激突!メガネバトラー!! 作:生粋のメガネバトラー
『激突!!メガネバトラァァー!!』
朝6:00
この俺、視堂トオルの起床の目覚ましは誰かの叫び声だった。
寝ぼけ眼をこすりながら俺は体を起こす。確か今日は学校だったか……ふわぁと1つ欠伸をしてまだ眠い頭を叩き起す。ある程度目が覚めてきたところで、ふと「今の声は誰のだったのか?」と疑問が生まれた。
父親の声や母親、妹の声と違い男性とも女性とも似つかない不思議な声。
だんだん覚醒していく意識の中、辺りを見渡してみた。
目の前で光るメガネが浮いていた。
………………………………なんでやねん(困惑)
俺はまだ夢の中なのか?
なんでメガネが浮いているんだよ。
もしかして今喋ってたのこれ?まともな夢は見れてないらしい。よし二度寝しよ、おやすみ学校。
『よくぞ聞いてくれた!!説明しよう、激突!メガネバトラーとは!!』
「聞いてねぇよ」
『最強のメガネ使いを決める、熱き戦いのことである!!!』
「聞いても分からねぇよ」
突然喋り出すメガネ。何だこの状況は?
話してくれるならもっと詳しく話してほしい、この際割り切って楽しむから。
『君はこの日本でメガネバトラーとして選ばれたのだ!!さぁ私を掛けて、命を賭けた戦いを行おう!』
「俺がメガネバトラーに選ばれた?」
へぇーそいつはめでたいですね。それじゃ俺寝るから、おやすみ………
ちょっとまって今命を賭けた戦いって言った??
『これから多くのメガネバトラー達が君の命を狙うだろう……だが君と私のメガネパワーがあればどんな強敵メガネでも乗り越えられるはずだ!』
「アホみたいな名前しているくせに殺し合いするの?」
メガネで命賭けんなよ。
そしてメガネパワーってなんだよ、何で戦うかもわかんないんだけど?それ人殺せる力なの?
『全てのメガネバトラーを倒した暁には、【メガネに関する願い】を叶えることができるようになる!!』
「願いの範囲狭っまいな!メガネ業界内でしか叶わないだろ!そんなのに命掛けれるか!」
わざわざメガネに関する願いなんてものは俺には無い、パッと思いつく願いでも女の子にモテるメガネほしいとかだよ。
『説明は以上だ!さぁ、早く私を掛けたまえ!』
「いやだ」
『なっ、なぜだ……!?!?』
「なんでいけると思った?」
いやだよ、なんで好き好んで殺し合いに参加しないといけないんだ。今日は学校あるんだよ、朝ごはんの準備しになきゃ。
『強制装着ゥゥゥゥ!!』
うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!メガネが飛んできたぁぁぁぁぁ!!
ーーーーーーーーーーーー
『いいぞいいぞ!さぁ、街へ繰り出そう!そしてメガネバトラーとして戦うのだ!』
「こいつうるせぇ」
登校中なんだから静かにして欲しい。
結局あの後飛んできたメガネから逃げきれず、強制的に装着させられた。
外そうとしてもメガネがぎゃあぎゃあ喚き始めてうるさい。
しょうがないため、メガネを掛けて登校することにした。
こいつ、無視してるのに全然口を閉じないな。
歩いている最中、周りの人の反応がないことから聞こえているのは俺だけみたいだ。
いや、ヤベェやつだと思われて反応しないようにしてる可能性もあるか……そしたら心が折れるな。考えないでおこう。
今回は不思議パワーの方だと信じたい……そういえば説明で気になることを言っていたな。
「さっきさ、メガネパワーとかなんとか言ってたけどあれは何なんだ?」
『それはメガネバトラーとして戦うための能力のことだ!私を掛けていればその能力が使えるぞ!』
へぇ〜そうなんだ(適当な相槌)
それで?その能力は何?
『そうだな、ではあの信号を渡る女性をみてくれ!』
「はいはい、あの女性ね……」
とりあえず言われた通りにしてみる。
むむむ。
お、何か頭の上に文字が出てきたぞ、なになに?
《田中花子:丸ぶちメガネに一定の憧れを持っている》
「これなに?」
『これが私のメガネパワー、【相手の最近のメガネ情報を見る能力】だ!』
「カスじゃねぇか!!」
いらねぇー!!!!!
本当に何に使えるんだよこの能力、それ知って何になるんだよ!
あと個人情報保護の観点から問題ない?
他の人も見ようと辺りを見渡してみると、道行く人々に文字が浮かんでくる。だが、どれも取り留めのないメガネに関する情報だけだった。
《佐藤たけお:一昨日メガネを買い換えた》
《斉藤一郎:メガネキャラがメガネを外すことを許すことができない》
《渡辺拓郎:メガネケースがイチゴ柄のモノを使っている》
どうでもいい情報ばかり目に入ってくる。しかもシンプルに文字が邪魔で周囲が見えづらい。デメリットしかないなこれ。
……やはり捨てるか。
『まてまてまて!?なぜメガネを外そうとする!?』
「メガネって燃えるゴミでいい?」
『捨てるな少年!何故だ、何故メガネを否定する!?』
「へぇ、自治体ごとに違うのか」
『調べるな!?話を聞いてくれ!?』
くだらない事に付き合ってられるか、俺は普通の生活を送らせてもらうぜ。
あれ、何だこのメガネ外れない!?
おいこのクソメガネ、力抜けよ!
『断る!メガネパワーフルMAX!!!!!!』
「だからそのメガネパワーって何なんだよ!」
『一度選ばれたメガネバトラーは、次のメガネバトラーと戦うまで、パートナーのメガネを外すことはできないのだ!』
「先に言え!! あと何だその呪いみたいなルール!!離れろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
『断るぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!』
「あれ?おーい、せんぱーい!おはようございますっす〜」
俺がメガネとの激しい攻防を繰り広げていると、背後から女性の声が聞こえてきた。
やばい、話しかけられた。この状況はまずい。
今の俺は傍から見ると自分のメガネに掴みかかる人になっているのではないか?
俺は自分の名誉のため慌てて手を離す。
ちっ、命拾いしたな。
「おはようっす先輩!なんかメガネ握ってプルプルしてたっすけど、どうしたんすか?」
「あ、ああ、おはよう佐倉。もういらないからメガネを取ろうかと思ってさ。」
「……急に視力でも良くなったんすか?」
何を言っているのか分からない様子で、佐倉は首を傾げる。それと同時にポニーテールが、ふわりと揺れた。
佐倉アカネ。俺の所属するゲーム部の後輩で、やたらと元気な少女だ。
「あれ、というか先輩そもそもメガネなんてかけてましたっけ?」
「朝のお天気占いで紹介されたラッキーアイテムでな、かけてきたんだ」
「……さっきもういらないって言ってませんでした?」
「録画だったこと思い出して……」
「天気予報は録画して見ることないと思うんすけど?あはは、やっぱ先輩はバカで面白いっすね〜」
何故か感心している佐倉の様子を見て一息つく。
ふぅ、何とか誤魔化せたみたいだ。確かに急にメガネかけだしたら何事かと思うよな。
今外すのも難しいし、とりあえず学校に着いてからにしよう。
『おい!我が相棒よ!』
(勝手に相棒にするな、心の声でも話しができるんだな)
『目の前の女をよく見てみろ!』
(うるせぇな、今話しかけてくるなよ返事しずらいんだから……なに?佐倉を見ればいいの?)
騒ぎ出すメガネの言葉に俺は言われた通り佐倉に注目する……、すると先程と同様に頭の上に文字が浮かび上がってきた。
《佐倉アカネ:メガネを弾丸のように飛ばすことが出来る》
「よくわかんないっすけど、早く学校行きましょうよ先輩!遅刻するっすよ?」
お前もメガネバトラーかよ!!!!!!
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