扉が勢いよく開き、エメラルド色のローブをまとった背の高い魔女が姿を現した。黒髪をきちんとまとめ、厳格な顔つきをしている。おそらく、ホグワーツの教授なのだろう。
「マクゴナガル教授、一年生の皆さんです」
大男がそう報告した。
「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう」
大男の名前はハグリッドというらしい。
マクゴナガル教授は扉を大きく開け、一年生たちを中へ招き入れた。
玄関ホールは広く、石壁は松明の炎に照らされていた。天井はどこまでも続いているかのように高く、正面には壮大な大理石の階段が上へと伸びている。
マクゴナガル教授に続き、生徒たちは石畳のホールを横切っていった。入口の右手から、何百人もの話し声が聞こえてくる。ギルバートが言っていたとおり、上級生たちは先に大広間へ集まっているのだろう。
てっきり自分たちも大広間へ向かうのかと思っていたが、マクゴナガル教授が案内したのは、ホールの脇にある小さな部屋だった。
一年生たちはその部屋へと通され、互いに身を寄せ合うようにして立っていた。部屋は人数に対して少々狭く、あちらこちらで不安そうに周囲を見回す姿が見られる。アスターは人の輪から少し離れた隅に立ち、そんな様子を眺めていた。
「ホグワーツ入学おめでとう」
マクゴナガル教授が、一年生たちを見渡して口を開いた。
「新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席につく前に、皆さんが入る寮を決めなくてはなりません。寮の組分けは、とても大切な儀式です。ホグワーツにいる間、寮生は皆さんにとって学校での家族のようなものです。教室でも寮生と一緒に勉強し、寝るのも寮、自由時間は寮の談話室で過ごすことになります。
寮は四つあります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンです。それぞれに輝かしい歴史があり、偉大な魔女や魔法使いを輩出してきました。ホグワーツにいる間、皆さんの良い行いは自分の属する寮の得点になります。反対に、規則に違反した場合は寮の得点が減らされます。学年末には、最も得点の高かった寮に、大変名誉ある寮杯が授与されます。どの寮に入るにしても、皆さん一人一人が寮の誇りとなるよう望みます」
教授は一度言葉を切り、生徒たちの顔を見回した。
「まもなく全校生徒の前で組分けの儀式が始まります。待っている間に、できるだけ身なりを整えておきなさい」
そう言って、マクゴナガル教授は一瞬、ネビルのマントの結び目に目を向けた。結び目は左耳の下あたりまでずれている。また、フレッドやジョージと同じ燃えるような赤毛の少年の鼻先が汚れていることにも気づいたようだった。
アスターは自分のローブや髪をさっと見回し、どこかおかしなところがないか確かめた。
「学校側の準備ができたら戻ってきますから、静かに待っていてください」
マクゴナガル教授はそう言い残すと、部屋を出ていった。
「いったい、どうやって寮を決めるんだろう」
どこからか、そんな声が聞こえた。
「試験のようなものだと思う。すごく痛いってフレッドが言ってたけど、きっと冗談だ」
答えたのは、先ほど目に留まった赤毛の少年だった。フレッドの名前を口にしたということは、彼がセドリックが言っていたフレッドとジョージの弟なのだろうか。
アスターは祖父から組分けの方法を聞いていたため、試験があるのではないかと不安がっている少年たちを見ても、特に動揺することはなかった。周囲を見渡すと、ほかの生徒たちも大半が緊張しているようだった。
そのせいか、部屋の中ではあまり会話も弾んでいない。そんな中、汽車で会ったハーマイオニーだけは、どの呪文が試験に出るのだろうと、今までに覚えたと思われる呪文の名前を早口でつぶやいていた。
アスターは落ち着いた様子で、マクゴナガル教授が出ていった扉を見つめていた。
しばらくすると、突然、壁からゴーストが二十人ほど現れた。
驚いたのだろう。扉の近くにいた黒髪に眼鏡の少年が飛び上がり、そのすぐ後ろにいた生徒たちは悲鳴を上げた。
ゴーストたちは真珠のように白く、少し透き通っている。一年生にはほとんど目もくれず、互いに話をしながら、滑るように部屋を横切っていった。どうやら何かを議論しているらしい。
「もう許して忘れなされ。彼にもう一度だけチャンスを与えましょうぞ」
太った小柄な修道士のようなゴーストが言った。
「修道士さん。ピーブズには、あいつにとって十分すぎるくらいのチャンスをやったじゃないか。我々の面汚しですよ。しかも、ご存知のように、やつは本当のゴーストじゃない──おや、君たち、ここで何をしているんだい?」
ひだのある襟のついた服を着て、タイツを履いたゴーストが、そこで初めて一年生たちに気づいたようだった。
誰も答えようとしない。アスターは少し不思議に思いながらも、口を開いた。
「組分けの儀式の準備が終わるまで、ここで待つようにと言われたんです、ミスター」
よどみなく答えたアスターに、何人かの生徒が驚いたような顔を向けた。どうしてそんな反応をされるのだろう。アスターは小さく首を傾げた。
「ほう、新入生か」
太った修道士のゴーストが、微笑みながら生徒たちを見渡した。
「ハッフルパフで会えるとよいな。わしはそこの卒業生じゃからの」
修道士はそう言って、満足そうに頷いた。
「さあ、行きますよ」
厳しい声が響いた。
「組分けの儀式がまもなく始まります」
マクゴナガル教授が戻ってきたのだ。ゴーストたちは一人ずつ壁を抜け、ふわふわと部屋の外へ出ていった。
「さあ、一列になって。ついてきてください」
アスターは列の最後尾についた。
一年生たちは再び玄関ホールへ戻り、そこから二重扉を通って大広間へと入った。
大広間の光景は圧巻だった。
何千というろうそくが空中に浮かび、四つの長いテーブルを明るく照らしている。テーブルには上級生たちが着席し、金色のお皿とゴブレットがきらきらと輝いていた。広間の奥にはもう一つ長いテーブルがあり、そこには教授たちが座っている。
マクゴナガル教授は一年生たちを教授たちのテーブルの前まで引率すると、上級生たちの方を向き、教授たちに背を向ける形で一列に並ばせた。
何百という顔が、一斉に一年生たちへ向けられる。ろうそくの揺れる明かりに照らされた顔は、どれも青白いランタンのように見えた。その間には、銀色の霞のように光るゴーストたちの姿もある。
前を向いていたアスターは、ふと見知った顔を見つけた。セドリックとメーガンたちだ。知っている顔を見つけたことで、アスターの表情がぱっと明るくなる。こちらに気づいたセドリックたちも、小さく手を振ってくれていた。
「本当の空に見えるように魔法がかけられているのよ。『ホグワーツの歴史』に書いてあったわ」
ハーマイオニーの声が聞こえ、アスターは天井を見上げた。そこには、ビロードのように黒い空が広がり、無数の星が瞬いていた。どこからどう見ても、本物の夜空にしか見えない。
マクゴナガル教授が、一年生たちの前に四本足のスツールを置いた。その上には、魔法使いがかぶるような、とんがり帽子が一つ載っている。祖父が言っていた組分け帽子とは、これのことだろうか。思っていたよりもずっと古びていて、少々汚れているようにも見えた。
一瞬、大広間は水を打ったように静まり返った。
すると、帽子がぴくぴくと動き出した。つばの縁にある破れ目が、まるで口のように開き、帽子は歌い始めた。
私はきれいじゃないけれど
人は見かけによらぬもの
私をしのぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう
山高帽子は真っ黒だ
シルクハットはスラリと高い
私はホグワーツ組分け帽子
私は彼らの上をいく
君の頭に隠れたものを
組分け帽子はお見通し
かぶれば君に教えよう
君が行くべき寮の名を
グリフィンドールに行くならば
勇気ある者が住まう寮
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール
ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない
古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう
スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ
君を私の手にゆだね(私は手なんかないけれど)
だって私は考える帽子!
歌が終わると、大広間にいた全員が拍手喝采した。帽子は四つのテーブルに向かってそれぞれお辞儀をすると、再び静かになった。
アスターは帽子の歌を聞いても、やはり自分がどの寮に向いているのか、よくわからなかった。自分でもわからないことを、帽子はどうやって判断するのだろう。
マクゴナガル教授が、長い羊皮紙の巻紙を手にして前へ進み出た。
「アルファベット順に名前を呼びます。呼ばれたら帽子をかぶって椅子に座り、組分けを受けてください」
よかった。アスターのファミリーネームはLで始まる。そんなに長く待たずに済みそうだ。長い道のりを歩いてきたうえに、ずっと立ちっぱなしではさすがに疲れる。
「Abbott Hannah!」
ピンク色の頬をした、金髪のおさげの少女が、慌てた様子で前へ出てきた。帽子をかぶると、目が隠れてしまうほどだった。
少女が椅子に腰掛けると、一瞬の沈黙が流れる。
「ハッフルパフ!」
帽子が高らかに叫んだ。一番右側のテーブルから歓声と拍手が上がり、ハンナはハッフルパフのテーブルへ向かった。先ほどの太った修道士のゴーストが、嬉しそうに手を振っている。
「Bones Susan!」
帽子はまたしても「ハッフルパフ!」と叫び、スーザンは小走りでハンナの隣に座った。
「Boot Terry!」
「レイブンクロー!」
今度は左から二番目のテーブルから拍手が湧き起こり、テリーが向かうと、何人かの生徒が立ち上がって握手で迎えていた。
「Brocklehurst Mandy!」
「レイブンクロー!」
メーガンと同じファミリーネームの生徒だ。兄弟なのだろうか。けれど、顔立ちはあまり似ていないように見える。
「Brown Lavender!」
「グリフィンドール!」
一番左端のテーブルから、はじけるような歓声が上がった。フレッドとジョージが、ヒューッと口笛を吹いている。そのすぐ近くにはアンジェリーナの姿も見えた。
「Bulstrode Millicent!」
「スリザリン!」
右から二番目のテーブルからも歓声が上がった。ただ、ほかの寮に比べると少し控えめなように感じる。その一方で、拍手の音は大きく、テーブルには育ちの良さそうな生徒が多いように見えた。
その後も、組分けは次々と進んでいった。同級生の名前を覚えるよい機会だと思い、アスターは一人一人の組分けをじっと見守っていた。
組分けにかかる時間は、人によってずいぶん違うらしい。帽子をかぶっている間、帽子は何やらもぞもぞと動いているものの、寮の名前を叫ぶとき以外は沈黙している。かぶっている側は、その間どんなふうに感じているのだろう。
「Granger Hermione!」
汽車で会ったハーマイオニーの番が来たようだ。彼女は走るようにして椅子へ向かい、待ちきれないといった様子で帽子をかぶった。
彼女はどの寮になるのだろう。
「グリフィンドール!」
どうやら、汽車の中で話していた希望どおりの寮に入れたらしい。ハーマイオニーは嬉しそうにグリフィンドールのテーブルへ向かっていった。
ハーマイオニーのファミリーネームはGで始まる。そろそろ自分の番も近づいているのではないだろうか。アスターは内心で少しそわそわしながらも、平気なふりをして前を向いていた。
「Linder Astrid!」
ついに呼ばれてしまった。
アスターは小さく息を吐き、まっすぐ前を向いて椅子へ向かった。ローブの裾を整えてから腰を下ろすと、マクゴナガル教授が帽子を頭にかぶせてくれた。
「ほう……これはまた、興味深い子が来たものだ」
頭の中に、しわがれた声が響いた。
なるほど。こういう仕組みなのね。
「なるほど。随分と大切に育てられたようだね。聡明で、礼儀正しく、物事をよく見ている。自分の立場というものも、きちんと理解しているようだ」
褒められているのだろうか。アスターは黙って耳を傾けた。
「君の家は古く、由緒ある家柄だ。君もその名を誇りに思っている。家族も大切にしている。彼らの期待に応えたいという気持ちもある。なるほど……なるほど……」
帽子はしばらく考え込むように沈黙した。
「しかし、君はそれだけでは満足していないようだね」
その言葉に、アスターの胸の奥が小さく揺れた。
「与えられた役割を果たすこと。それ自体に不満があるわけではない。けれど、それだけが人生になることには抵抗がある。違うかね?」
そのとおりなのかもしれない。自分でもはっきりと言葉にしたことのない思いを読み取られていくことに、アスターは少し寒気を覚えた。
「自分の道を歩みたい。誰かに決められたものではなく、自分自身で選んだ道を」
帽子の言葉を聞きながら、アスターは胸の内にあった思いが少しずつ形になっていくのを感じていた。
「ならば、随分と簡単な話ではないか。自分の望むものを選べばよい」
それができれば苦労しない。
思わず浮かんだ言葉に、アスター自身も驚いた。
「ほう?」
私はリンデル家の人間だ。そのことに誇りを持っているし、家族のことも大切にしている。彼らが望むことを、簡単に捨ててしまえるわけがない。
「それならば、おとなしくその期待に応えていればよいだろう」
そのとおりだ。けれど、それだけの人生は嫌だ。心の中でそう答えたとき、思っていたよりもずっとはっきりとした響きがあった。
家族が望む私と、私自身がなりたい私。そのどちらかを選ばなければならないなんて、思いたくない。
「随分と欲張りだ。両方を望むということは、どちらも手に入らないかもしれないということだよ。それでもかね?」
すぐには答えられなかった。怖くないと言えば嘘になる。今まで歩いてきた道の先には、見慣れた景色がある。そこには家族がいて、私の居場所がある。けれど、その先に何があるのかを、私はまだ知らない。
知らない道を進むことは怖い。自分の選択が間違っていたらと思うと、足がすくむ。それでも、どちらも諦めたくなかった。どちらかを選ぶのではなく、どちらも大切にできる方法を探したい。誰かに決めてもらうのではなく、自分自身で。
「なるほど。君はまだ、自分がどこへ向かうべきなのかもわかっていないようだ。それでも、進みたいと?」
そのとおりだった。帽子は再び沈黙した。
「レイブンクローも悪くない。君には知性がある。物事を深く考え、答えを探すことを厭わない。スリザリンにも素質があるね。野心があり、自分の立場を理解し、それをどう生かすべきかも考えられる」
そこで、帽子の声が少しばかり愉快そうになった。
「だが、君が本当に必要としているものは、少し違うようだ」
いったい何だというのだろう。
「勇気だよ」
その言葉に、アスターは息を呑んだ。
「君は賢い。自分が何を望み、何を恐れているのかも、心のどこかではわかっている。けれど、望むものを手に入れるために、何かを失うかもしれないという恐れが、君の足を止めている」
帽子の声が静かに続く。
「恐れることは悪いことではない。大切なものがあるからこそ、人は失うことを恐れるのだからね。だが、忘れてはいけないよ。自分の人生を選ぶことと、大切なものを捨てることは、必ずしも同じではない」
その言葉が、胸の奥へと静かに落ちていく。
「君がこれから何を選び、何を守り、何を手放すことになるのか。それは私にもわからない。けれど、君ならばきっと、自分の答えを探し続けるだろう」
そして、帽子は最後にこう告げた。
「さあ、自分の足で歩いていくといい。君には、そのための勇気が必要だ」
「グリフィンドール!」
帽子が広間全体に向かって高らかに叫んだ。
いつの間にか閉じていた目を開けると、マクゴナガル教授が心配そうにこちらを見ていた。どうしたのだろう。
そんなことを考えているうちに、グリフィンドールのテーブルから歓声が上がった。どうやら歓迎されているらしい。よかった。
マクゴナガル教授は帽子を取り、アスターに向かって優しく微笑んだ。
「おいきなさい」
アスターは小さく頷き、椅子から降りた。思っていたよりも緊張するものだな、と考えながらグリフィンドールのテーブルへ向かう。すると、向こうの方でアンジェリーナが通路に身を乗り出し、笑顔で手招きをしていた。
その姿を見た途端、張り詰めていた気持ちがふっと和らいだ。アスターはぱっと笑顔を浮かべ、アンジェリーナのもとへ小走りで向かった。アンジェリーナは近づいてきたアスターを抱きしめた。
「アスター!久しぶりね。グリフィンドールへようこそ。同じ寮に来てくれて嬉しいわ」
「久しぶり!ありがとう、アンジェリーナ。これからよろしくね」
アンジェリーナはアスターを、自分と友人のアリシアの間に座らせてくれた。話したいことはお互いにたくさんあったが、組分けの儀式はまだ続いている。今はひとまず我慢して、続きを見守ることにした。
すでにアスターの次の生徒、Longbottom Nevilleの組分けが始まっていた。汽車の中でヒキガエルを探していたネビルだ。帽子は彼の寮を決めるのに、しばらく時間をかけているようだった。
「グリフィンドール!」
ネビルは帽子の声を聞くと、ほっとしたような顔をした。
ところが、帽子をかぶったまま走り出してしまい、周囲の爆笑を浴びながら、帽子をかぶったまま慌てて戻ってきた。トボトボと椅子まで戻ると、次の「MacDugal Morag」に帽子を渡した。
残っている生徒は、だんだん少なくなってきていた。アスターは、汽車を降りてから城へ着くまでの道中で、何度か手助けしてくれた少年がまだ残っていることに気づいた。
よかった。これで彼の名前がわかりそうだ。後で、きちんとお礼を言わなくては。
しばらくして、ようやく彼の番がやってきた。
「Nott Theodore!」
「スリザリン!」
彼はセオドール・ノットというらしい。確か、聖二十八一族に名を連ねている家の名前だったはずだ。彼の組分けは一瞬で終わっていた。
「Potter Harry!」
その名前が呼ばれた瞬間、それまで小声の話し声が続いていた広間が、一気に静まり返った。シーッというささやきが、さざ波のように広がっていく。
「ポッターって、そう言った?」
「あのハリー・ポッターなの?」
あちらこちらから、そんな声が聞こえてきた。大勢の生徒が首を伸ばし、ハリーの姿を見ようとしている。アスターはその様子を眺め、呆れとも諦めともつかない、複雑な感情を抱いた。
ハリーの組分けには、かなり時間がかかった。その間も、生徒たちは小声でひそひそと好き勝手に話し合っている。アスターは、そんな様子を少し不快に感じていた。
「グリフィンドール!」
やがて、帽子が高らかに叫んだ。
同じ寮になってしまった。そんなことを思いながらも、アスターはアンジェリーナたちと一緒に拍手を送った。ハリーに送られる歓声と拍手は、今までで一番大きかった。
彼は帽子を脱ぐと、ふらふらとグリフィンドールのテーブルに向かって歩き出した。一人の上級生が立ち上がって彼を出迎え、力強く握手を交わした。フレッドとジョージは「ポッターを取った!ポッターを取った!」と歓声を上げている。
ハリーへの歓声が落ち着くのを待ってから、マクゴナガル教授は組分けを続けた。残る生徒はもう、だいぶ少なくなっている。
「Weasley Ronald!」
しばらくすると、フレッドとジョージと同じファミリーネームの少年が呼ばれた。儀式が始まるのを待っていたときに見かけた少年だった。
フレッドとジョージは身を乗り出すようにして、組分けの様子を見守っていた。二人とも真剣な顔をしている。
「グリフィンドール!」
帽子が叫んだのは、彼が帽子をかぶってすぐのことだった。
緊張した面持ちだった少年は、安心したように笑顔を浮かべた。帽子を脱いで椅子を降りると、ハリーの隣に崩れるように座った。
「ロン、よくやったぞ。えらい」
ハリーの反対側に座っていた、先ほど彼と握手を交わした上級生が声をかけていた。彼もフレッドとジョージの兄弟なのだろうか。そういえば、彼も燃えるような赤毛をしている。
そうこうしているうちに、組分けは最後の生徒を迎えていた。
「Zabini Blaise!」
「スリザリン!」
最後の組分けが終わると、マクゴナガル教授は羊皮紙をくるくると巻き、帽子を片付けた。
同級生は、数え間違えていなければ自分を入れて百十九人だったと思う。さすがに四つの寮それぞれに組分けされた人数までは覚えていられなかったが、同じグリフィンドールに組分けされたのは自分以外で三十人いたはずだ。
すると、上座のテーブルの中央にある大きな椅子に座っていたダンブルドア校長が立ち上がった。
アスターが本に載った写真や蛙チョコレートのカードで見たとおりの姿だ。校長は両腕を大きく広げ、みんなに会えることがこの上なく嬉しいとでもいうように、にっこりと笑った。
「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、いきますぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」
ダンブルドア校長はそう言って席に着いた。広間中から拍手と歓声が上がり、アスターもそれに倣った。
ああ、祖父が言っていたのはこういうことか。アスターは思わず苦笑した。
祖父はダンブルドア校長について、「世界で一番の魔法使いで、尊敬に値する素晴らしい人」だと評していた。一方で、「どこか掴みどころがなくて、不思議で、おかしな人」だとも言っていたのだ。なるほど。確かに、少し不思議な人かもしれない。
そんなことを考えているうちに、テーブルの上に大皿いっぱいの料理が現れた。ローストビーフ、ローストチキン、ポークチョップ、ラムチョップ、ソーセージ、ベーコン、ステーキ。茹でたポテトにグリルポテト、フレンチフライ、ヨークシャープディング、豆、人参、グレービーにケチャップ。堂々たるラインナップだ。
アスターは料理の数々を眺め、見た目だけでお腹がいっぱいになったような気がした。
叔父の家にいる間、叔父が作るのは基本的にイギリス料理だったため、多少は慣れている。それでも、フランス育ちのアスターにとって、イギリス料理の少々大雑把なところは、あまり得意ではなかった。
それに、叔父の作るイギリス料理は、アスターにも食べやすいように味付けが工夫されていた。ここに並んでいる料理も、同じように食べられるとは限らない。
仕方がない。そう自分に言い聞かせ、アスターはまず豆や人参など、数少ない野菜を皿に取り分けた。続いて、比較的食べやすそうなローストビーフも少しだけ取る。もともと少食なのだ。これくらいなら、どうにかなるだろう。
「アスター、随分と組分け帽子と話し込んでいたわよね。かなり時間がかかっていたわ」
アンジェリーナが、思い出したように話しかけてきた。
「そんなにかかっていた?」
「ええ。ハットストールだって、フレッドやジョージが騒いでいたし、マクゴナガル先生も心配そうにしていたわ」
アリシアがそう答えた。
「ハットストールってなあに?」
「組分け帽子が寮を決めるのに、五分以上かかった生徒のことを指すの。組分け困難者ね」
「珍しいのよ。マクゴナガル先生も、ハットストールだったらしいわ」
「ふうん」
アスターは何となく頷いた。どうやら、少し珍しいことだったらしい。
「そういえば!アスター、あなた、セドリック・ディゴリーと一緒だったわよね」
「ええ、そうよ。……どうしたの、アンジェリーナ?」
アンジェリーナは突然、興味津々といった様子でアスターに尋ねてきた。隣に座るアリシアも、同じような表情で身を乗り出している。
「どういう関係?知り合いだったの?」
「私の叔父と、彼のお父様が友人なのよ。それで何度か一緒に遊んだことがあるの」
「本当にそれだけ?」
「え?あとは……手紙のやり取りをしているくらい?でも、それがどうしたの?」
「だって、あのセドリックよ?彼、モテるんだから」
「そうなの?」
「そうよ。ハンサムだって有名なの」
「ふうん」
「何よ、その反応は」
「セドリックのこと、かっこいいって思ったことないの?」
「うーん……。兄様たちの方が素敵だと思う……」
「アスター、お兄さんがいるの?」
「たちってことは、一人じゃないのね。何人?」
「二人よ」
「うわあ。アスターのお兄さんでしょ?絶対に顔が良いに決まってるわ」
「写真とかない?」
「家族写真なら持ってきているわ」
「何それ、見たい。アスター、お願い。今度でいいから見せて!」
「アリシアったら……。少し落ち着いたら?」
「アンジェリーナは見たくないって言うの?」
「見たいわよ。アスター、私からもお願いするわ」
「え、ええ。いいわよ」
二人の勢いに押されながら、アスターは頷いた。返事を聞いた二人は、嬉しそうにはしゃいでいる。
「『ほとんど首なしニック』だ!」
大きな声が聞こえ、アスターはそちらへ視線を向けた。
「むしろ、呼んでいただくのであれば、ニコラス・ド・ミムジー……」
ひだ襟の服を着たゴーストが、改まった調子で言いかけた。けれど、黄土色の髪の少年がその言葉を遮った。確か、シェーマスという名前だったはずだ。
「ほとんど首なし?どうしてほとんど首なしになれるの?」
ニコラス卿は、会話がどうも自分の望む方向へ進まないことに、ひどく気を悪くしたようだった。
「ほら、このとおり」
ニコラス卿は腹立たしげに自分の左耳を掴み、引っ張った。
すると、頭が首からぐにゃりと外れ、蝶番で開くように肩の上へ傾いた。誰かが首を切ろうとして、切り損ねたらしい。アスターは思わず顔を引きつらせた。
生徒たちが驚く様子を見て、ニコラス卿は満足そうに頭をひょいと元に戻した。それから咳払いをして、こう言った。
「さて、グリフィンドール新入生諸君。今年こそ寮対抗優勝カップを獲得できるように頑張ってくださるでしょうな?グリフィンドールがこんなに長い間負け続けたことはない。スリザリンが六年連続で寮杯を取っているのですぞ!『血みどろ男爵』はもう鼻持ちならない状態です……スリザリンのゴーストですがね」
アスターはそっとスリザリンのテーブルへ目を向けた。
虚ろな目にげっそりとした顔、衣服は銀色の血でべっとりと汚れているゴーストが座っている。あれが『血みどろ男爵』なのだろう。
アスターはすぐに視線を逸らした。
「どうして血みどろになったの?」
興味津々といった様子で、シェーマスが尋ねた。
やめてくれ。アスターは心の中で悲鳴を上げた。
「私、聞いてみたこともありません」
ニコラス卿は言葉を濁した。よかった。
全員が十分に食べ終えると、料理は跡形もなく消え去り、お皿は元どおりぴかぴかになった。
まもなく、今度はデザートが現れる。ありとあらゆる味のアイスクリームに、アップルパイ、糖蜜パイ、エクレア、ジャムドーナツ、トライフル、いちご、ゼリー、ライスプディングなど、こちらも実に豊富だった。
だいぶお腹がいっぱいになっていたアスターは、バニラのアイスクリームだけを皿に取り、ゆっくりと食べた。
その間、テーブルでは家族についての話題が始まっていた。
「僕はハーフなんだ。僕のパパはマグルで、ママは結婚するまで魔女だと言わなかったんだ。パパはずいぶんドッキリしたみたいだよ」
シェーマスがそう話すと、周囲の生徒たちは笑って聞いていた。
「ネビルはどうだい?」
ロンに尋ねられ、ネビルが話し始めた。
「僕、ばあちゃんに育てられたんだけど、ばあちゃんが魔女なんだ。でも、僕の家族はずっと僕が純粋マグルだと思ってたみたい。アルジー大おじさんときたら、僕に不意打ちを食らわせて、なんとか僕から魔法の力を引き出そうとしたの。僕をブラックプールの桟橋の端から突き落としたりして、もう少しで溺れるところだった。でも、八歳になるまで何も起こらなかった。八歳のとき、アルジー大おじさんがうちにお茶をしに来たんだけど、僕の足首を掴んで二階の窓からぶら下げたんだ。ちょうどそのとき、エニド大おばさんがメレンゲ菓子を持ってきて、大おじさんったら、うっかり手を離してしまったんだ。だけど、僕はまりみたいに弾んだんだ。庭に落ちて、道路までね。それを見てみんな大喜びだった。ばあちゃんなんか、嬉し泣きだよ。この学校に入学することになったときのみんなの顔を見せたかったよ。みんな、僕の魔法力じゃ無理だと思ってたらしい。アルジー大おじさんなんか、とても喜んでヒキガエルを買ってくれたんだ」
なるほど。それで汽車の中でヒキガエルを探していたとき、あんなに悲壮感漂う顔をしていたのか。アスターはようやく納得した。
テーブルの反対側では、ハーマイオニーが上級生と授業について話していた。
「本当に、早く始まればいいのに。勉強することがいっぱいあるんですもの。私、特に変身術に興味があるの。ほら、何かをほかのものに変えるっていう術。もちろん、すごく難しいって言われているけれど……」
「初めは小さなものから試すんだよ。マッチを針に変えるとか……」
相変わらずのハーマイオニーの早口についていける上級生はすごいな、とアスターは感心した。聞いているだけでも疲れそうだ。
「そういえば、アスターってどの辺りに住んでいるの?」
デザートをほとんど食べ終えたアリシアが尋ねてきた。
「ああ、ええと……私、フランスから来たの」
「……フランス!?」
アリシアの声に、グリフィンドールのテーブルに座っていた生徒のほとんどがこちらを向いた。少々居心地が悪い。
「ええ、そうよ。実家はフランスにあるの」
「じゃあ、アスターはフランス人なの?」
「祖父がイギリス人だから、クォーターね。祖父はホグワーツの卒業生なのよ」
「完璧なポッシュ・イングリッシュだから、イギリス人だとばかり思っていたわ」
「完璧に聞こえていたなら嬉しいわ」
「叔父さんがセドリックのお父さんと友人だって言っていたわよね。叔父さんはイギリスに住んでいるってこと?」
「そうよ。叔父はイギリスに移住しているの。私も叔父のところで五、六年暮らしていたから、英語は話し慣れているのよ」
アスターの説明に、アンジェリーナとアリシアは驚きながらも納得したようだった。こちらを見ていたほかの生徒たちは、まだ驚いた顔をしている。少し面白い。
それからしばらくして、デザートもテーブルの上から消えた。
ダンブルドア校長が再び立ち上がると、広間中が静まり返った。
「エヘン。全員、よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言、三言。新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある。一年生に注意しておくが、校内にある森に入ってはいけません。これは上級生にも、何人かの生徒たちに特に注意しておきます」
ダンブルドア校長は、きらりと光る目をフレッドとジョージに向けたようだった。
「管理人のフィルチさんから、授業の合間に廊下で魔法を使わないようにという注意がありました」
「今学期は二週目にクィディッチの予選があります。寮のチームに参加したい人は、マダム・フーチに連絡してください」
「最後ですが、とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい四階の右側の廊下に入ってはいけません」
ここは学校ではなかっただろうか。とても痛い死に方をする場所が学校にあっていいものなのだろうか。アスターは思わず疑問に思った。
「では、寝る前に校歌を歌いましょう!」
ダンブルドア校長が声を張り上げた。その途端、ほかの教授たちの笑顔が急にこわばったように見えた。
ダンブルドア校長が杖を、杖先に止まった蠅を振り払うようにひょいと動かすと、金色のリボンが長々と流れ出た。それはテーブルの上高くへ昇り、蛇のようにくねくねと曲がりながら文字を描いていく。
「みんな自分の好きなメロディーで。では、さん、し、はい!」
学校中が大声で歌い始めた。
ホグワーツ ホグワーツ
ホグホグ ワツワツ ホグワーツ
教えて どうぞ 僕たちに
老いても ハゲても 青二才でも
頭にゃなんとか詰め込める
おもしろいものを詰め込める
今はからっぽ 空気詰め
死んだハエやら がらくた詰め
教えて 価値のあるものを
教えて 忘れてしまったものを
ベストをつくせば あとはお任せ
学べよ脳みそ 腐るまで
みんながばらばらに歌い終える中、とびきり遅い葬送行進曲のメロディーで歌っていたフレッドとジョージが最後まで残った。
ダンブルドア校長は二人に合わせて最後の何小節かを杖で指揮し、二人が歌い終わると、誰にも負けないくらい大きな拍手を送った。
「ああ、音楽とは何にもまさる魔法じゃ」
感激の涙をぬぐいながら、ダンブルドア校長が言った。
「さあ、諸君、就寝時間。かけ足!」
グリフィンドールの一年生たちは、監督生だというパーシーに続いて、大広間を出た。廊下には生徒たちの話し声が響き、あちこちで賑やかな声が上がっている。大理石の階段を上り、廊下を進んでいくと、壁にかけられた肖像画の人物たちがささやいたり、生徒を指さしたりしていた。
パーシーは迷いなく先へ進み、引き戸の陰やタペストリーの裏に隠された扉を二度通り抜けた。
やがて、パーシーが突然足を止めた。何事かと前方を見ると、杖が一束、空中に浮かんでいる。パーシーが一歩前へ進むと、杖がばらばらと飛びかかってきた。
「ピーブズだ」
パーシーが一年生たちに向かってささやいた。
「ポルターガイストのピーブズだよ」
それから、彼は大きな声を上げた。
「ピーブズ、姿を見せろ!」
風船から空気が抜けるような、大きく不作法な音が返ってきた。
「『血みどろ男爵』を呼んできてもいいのか?」
ポンと音がして、意地悪そうな暗い目と大きな口を持つ小男が現れた。あぐらをかき、杖の束を掴んだまま空中に漂っている。
「おおぉぉぉぉぉ!かーわいい一年生ちゃん!なんて愉快なんだ!」
小男は意地悪な甲高い笑い声を上げ、一年生たちめがけて急降下してきた。生徒たちは慌てて身を屈める。
「ピーブズ、行ってしまえ。そうしないと男爵に言いつけるぞ。本気だぞ!」
パーシーが怒鳴った。
ピーブズは舌をべーっと出し、杖をネビルの頭の上に落とすと、姿を消してしまった。そのうえ、近くにあった鎧をガラガラと鳴らしながら、遠ざかっていくのが聞こえた。
「ピーブズには気をつけたほうがいい」
再び歩き出しながら、パーシーが言った。
「ピーブズをコントロールできるのは『血みどろ男爵』だけなんだ。僕ら監督生の言うことさえ聞きゃしない。さあ、着いた」
廊下の突き当たりには、ピンク色の絹のドレスを着た、とてもふくよかな婦人の肖像画が掛かっていた。
「合言葉は?」
「カプート・ドラコニス」
パーシーがそう唱えると、肖像画がぱっと前へ開いた。その奥には、壁に丸い穴が開いている。穴の位置は少し高く、アスターは隣にいたディーンに手を貸してもらった。
穴の向こうは、グリフィンドールの談話室につながっていた。心地よい円形の部屋で、ふかふかとした肘掛け椅子がいくつも置かれている。
パーシーの指示に従い、女子は女子寮へ続く扉から、男子は男子寮へ続く扉から、それぞれ部屋へ向かった。
アスターは扉をくぐり、長い螺旋階段を上って自分のネームプレートを探した。それぞれの部屋の入口には、三つか四つのネームプレートが並んでいる。
かなり上の方まで登り、ようやく自分の名前を見つけた。そこには、ほかに三つのネームプレートが並んでいる。同室になったのは、ハーマイオニー、パーバティ、ラベンダーの三人だった。
部屋に入ると、荷物はすでに届いており、割り当てられたベッドの横に置かれていた。ベッドには真紅のビロードのカーテンが掛けられ、四本柱の天蓋がついている。見るからに寝心地が良さそうだった。
同室の三人は、すでに部屋に着いて荷物の整理を始めていた。アスターが入ってきたことに気づくと、三人は手を止めて近寄ってくる。簡単に自己紹介を済ませたものの、みんなすっかり疲れ切っていた。荷物の整理もそこそこに、パジャマへ着替え始める。
準備ができた人から「おやすみなさい」と声をかけ、ベッドへ潜り込んでいった。アスターも荷物を簡単に整理すると、寝支度を済ませてベッドに入った。
長い一日だった。目を閉じると、疲れが一気に押し寄せてくる。
アスターは、まるで気絶するように眠りに落ちた。
皆さんはホグワーツの生徒数について、どのように考えていますか? よかったら、ぜひご意見を聞かせてください。
下記は、今回物語を書くにあたって私が採用している生徒数についてです。
ローリング女史は、ホグワーツの全校生徒数を1000人と構想していたと発言しています。これを基に考えると、単純計算では四寮それぞれに、七学年合わせて約250人の生徒が在籍していることになります。
公式設定には「ハッフルパフは他の寮に入れなかった生徒も受け入れている」という内容があります。このことから四寮の中で、ハッフルパフは生徒数が多いのではないかと推測しました。
また、原作三巻では、スリザリン対グリフィンドールのクィディッチの試合を観戦していたスリザリン生が約200人いたと描写されています。ここでは、スリザリン生の大半が観戦に来ていたと仮定します。スリザリンには純血主義を掲げる家系の生徒が多く在籍しています。そのため、マグル生まれの生徒は極めて少ないと推測できます。こうした背景も踏まえ、スリザリンは四寮の中で最も生徒数が少ないと仮定しました。
以上のことから、まずは全校生徒数を約1000人、スリザリンの生徒数を約200人と定義します。
残るグリフィンドールとレイブンクローについては、四寮の生徒数を単純計算した場合の約250人に近い人数になると考えます。また、これはあくまで個人的なイメージですが、レイブンクローの生徒数はグリフィンドールよりも若干少ないのではないかと考えています。そこで、レイブンクローを約240人、グリフィンドールを約250人と定義します。残るハッフルパフは、全校生徒数から逆算して約310人となります。
まとめると、各寮の生徒数は以下の通りです。
*スリザリン:約200人
* レイブンクロー:約240人
* グリフィンドール:約250人
* ハッフルパフ:約310人
合計:約1000人
全校生徒数を約1000人とすると、単純計算で一学年あたりの生徒数は約140人となります。先ほど定義した各寮の生徒数を七学年で均等に割り、一学年あたりの人数を概算すると、スリザリン28人、レイブンクロー34人、グリフィンドール36人、ハッフルパフ44人となります。合計は142人です。単純計算で求めた約140人という人数から大きく外れていないため、今回はこの人数を基準として考えます。
しかし、原作中の描写からは、実際の生徒数がこれまでに定義した人数よりも少ないようにも感じられます。
その理由の一つとして、ヴォルデモートの台頭によって魔法界全体の出生数が減少したのではないかと考えています。
ここからは、ハリーの学年の生徒数について考えていきます。
まず、一巻の飛行訓練の場面では、グリフィンドール生とスリザリン生を合わせて20人と描写されています。先ほど定義した一学年あたりの各寮の人数を基に割合を計算すると、スリザリンが約9人、グリフィンドールが約11人となります。さらに同じ割合で計算すると、レイブンクローは約11人、ハッフルパフは約14人となります。合計すると約45人です。これは、基準として考えた一学年あたりの142人を大きく下回っています。さすがに、ここまで出生数が減少したとは考えにくいです。
そこで、今度は五巻のアンブリッジの授業の場面を参考にします。アンブリッジの授業では、グリフィンドール生だけが受けている場面で、「30人もの生徒が熱心に聞き入っている」という描写があります。これを参考に、ハリーの学年のグリフィンドール生を30人と仮定します。先ほどと同様に、一学年あたりの各寮の生徒数の割合を基に計算すると、スリザリンは約23人、レイブンクローは約28人、ハッフルパフは約37人となります。合計すると約118人です。基準として考えた一学年あたりの142人と比較しても、出生数の減少を考慮すれば、不自然な差ではないように思います。
以上のことから、ハリーの学年の生徒数を以下のように定義します。
* スリザリン:23人
* レイブンクロー:28人
* グリフィンドール:30人
* ハッフルパフ:37人
合計:118人
なお、ハリーの学年だけでなく、その前後数年間に入学した生徒についても、ヴォルデモートの台頭による影響を受け、例年よりも生徒数が少なくなっていると考えています。