UC0101年1月1日、地球連邦軍714部隊はサイド5イズマコロニーに入港していた。
「半舷上陸ってホントですか!?」
「そうよ、ディアナちゃん」
714部隊旗艦”レナウン”の通路で、ディアナ・マルセイユ少尉は霧島アリス中尉にそう聞くと嬉しそうに跳ねる。
「やった!一緒に出かけませんか?アリス先輩!」
「えぇ…うん、いいけど…」
アリスが少し間が悪そうにする。
「けど…なんですかぁ?」
「エミ大尉も一緒に…いいかな…?」
「むぅ…なんでエミ…先輩も?」
ディアナはほおを膨らませ目を細めて、機嫌が明らかに悪化した。そしてアリスにはドス黒い空気を感じとらせる。
「いや、単純にエミ大尉と一緒に居たいし…その…」
「ぐぬぬ…」
ディアナは尚も機嫌が悪そうだった。
「…貴方と二人きりはちょっとこわいかなって…」
「そんな!あたしみたいな幼気な後輩を…!」
「どこがだよ」
そう言って現れたのは夏野エミ大尉だった。彼女は少し困惑したような顔をディアナに向けている。
「エミ大尉!」
「…エミ先輩?どこから…」
「いや多分最初から。出てこようにもマルセイユ少尉の圧のようなものを感じたから…でも幼気とか言ってたからついツッコミたくなって」
ディアナはそれについ反論する。
「だから!あたしのどこが幼気じゃ…」
「そのどす黒い雰囲気じゃ…?」
「誰!?…ってアンデルソンかぁ…ちょっと…」
リデル・アンデルソン少尉が現れると共にディアナに失礼なことを言い放った。流石にこれにはエミやアリスも困惑してしまう。
「リデル少尉、流石に…」
「リデル君…??」
そしてディアナは…
「先輩…ではないか、とはいえ年上のお姉さんにそんなこと言っちゃダメでしょ?アンデルソン君さぁ」
リデルの肩を掴みながら笑っていた。しかし目は…
「笑ってない、キレてるね…ありゃ」
「あーあ…もうどうにでもなれ…」
リデルはそんなディアナに臆せずに続ける。
「ディアナはそんなんじゃアリスからは怖がられるだけ。だからそこを直さないと…」
「くぅ…!わかったわよ!直せばいいんしでしょーだ!」
ディアナはそう言いながら不機嫌に去っていった…そしてリデルはエミに微笑む。
「お姉ちゃん、ディアナをやっつけた。褒めて」
「はぁ~」
エミはそれに頭を抱えた。
「どうして?お姉ちゃん?」
「…リデルにもディアナ少尉と仲良くしてもらいたいからだよ」
エミが不思議がるリデルに優しくそう伝える。
「僕…ディアナは嫌いじゃない」
「なら良かった。それじゃ、謝りに行こっか」
エミが優しくリデルに微笑む。
「…うん、お姉ちゃん」
「はは。お姉ちゃんじゃないよ。私は」
エミはまんざらでもなさげに笑う。
「…エミ大尉、少しリデル君に甘くなりました?」
「そうかもね…ふふ」
そうしてエミとリデルはディアナを追っていった…
ディアナは自室で悔しそうに泣いていた。それは自身の情けなさに向けられたものだった。
「…あたしだって直したいよ!こんな嫉妬深い性格…!」
そんなディアナの部屋のインターホンが鳴る。
「…誰?」
モニターを見るとそこにはエミとリデルが立っていた。ディアナはドアのロックを解除した。エミがまず部屋に入ってくる。
「さっきはごめんね、つい」
「…事実でしょうね、あたしはこんな性格ですし…」
ディアナは暗い声でそう返す。
「でも…あなたはアリスの大事なパートナー。それでも私は友達でありたいかな」
「友…達…?」
エミの言葉にディアナが顔を上げる。今度はリデルが口を開く。
「ディアナ…さっきはごめん、お姉ちゃんと喧嘩してたからつい…でも僕はディアナのことが好き、友達で居たい。だから今日一緒に遊ぼ?」
リデルがディアナに手を伸ばす。
「…わかりましたよ、エミ先輩、アンデルソン…それに、あたし、なんとか変わってみせようかな」
「その意気だね。マルセイユ少尉」
少し経つと、エミ、アリス、ディアナ、リデルがイズマコロニーの地へと降り立つ。
「サイド5のコロニー…何気に戦闘以外では初めて降りたかも」
「アリス先輩そうなんですか?サイド5もいいところですよ〜」
ディアナがそう言いアリスの腕に抱きつく。
「エミ先輩はエゥーゴに居たからどーなんです?」
「私はエゥーゴ時代に来たりしたことがあったかな」
「ほほぉ。エミ先輩は色々行ってるんですね」
リデルが辺りを見渡したあと口を開く。
「僕、コロニー降りたの初めて」
「へぇ〜。アンデルソンは初めてなんだ」
「…だから楽しみ」
それを聞いたディアナは楽しそうに返事をする。
「ふーむふむふむ。このディアナお姉さんが案内して進ぜよう…!」
そして4人はイズマを歩き始めた。
「にしても日本語の看板が多いね、このコロニーは」
「ここは日系の人が多く移住してきたコロニーですからね〜」
エミの言葉にディアナが得意げに答える。そしてアリスが次に疑問に思うことを口走る。
「…となると、もしかして…?やっぱり!」
アリスの見た先には和服を着た男女が歩いていた。
「和服!せっかくだし着てみないかな、ディアナちゃん!」
「おお…!いいですね!アリス先輩!エミ先輩もアンデルソンもどうかな?」
ディアナが目を輝かせる。
「私もいいと思うよ」
「…お姉ちゃんが良いなら僕も」
4人はレンタル和服店を探しに向かった。そして…
「久々に着るね」
「ですね…ヨミと着たのを思い出します!」
「うぅ…胸がキツい」
「ディアナ大丈夫?」
4人は和服をそれぞれ着ている。
「マルセイユ少尉は大丈夫?」
エミがそう聞くとディアナは…
「…だ、大丈夫…です…!」
「…はは。(私よりも大きいからね)」
アリスはディアナの胸をじっと見つめる。そしてリデルは袖をブンブンと振っていた。
「こんな服もあるんだね。お姉ちゃん」
「うん、私の生まれた日本の服だよ、リデル少尉」
「へぇ…お姉ちゃん、きれい」
「ふふ。ありがとね…リデル少尉もかっこいいよ」
「かっこいい…ありがとう!お姉ちゃん!」
アリスが何かを思いつく。
「そうだ!エミ大尉!一緒に写真撮りましょう!」
「そうだね。それもいいね」
そうして4人は記念写真を撮ったあと、イズマでの観光に向かった。ある地区にて…
「饅頭か…行ってみよっか」
和菓子屋に入店しそれぞれお菓子を買う。
「お姉ちゃん、まんじゅーって?」
「これ。柔らかそうなお菓子でしょ?戻ったら一緒に食べてみるかな?」
エミがリデルに優しく話しかける。
「…うん!」
レナウンに戻ったエミはリデルの部屋に向かう。
「リデル少尉、入るよ」
エミがリデルの部屋に入ると、リデルは部屋に置かれた情報端末で動画を見ていたようだった。
「お姉ちゃん、いらっしゃい」
「だから大尉でしょ。はは」
エミはまんざらでもなさげに笑ったあと、リデルに饅頭を渡す。
「はい、饅頭だよ」
「これが…いただきます」
「いただきます」
二人して饅頭を食べ始める。そして…
「おいしい…お姉ちゃん、ありがとう」
「ん?私に?」
エミが不思議そうにリデルを見る。
「お姉ちゃんがこうして思い出作ってくれたから…」
「そういうことね。あとでアリスやマルセイユ少尉にもお礼参りに行こう?」
「うん!お姉ちゃん…!」
リデルは満面の笑みをエミへと向ける。
「ふふ、かわいいね…」
「ん…僕が?」
「そう…リデル少尉がだよ」
エミが優しくリデルに言う。
「さっきは何見てたの?」
リデルは少し恥ずかしそうに答える。
「犬の動画、元気にしててかわいい」
「そう…ワンちゃんか。そういう所もリデル少尉のいいところかもね」
「むぅー、なんかバカにしてる気がする」
「してないよ、かわいいことを男の子が興味持っちゃいけないなんてことはないからね」
優しくエミがリデル少尉の頬を撫でる。
「かわいいこと…お姉ちゃんに興味を持つことは…?」
「…ふふ。それはどうだろうね」
エミは妖しげに微笑んだ。そしてリデルの頭を抱く。
「ん…お姉ちゃん、暖かい…それじゃ続き食べよ?」
「そうだね、リデル少尉」
二人は饅頭を食べるのを楽しんだ…
続く