オーラバトラーが出れるなら他の作品も行けるのではないか?という単純な思考の元、書いてみました。
後、劇場版イデオンで、少しだけセンチになったから。
時系列は全国大会らへん。
プロローグ
ガンプラバトル、それは自分たちで作ったガンプラを、専用のフィールドでプラフスキー粒子で操り、戦わせる競技。
ガンプラファイターは、それぞれの趣味嗜好、こだわりで選び、作り、改造したガンプラを楽しむこの競技は瞬く間に一世を風靡し、世界に名を轟かせた。ガンプラのコンテストも行われるし、ガンプラバトルの大会なんてものもある。
しかも大人から子供まで楽しめる。
努力さえすれば世界大会にだって出る事もできる。大人の力に子供が勝てる訳ないって、普通は思うかもしれない。自分でもそう思っていた。だけど7年前の世界大会、大人達に混ざって死闘を繰り広げる『彼ら』の姿を見て、考えを改めさせられた。
俺も世界に行ってみたい。
当時9歳の俺の言葉に父は、嬉しそうに笑った。
時は経ち、あの世界大会から7年の時が過ぎた頃、俺、アンドウ・レイは県を代表するチームの一人として、ガンプラバトルの全国大会、『全日本ガンプラバトル選手権』に出場していた。
ずっと待ち焦がれていた全国という舞台。
全国大会の猛者達との戦いを前に俺の心はひたすらに滾っていた。自分の作ったガンプラがどれ程通用するのか、相手はどんなガンプラを作って来るのか。そんなことを考えていると昂ぶりが止まらないのだ。
一回戦のチーム『トライファイターズ』の戦いはとても素晴らしいの一言に尽きた。合宿の時とは比べものにならない程の改造を施していた彼らの機体は、同じガンプラファイターである自分から見ても舌を巻くほどのものだった。
「………よし」
自分達も負けてはいられない。俺にはチームメイトがいる、地区予選を勝ち抜いてきた仲間達がいる。
一つ年下だが、どちらも可愛い後輩。
「行くぞ……コスモ、ノリコ」
「はい!!」
「ええ!先輩!!私達の力を見せつけてやりましょう!」
キャラが濃いのは難点だが、強く頼もしい仲間達。
気合いの入った声を出した男子の名はユズキ・コスモ、赤いアフロが特徴の生粋のジム使いだ。試合の度にジムを改修しており、いまやそのジムの姿は、赤色に彩られ、見た目は武器が無いように見えるが、全身にミサイルを内蔵、その手首からはビームを放つことができる。しかも恐ろしく耐久力とパワーが高いというお墨付きだ。
女子の方はタカマ・ノリコ、綺麗な黒髪を持つザク使い。彼女もコスモのように試合の度にザクを改修している。その為か、コスモのジムと同じように元の姿からかけ離れており、黒色に彩られた装甲にスーパーロボットのようなビジュアル、頭部には星のような突起が創られていた。僅かにザクの面影が残っている位に変り果てている。
どちらもオリジナリティがある素晴らしいガンプラだ。
でも何故かガンプラの名前を教えてくれない。名前がないのかと思って一度聞いてみたが、どちらも『既に名前は決まっている』らしい。
今日の試合の後に教えてくれるそうだが、なんだろうか……。
『チーム『イデガンジン』対、チーム『ノワール・ノワール』とのバトルを開始いたします!』
チーム名はノリコが決めた。理由は分からないが別に気にする事でもない。相手チームを見据え、BASEを設置し、ガンプラを置く。
俺のガンプラの名はGN-XⅣオリジン、劇場版機動戦士ガンダム00に登場した、GN-XⅢの次世代機である。ジンクスⅣはまだHG化はしていなかったが、ジンクスをこよなく愛する俺はジンクスⅢから自分で作ってしまった。だからオリジナルの意味を込めて『オリジン』と名付けている。
それにジンクスⅢでお馴染の突撃槍も装備させている。色々なギミックを施しているからとても使い勝手がいいし、なにより槍は素晴らしい……。
「……ジンクスⅣオリジン、アンドウ・レイ、出るぞ」
「タカマ・ノリコ、行きます!!」
「ユズキ・コスモ、発進する!!」
火花を散らしながら、俺のジンクスがフィールドへと飛び上がる。フィールドは宇宙、三体三のチーム戦。バーニアを吹かしながら、コスモとノリコの機体を視界に収める。
「コスモ、ノリコ、俺が先陣を行く」
地区予選と同じ戦法、俺が近接戦闘を仕掛け、後から続く形でノリコが追撃、コスモに後方支援をしてもらう。
前方には既に敵の姿が見えている。見えるのは二つの三つの『黒』。チーム『ノワール・ノワール』はストライクノワール、クロスボーンガンダムX2、黒いヤクト・ドーガを駆り、前方からスラスターを噴かせ接近してくる。砲撃型のX2とファンネルを使うヤクト・ドーガの連携は厄介だ。
まずは俺が先行して攪乱させて、分断させるのが最善手だろう。
「いえ、まずは俺に任せてください」
「……?」
しかし、俺の指示に対してコスモの操る赤色のジムが、両手に握っているキャノン砲のようなものを掲げる。メガバズーカランチャーを改造したものか?成程、それならば先陣を切るにはもってこいの武装だ。
「任せたぞ」
「ありがとうございます!」
こちらに礼を言うや否やその場で急停止し、キャノン砲から伸びるコードを自身の胸部に接続させる。すると、砲身が徐々に震えていく。
だが、敵も既に射撃体勢に移っている。X2がバスターランチャーをコスモのジムに照準を向けている。流石全国大会、あの距離からでも狙ってくるか……だがしかし!!
「その距離は俺の距離でもある!!」
GNビームライフルを放つ。当たるなんて思ってはいない、相手の動揺を誘えればそれでいい。放たれたビームは敵機MSの背後にあるデブリに直撃し爆発。その爆発の余波で砕け散ったデブリの破片が敵機チームに襲い掛かり、連携を乱す。
「流石です!先輩!!」
まぐれ当たりもなんとやら……運も実力の内。
「油断は禁物だ。ノリコ!コスモが討ち漏らした敵を討つぞ、コスモ、チャージが済み次第それを撃て」
「はい!」
「分かりました!!」
GNビームライフルを腰にマウントしながらコスモの方に振り返ると、彼の持っていたキャノン砲、さらに彼のジムの顔と各所までが淡い光を放っていた。
凄まじい粒子量だ……これなら敵を一気に掃討する事もできるかもしれない。
「イデオンガン!出力30パーセント!!行ける……ッ」
コスモが叫ぶ。イデオン?全く聞いたことない武装名だ。
なんだろうか、俺自身結構なガンダムオタクだけど、全然知らない。オリジナル武装だろうか?というか30パーセントで大丈夫なのか?
「撃ちます!!」
イデオンガンと呼ばれたキャノン砲の砲身から眩い光が走った瞬間―――
宇宙が震えた。
「な、なに……あれ」
全国大会、第一回戦で無事勝利を収めたチームトライファイターズ。勝利の余韻を噛み締めながらも、これから戦うファイターたちの戦いを分析するため、会場に来ていた私達の目の前のモニターには衝撃的な光景が広がっていた。
赤色のジムの持つメガバズーカランチャーに似た砲台から放たれたビーム………いや、あれはビームなんて生易しいものじゃない。
竜巻のように広がり、うねり狂った粒子の奔流は、チーム『ノワール・ノワール』のMSを粉々に吹き飛ばしてしまった。
なんなんだあの威力は、まるで台風のように広がり、射線上を漂うデブリすらも物ともせずに破壊し尽くした。会場はそのあまりの威力に呆気にとられている。それも当然だ、あんな光景見せられて絶句しない方がおかしい。
あれでは、IフィールドもGNフィールドも意味をなさない。
「ユウ君……あのガンプラは……?」
「ジムの改修機だという事は分かりますが……それ以外は全く……」
「スッゲェ……ッレイのチーム『イデガンジン』……全国大会には、キジマ以外にもこんなに強い奴らが沢山いるのか!!」
セカイ君はいつも通りで安心したけど……て!?
「何でセカイ君がアンドウ・レイさんの事を親しげに呼んでるの!?」
合宿で挨拶ぐらいしかしていなかったじゃん!?
「え?ああ、ビルドバーニングの腕が壊れた時、直すの手伝ってくれたんですよ」
「敵チームのヤツにビルドバーニングを触らせたのかセカイ!?」
「あの子だけじゃなかったの!?」
思い出すのはあの銀髪の可愛い系の女の子。
……何かむしゃくしゃしてきた!!
「スゲェ良い人でさ、なんていうか、ガンプラをすごく大好きな人だなぁって……でも悪い事をしようって言う感じじゃなかった。あの子も『彼はガンプラに優しい人』って言ってたし」
あの子ってあの子か?あの子なのセカイ君?
「……もう、今度からはむやみに他のチームの人にガンプラを触らせちゃ駄目だからね……でもよかった、手伝ってくれたのがアンドウ・レイさんで……」
「先輩もレイの事について知っているんですか?」
それにしてもチーム『イデガンジン』。私達と同じ全国大会初出場のチームで、一度だけ合宿でバトルを見たけど……。
「ええ、『荒熊』の異名を持つアンドウ・セイジの息子であり、ジンクス使いとして有名なガンプラファイターよ。私達と同じ、大会初出場者という事もあって、少しだけ話をする機会があったのよ。セカイ君は合宿の時、一度だけ戦うところを見たでしょ?」
「はい!レイのガンプラ、強かったです!」
「……セカイ君、アンドウ・レイさんは、高校生だから私達より年上なのよ?」
「……あ!……や、やっちまった……俺ずっと、呼び捨てにしてたぁ……」
しまったとばかりに表情を青くさせるセカイに、少しばかりに微笑ましいものを感じながらも、あの赤いジムについてラルの意見を聞こうと思い、彼に尋ねようとする。
「彼を筆頭としたチーム……ラルさんは何かあのガンプラについて――――っ!?」
隣を見て驚く。私達の隣に座っていたラルさんは、驚愕の表情を浮かべていたのだ。ここまで動じているラルさんを見たのはある意味で初めてだった。
私の声が聞こえていなかったのか、ジッとモニターを見つめていたラルさんはボソリと何かを呟くのが聞こえた。
「イデオン」
「イデ……何ですか?」
「ガンダムの生みの親、トミノ氏が創ったロボットアニメの一つ……それがイデオン」
その名前なら誰でも知っている。彼がいなければ、自分はガンプラバトルをすることもなかったし、この世にガンプラも生まれる事はなかっただろう。
「それに、もう一つのザク……あれは――――」
『何だソレはァァァァァァァァァ!!』
モニターからファイターの絶叫が聞こえてくる。
すぐさま目を向けると、そこには片手と片足を失ったボロボロのストライクノワールが、フラガラッハを片手にチーム『イデガンジン』に襲い掛かろうとしている光景だった。
回避してもあの損傷具合からすると、何時爆発してもおかしくはない。それでも挑むのはファイターの矜持かはたまた意地か、どちらにせよその気概は称賛に値するものだった。
あの砲撃をしたジムは全身から熱を放出し動かなくなっている。だが、ジンクスとザクが健在な所を見ると、勝機はもうないに等しい。
スラスターから煙を上げながら突撃を仕掛けるストライクノワールを迎撃しようと、ビームサーベルを抜き放ち前に出ようとしたジンクスだが、それを遮るように、『腕組み』をした黒色のザクがジンクスとストライクノワールの間に入る。
『コスモが魅せたのなら、今度は私が先輩に魅せなくちゃ!!』
腕組みが無駄に様になっているザクは、ストライクノワールに視線を向ける。
『うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』
会場を揺るがさんばかりの雄叫びを上げる。同じ女子とは思えないほどの気迫。驚くのも束の間、タカマ・ノリコが駆るザクは、一気に上昇し、蹴りの体勢に移行する。
「な、なに!?まさかセカイ君と同じ……!?」
「いや違うぞフミナくん!あれは、あの技は―――」
「知っているんですかラルさん!!」
ザクの脚の裏に電ノコのようなものが展開され、一気にストライクノワール目掛け尋常じゃないスピードで急降下してくる。あの速さ……ッ、瞬間的な速さならユウ君と同じかそれ以上……ッ。
『スゥゥパァァァァ!!イナズマァァァァァァ!!キィィィィィック!!!』
『嘘だろォォォォォ!?』
避けられないと悟ったストライクノワールが振るったフラガラッハは一瞬の内に粉々に砕かれ、黒色のザクが放った蹴りが胸部に命中し、そのままの勢いで巨大なデブリに押し込む。
『こんなものじゃない!!このガンプラにはッ……先輩の……先輩の思いが……籠っているんだからァァァァァァァ!!!』
瞬間、全身から稲妻が迸ると、そのまま勢いが衰えることなく、ストライクノワールごとデブリを砕き、爆発する。
残ったのは、黒色のザク……いや、あれを本当にザクと呼んでいいのか分からないけど。
「スゲェ!!スゲェよあのガンプラ!!ラルさん!あれも何か知っているんですよね!?」
「あれはガンバスター……」
「ガンバスター……あのガンバスターですか!?」
「ユウくん知ってるの!?」
「え、ええまあ。でも1980年代のロボットアニメですから、さっきまで思い出せなかったのですが……でも、まさかガンプラとして作り上げるなんて……ファンとしては称賛されるべきですね……」
確かにガンダム作品ではないロボットを作るのは素直にすごいと思う。
7年前の世界大会出場者であった、ルワン・ダラーラさんのアビゴルバインの場合を考えると、そういう例がなかったわけではないけど……。
「作品自体はガンダムとは関係ないロボットアニメだが、ザクに似たモノアイと顔によって一部の者には『ザクの神様』と呼ばれている」
「ザクの神様ぁ!?ま、まあ確かに、あれを見ると神様と言われても納得せざる得ませんけど……」
「そして、先程のイデオンもそうだ。あれもまた『ジムの神様』と呼ばれている」
「今度はジムの神様……!?」
今回の全国大会では神様と闘わなければならないということなのか。パワードジムを使っていた自分にとってイデオンというロボットは気にならない訳ではないが、今は今後の対策について考える方が重要だ。
先が思いやられるが、ようやく念願の全国大会へ出場することができたのだ、負けるつもりはない!
「ガンバスターにイデオン、そのどちらも再現しているとなると、強敵となるのは間違いない。だが、最も注意すべきは、アンドウ君、彼だ」
「確かに彼の使うガンプラは完成度が高い、それにファイターの腕もかなりのもの……あの牽制射撃……一撃で相手のペースと連携を崩し、加えて、仲間の為のチャージ時間を確保した……」
「そうね、高火力を用いた戦術は確かに強力だけどいくらでも対策のしようがある。でも、アンドウ・レイさんのようなサポートと戦闘を両立させられるファイターは厄介……」
ただのビームライフルで遠距離のデブリを狙い撃ち、仲間への隙を作った技量と計算高さ、流石ラルさんと同じく大会出場経験を持つ『荒熊』の二代目と呼ばれるファイター。
「それに彼のガンプラも、まだHG化されていないジンクスⅣ。彼もまた彼のチームメイトと同様に、自身の好きなロボットを自ら作り上げた生粋のガンプラファイターだ……もしかするならば、彼の協力によってあのガンプラが創られたのかもしれん」
なにあれ?え?なにあれ俺知らないよ?
何でザクが電撃だしてんの?何でジムがフィールドのほとんどのデブリを消滅させてんの?
「先輩、ありがとうございます。貴方のおかげで俺のイデオンは完成しました。といっても、イデオンガン一発でしばらく動けなくなるくらいじゃ、真の完成とは程遠いかもしれませんけど……」
試合後、静寂に包まれた会場の中でコスモはそう言ってきたが、俺のおかげってなんですか、俺そんな宇宙戦艦に搭載されているような広域破壊砲の作り方なんて教えてないよ。教えたとしてもプラフスキー粒子の応用とか、ガンプラの作り方ぐらいだよ!
「私も先輩のおかげでガンバスターを完成させることが出来ました!!」
ノリコ君、俺は君にライトニングブラストを教えた覚えはありません。
「俺のおかげじゃない。お前たちの力でそれを作り上げ完成させた。だから俺はなんにもしてない」
「……そう言うと思っていました……なので、俺達は勝手に恩を感じて勝手に恩返しさせて貰います」
「ええ、先輩と一緒に来たこの全国大会、私達は貴方の為に全力を以て優勝を目指します!!頑張りましょう!!」
あまり張り切り過ぎるのは良くないと思うんだ。だって君達の口ぶりからすると、まだまだ全ての性能を見せた訳ではないんでしょう?
だって思い返してみれば、ガンプラ作るときの君達の質問どこか常軌を逸していたもん。
『射程無限のビームサーベルってどうやったらできますか?』とか『ホーミングレーザーってどうやったらできるんですか?』とか『ビーム跳ね返すマントってどういうコーティングをしたらできますか?』とか、当時はそれに近いものを真面目に考えてあげたけど、到底再現できるものではなかったはずだ。
だが、今回のバトルでコスモが使ったイデオンガン、あれはすごい。
恐らく粒子圧縮を赤いジム、イデオン内で行わせ、圧縮させた粒子をイデオンガンへと転換させた。イデオンガンの役割は、あくまで圧縮された粒子エネルギーを増幅させて撃ち出すことでしかない。
つまりイデオンガンをビームライフルのような単体での武装として考えるのではなく、イデオンとのセットで強力な武装として成り立つ、ガンダムXとサテライトキャノンのような関係にあると見ても良い。
単体では再現不可能な威力を、機体と武装に『役割』を与える事でそれをクリアさせた。
色々と課題はあるが、試行錯誤の末に導き出したものだということは分かる。
「……俺は嬉しいよ」
「勝てた事をですか?」
「いいや」
こんな頼もしい後輩に巡り合えたことをだ。
とびきりぶっ飛んだガンプラを作り上げた二人だが、まだまだ全国大会は始まったばかり、目標はガンプラ学園。こいつらと一緒ならば、俺は、俺達は戦える。
「あ、先輩!次の試合に備えて、冷凍光線を出したいんですけど、具体的にはマイナス一億度位の!!アドバイス貰えますか!!」
「俺もイデオンの装甲を強化したいんですが……具体的にはメガビーム砲に耐えられるくらいには」
まずはこいつ等を自重させないといけないけどな!!
「凄まじい性能のガンプラ、イデオン、か……」
今の若者にイデオンを知っている者が何人いるだろうか、恐らくシアに知っているかと聞いても分からないと答えられてしまうだろう。
「ああ、流石、レイのチームだけのことはあるぜ。まさかあのガンバスターを作り上げるたァな」
「意外だね。君がガンバスターを知っているとは」
「当然だろう。『トップをねらえ』は名作だからな」
「あ、ああ……」
臆面もなく言い放つ、いかつい男、アドウ・サガ。
まさか彼が堂々とファンを公言するなんて、普段の彼を見ている身からすれば意外だった。
「キジマ、お前の方こそイデオンを知っているじゃねえか。普通はいねえぜ?イデオンを知っている学生なんてな」
「笑止、俺の趣味は、ライディーン、ブレンパワード、キングゲイナー、リーンの翼、といったトミノ氏が手掛けたロボアニメを視聴することだ。生き甲斐と言っても良い。最近は、新しいガンダムでもあるGレコが毎週楽しみで楽しみで仕方がない」
「お、おう……」
その反応は慣れている。
「アドウ、そういえば君はアンドウ・レイとは合宿の時に手合せしていたな」
「ああ、一度アイツとはバトルしたことがある……大した奴だったぜ」
「……面白い。やはりガンプラバトルはこうでなくては!!まだ見ぬ好敵手、まだ見ぬガンプラ!そしてイデオン!!」
イデオン、最強ロボットの一角として位置するあのロボを模したあのガンプラとは是非とも戦いたい。柄にもなく興奮しているのは分かる。
それも当然、凄まじい完成度で、ガンダム作品ではないロボットが今まさに動いているのだ。これで熱くならないはずがない。
「いつもより元気ね、兄さん」
透き通ったような声が部屋に響く、声の主に目を向けるとそこには白髪の少女、キジマ・シアがにこやかな笑みを浮かべ、室内に入って来るのが視界に映った。心なしか上機嫌だ、何か良い事でもあったのだろうか?
「シアか、先程の試合、どう見る?」
「彼等のガンプラ、とても生き生きとしている。でも、まだまだ足りないみたい」
「ほう、それはもっと強くなる……いや、モデルに近づいていくと考えてもいいのかな?」
「兄さんの言っているモデルはよく分からないけど、レイのガンプラ、合宿の時よりも綺麗になってる」
「ジンクスⅣオリジン……俺と同じ00のガンプラ……か。合宿時に彼の戦いは見せて貰ったが、彼もカミキ・セカイと同様に素晴らしいファイターだった。……彼の戦い方は、彼の父『荒熊』を思わせる荒々しさと、その中で時折見せる繊細さを兼ね備えている……まるで……」
何と言えばいいのだろうか。
『荒熊』では彼の父とは変わらない。……もっと、二代目然とした感じが……。親、子……子供……。
「『小熊』?……すまない、今のは忘れてくれ」
「ははははは!!何だよ『小熊』ってよ!随分と恐ろしい熊だなぁおい!!」
「ぷ、ふふ、可愛らしい例えだわ。兄さん」
正直、自分でもないと思った。
思わず、顔を赤面させてしまう。
「いいじゃない、『小熊』のレイ、私はそう呼ぶわ」
「お、おい……」
妹は乗り気になってしまった。こうなったらもう考えを改めさせてはくれないだろう。
しかし、先ほどから気になっていたのだが……。
「何故シアがアンドウ・レイの名を―――」
「ふふっ、ひ・み・つ」
「………………………何?」
……アンドウ・レイ、私には君と闘わなければならない事情ができてしまったようだ。
「うっ!?」
「どうしました、先輩?」
「風邪ですか?」
なんだろう、今何か背筋も凍るような殺気が……。
スパロボUXのジンクスⅣ……俺は惚れたぜぇ!
『A』STORYの『A』はアンドウの『A』です。似てるけどアストレイではありません。
連載の方がいいかもしれませんが、BFTの本編が終わってない事に加え、他の作品もあるので、とりあえずは短編という形で出しました。
主人公の名前については、単純に『アンドレイ・スミルノフ』から『アンドレイ』を抜き出して、さらにアンド/レイから、アンドウ・レイにしました。
チームメイトの二人も、元になった扱う機体の搭乗者の名前からもじりました。
イデオンやガンバスター等の、多作品のロボットは出ましたが、パワーバランス的に、それほど反則的な強さにするつもりはありません。『プラフスキー粒子で再現できる』位の範囲で再現していくような感じです。
あくまで基準はガンプラ、ということです。
続くかどうかは未定です。
続きがあるとすれば……多分、過去編から書いていくと思います。