本作は、宇宙探査の末に月で孤立してしまった宇宙飛行士と、月にひとり生きる少女を描いた短編小説(全5幕予定)です。
※本作品は特定のアニメ・ゲーム等の二次創作ではなく、楽曲(Pretty Patterns(Diego氏)の楽曲世界観)からインスピレーションを得て執筆したオリジナルSF作品となります。
それでは、第一幕をお楽しみいただけますと幸いです。
子供の頃から何度も思い描いてきた夢があった。
"月へ行ってみたい。"
昔から誰かといるのが苦痛で、いつもどこか遠くへ行きたいと思っていた。
そんな僕にとって月は最適な場所だった。
そして今日、そんな願いが叶う。
ロケットのシートに体を括り付けコックピットにはザラザラとした無線の音に乗ったオペレーターの声が響く
厳しい訓練を乗り越え、やっとのことで手にした月面探査及び噂されている地球外生命体の調査。
この先の僕たちが住んでいる星に住んでいる人々に新しい知識を伝えるためにこのロケットは冗談のような任務も抱えながら飛び立った。
そしておよそ八十時間の航海を経て時間が地球の外に存在している自分たちに長い時間が流れた後、ついに僕たちは月面へと足を着ける
何倍にも軽くなったような体にふと固い地が足に当たる感覚が走る。
夢がかなった瞬間だった。
A「着いた...ついに.....」
B「やったな....俺達は..ついにやったぞ..!」
C「よし、まずははしゃぐ前にやることをさっさと済ませてしまおう。」
少数精鋭での今回の探索は地質調査などの僕、エンジニア担当のB、操縦士を務めるCの3人で行われる。
そして僕は地質調査などを行うため、今回の探査をするにあたって事前にロボットによって設営された簡易的な基地へと先に足を運ぶ。
そして月面に着陸してから2時間ほどして、僕は自分の好きなギリシア神話の本や、地質探査のための道具、そしてもしものための小さい銃、生活物資の4割を運び終わったころ。
これまで感じたことのないような絶望を感じることになった。
きっかけは月を偶然通りすぎた流星群だった。
(きれいだ.....月面でここまで幻想的な現象が見れるなんて...)
そう感じた矢先に流星群の小さなかけらたちが、霧雨のように僕たちがいる地へと降った。
基地に穴が開き、無線から流れる警告音と共に目の前では音もなく砕けていくロケット
そしてその近くにはぐったりと倒れ動かなくなったBとC
A「あ....あぁ...あぁ」
数10秒が経っただろうか。
無音で崩れていった仲間とロケット、そして襲い掛かる孤独という絶望、少し前まで夢の地だった月が、生きるためのほぼすべてが消え無音になったこの果てしなく広い地が急に恐ろしく感じる。
(酸素も....残り48時間...あと二日..)
残酷にも手首のモニターにはそう書かれている。
基地は半壊、幸い食事をとるための空間は酸素が残っていたがそれでもロケットは全壊それによって酸素の供給もできなくなり食事がとれる部屋にいてもヘルメットを外していられるのはたったの1時間半、一人ぼっちとなった地で何をしていいのかわからなくなる。
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30分は経っただろうか、エンジニアでも操縦士でもなく何をしたらいいかわからなかった僕はただただ地面に座り、地球を眺めながら持ってきた神話の本を読んでいた。
その時だった....
ふと目の前に人影がみえた
A「...!!」
本を足元へ置きすぐさまその方向へと走り出す。
(BかCどちらか生きていた!?)
(こんな奇跡が..!)
(これで独りじゃ...!)
そんな思考が駆け巡る中瞳に映ったのは。
瞳に映ったのは....
A「....お、お前は..."誰"だ...」
瞳に映ったのは"少女"だった。
髪は白く抱きしめたら今にでも崩れてしまいそうな、まるで雪のように儚い少女。
ネクタイを締め、ショートパンツをはき、半袖のカッターシャツのような服に袖を通した少女。
このような空間では絶対に生きることのできない身なりをしている彼女を見た瞬間、脳裏に浮かんだのは。
(地球外生命体...本当に..)
脅威なのではないか。
一瞬流れる星のように頭によぎる。
けれど彼女は微笑えんでいる。
そう思った瞬間だった。
少女「触れてみて。」
そういうと少女は私に抱き着く。
A「?!」
スーツがないのに、音が聞こえないはずなのに、頭に声が浮かぶ。
日差しのように温かい、雪のようなのに、自分に重くのしかかった絶望という氷を優しく溶かしてくれるような声。
少女「私はね、あなたみたいに服を着なくてもしゃべれるんだよ。」
少女「なぜなら、私はあなたのような存在とはまた違った存在だから。あ、でもあなたの声は聞こえないの。声を聴かせてくれないの?私を見てはくれないの?」
この子は脅威ではない。
直感的にそう思わせ語り方。
しかし不信感はぬぐえない。
彼女と違って声が届かない自分はとっさに手にしていた端末に音声認識で文字を起こす。
A[君は...僕を食べるのか..?どうして..なぜ僕に]
聞きたいことは山ほどあるのに言葉が浮かんでこない。
そんな時少女は、その疑問に応えるように話してくれた。
少女「私は、ずっとこの星に独りでいるの。本当にとてもとてもと~っても長く果てしない時間。」
少女「あなた、帰る道がなくなってしまったんでしょ?私と同じ独りきり。」
その言葉が重く自分の胸を刺す。
思わず涙が零れそうになってしまう。
A[ぁぁ....あぁ....]
これが精いっぱいの言葉だった。
少女「ずっと、夢だったの。誰かが私と出会ってこうやって...抱きしめてあげることが。だからもう少しだけこのまま、どうか行かないで...」
そういうと少女の目から涙が漂う。
もう、いいのではないだろうか。
月に行くという夢を叶え、帰る道を失い、命が尽きるまで残り47時間と15分で。
最後の瞬間が見えているのなら、このままこの少女の願いを、一緒に居てあげるという願いに付き合ってあげてもいいのではないだろうか。
(トントン)
少女の方を軽くたたく。
少女「?」
そして決意した僕は。
A[見せたいものがあるんだ。]
少女「一緒に居てくれるの...?」
僕の瞳には、喜びに満ちた少女の顔が映っていた。
(残り47時間...まずは僕の好きな本を読ませてあげようかな。
)
そう思いながら僕は少女の手を引き、半壊した基地へと足を運ぶ。
少女「ところであなた、名前?はなんていうの?あなたには名前?っていうのがあるんでしょ?」
(この子には名前がないのか。)
A[「アレックス、だよ。」]
最後まで読んでいただきありがとうございました。
突発的に思いついて書いたので誤字脱字があるかもしれませんが、温かい目で読んでいただけるとありがたいです。
一応終わりまでは構成は考えていますが、続きを書くかはモチベ次第です。