UC0099年11月、反ジオン過激派”地球正教会”のジオン共和国侵攻へ対して地球連邦=ジオン共和国連合艦隊はその阻止へとあたっていた。
”レナウン”の戦闘指揮所(以下CIC)では714部隊司令官の白根ハルナ准将が状況をチェックしていた。
「サラミス2隻を撃沈、MS隊は…互角以上に戦えているな…このまま…」
「…おかしい、なぜだろう?」
レナウン艦長のエイレン・ユーリ大佐はこんな戦況に疑問を持っていた。
「どうしてだ?」
「ヨハンナ先輩がこれほどまでに押されるのは少し妙と思っただけです…」
エイレンはその疑問をハルナに伝えた。
「ミュラーはMS戦闘小隊の指揮官だ、艦隊戦は不慣れなのかもな…」
「…いや、待ってください。宣戦布告の時のヨハンナ先輩…なんか妙に若くなかったですか?私よりも…いや、15年前と変わらないくらいには…」
「…何?じゃあミュラーは?」
「おそらくコールドスリープで睡眠させられていたのが今目覚めた…のかと。つまり前線に出てこれるはずです」
「だからどうし…ミュラーのようなエースなら今頃、オリベ戦闘中隊辺りとぶつかっていてもおかしくない。しかしその報告が上がらないのはおかしい…と君は思ったのか?」
ハルナはエイレンに視線を向ける。
「その通りです、白根司令」
「そうか…」
そんななか、オペレーターが声を上げた。
「ジュリエットL3、通信途絶!」
“RGM-89DEW EWACジェガン”の1機が音信不通になったのだ。
「なに?」
「狙撃されたのかと…直上より高熱源体接近…メガ粒子砲です!」
「敵増援か?全艦散開、回避せよ」
「了解、避けて!」
ハルナの命令のもとエイレンはレナウンを回避させる。レナウンは回避したものの”ラー・ペアル”と”パサデナ”が被弾した。オペレーターがそれを報告する。
「ラー・ペアル、パサデナ被弾!…ラー・ペアルの損害は軽微ながらパサデナは火災発生とのこと!」
「了解、各艦はビーム攪乱膜及びダミー隕石を射出、退避せよ」
レナウンをはじめとする714部隊及び第22巡洋戦隊各艦は退避を始める。
「…高速で接近する高熱源体捕捉…モビルスーツです!」
「何?1機か?」
「はい…ハーコート艦隊へ向かってます!」
「ハーコート艦隊へ、モビルスーツが1機向かっている。警戒されたし」
レナウンCICでは慌ただしく報告が行われていった。
ジオン共和国軍重巡洋艦”ソドン”艦橋では…
「モビルスーツが1機のみ?」
「はい、レナウンからの報告では…」
「直掩のノルメル隊、ケンプテン隊を向かわせて。どんな機体でも8対1は切り抜けづらいわ」
“RMS-106ハイザック”が単騎で突撃する機種不明機の迎撃へと向かう。しかし…
「…ジオンが…その程度…!」
女はその言葉と共に、機体からビームを放つとハイザックの1機を貫いた。
「何!?だが7対1だ!まだ!」
ハイザックはさらに接近しビーム・ライフルを放つが避けられる。
「…行け!ファング!」
女の機体からビジュっと何かが射出される。そしてそれはハイザック隊を囲んでいくとビームを放った。
「ぐわっ!なんだ!?」
「どこから!?」
次々と撃墜されるハイザック隊…そしてその正体は”フィン・ファンネル”、かつて”νガンダム”に搭載されたオールレンジ兵装であった。ソドン艦橋ではそんな戦況を慌ただしく眺めていた。
「何!?ファンネル装備…機種は…!?」
「最も近い機種の照合完了!…”RX-94”…”量産型νガンダム”です!!」
「ガン…ダムだって!?…ゲロマズ…増援、こちらからも送るわよ」
RX-94量産型νガンダム、それは第二次ネオ・ジオン抗争が長期化した際に備えて試作された機体であった。
「ガンダムだって…悪魔だ…」
「恐れるな!まだ5対1だ!」
フィン・ファンネルを充電のためラックへ戻した量産型νガンダムは、応戦するハイザック隊にさらに接近する。その射撃をするりと躱してハイザックの1機に接近、そしてそれを”何か”を用い一撃で両断した。
「ほう…これは予想以上に使えるな」
「なんだ!?なにが…!?」
さらにもう1機ハイザックが”切り裂かれる”…その正体はかつてジオン公国軍が量産した”MS-07Bグフ”に搭載された”ヒート・ロッド”の改良型であった。ハイザック隊はさらに数を減らされるが、そこにミサイルが飛んでくる。
「増援…といってもジオンの旧式どもか。相手にならんな」
ハイザックと”RMS-099Bシュツルム・ディアス”、”RMS-099リック・ディアス”が接近するが、それらの射撃もするりするりと尽く躱される。そして再充電されたファンネルを射出、指揮官機とおぼしきシュツルム・ディアスを蜂の巣にする。混乱した増援部隊を尻目に量産型νガンダムはムサイ改級達へビーム・ライフルを連射する。
「げ、迎撃…うわっ!?」
「”ケンプテンII”、轟沈!!”クワメルII”、大破!!」
そして残りのムサイ改級へ接近、その艦橋へヒート・ロッドを浴びせる。
「”ノルメル”、ブリッジが…!?コモリ司令!こちらへ来ます!」
「対空防御!」
ソドンへ向けて量産型νガンダムが接近する。対空防御を悠々と躱し駆け抜け、そして艦橋の前へと躍り出た。
「っ…!」
そしてビーム・ライフルを…しかし、そんな量産型νガンダムは突如として横方向に押し出された。
「うおぉぉ!!」
“RGZ-95C”リゼルC型、そのディフェンサーaユニットと呼ばれる大型装備を付けた機体が量産型νガンダムへシールドバッシュをしたのだった。弾き飛ばされた量産型νガンダムへさらにビームが迫る。それは”RGZ-95”リゼルのディフェンサーbユニットと呼ばれる大型装備を付けた機体のビームであった。それを躱すが、即座にリゼルC型a装備の追撃が迫りくる。
「アレは…オリベ戦闘中隊所属機です!」
「助かった…!」
リゼル2機は互角に一進一退の戦いを量産型νガンダムと繰り広げる。また、オリベ戦闘中隊の別のリゼルやジェガンが共和国軍艦隊の救助に回った。しかし…
「リゼルという奴か…モビルアーマーに変形するモビルスーツか、時代は変わったな…試してみるか」
量産型νガンダムがリゼルC型b装備へ接近する。そして、ヒート・ロッドをシールドへと浴びせ、熱を加え…なかった。代わりに電撃らしきものを加えた。
「そのくらいの電気!」
ヒート・ロッドが離されると、リゼルC型b装備はメガ・ビーム・ランチャーを放った…味方のリゼルC型a装備へ。
「何!?」
「なっ…!?操縦が…!?」
リゼルC型a装備は背中から左腕にかけて被弾、左側のバックパックユニットと左腕を失った。リゼルC型b装備はさらに味方を追撃する。
「まさか…乗っ取られた!?」
「エグザベ隊長ー!助けてください!!」
リゼルC型b装備を助けまいとエグザベと呼ばれた男のリゼルが接近するが…
「コックピットだけ脱出させれば…!」
「私を忘れては困るな…」
「ちぃ…!」
量産型νガンダムがリゼルへと追撃を加える。戦いは量産型νガンダム有利へと進みつつあった。
その頃、地球連邦軍側…レナウンCICでは…
「直上より艦隊接近!アイリッシュ級1!マゼラン改級1!サラミス改級1!」
「アイリッシュ級だと…?どこからそんな戦力…アナハイムめ!」
「第22巡洋戦隊へ向かってます!」
「近づけさせるな!援護してやれ!」
714部隊は敵艦隊を牽制しようとメガ粒子砲を撃つものの、それは遠距離故に有効打とはなりえなかった。そして、敵艦隊は第22巡洋戦隊へと接近、メガ粒子砲を浴びせる。第22巡洋戦隊旗艦ラー・ペアルCICでは…
「デイトン轟沈!パサデナ、戦列を離れる!」
「回頭、迎撃しろ!」
「撃ちー方ーはじめー」
回頭したクラップ級2隻よりメガ粒子砲とミサイルが旗艦のアイリッシュ級へと放たれるものの、それを尽く回避される。
「なんて操舵手だ…」
「高熱源体…速い、モビルアーマー!来ます!」
「なんだと!?」
数機が第22巡洋戦隊へと接近する。その機体は”RGZ-91リ・ガズィ”、バックウェポンシステム(BWS)と呼ばれる追加装備を付けたモビルスーツであった。そしてそれらが機種のメガ・ビーム・キャノンを放った。
「ラー・ムート轟沈!!」
「ジェガン部隊押されてます!」
第22巡洋戦隊の“RGM-89ジェガンA型”が1機、2機とビーム・キャノンによる遠距離射撃で撃墜されていく。
「…そんなバカな…」
第22巡洋戦隊司令官のバミュエル・ヨーク大佐は狼狽していた…そして、そんな彼はアイリッシュ級からの砲撃により蒸発させられた。レナウンCICではその報告がなされていた。
「ラー・ペアル、撃沈されました!」
「くっ!ダメだったか…!」
一方、量産型νガンダムとリゼルの戦いは量産型νガンダムが有利に進めており、その決着がつこうとしていた。
「片脚が…出力低下!それに操られた機体はどうすれば…!」
「ハハハ!もうおしまいだ…!」
左脚まで失ったリゼルへビーム・ライフルを向けた。
「まだ…!」
リゼルはバルカンを撃つもそれは装甲に阻まれてしまう。
「無駄な足掻きを…何?」
量産型νガンダムとリゼルの間をビームの奔流が駆け抜ける。
「増援か!戦力の逐次投入…愚かな」
「間に合った…!」
それは”MSZ-006C1ゼータプラスC1型”のビーム・スマートガンによる射撃だ。そしてそれを撃ったのは霧島アリス少尉の駆る機体であった。
「オリベ戦闘中隊へ!あとは我々714部隊にお任せを!」
「ったく、霧島少尉め先行しおって」
アリスの機体に続いて僚機のネヴィル・カニンガム少佐のゼータプラスが、また夏野エミ中尉と久保ニイナ中尉の”RGM-178N1ジム・カスタムMk-II”も駆けつける。
「アリス、私達が前に出るから援護をよろしく」
「行きますよー!」
「モビルアーマー2、モビルスーツ2…か」
エミはビーム・ライフルを量産型νガンダムに撃つも、それをすんでのところで躱される。
「やる…やはりこいつは…」
「速い…あのリゼルは…」
ニイナ機はリゼルb装備からのメガ・ビーム・ランチャーを躱す。そこに大破したリゼルからの通信が入る。
「アレは操られてるんだ!なんとか…助けてやってくれ!」
「…そんな技術があるなんてね」
「わ、わかりました!」
エミとニイナは一度量産型νガンダムから離れてリゼルの相手へと向かった。
「私を前に隙を…モビルアーマーか!」
「やらせんよ」
ネヴィルのゼータプラスが大腿部ビーム・カノンで量産型νガンダムを牽制する。さらにアリスのゼータプラスがビーム・スマートガンを撃つ。
「…あんな小型のモビルアーマーに戦艦級のメガ粒子砲を持たせる…か!」
「ニイナは下から、私は上からやるよ」
「はい!」
エミとニイナはビーム・サーベルを抜き操られたリゼルに対して上下から接近する。リゼルはエミ機の迎撃を優先したようでメガ・ビーム・ランチャーを放つ。
「この隙に…!くっ!」
リゼルはメガ粒子砲を持つバインダーを回転させ、ニイナ機へビームを放つ。ニイナ機はシールドでそれを防ぐ。
「だけど、もらったよ」
エミ機がその隙に接近、2丁のメガ・ビーム・ランチャーを切断する。さらに続いて両脚を切断した。リゼルはゼータガンダムの系譜に連なる機体であり、脚部にメインジェネレーターを備えている。そのためそれを潰されたリゼルは出力を維持できずに停止した。
「駒がやられたか…!こいつら…!」
量産型νガンダムはビーム・ライフルで2機のゼータプラスを牽制する。
「速いな!先のリゼルと言うやつほどではないが…!」
「当たる…か!」
ネヴィルは機体をMS形態に変形させ、大腿部ビーム・カノンで反撃をする。
「こいつも変形機か!…アレは…ガン、ダムだと!!?」
量産型νガンダムの動きが一瞬ぎこちなくなる。その隙にアリス機の大腿部ビーム・カノンが迫りくる。
「ぐっ!…ガンダムがジオンの味方など…!」
大腿部ビーム・カノンは命中こそすれど致命打にはなり得なかった。
「ビームの直撃を耐えた…!?」
「増加装甲だろう!このまま落とすぞ!」
アリスは驚くもネヴィルはそれに構わずビーム・ライフルを撃つ。さらに量産型νガンダムは被弾し体勢を崩すが…
「この裏切り者どもがぁ!ファングゥ!!」
「何だ!…ファンネルか!」
量産型νガンダムが体勢を立て直しながらフィン・ファンネルを射出、ネヴィルの機体を包囲する。
「これ、くらい!」
ネヴィルはその射撃を躱しながら頭部バルカンでファンネルを迎撃するが、その射撃は避けられる。
「速い!これがホントのファンネルか!」
「ネヴィル少佐、私達も」
エミが接近しながらビーム・ライフルで量産型νガンダムを攻撃する。そしてビーム・サーベルを構えた。
「ジム・カスタムか!」
「はあぁぁ…!」
エミ機がビーム・サーベルで量産型νガンダムに斬りかかるが、それはファンネルバリアで防がれる。
「流石だ…エイレンの先輩なだけはある…!」
「私に近づくか…!」
「…ヨハンナ・ミュラー…!」
そう。この量産型νガンダムのパイロットは、地球正教会のリーダーであるヨハンナ・ミュラー元少佐であったのだ。エミは一旦離れて近距離で頭部バルカンを撃つ。それは装甲に阻まれるものの、ヨハンナには不快感を与える。また、その増加装甲も徐々に溶ける、欠けるなどの損傷が激しくなっていた。
「ぐっ…この私が…!」
さらにアリス、ネヴィルの援護射撃を被弾する。
「ジオンを罰す!私が負けるものかぁ!!」
「何…?」
量産型νガンダムの増加装甲がパージされると、それぞれがエミに向かって飛翔していく。そして、ヨハンナの機体は増加装甲が剥がれて白い機体となった。またそのコックピット、関節周辺が赤く光り始める。
「装甲が…!?」
増加装甲はエミ機が弾いたものの、それらは再びエミ機へ向けて飛翔する。
「エミさん!」
ニイナがバズーカの散弾でそれら装甲を迎撃、破壊していく。
「こいつ、一体何を積んで…!」
「何です!?赤く光って…」
「良い的じゃあないか!」
ネヴィルは動じずに大腿部ビーム・カノンを撃つが、それを撃たれるのが分かってたかのようにヨハンナ機は回避していく。
「ハハハ…やれる!…この機体なら…!」
ヨハンナの機体のコンソールには”NT-D”と表示されていた…
続く