やりこんだ覚えがあったので、凄く懐かしかった……。
モノアイガンダムとか今でも覚えているほどです。
今回で決着ですね。
「あれはセカイと同じ……アシム、レイトなのか?」
俺のトライバーニングと同じように機体出力が増したレイのガンプラ。ガンプラについてよく分からない俺でも、あのジンクスの凄さは理解できる。レイは武術の経験が無い、でもそれを補うほどガンプラバトルをこなしてきた、いわばガンプラバトルという実戦で培われた経験が今の彼を支えていると言っても過言ではない。
「レイ君のあの様子からしてアシムレイトなのは間違いないだろう。だが、彼の使った機能はセカイくんのバーニングバーストとは根本的に異なると見ても良い」
「俺と、違う?」
「粒子出力が増加するのは変わらないが、彼のガンプラはアシムレイトによる損傷を回避するためのセイフティが施されている」
「あのブースターに秘密があるんでしょうか?」
レイのガンプラが赤く発光し速度を上げたその瞬間、苦しげな声を出したレイはガンプラを一回転させ、赤い帯を螺旋状にさせて側方を覆った。あれがバーニングバーストとの違い?
「アシムレイトを安定した機能として扱う、セカイ君とはある意味で真逆に位置する使い方をする子だな」
「次元覇王流拳法で圧倒的な攻撃力を見せるトライバーニングと、あらゆる局面に対応できる汎用型ジンクスⅣ……いやジンクスⅣコアファイター搭載型……セカイ、同じアシムレイト持ちとしてはレイさんはビルダーとしても、ファイターとして強敵だ」
ユウマの言う通り、レイは強敵だ。
あのサーベルとクナイみたいな武器同士の斬り合いもまさにテクニックとテクニックの真っ向勝負。自分には決して出来ないような高速下での戦闘。そして、あの光、凄い光だった。
「戦ってみたいッ」
熱く闘志が燃え滾る。
アドウの時の様に、キジマの時の様に、格闘家として、ファイターとして、真っ向からあの人と戦いたい。
「……全く、相変わらずバカなんだなお前は」
「なんだとぉ!」
「ははは、セカイ君らしい」
『おぅらぁ!!』
ガキィンとけたたましい音と共に斧がぶつかり合う。圧倒的な膂力に機体が持って行かれそうになるけど、めげずに出力を上げ対抗する。
『強ぇッ!たまんねぇぜこりゃあ!!!』
「うあああああああああああああああああああ!!」
雄叫びと共に頭部バスタービームを発射させると同時に、バスタートマホークを回避したGマスターに投げつける。飛んでいったトマホークを離したその瞬間、Gマスターも手持ちのトマホークを投げつけ、バスタートマホークを叩き落とした。
「……っ!ホォォミングッ!レェ―――ザァ―――!!」
『あめぇ!!ゲッタァァァッビィッィィィィィム!!』
外套を身に纏ったGマスターが放った拡散するレーザーにより、私が放ったレーザーのほとんどが撃ち落とされる。だがそれがどうした……残りのトマホークを振り上げ、再度Gマスター目掛けて突撃する。
Gマスターがカッターを巨大化させ、トマホークを防ぐ。
『貰ったぜぇ!』
「あっまい!!」
振り上げられたトマホークの腕を空いた腕で掴み、そのままバスタービームの体勢へと移る。この距離なら硬さとかそういうのは関係ない。
そう言い放とうとしたその時、嫌な感覚が私の体を駆け巡り咄嗟にGマスターを突き飛ばす。次の瞬間、ガンバスターの全面を掠める様に凄まじいエネルギー量の粒子砲がGマスターの腹部から発射された。
「危なッ」
『ゲッターなんだぜこいつはよぉ!!』
「うっ……うわッ……」
投げられたトマホークが防御に回したバスタートマホークに直撃し、どちらも飛んでいってしまった。衝撃でのけぞった瞬間、目の前に鋭利な棘を生やした拳が迫る。
拳を雷撃を伴わせた左腕で防御するが、繰り出された拳は容易にガンバスターの腕へ突きこまれ陥没する。
「ぐぅ……ッ。つっよ!!でもっ腕一本で引くほどッ私のガンバスターは弱くないのよぉぉぉ!!」
『な、がァァァっ!?』
拳を撃ち込まれた腕に過剰に粒子を送りスパークさせる。左腕の肘から先の部分が強烈な電撃に耐えられず爆発するが、電撃は拳を伝ってGマスターに伝わったはずだ。
『効いたぜぇぇぇ!!』
「タフすぎるよ……っ!」
グワンと腕を広げ機体の隙間から黒煙を挙げたGマスター。
勝てるとは思わなかったが、とんでもない化け物だ……残った右腕で左腕の状態を確かめながら、私は微かな焦燥を抱いた。
『うおおおおおおおおおおおおお!!』
「だあああああああああああああ!!」
赤いジムと赤と黒が入り混じったアストレイの拳が激突する。俺がこのアストレイ……というよりダイゼンガーもどきに吹き飛ばされ、着地したのはひときわ大きいデブリの残骸。
イデオンよりも後に着地したダイゼンガーもどきは大剣をデブリに突き刺し、空手の構えを取った。こちらも拳を構えた事を皮切りに、実弾もビームも一切用いない肉弾戦が始まってしまった。
「オレのイデオンはミサイルだけじゃあないぞ!」
『承知の上!』
イデオンの拳がダイゼンガーもどきの顔面に突き刺さるが、相手は腕を掴み取りお返しとばかりにイデオンを持ち上げ、背負い投げの如くコロニーの残骸にイデオンを叩きつける。追撃が来る前に脚部のスラスターを噴かせ起き上がりながらも、ダイゼンガーもどきに回し蹴りを食らわせる。
『……やはり無手での勝負も強い』
「何がしたいんだ……貴方は……」
無傷のままのダイゼンガーもどきを見据え、再び拳を構える。近接戦闘は互角、いや若干だが相手の方が強い。
「貴方がナガレさんと一緒に戦えばもっとバトルを優位に運べたはずだ。その手段を用いずに俺とのバトルを優先させたのは……」
『ナガレと俺は似たモノ同士でな。だが似た者同士であるが故に、頑固でもある。―――このバトルッ俺はお前との一対一のバトルを所望したッ!!それ以上の理由は必要かッ!!』
傍らに突き立ててある大剣、斬艦刀を手に取りグルグルと回転させこちらへ刃を向けるように構えたダイゼンガーもどき……いや、ダイゼンガーは真っ直ぐとイデオンを睨み付けてきた。
「……いいや、自由にバトルするのがガンプラバトルだ!!」
『俺の名はセンガッ。ライドウ・センガ!!愛機、ダイゼンガー豪式がお前のイデオンを打ち破る!!』
「オレのジムは……いや、俺達チームイデガンジンは負けない!」
こちらも負けずに睨み付ける。
するとセンガもそれに応じる様に斬艦刀を振り回し、突きの構えに転じる。
『ならばッいざ尋常に―――勝負!!』
雄叫びと共に斬艦刀を引き絞る様に構え突きを繰り出してくる。パワードレッドを素体にしただけあって凄まじいパワーで繰り出された突きは、それだけ必殺の威力があるだろう。
それを横に避ける挙動と合わせて手首から生成したサーベルでいなし、本体のアストレイを狙う。
「その大きさが隙になるんだ!!」
『ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
突き出された大剣が急停止すると同時に刃がこちらに向き、強引な横薙ぎへと変化する。あんまりな力技、流石にこれは予想できるはずがない。
「はぁ!?そんな大剣を短剣みたいに扱うなんておかしい―――」
こちらを両断せんとばかりに振るわれた斬艦刀。受けたらイデオンの装甲だって真っ二つにされそうだ。仕方なしに、右腕部ジェネレーターを全て稼働させ、巨大なビーム刃を生成しつつ後ろへ飛びながら斬艦刀を受ける。
『チェェェェェストォォォォォ!!』
野球のバッターよろしく斬艦刀をイデオンごとフルスイングし吹き飛ばされる。すぐさまスラスターで体勢を整え、長大に伸ばしたイデオンソードを叩きつける。
「イデオンソォ―――――ド!!」
『それを待っていたァ――――!!』
イデオンソードを避けずにそのまま斬艦刀で受け止められる。いくらパワーで劣っていたとしても、大量の粒子で構成されるイデオンソードの前には意味はない。
だがイデオンソードは拮抗したまま動かない。
『しかと受け止めたぞ!!イデオンソード!!だが……我が斬艦刀はッ俺の魂の剣!!断ち切るゥゥゥ!!』
「なんだとぉ!?」
瞬間、イデオンソードが斬艦刀を振り回す挙動でビーム刃を散らされ破られる。防がれた事に驚愕すると同時にイデオンソードの放出を止め、デブリに着地すると、ダイゼンガーは再度斬艦刀の切っ先をこちらに向けるように構える。
『今こそ!アストレイは俺の魂の愛機と成り得た!否ッもはやアストレイではないッ!武神装攻ダイゼンガー!!』
「そういうのははっきり言っちゃ駄目だろ!!」
『もはや問答無用ォ―――!!』
声高々と宣言したダイゼンガーは斬艦刀を振り上げ、こちらへ叩きつける様に振り下ろした。それを後ろへ下がりながら、腕部からビームを放ちつつ距離を取る。
「イデオンソードは負けていないぞ!!」
『ならばもう一度!!でぇぇぇいやぁぁぁぁぁぁ!!』
「なに!?」
再度振り上げた大剣をデブリに叩き付け、その反動で宇宙へと飛び上がる。凄まじい勢いで上昇していくダイゼンガーをモニターに映しながら、イデオンに意識を集中させる。
「負けてないよな、お前の力は……ああ、そうだ。まだ本領じゃないよな……イデオン!!」
サイコフレームの共振と共にイデオンが赤く、白く発光する。その際にメインカメラに当たる部分も強く発光し、上昇するダイゼンガーに右腕を向ける。
「最大出力で行く!!イデオンソォ――――ド!!」
『見るが良い!!我が雲燿の太刀ッ!!』
砲台のように放たれたイデオンソードと落下と共に振り下ろされた斬艦刀がぶつかり合う。凄まじい粒子量を吐き出しながら進んでいくイデオンソードは斬艦刀によって受け止められ、フィールドにビーム刃が散らされる。
「はあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
フィールドに散らされたビーム刃が、周囲のデブリを真っ二つに切り裂きながら広がっていく。その中心にいるダイゼンガーもただでは済んでいない。機体に亀裂を生みながらも、雄叫びと共に突き進んでいく。
そして突き進んだ刃が目前へと近づいたその時、更に雄叫びを挙げたダイゼンガーがイデオンの右腕を切り落とすように斬艦刀を切り上げ、振り下ろした。
『チェェェェストォォォォォォォ!!!』
「ぐっああああああああ……ッ」
振り下ろされた斬艦刀はイデオンの肩から胸部までに深く食い込み、止まる。ここまでの損傷じゃもう動くことはできない。だが俺は思いのほか冷静だった……、無傷で倒せるような相手とは思っていなかったからこそ―――。
「倒すッ!!ここで終るにはッまだ俺は何もあの人の役にはたってはいない!!」
スパークを起こしかけた機体を無理やり動かし、斬艦刀を切り込んだダイゼンガーの胸部に左腕を突きこみ、残った粒子と共に―――。
「イデオンッソードォッ!!」
『なに!?』
ダイゼンガーの胸部に巨大な穴を空ける様に、イデオンソードを発生させた。力なくだらりと斬艦刀から腕を離し、両の腕を下ろすダイゼンガー。斬艦刀が突き刺さったままのイデオンも膝を屈し、前のめりに倒れる。
『素晴らしい勝負だった……ッ』
「ありがとうございました……」
先輩、ノリコ……後は頼みました……。
『そうらぁ!!』
「あああ!!」
ガンバスターの残った左腕がカッターによって切り落とされる。相手のGマスターは見た目には深刻な損傷を見られない一方で、私のガンバスターは両腕を落とされ、機体の各部がへこむような損傷を受けてしまっている。
『ゲッタァァァァ……ビィィィィィム!!』
『バスタァァァァッビィィィィム!!』
それぞれの頭部と腹部から放たれたビームがぶつかり合う。
「……ッ……粒子がッ……」
ここでガンプラでの戦闘法での差が出た。ほぼ格闘だけを用いるGマスターとビームに大量の粒子を用いる私のガンバスターじゃ、どうしても粒子運用に違いが出てしまう。
―――ぶつかり合ったビームが徐々に押される。
「まずい……このままじゃ……」
『らあああああああああ!!』
ビームを押しきりこちらへ解き進んでいく赤色の光線。もうガンバスターに対抗する手段は残されていない、なけなしの粒子でこのビームに対抗できるとは思えない。
「諦める……もんか……ッ」
だとしても、二人が戦っている。
なら例え負けそうでも戦わなくちゃいけないでしょうが。眼前まで迫ってきたビームから目を逸らさずに睨み付けたその瞬間……。
私のガンバスターとGマスターのビームの間に、クリアパーツでできたランスがどこからか割って入ってきた。
『んな?!』
「これは先輩の!?」
ビームが直撃し拡散させたランスは、衝撃でどこかへ吹っ飛んで行く。それを呆然と見た私は、こちらへ近づいてくる味方機をセンサーで確認する。
「ノリコ、良くここまで頑張ってくれた!!」
「先輩!!」
相手チームのリーダーと共に離れていった先輩が、若干損傷したジンクスⅣと共に私の傍へ辿り着く。
『来たか!!あのカナコをやっちまったのかよ!!』
「オレもただでは勝てなかったがな……、ノリコ、俺のジンクスの損傷も軽いものじゃない、だから……一緒に倒すぞ」
「っ!……はい!!」
諦めなくて良かった。心の中からそう思い、Gマスターを見据える。
先輩の機体は所々傷ついているし、腕も一つしかない。でも……負ける気がしない。
「ノリコ、一回戦の蹴り、出せるか?」
「……出せます!!」
「上等だ、なら準備しておけ!その間、ナガレは俺に任せろ……トランザム!!」
赤い光を纏ったジンクスが残光を残して飛び出した。私も先輩に言われた通りに技の準備にかかる。残りの粒子量と残り時間からして、チャンスは一回のみ。
なら……絶対に成功させなくちゃ!
ノリコとようやく合流できた俺は、すぐさまナガレとのバトルを開始していた。残り時間も少ない、なので惜しみなくトランザムを使ってはいるが―――。
『うおおおおお!!』
目の前のGマスターはちっとも引いた様子はない。ノリコのガンバスターとバトルして結構ガタが来ているはずなのにこれとは、やっぱり凄まじく硬く、強いファイターだ。
「これを喰らっていられるか!!」
ブースターのショットランサーを発射させながら、サーベルを突きだす。ショットランサーはそのまま弾かれてしまうが、突き出したサーベルはそのままGマスターの胴体に突き刺さる。このまま真っ二つに引き裂こうと力をいれようとするも、サーベルを持っている腕目掛けて振り下ろされた手刀によってその挙動は中止され、下がらざるを得なくなる。
『効かねぇなぁ!!』
「相変わらずのタフさだな!!」
GNバスターソードを片手で引き抜きGマスターへ叩きつける。カッターでバスターソードを防がれるも、構わず何度もバスターソードを叩きつけ、腹部を蹴り飛ばす。
『ッ!!やっぱ、テメェの後輩にやられたダメージが響いてんなぁ!!』
「当然だ!!俺の後輩だぞ!!」
『確かになぁ!!』
スパイクが展開された拳がジンクスの脇腹を深く抉り込まれるが、今はアシムレイトを使っていないトランザムなので痛みはない。流石にこの機体損傷でアシムレイトはバトル続行不能の危険性が伴うので発動していない……そう判断しての事だが……脇腹の損傷を一目見て身震いしながらも安堵する。
『テメェがここに来たって事はカナコはやられたって見てもいいんだよなぁ!!』
「ああ!」
ジンクスⅣと俺の体が悲鳴を上げている。カナコの時に使ったアシムレイトが相当体に負担をかけたようだ、だから俺もそう長くは持たない。
それほどまでにカナコは強く、俺達のチームにとって天敵のような存在だった。
「悪いがエネルギー量もそこまで多くないんでな!!短期決戦とさせて貰おう!!ノリコ!!」
「準備オッケーです!!」
『このバトルを終わらせるにはまだ早すぎんだろうがァ!!』
ノリコの準備が完了したと耳にしたその瞬間、こちらへ拳を繰り出したGマスターの腹部にトランザム状態での飛び蹴りを叩きこみ、無理やり距離を空ける。
「行くぞ!!」
「え!?先輩も!?」
「そうじゃなきゃナガレの防御は突破できない!!」
「は、はい!!」
怯んだGマスターに続けてバスターソードを叩きつけた後に、すぐさまガンバスターと共に飛び上がり背中合わせのままアシムレイトを発動させ、赤い帯を脚部から発生させ、左足に纏わせる。
「合わせろ!」
「行きます!!」
雷撃を纏わせたガンバスターの右足に全身の雷が集まり、光を放つ。それに合わせてナガレ目掛けて蹴りの体勢で飛び出したノリコに合わせて、俺も左足を突き出す。どういう訳か赤い帯がガンバスターにも移ると同時に、彼女の脚部から迸る雷撃も赤い帯へと帯電するように映り、赤白入り混じった輝きを撒き散らす。
「先輩と私のッスーパー……いやハイパーイナズマキックッだあああああああああああ!!」
『合宿の時と同じかよ!!いいぜ!!受け止めてやらぁ!!』
ジンクスⅣとガンバスター二機の蹴りをGマスターが受け止める。だが拮抗するのも一瞬、数瞬のうちにGマスターの両腕が破壊され、胴体に蹴りが叩き込まれる。
圧倒的な硬さを誇るGマスターでも、これは受け止められるはずがない。これはノリコと俺の最後の力を振り絞った一撃、止められるはずがない。
『ぐ、うおあああああああ……!』
「ノリコ!とどめを!!」
「バスタァァァコレダァァァァァァァ!!」
突き刺さったガンバスターの脚部の装甲が開き、そこから数十本の杭に似た槍が飛び出し、Gマスターに突き刺さり、追加の電撃を叩きこんだ。
雷とトランザムの光が収まった頃には、蹴りを叩きこまれ、胴を幾本もの杭によって貫かれたGマスターは動かなくなっていた。アシムレイトによる影響で強烈な懈怠感と共に大粒の汗を流しながら、辛うじて出せる声で、後輩二人への労いの言葉を口にする。
「コスモ……ノリコ、よくやってくれた」
『第三試合!暮機坂学園、チーム『イデガンジン』VS鏑木学園、チーム『大黒刃』のバトルは、チーム『イデガンジン』の勝利です!!』
俺達の勝利を意味する声を聞き、ゆっくりと深呼吸しながらバトルシステムのジンクスⅣを手に取る。ブースターは俺の想定以上の性能を発揮してくれた。だが若干だがそれに振り回されている感じがするのも、俺のファイターとしての実力がまだまだ足りないという証拠だろう。
「先輩!」
「体は大丈夫ですか!?」
「……大丈夫だ、まあ医務室には行く予定だけど……直ぐに治る」
まあ、アシムレイトに伴う痛みは実際の怪我ではないからな。深呼吸しながら荒い息を整え汗を拭っていると、チーム『大黒刃』の三人が俺達の方へ歩み寄って来る。
「俺達に勝ったんだ。こりゃあガンプラ学園ぶっ倒して優勝狙ってもらうしかねぇなぁおい」
「何であんたはそういう事言うかなぁ……普通に健闘を讃えあう事もできないの!?」
「これが俺なりの讃えだよ」
漫才のようなやり取りをしているナガレとカナコを困ったように見ていると、二人の隣に居たセンガがコスモの方に真っ直ぐ歩いて行き、無言で片手を差し出した。
「また何時か、バトルをしよう。そして次こそは雌雄を決しようぞ」
「ええ、俺も貴方の斬艦刀に打ち勝てる程に強くなって……貴方を真っ向から倒します」
ガシリと熱い握手を交わした二人は微かな笑みを浮かべ、睨み合っている。成程、バトルの中で好敵手が出来たという訳か……良い事だな。
「ナガレ、カナコ。またバトルをしよう」
「……ハッ、当たり前だろうが」
「うん、負けっぱなしは嫌だからね」
ノリコと共に握手を交わしたその後に、俺達は次のバトルが始まる前に会場を後にした。
「……勝ったのはチーム『イデガンジン』ですか」
「スゲェチームだな……ガンプラバトルじゃねえみてぇだ」
「いや、スパロボだろもう」
チーム『グラナダ』学園の控室。其処で三人のファイターがモニターを興味深げに眺めていた。一人はヨーロッパジュニアチャンプ、ルーカス・ネメシス。残りの二人は、グラナダ学園からの出場チームでの補欠、アイバ・タイキとトミタ・ルイ。
「予定より早くなっちゃったけど……アイバ君、トミダ君。次のバトルを勝ったら、次はあのチーム『イデガンジン』だ」
「分かってるぜ。でも俺達のやることは変わらねぇ。お前に言われた通りに動くだけだ。なあトミタ」
「ああ、普通なら俺達みたいな補欠はこんな晴れ舞台になんか出れやしねぇんだ……そのチャンスを作ってくれたお前の役に立ちたい」
「ありがとう、二人とも」
アイバとトミタは素行が悪いと言われていたが、単純に実力主義的なグラナダ学園の教育方針に合わなかっただけかもしれない。どちらにせよ、彼らはルーカスによって選出された人員。ルーカスが求める役割をきっちりやり切る事が出来る優秀なファイター。
「でも君達には、地味な作業を押し付けてしまうかもしれない……」
「気にすんなよ。大会に出れる、それだけで俺達は嬉しいんだ」
「そうだぜ!」
本来はもう少しだけ先に選出しようと思っていた二人だが―――このタイミングで出しておいて正解だったかもしれない。精神状態的にも、あまり連携の取れるとは思えないレギュラーチームよりも、自分を信頼してくれる仲間と一緒の方が、戦いやすい。
「……さあ!二人とも、そろそろ出ましょう!まずは一勝!!」
「頼りにしてるぜ!」
「それはこちらの台詞ですよ」
自らのガンプラを持ち、控室から歩を進める。
この最高傑作のガンプラと、頼れる仲間達となら……きっと楽しいバトルができる。
あの人のように、自分でバトルして……喜びを分かり合える。
「さあ、楽しもう!ガンプラバトルを!」
その日、ルーカス・ネメシスが駆るクロスボーンガンダムフルクロスは、会場内の全てのファイターに戦慄を与える。そして彼等『フォン・ブラウン』が4回戦で当たる、今大会のダークホースの一つである『イデガンジン』とのバトルに、多くの注目が集まる事になった……。
ドラえ○んカラーのアッガイとか考えたら、既に作っている人がいて笑いました(挨拶)
今回はチーム『イデガンジン』にとって色々苦しいバトルに成りました。
イデオンは半壊、ガンバスターはほぼ半壊、ジンクスⅣも全体的に損傷を負っている。
まあ……ガンプラバトルは壊れてこそ、ソレですからね。
次話は……大会以外のバトルをやるかもしれません。
ふと思いついたことなのですが……。
グレンラガンが出せなければラゼンガンにすればいいのでは?色的にガンメン的にセラフィムと相性が良いですし。あのネジネジしたドリルも、Gレコの樹木ビームを見ればできない気がしない(錯乱)