アイドルオーディションに異常性欲者がきた 作:あるふぁせんとーり
「あの……何をやっているんですか?」
「あ、えっと……家に使ってない車椅子があったので、アヤセさんにあげたんです」
「しかも電動。わざわざ回すという鬱陶しい動作も必要ない。はっきり言ってものすごく助かる」
「あの……外では乗らないでくださいね?」
「ふふっ、今の私はとても機嫌がいい。お前のその著しく非効率的な願望を聞いてやらんこともない」
「ぜひお願いします。車椅子でステージは、厳しいので」
「えっと……ところで、今日はマネージャーさんはなんのお仕事ですか? 手伝えることあったら、やるので」
「あー、今日は上からの書類を片付けるだけなので。それにしても……リンさん、毎日いませんか? いえ、それが普通なんですが」
「それは……私、去年まで高校生で、本来だったら、今大学生で……毎日なんかしないと、罪悪感が……」
「あー……」
「あの、だから本当に感謝してるんです。私、ネガハピ受かって、やっとご飯の時も両親の顔見れるようになって……」
「それは……はい、よかったです。いや、それにしたって他の皆さんがあまり来てないというのはあるんですが……」
「はあ……リン、説明してやれ」
「あ、はい。えっと、まずユウヒさんは多分毎日来てるんですけど、走りにとか、行ってます。今日は箱根まで」
「1人で駅伝してるんですか……?」
「で、セナさんは……今日はパチンコですかね。駅前に“新台”みたいなのぼり出てたと思います。ハナコさんから20万借りてました」
「メンバー間での金銭トラブルはちょっと……」
「いえ、ハナコさん曰く「返済の必要はない」みたいらしくて……」
「それ寄付じゃないですか」
「寄付だと思います。……あ、で、ハナコさんは、普通に大学です。今日はフィールドワーク?みたいなこと言ってました」
「ああ、ありますね、そういう授業」
「はい。どの山を買うのが良いか、って相談されました」
「もうハナコさんにはツッコみません」
「で、マナカさんは例のアルバイトです。今日は……えっと……ロックフェラー?みたいな人と」
「ああアメリカの……」
「で、クロエさんは……あ、家でゴロゴロするって言ってました。アマプラで国宝見るそうです。吉沢亮の」
「……ちょっと待ってください、僕病欠って聞いてるんですが……?」
「え、国宝見るって言ってましたよ。ですよね、アヤセさん」
「ああ。LINEで言ってた」
「マジかぁ……」
「あ、それで、私も、このあとちょっと用事があるので……」
「はい。ちなみに何の用事ですか?」
「あ、えっと……その……あんまり、言いたくない感じのやつで……」
「あー……なら止めときますね」
「キャバクラだ」
「あ」
「はい?」
「こいつは今からキャバクラでセクハラされに行く」