機動戦士ガンダム714部隊    作:くぼさん少佐

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第22話

 UC0099年11月、反ジオン過激派”地球正教会”のジオン共和国侵攻へ対して地球連邦=ジオン共和国連合艦隊はその阻止へとあたっていた。

 ”レナウン”戦闘指揮所(CIC)ではその戦況が続々と報告されていた。

「地球正教会のアレキサンドリアをオリベ戦闘中隊2群が撃沈した模様!」

「プリースト1、6。ウィザード3、5。それぞれ量産型νガンダムと交戦中…苦戦してるようです。どうしましょう?」

それに対して714部隊司令官白根ハルナ准将は答える。

「これ以上の戦力投入は難しい。無理と伝えろ」

「はっ!」

「アイリッシュ級!マゼラン改級!こちらへ来ます!」

レナウン艦長のエイレン・ユーリ大佐が命令を出す。

「来るか…メガ粒子砲!撃ちー方ーはじめー!」

有効射程外ながらもメガ粒子砲でアイリッシュ級を牽制する。

「リ・ガズィ!バーザム改!来ます!」

「残りのゼータプラス隊とジム隊で迎撃!できるかしら?」

「もちろんです!」

リ・ガズィの1機がメガ・ビーム・キャノンをレナウンに向ける…が。

「やらせるか!」

“MSZ-006C1ゼータプラスC1型”が迎撃。バックウェポンシステム(BWS)を破壊する。リ・ガズィはBWSを用いて巡航形態へと変形する半可変機であった。そしてゼータプラスがMS形態に変形し大腿部ビーム・カノンで牽制する。リ・ガズィはこれを躱してビーム・ライフルで反撃するが…

「当たるかよ!」

ゼータプラスはウェイブライダー(WR)形態へと変形、それを回避した。そしてリ・ガズィの背後に回り込んだあと、再びMS形態に変形、ビーム・ライフルでリ・ガズィを貫いた。

「はっ!このクソゴミ兵器が!ゼータプラスを舐めんじゃねぇ!!」

714部隊本隊とアイリッシュ級部隊の戦いは互角に進んでいった…

 夏野エミ中尉は自らの駆る”RGM-178N1ジム・カスタムMk-II”にビーム・サーベルを構えさせ、ヨハンナ・ミュラーの駆る量産型νガンダムへ突進させる。

「甘いわ!」

ヨハンナはそれがわかってたのか悠々と躱していく。

「…さっきまでよりも動きが軽い…!」

「増加装甲を脱いだからって…!」

久保ニイナ中尉はビーム・ライフルをヨハンナへ撃つがそれも躱される。

「何かおかしいぞ」

ゼータプラスを駆るネヴィル・カニンガム少佐はヨハンナの機動に違和感を覚えていた。

「ですね、カニンガム少佐…」

ネヴィルの僚機の霧島アリス少尉もそれに気づき始めていた。

「相手はこちらの動きを”先読み”している…そうとしか思えない」

「ですね、射撃だけじゃなくエミ中尉の格闘もあんな簡単に…」

そう、相手は先読みをしているかの如く、次々と攻撃を躱してすり抜けているのだった。

「だろうな…エミ君!ニイナ君!相手は先読みしている!それを考慮しないと無理だ!」

「何ですって…ニュータイプのなんらかのシステムだったか…」

「確かにファンネルを使ってましたから…ね!」

エミがヨハンナから距離を取る。

「ハハハ!私は…やれる…!」

ヨハンナは高揚感を感じていた。そして、一度エミ達から距離を取る。

「一番ヤバいのは…あいつかぁ!!」

ヨハンナの量産型νガンダムはジグザグに、しかし高速で移動しながら…アリスのゼータプラスに向かっていった。アリスの迎撃は躱される。

「当たらない…!」

「やらせるか!」

ネヴィルが大腿部ビーム・カノンの低出力射撃でヨハンナの動きを牽制する。その射撃は予想経路に当てはまっており、ヨハンナの動きを尽く妨害していた。

「こいつぅ!」

ヨハンナは怒り、ネヴィルの機体へと接近する。しかしネヴィルは機体WR形態に変形させて距離を取る。

「…今だ!撃て!」

エミ機のビーム・ライフル、ニイナ機のビーム・ライフルとバズーカ、アリス機のビーム・スマートガンを一斉に撃つ。それがヨハンナ機へ襲い掛かり爆炎が辺りを包み込んだ。

「ぐあぁぁ!!!」

ヨハンナはその攻撃に叫びをあげる。

「当たれ!」

そしてMS形態に変形したネヴィル機が大腿部ビーム・カノンで追撃を加えた。

「トドメは俺が決める」

「「「了解」」」

ネヴィル機がビーム・ライフルからロング・ビーム・サーベルを形成し煙の中へ接近する。

「何!?」

しかし、突如として無数の破片のようなものがネヴィル機へ襲いかかった。それはヨハンナの量産型νガンダムがつけていた増加装甲であった。そして、煙の中から量産型νガンダムが飛び上がる。

「まだ動くか!」

「さっきのは…一番やったのはコイツかぁ!!」

ニイナ機へと迫っていた。それも圧倒的な直線機動にて。

「そんな機動!」

ニイナ機はビーム・ライフルでそれを迎撃するが、ビームをヒート・ロッドで切り払われてしまう。

「え…!?」

そして、ニイナ機の胴部へとヒート・ロッドが振り払われ…その胴部を切り裂いた。エミはそれを見て叫びを上げる。

「ニイナ!!!」

「…エミ、さ…ん…」

ニイナ機が爆発した。イジェクション・ポッドの射出はなかった。久保ニイナの21年の人生はここで潰えたのであった。

「…」

「ウソ…ニイナ…さん…??」

「クソ!ニイナ君が!バカな!」

3人はその事実を受け止め切れなかった。しかし、ヨハンナの攻撃は止まらない。

「次は!!ファング!!」

「…くっ!」

ヨハンナ機がフィン・ファンネルを射出、エミ機を包囲する。エミはその射撃を躱すがその動きにいつもの冷静さはなかった。

「エミ君!」

ネヴィルの援護でファンネルは下がったものの、エミへの追撃は終わらない。そして、エミはビーム・サーベルを再度抜いてヨハンナ機へ接近し斬りかかる。

「…なんで!こんな戦いを仕掛けた!!」

「接触回線だと?…ジオンを滅ぼすためだ!」

ヨハンナはその問に答える。そしてその答えは地球正教会の宣戦布告理由と一致していた。

「どうしてあなたをそうさせる!!」

「…一年戦争も禄に知らない若者がぁ!」

ヨハンナはヒート・ロッドでエミ機のシールドの上半分を斬り裂く。

「…だから!こんな戦いでジオンの若者を殺してはいけない!」

「ジオンはそう変わらんさ!そういう種なんだ!」

ヨハンナがエミ機を蹴りを加えるが、エミ機は離れない。

「がっ!!でも…!!」

「…その声…いや、心は…あの時の子供じゃないか!君こそジオンに穢されたじゃあないか!」

エミが15年以上前にジオン残党に拉致、暴行を受けたことを知られたのに驚いた。その隙にシールドを完全に破壊される。

「!?なんで…知って…そうか、あの時に居たんか…!」

「そうさ!君みたいな人間を増やさないために戦ってるのだ!私は!!」

「だからって…もう憎しみの連鎖は止めに…!」

エミは臆せずにビーム・サーベルをもう一本抜き斬りかかる。

「ちぃ!わからない奴だな!!…私には妹と弟がいた!」

「何…!まさか…!?」

「2人とも穢された末!殺された!!」

ヨハンナ機は近距離ながらファンネルを展開する。

「カール…私の夫はな!ジオンの捕虜になって嬲り殺しにされた!南極条約を無視してだ!」

「でも!」

「お前もジオンを憎んでるくせに!!私を止めるなっ!!!」

ヨハンナ機のファンネルの一斉射に、エミ機は左脚を被弾する。

「ちっ!」

「私は…もう違う!ヨミを…守るために!!」

エミ機がビーム・サーベルでヨハンナ機の左肩装甲、左側ブレードアンテナを斬り裂いた。

「ぐわあぁぁ!!なんだ!痛み…が!!貴様ぁ!!!」

「きゃっ!」

ヨハンナは怒りに任せてヒート・ロッドを振るい、エミ機の左腕部を切断した。そして、次はコックピットを…

「…させません!」

「なにい!」 

ビームの奔流がヨハンナとエミの間を駆け抜ける。それはニイナの死というショックから立ち直った、アリス機のビーム・スマートガンであった。

「あとは私とカニンガム少佐がやります!エミ中尉は下がって!」

「エミ君!もう君は限界だ!」

「…了解…くっ…!」

エミが後退しようとするのをアリスが援護、そしてネヴィルがヨハンナへと斬りかかる。またヨハンナの動きは冷静さをかいており、その斬撃でビーム・ライフルを切断された。

「ちぃ!!」

(エミ君にやられてからヤツの動きがおかしいな…)

ネヴィルは追撃として頭部バルカンを撃つが、これは装甲に阻まれるものの有効打のようにネヴィルは思えた。なぜなら…

「痛、い…!なんだ…!?」

ヨハンナは謎の痛覚に苦しんでいた。

「奴はよくわからんが痛みを感じるようだ!」

「え?…だからなんなんです!?」

アリスはネヴィルの寝ぼけたような発言に困惑する。

「デブリでもなんでもいい!ぶつければダメージになるかもしれん!」

「…はい!」

アリス機は大腿部ビーム・カノンで攻撃、これは外れるも近くのデブリに命中、その破片がヨハンナ機を襲う。

「ぐ、あぁ…」

ヨハンナは明らかに弱っていた。そこにネヴィルが接近する。

「今度こそやらせてもらう!」

大腿部ビーム・カノンでネヴィルは狙うが…

「この、程度の痛みぃ!!」

「何!?」

ヨハンナ機がヒート・ロッドでネヴィル機の右腕を切断する。

「私は!ジオンを滅ぼすまではぁ!!!」

「くっ!すまない…!」

さらに大腿部ビーム・カノンをヒート・ロッドで切断され蹴り飛ばされる。ネヴィル機は駆動系を破損したのかスペース・デブリに擱座してしまう。

「あとはお前だっ!!」

アリスに対してヨハンナがフィン・ファンネルを射出しながら接近する。

「…嫌!嫌…!」

アリスは恐怖に対してのあらゆる生理的現象に襲われる。しかし…

(…よく見て、アリスちゃん)

「え…?」

アリスは幻聴らしきものを聞いた。

(あの人は憎しみに囚われてばかり…きっとあなたならそれは見切れるはず…だから)

「…そん、な…!」

幻聴に対して疑問を持つアリス。だが、アリスには確かにヒート・ロッドとファンネルの軌道が視えていた。

「…うぅっ!」

「何!?」

ファンネルとヒート・ロッドの猛攻をアリスはすり抜けるように躱した。

「はぁ!」

ビーム・スマートガンをそのまま一射放つと、これはファンネルを数機破壊した。

「奴めぇ!!」

「視える…なんで…!?」

アリスはファンネルの軌道を見切ったことに自分で驚く。

(…きっと…アリスちゃんがニュータイプだからだよ…それじゃ、私は…逝くね)

「…ニイナさん!?…待って…!」

アリスは幻聴の主がニイナであることに気づいた。しかし、彼女は待ってくれなかった…

「ニイナ…さん…!」

「このぉ…このぉぉっ!!」

アリスの感傷を消し去るようにヨハンナの猛攻は続く。

「きゃっ!」

ヨハンナがアリスに対してヒート・ロッドを振るう。アリスはそれをビーム・サーベルで受け止める。

「何故だ!何故!!私は動きを読んでるはずなのに!!」

ヨハンナはさらに蹴りを加えてアリスを激しく吹き飛ばす。アリス機は思い切りデブリへと叩きつけられ、アリスは血反吐を吐く。

「がぁっ!?…でもっ!」

「はあぁぁっ!!」

ヨハンナがアリスに接近する。だがアリス機はここで長大なビーム・スマートガンの砲身で殴りつけた。

「ごぉあぁぁあぁぁぁ!!!」

「このっ!」

アリス機はそのままビーム・スマートガンを撃つが、これはすんでのところで躱される。

「っぅ!!死ねぇ!!!」

ヨハンナがファンネルをアリス機に放つ。直撃コースであった。

「…いやっ!」

アリスはビーム・スマートガンを盾にしてそれをなんとか防いだ。そして、大腿部ビーム・カノンでファンネルを撃墜する。

「まだまだぁ!!」

「…視えてます!」

さらにファンネルが襲いかかるが、それを頭部バルカンで撃墜する。

「ちぃ!!」

「視え…っ!」

ヨハンナは怒りに任せて接近するが、アリスは先の痛みで動きが緩慢であった。そして左手でゼータプラスの顔を掴み、右手で左腿のビーム・カノンを掴みそれを引き千切る。

「死ね!死ねぇ!!」

「きゃぁっ!!」

そしてビーム・カノンでゼータプラスを殴りつける。ゼータプラスの堅牢なガンダリウムγコンポジットの装甲はそれに耐えるものの、アリスは恐怖を覚えていた。アリスは迎撃のため頭部バルカンと右腿のビーム・カノンを放つ。

「そんな!もの!!」

ヨハンナ機の左腕をビームが掠める。しかし有効打にはならず、むしろ引き千切ったビーム・カノンを叩きつけられる。そして、破損した右腿のビーム・カノンは自動的にムーバブル・フレームから排除された。

「カノンが!でも!」

アリスは痛みから回復するとともに、ヨハンナの機体を掴んで投げ飛ばす。

「バルカン…だけ…でも!」

アリスはバルカンだけでヨハンナに果敢に挑んだ。

「そんなドアノッカーがっ!」

ヨハンナ機はそれに耐えてアリスへヒート・ロッドを振るう。アリスはそれを躱すもバルカンの弾も切れ反撃できずにいた。

「何か…ないの!?」

「終わりだな!ガンダム!!!」

しかし、そこに通信が入る。

「コレを使え!ゼータ!」

それは大破したオリベ戦闘中隊のリゼルのものであった。そして、大破したリゼルが大型の筒をアリスへと投げる。

「は、はい!」

アリスはそれを掴んだ。その正体はハイパー・ビーム・サーベル。通常の50パーセント増の高出力ビーム刃を形成し、ひと振りで複数の敵MSを両断できるともされる。そしてアリス機はそれを両手で握る。まるで剣道をするかのように。

「これで決めます!!」

「舐めるなぁ!!!」

ヨハンナがヒート・ロッドを振るいながら接近する。しかし、アリス機はそれを見切る。そして…

「はあぁぁぁ!!」

アリスはハイパー・ビーム・サーベルをヨハンナ機の喉元に当たる装甲に対して突き立てた。それはヨハンナ機の機能を停止させるには十分なものであった。

「…ニュー…タイプ…か…」

「はぁ…は、ぁ…やっ…た…」

アリス機はハイパー・ビーム・サーベルをヨハンナ機から抜く。

「…復讐は…終わらされた…か」

その後、ヨハンナは投降した。そして残存する地球正教会艦隊は撤退した。

 

 レナウン格納庫にて、アリスは機体から降りる。

「アリス、お疲れ様」

エミがふわりとやってきた。

「…エミ中尉」

「よくやったよ、アリス」

「でも…私、ニイナさんを…守れませんでした…!!」

アリスは堪えていた涙を流す。戦友が初めて戦死したのだ。それは若いアリスにとっては非常に辛いことだった。

「…うん、ニイナのために泣いてあげて、アリス」

「うわ、ぁぁ…!」

少し経ちアリスが泣き止むとエイレンとハルナが近づいてきた。まずエイレンが口を開く。

「ありがとう。アリス少尉」

「ユーリ…艦長…?」

続いてハルナが口を開いた。

「君のおかげでサイド3の若者の命は救われた…誇っていいぞ」

「…私が…子どもたちを…?」

「ああ。ミュラーを失ったからこそ奴らはサイド3侵攻を諦めた」

「ヨハンナ先輩の暴れ具合と艦隊戦力の組み合わせからして、後詰めの共和国軍では抑えきれなかっただろう…と戦況を見たハーコート大佐も言っていたわ」

エミもそれを聞きそうだったろうと頷く。

「私が…ありがとうございます!」

「ふふ、私もアリスに借りができたかな…それじゃ、シャワー行こっか」 

そうしてエミとアリスはシャワールームへ向かっていった…

 

 

 

 

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