このすばのクロスオーバー小説   作:仮面大佐

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プロローグ(このすば×仮面ライダービルド)

 仮面ライダービルド。

 突如出現した巨大な壁「スカイウォール」によって三つに分断された日本を舞台に、記憶喪失の天才物理学者・桐生戦兎が、愛と平和のために戦い抜いた熱い特撮ドラマである。

 これは——とある異世界で、ビルドの力を受け継ぐことになった青年の実験(たび)が始まる物語だ。

 

「……あれ、ここどこだ……?」

 

 青年の意識が浮上する。

 目を開けると、そこは果てしない暗闇が広がる不思議な空間だった。

 自分がポツンと置かれた1脚の椅子に座っていることに気づき、青年は周囲を見回す。

 

「……目を覚ましたみたいね、桐生結翔さん」

「うわっ⁉︎」

 

 唐突に上空から響いた声に、桐生結翔はハッと振り返った。

 そこには、幾何学的な光の粒子を纏い、どこか不敵な笑みを浮かべた美しい女性が浮遊していた。

 

「あんた……誰?」

「私は技術と創造を司る女神ウルカノよ。単刀直入に言うわね。あなた、死んじゃったの」

「え……?あ……」

 

 ウルカノと名乗った女神の言葉に、結翔の脳裏へ直前の記憶が怒涛のようにフラッシュバックする。

 それは、『仮面ライダービルド』の配信動画を見終え、小腹が空いたのでコンビニへ向かっていた途中のことだ。

 信号待ちの最中、隣にいた幼い子供が手に持っていたボールを落とした。

 転がるボールを追いかけて道路へ飛び出した幼子と、迫るトラック。

 結翔は考えるより先に体を動かし、子供を歩道へ突き飛ばして——自分が跳ねられたのだ。

 

「……そっか。俺、死んじゃったのか……」

「ええ、哀れねぇ。……まあでも、話はここからよ。若くして死んじゃったあなたには、二つの選択肢があるわ」

「選択肢?」

「一つは、記憶を綺麗さっぱり消して赤ちゃんからやり直すか。もう一つは、天国みたいなところで、爺さんみたいに日向ぼっこしながら永遠にのんびり暮らすかよ」

(なんだよその極端すぎる二択……どっちも微妙なんだけど)

 

 結翔がそう呟く中、ウルカノはそう話しかける。

 その提案を聞いて、結翔がそんな風に何とも言えない表情を浮かべると。

 

「……まあ、そんな顔になるわよね。そこで私から、サイコーにイカれた提案があるんだけど……あなた、ファンタジー世界とか『ゲーム』って好きかしら?」

「えっ?」

 

 ウルカノはそこから、ある異世界の事情を語り始めた。

 そこは剣と魔法のファンタジー世界であり、現在は「魔王」と呼ばれる存在率いる魔王軍の侵攻によって、未曾有の危機に瀕しているという。

 

「でね、向こうで死んだ奴らが『魔王軍マジでトラウマ! もう二度とあの世界に生まれたくない!』って言って転生を拒否しまくってるのよ。このままじゃ人口減で世界が滅んじゃうでしょ? だから、他の世界で死んだ若者をドカドカ送り込もうって話になったの」

「はあ……(なんだその随分と大雑把で、力技すぎる移民政策……)」

 

 ウルカノはそんな風に語る。

 それを聞いて、呆れ果てる結翔を放置して、ウルカノはテンション高めに言葉を続ける。

 

「でもさ、ただ送るだけじゃ速攻でモンスターの飯になって終わりじゃない? だから、特別な『転生特典』を持たせて異世界に送り出すことになったってわけ!」

「なるほど……」 

 

 ウルカノはそんな風に語る。

 魔王討伐のため、地球の若者にチート能力を与えて送り出す。話の筋は理解できた。

 結翔は少しだけ考えを巡らせた後、決意を固めて頷いた。

 

「……分かりました。俺で役に立つなら引き受けます」

「あら、話が早くて助かるわー!」

「で……異世界に行くのはいいとして、向こうの言葉とか俺さっぱり分かりませんよ?」

「ああ、それなら大丈夫! 私たちの神聖なパワーで脳に直接インストールしてあげるから! ……まあ、運が悪いと副作用で頭がパーになって『あうあう』言い出すリスクもあるけどね」

「……副作用が深刻すぎるだろ⁉︎」

 

 さらっと恐ろしいことを言う女神に、結翔は思わず速攻でツッコんだ。

 しかしウルカノは「細かいことは気にするな!」とばかりにパンパン手を叩き、強引に話を打ち切った。

 

「さあさあ! それじゃお待ちかねの『転生特典』を選びなさい! 最強の聖剣? 規格外の魔力? それとも——」

「誤魔化したな……。まあいいや、転生特典なら最初から決まってます」

「え?」

 

 露骨な話題逸らしに苦笑しつつ、結翔は胸を張って言い放った。

 

「『仮面ライダービルド』に関する力を、全部ください」

「……は? ビルド……って、あの特撮の?」

「そう。自分でアイテムを解析・開発できる科学の頭脳と、ビルドドライバー。どうせ異世界に行くなら、俺が大好きなヒーローの力で戦いたい!」

 

 熱弁する結翔を見て、ウルカノは一瞬呆然と口を開けた。

 ……が、次の瞬間、その瞳にマッドサイエンティスト特有のヤバい光が宿る。

 

「……物理法則がメチャクチャな魔法世界に、『科学とベストマッチの法則』をぶち込む気!? ……ハッ、サイコーじゃないのそれ! 魔法と科学の化学反応……どんなデータが取れるか想像しただけでゾクゾクするわ!」

 

 ウルカノは興奮するかのようにそう言う。

 ウルカノは手元に浮かぶホログラムを恐ろしい手つきで操作し始めた。

 

「許可? 上の連中に聞くまでもないわ、私が『技術と創造の女神』として全権で承認する! ビルドドライバーの構造データ、フルボトルの精錬・生成能力、そして天才的な開発頭脳……全部あなたの魂に刻み込んであげる!」

 

 ウルカノが手をかざすと、結翔の身体が眩い光に包まれた。

 直後、脳内に見たこともない複雑な数式や物質の構造図、ビルドドライバーの設計思想が、怒涛の勢いで流れ込んでくる。

 

「ぐっ……頭が……⁉︎」

「くっくっく……素晴らしいわ結翔! これをあげるわ!」

 

 結翔がそう呟く中、ウルカノはそう言って、ビルドが使う全てのフルボトル、ビルドドライバーを渡す。

 

「これを使いなさい!強化フォームのボトルは自分で作りなさい!その為の頭脳だろう!あと、異空間収納を使えるようにしたから、それで持ち運びは便利よ!ギルドに行って冒険者登録する時には、右ポケットを確認しなさい!さあ勇者よ! 数多の転生者の中で、あなたがその狂った科学の力で魔王をぶち破ることを期待してるわ! さすれば神々の贈り物として、どんな願いでも叶えてあげる! 異世界へ飛んでいきなさーい!」

「うおああぁぁぁっ⁉︎」

 

 視界が真っ白な光で埋まり、結翔の体が浮遊感とともに引きずり込まれていく。

 ——そして、目を開けると。

 

「おおっ……!!」

 

 そこには、中世風の石造りの街並みと、見たこともない雄大な自然、そして青い空が広がっていた。




今回はここまでです。
今回は、このすばとビルドです。
以前、書いていたのをリベンジしたくなって。
設定とかはどうするのかは、考え中です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
リクエストに関しては、下記のリンクから受け付けています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=346580&uid=373253
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