはもう私の仲間なのだ。キミはこれまでの姿が全て偽りだと言ったが、どちらが本当の姿なのかは私にもわかる。そして仲間を救う為ならば私と遊馬はどんな強敵にも立ち向かう」

 

「....お前までかっとビングに洗脳されてどうすんだよ。どいつもこいつも、好き勝手なこと言いやがって」

「セ、」

「もういい、....このふたりは此処で私が潰す」

「!?ダメデアリマス!モウ身体負荷率ガ70%ヲ」

「大丈夫、すぐ倒すから」

 

必死に止めるオービタルを無視して踵を返し遊馬とアストラルと対峙する。

 

「折角逃がしてあげたのに自分から地獄に飛び込んでくるなんて、バカな奴。今の私にデュエルを挑んだ事、死ぬ程後悔させてやるよ」

「上等だぜ、あの時のオレとは違うところを見せてやる!」

「遊馬、このデュエル私も力を貸す。彼女はカイトに匹敵する強者。一瞬の油断もできない」

「わかってるての!いくぜ、セツナ!」

手を伸ばしデュエルディスクを展開する。前を見据えるとやる気十分のふたりと目が合った。

「(悪いけど、容赦はしない)」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

「先攻はレディファーストで私が貰うわ。ドロー!

私はフォトン・アドバンサーを召喚、更にもう一体のフォトンアドバンサーを特殊召喚する。

このカードはフィールドに同名カードがある時、手札から特殊召喚が出来る。そしてフォトン・アドバンサーの効果発動!このカードの攻撃力は同名カードの攻撃力を足した数値になる。よって、2体のフォトン・アドバンサーの攻撃力はそれぞれ2000!」

 

「フォトンって、サイバーじゃないのかよ!しかもいきなり攻撃力2000のモンスターが2体!」

「まさか...来るぞ、遊馬!」

 

「ああ言い忘れてたね、今日の私はナンバーズ・ハンターとして貴方のお相手をするわ。

...カイトと戦ったことがあるって事は、この子の事もよく知ってるのかな?さっそく感動の再会といこうか。

私は2体のフォトン・アドバンサーをリリース!

ーー闇に輝く銀河よ、希望の光となりて我が竜ドラゴンに宿れ!光の化身、此処に降臨!現れろ、銀河眼の光子竜ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン

!!」

 

2体のモンスターが混じり合って一筋の光になって空へ飛んでいく。漆黒の闇の中でその光が1体のドラゴンを形造ったかと思うと、鋭い叫び声を上げて私の背後に舞い降りた。

 

「これは、カイトと同じ...!しかも1ターン目から」

「銀河眼の光子竜ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン!」

「私はこれでターンエンド」

 

さあ、どう出る?じっと遊馬を見ると少し焦った顔をしながらもその目には十分な闘志が見えた。

 

「遊馬、やはり彼女侮れない。気を抜けば一瞬で負けるぞ」

「わかってらぁ!オレのターン、ドロー!オレはゴゴゴデクシアを召喚!」

「攻撃力0、ねぇ」

「このゴゴゴはただの攻撃力0のモンスターじゃねぇ!魔法カード『ゴーレムの合掌』を発動!手札のゴゴゴアリステラを特殊召喚する!そしてこの瞬間、ゴゴゴデクシアとゴゴゴアリステラの効果発動!この2枚がフィールドに揃っている時、両方のカードを守備表示にする!そして相手は地属性のモンスターを攻撃する事は出来ない!オレはカードを伏せてターンエンドだ!」

「へぇ、モンスター効果による攻撃のロックか。やるじゃない」

「これならギャラクシーアイズでも攻撃は出来ねぇ!攻撃が出来ねぇなら除外効果も発動できねえってことさ!」

「なるほど、カイトと戦ってから対策を練っていたのね。....私は少し貴方を侮っていたわ」

 

 

ゲホゲホと咳込む、足元のオービタルがオロオロとしている様子を見て大丈夫よと告げておく。

少しは骨がありそうだなと、思いつつもデュエルを悠長に楽しむ時間は無さそうだ。

 

 

「.....悪いけど時間がないの、だから手加減はなし。

私のターン、ドロー!私は装備魔法『ギャラクシーショット』『ギャラクシーバリア』をギャラクシーアイズに装備する」

「一体何をしようというのだ、」

「!?いくら強化したって攻撃出来なきゃ意味ねぇのに」

「それはどうかな?」

 

得体の知れない戦法に困惑している遊馬とアストラルにニヤリと笑う。

 

「私は2枚の装備魔法でオーバーレイ!」

「装備カードでオーバーレイだと!?」

「そんな事出来んのかよ!?」

「この子の召喚方法は少し特殊なのよ。あまりお目にかかれないから、その目に焼き付けておくと良い。

私は銀河眼の光子竜ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン1体をフルアーマー・エクシーズ・チェンジ!

 

ーー銀河の光が導く所、新たな世界が拓かれる!天孫降臨、エクシーズ召喚!顕現せよ、新たなる光の化身!ギャラクシーアイズ・FAフルアーマーフォトン・ドラゴン!!」

 

 

銀河眼ギャラクシーアイズが光に包まれたかと思うと瞬きの内にその姿を一変させてフィールドに姿を現す。その体は攻撃力に比例するようにより黒く、大きく強化されている。

 

 

「これは、新たなるモンスター・エクシーズ...!」

「攻撃力4000って、これがセツナの切り札かよ!

ーーけど、オレのフィールドには攻撃不可能なモンスターがいる!コイツらがいる限り、」

「ふふ、本当にそうかな」

「「!?」」

 

「FAフルアーマーフォトンの効果発動!私のフィールドに他にモンスターがいない時、オーバーレイ・ユニットを1つ使って相手のモンスターを破壊できる。私は2つのオーバーレイ・ユニットを使い、貴方の場のモンスターを一掃する!ギャラクシー・サイドワインダー!!」

「ぐっ、オレのモンスター達が!」

「そっちがその気ならこっちもモンスター効果をぶつけさせてもらう。これなら無効に出来ないね!

さあ、これで終わりよ!ギャラクシーアイズ・FAフルアーマーフォトンドラゴンで遊馬にダイレクトアタック!壊滅のフォトンストリーム!!」

「っ、マジかよ!」

「FAフルアーマーフォトンの攻撃力は4000!これをまともに食らったら我々の負けだ、遊馬!」

「わかってる!オレは手札から虹クリボーの効果を発動!」

「!悪あがきを、」

「虹クリボーは相手が攻撃してきた時、手札から相手の装備カードに出来る。そして装備されたモンスターは攻撃出来なくなる!」

「チッ、でもいいわ。これでエネルギー補充の手間が無くなったからね!」

「「!?」」

 

虹クリボー如きで私の攻撃を凌いだつもりだったのか、遊馬とアストラルは次の一手が来るとは思っていなかったようで驚いた顔をしている。

 

「私は永続魔法『ガジェット・リカバー』を発動!このカードはバトルの後墓地にある装備魔法を1ターンに1枚回収できる。私は墓地の『ギャラクシー・バリア』を手札に戻し、再び装備する!

ーーギャラクシーアイズ・FAフルアーマーフォトンドラゴンの効果発動!オーバーレイ・ユニットを消費するバトルをしたターンの終わりに装備カードをオーバーレイ・ユニットとして吸収できる!虹クリボーと『ギャラクシー・バリア』を吸収し、オーバーレイ・ユニットは2つとなる!」

「虹クリボーが!」

「なんということだ、これは無限ループ...!このギャラクシーアイズにはオーバーレイ・ユニットの再生能力もあるのか」

「くそ...、こんな強力なモンスター相手に勝てんのかよオレ達...」

 

 

 

 

「ーー勝てないよ。もうやめときな」

「「!!」」

「ここまでやって、わかったでしょ?貴方達じゃ私には勝てない。このまま続けた所で結果は目に見えてる。私は弱者を痛ぶる趣味はない。....最後通告よ、今ならまだ、」

「、嫌だ」

「は?」

「オレは諦めない、絶対に。諦めなきゃ、どんな時だって希望はある、それがオレのかっとビングなんだ!!」

「遊馬...」

「出たよお得意の『かっとビング』。この前はどっかに落っことしてきてたのに、ちゃんと見つかってよかったわね」

「ああ!だからオレはもう諦めねぇ!逃げたりもしねぇ!絶対にこのデュエルに勝って、アンタの、セツナの目醒ましてやるって決めてんだよ!!」

 

「...本当に話が通じないな。元から目なんか醒めてるっての、耳ついてんのかよ。

ーーオービタル、時間停止機能を切って。それならフォトン・モードの負荷上昇も多少緩やかになるでしょ」

「!?ソソソ、ソンナ事シタラ本当ニカイト様ニスクラップニサレルデアリマス!!」

「良いからやりなさい、私に言われたと言えば兄さんに怒られんのは私だけよ」

 

 

早く、睨みつけながらそう言うとウウ、と唸りながら周囲の時が動き出した。心なしかさっきよりも呼吸がしやすい。

 

「これは、」

「!時間が動き出したのか」

「ーー中断して悪かったわね、さあ再開しましょう。

それと、目ぇ醒ますだの仲間だのいくら綺麗事を吠えてもらっても構わないけど、その剣が私に届かなければ何の意味もないし私の心には響かないよ」

「くっ、」

「確かにそうだ、彼女を縛る見えない呪縛から解き放つ為には我々が彼女と肩を並べるに相応しい、信頼のおける仲間だと証明しなければならない」

「アストラル...わかったよ!だったら認めさせてやる、このデュエルでオレが仲間だって!」

 

 

何を言っても全然闘志が消えない、本当に厄介な奴。

遊馬を前に底知れぬ震えが起こる。

「(此処で潰す判断は、絶対に正解だわ)」

直感だ。彼はきっとここから私達の強大な障壁になる。

ここで叩いておかなければ、もしかしたらこの先....

「(だから、問題ない。私が此処で潰すんだから)」

彼のターンが始まる。何を出してこようともうこれ以上長引かせない、そう思いながらその姿を見つめた。

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