UC0099年5月中旬、地球連邦軍915実験戦隊は宙賊討伐任務を帯びてサイド1宙域へと向かっていた。だが、その任務にはある部隊が帯同していた。そして、それに915実験戦隊司令の菊池マホ少佐は不満を持っていた。
「宙賊の殲滅くらい、我々だけで十分なものを…そう思いませんかしら?」
話を振られた副官は少し考えた後に答える。
「かもしれませんが、我々の任務が楽になる分ヨシと考えましょう。菊池少佐」
「ま、それもそうですわね…」
その頃、格納庫の一角のシミュレータールームでは帯同するある部隊のパイロット達が訓練をしていた。
「3番機遅いぞ!」
「す、すみませんプリスガン大尉…!」
帯同する部隊は3月の作戦を共にしたギャプラス戦闘小隊であった。彼らはシミュレータールームに籠り猛訓練に励んでいた。
「良くやるねぇ…あいつらも」
そう言うのは915実験戦隊の米倉アスハ大尉であった。彼女は同部隊のエースであり、戦隊MS中隊の隊長も務めている。
「あいつらずっと籠もってるっすよね〜」
「休みもあまり取ってませんからね」
アスハの部下のレイア・マークス中尉やリイ・楊麗少尉らもアスハ同様猛訓練を傍らから眺めていた。そんな中、シミュレーターからパイロット達が降りていく。
「…一旦休憩…君たちも是非一緒に訓練に参加して欲しいものだね」
そう言う男性はレナード・プリスガン大尉、ギャプラス戦闘小隊の隊長であった。
「いえいえ、シミュレータールームの機械が4台しかないので遠慮しとくわ」
「はは。こちらのエース2人とそちらのエース2人…でも良いと思うがね」
遠慮しがちなアスハにレナードは惜しそうに語りかける。
「それはそれで面白そうだわ。でも残念。そろそろ作戦宙域で時間もなさそうで」
「それもそうだな…それではまたの機会にお手合わせ願おう」
そうしてパイロット達は暫しの休憩に入った。
作戦宙域に到達した915実験戦隊はマホの指揮の元、艦載機の発艦を急ぐ。
「艦載機発艦準備、急いでくださいまし」
オペレーターが敵宙賊の戦力解析をする。
「コロンブス、サラミス防空型それぞれ1と確認。情報通りです」
「了解…艦載機の発艦はまだですの!?」
マホは艦載機の発艦の遅さに苛立っていた。
「すみません、格納庫が混み合ってまして…」
「はぁ…だから私達だけで十分と…ライトニング、ジムの発艦を優先させましてよ」
格納庫では動線が混み合っていたがようやくモビルスーツ…RGZ-91Dライトニングが発艦を開始した。
「米倉アスハ、出るよ」
その中にアスハやレイア、リイの機体も含まれていた。
「けっ、俺達は後回しかよ」
ライトニングが次々と発艦し、ジムIIIが発艦準備に入る中後回しにされたレナードは愚痴を吐いていた。そして、ようやく発艦順が回ってきたレナード達の機体…ORX-005[P]ギャプラスがカタパルトに載る
「レナード・プリスガン、出るぞ!」
レナードのギャプラスがカタパルトから射出され、その後にスラスターを吹かして猛烈なスピードでジムIIIを追い越していく。ギャプラスはORX-005ギャプランの改修機であるため、その加速力は尋常ではなかった。そして、先頭のアスハのライトニングに追いついた。
「相変わらず速いなぁ…ギャプランは」
「それが売りなんでな」
ギャプラスは減速しライトニングに速度を合わせる。
「それじゃ、メガライフル装備機はサラミスを」
「了解っす」
レイアを含めた大型ビーム・ライフル…メガ・ビーム・ライフル装備のライトニングがそれをサラミス防空型へ発射…サラミス防空型は直撃し、大破炎上する。宙賊もモビルスーツを発艦させるがその動きには動揺があった。
「一気に突くぞ!」
レナードとその僚機が速度を速めて接近、動揺するMSをそれぞれ2機ずつ撃墜する。そして、サラミス防空型へとその矛先を向け、スラスターへとビームを放った。
「さっすがシミュレーターに籠もってただけはある…か。あたし達もおとしてくよ」
「はい、隊長!」
アスハとリイの機体がレイアの援護射撃のもと敵機へ接近、ビーム・ライフルとビーム・カノンで敵機を撃墜していく。
「ま、所詮宙賊、こんなもんか…なに?」
「ジムが…!」
ジムIIIが2機中破させられた。そして、その先には…
「ザクIII、こんなものまで…っ、どこで手に入れたんだって」
アスハ機に大型のビーム・ライフルの狙いを付けるザクIII。その射撃は正確でありアスハも少々苦戦する。リイとレイアが援護するもののそれを軽々と避けていった。
「こいつ、強い…タイチョーの射撃をこうも…!」
「たかが賊風情が生意気なんですよ!」
そして、アスハ機にビーム・ライフルを命中させ、そのシールドに大きな溶けた跡を付ける。しかし。
「これ以上はさせんぞ…!」
サラミス防空型を撃沈したレナード達が加勢、ザクIIIの左肩をビームが掠めた。
「今だ!米倉!」
「はいよ…っと!」
アスハがビーム・サーベルを抜き、斬りかかって大型ビーム・ライフルを破壊した。ザクIIIは負けじと頭部のビーム砲を撃ち返すもアスハは軽々とこれを躱す。そして…
「プリスガン!今だ!」
「任された!」
急接近したレナードのギャプラスが、ビーム・サーベルをザクIIIのコックピットへ突き立てた。ザクIIIは沈黙した。宙賊の母艦も大破し降伏し、戦闘は915実験戦隊の勝利に終わった。
「夏野エミほどではないが…やるな。米倉アスハ大尉」
「夏野エミねぇ…ま、あんたもやるよ。レナード・プリスガン」
こうして共同任務は終わっていった…
続く