転生!!奇妙な冒険   作:パス太郎

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帰ってきました。


転生と始まり

俺は一度死んだことがある。

 

あのころの俺はもう死んだ!!とかではなく本当に一回死んだのだ。

 

現在は1993年7月4日。死んだ日付は2013年6月19日。おかしな話だが俺は生き返った上にタイムスリップしたのだ。

 

死因はよく覚えてない、殺されたような気もするし、事故だったような気もするし、病気のような気もする。とにかくあいまいな記憶なのだ。思い出しても意味のないことだが、前の自分がおぼえていた名前は自分のものから両親兄弟友達果ては漫画のキャラクターのものまで何も思い出すことができない。そんな状態なのに俺はこの記憶が真実だと確信していた。頭でどうこうという話ではない、心だ心。心で理解したんだ。

 

そこまで書いて俺はペンを置いた。

 

「・・・何やってんだ俺は」

 

体を投げ出し、床にごろっと寝転がる。困った時に紙に自分の状況を書いて分析するのがおれの昔からの習慣だ。そう、ほんとに昔、前世からの習慣。

 

「(まさか、生き返っちまうなんてな~)」

 

自分の手を軽く触りながら、そう考える。生前(今も生きているからなんとなくおかしいが)にもこういう感じで生き返って何かをする小説は多く見ていた。しかし、まさか自分の身にそんなことが起きるとは思ってもみなかった。SFやファンタジーが好きだっただけに少しわくわくする。自分は幼い時から超常現象にあこがれていたのだ。そのせいでよく超能力の練習をしては親しい友達から中二病とからかわれていたが。

 

「(このことあいつらに言ったらどんな顔すっかな)」

 

名前を思い出せない親友たちの顔が脳裏に浮かんで少し切ない気持ちに襲われた。あいつらと会うことはないだろう。おそらく永遠に。そう思うとなんだか名前を思い出せないことがひどく悲しい。少しだけ俺は涙を流していた。

 

 

 

 

俺が転生。というより前世を思い出したのは昨日、目が覚めた時だった。その瞬間まで俺はただの少年だった。名前は吉崎 栄よしざき さかえ。年齢は8歳。国籍は日本。好きな教科は算数で嫌いな教科は国語。好きな食べ物はオムライスで、シイタケが嫌いなそんなどこにでもいそうな子供だった。それがどうだ、ある日目が覚めたら、あら不思議、見た目は子供、頭脳は大人状態だ。転生したのはうれしいがもうちょっと思い出す年齢とタイミングを考えてほしかった。特にタイミングだ、タイミング。とにかくタイミングが悪い。

 

殴り書きでそう書いた後、俺は文字を書き込んでいた手帳を閉じた。そして辺りを見回す。目の前には何やら古ぼけた市場がある。市場はとてもにぎわっていて見ているだけで活気をもらえるような光景だ。普通ならこの光景で気分が少しまぎれるのかもしれないが、俺はそうじゃなかった。なぜならこの市場は一目見ただけでここが日本じゃないことがわかってしまうからである。

 

「(なにも家族での旅行中に記憶が戻らなくったっていいじゃないか!!)」

 

俺は心の中で叫んだ。すぐ近くで、母親がなにやら変な野菜とにらめっこしている。父親は上機嫌にウイスキーを飲んでいた。3人いる兄弟達はそれぞれが気になるものを屋台で買っていた。こんな家族でのお楽しみの時間の中で俺は前世の記憶を取り戻してしまったのだ。まったく間が悪いにもほどがある。ゆっくりこの現象について考えることもできないじゃないか。

 

「どうした?栄」

 

兄にいきなり話しかけられて、俺は少しだけびくっとする。どうやら朝からずっと静かに自分の置かれている状況について考えていたので、兄に要らぬ心配をかけていたようだ。俺は、なんでもないよと兄に答える。兄はまだ少し心配そうな顔をしながらまた店の方へ行った。

 

「(せっかくの旅行を俺がだめにしたくないな)」

 

俺はそう考えて、兄弟たちのほうに歩いていく。別に、前世の記憶が戻ったからと言って俺のこの8年間の記憶や思いが消えたわけではないのだ。愛する家族の楽しみを邪魔したくはない。

 

俺は旅行が終わるまでは前世の記憶について考えないことにした。せっかくの旅行なんだ楽しまなきゃ損だろう。

 

 

 

 

辺りの様子はよくわからない。ただ自分が倒れていて、まだ息をしていることと、目の前に男が立っていることだけはわかった。

 

市場を出た後、俺は家族と一緒にいろいろなところに行こうと、話をしながらしばらく歩いて、それからバスに乗った。それはとっても幸せな時間だった。

 

バスに乗って少ししたときにそれは起こった。一人の男によってバスは破壊されたのだ。それが本当にその男によっておこされたものなのかよくわからない。だが俺は見たのだ。その男の周りの空間がゆがんでいくのを確かにこの目で見たのだ。

 

男はさっさと歩いて行ってしまう。俺はどうすることもできずに、意識を失った。

 

 

 

 

子供のころからよく来る河原で俺たち三人は座っている。俺はふと浮かんだ質問を隣に座る   にした。

 

「なあ、  ?お前は人生で一番大切なのはなんだと思う?」

 

   は少し考えてから、お前はなんなんだよと聞き返してくる。

 

「俺か?俺はなぁ。…刺激だと思う!退屈こそが最もつらいことだと思うからな!」

 

「……相変わらず、中二病だな。   は」

 

話を横で聞いていた  がそう言った。

 

「なんだとぉ?じゃあ、お前はなんなんだよ?何が一番大切なんだよ!?」

 

「俺は、目標だな。目標に向かって努力することこそが美しい生き方だ」

 

「お~お~。かっこいいですねぇ~で、結局   は何が一番大切なんだ?」

 

   はやっぱり少し考えてから口を開いた。

 

「納得…かな」

 

「「納得ぅ??」」

 

俺と  の声が重なる。

 

「俺はどんなことでも納得してできるならそれがいいよ」

 

   はボーとした様子でそう言った。

 

 

 

 

気が付くと俺は、見知らぬ部屋で眠っていた。腕や足が痛い、どうやら骨が折れているらしい。

 

「(前世の記憶…か)」

 

前世で友達にした何気ない会話を夢に見るなんて、そんなに俺は前世に未練があるのだろうか。

 

「(てゆーか。なんで俺こんなところに…)」

 

無理やり体を起こそうとして体に激痛が走る。

 

「あぐっ!!」

 

その声を聞きつけてか隻腕の老人が部屋に入ってくる。

 

「おいおい!何しとるか坊主!!両足と左手。後、肋骨まで折れとるんだぞ!!動ける訳があるか!!」

 

老人はしっかりとした足取りで俺に近づきそういった。どうやら俺を助けてくれたのはこの老人らしい。しかし俺も焦っているんだ、おとなしくしていることなどできない。俺は老人を見つめる。

 

「どうしても行かなきゃいけないんです。家族が…」

 

痛む体を無視して俺はそう言った。その言葉に老人の表情が暗くなる。

 

「あのバスの事故で生きとったのは、お前だけだよ」

 

「え?お、俺だけ?じゃ、じゃあみんなは…」

 

老人は静かに首を振る。それがすべてを物語っていた。

 

陽気な父さんも…真面目な母さんも…優しい兄さんも…おっとりした姉さんも…甘えん坊の弟まで……みんなみんな……。まただ。また俺は大事な人と会うことができなくなってしまった。誰にも別れを告げられなかった。誰にも感謝を伝えられなかった。神は俺にこの悲しみを与えるために俺に第二の人生を与えたのだろうか。

 

目から涙が溢れ出し俺は一時間ほど泣いた。

 

 

 

 

「(なんか俺、前世の記憶が戻ってから泣いてばっかだな)」

 

もしかしたら、体に合わせて心の方も子供になっているのかもしれない。少しだけ冷静になった頭で俺はそう考えていた。部屋に老人が入ってくる。その手には食事が持たれていた。

 

「おお、坊主。落ち着いたか。どれちょっと見せてみろ」

 

老人は俺の腕や足を触り、俺の反応や傷を確かめる。

 

「ま!この分なら問題はあるまい。あとは食って元気になるだけだな」

 

老人はその手に持った料理を俺に食べさせてくれた。それはとてもおいしくて俺はまた少し泣きそうになるのを耐える。その様子に老人は偉いぞといった。お前は強い子だと。

 

食事が終わると老人は食器を持って部屋を出ていく。少し寝た方がいいぞと言われたが俺はとてもそんな気にはなれなかった。今俺の頭の中ではさまざまな記憶や考えが渦巻いていた。家族のことや、老人のこと。前世の友達や、あの男のこと。夢の中で友が言った言葉。きっとこのままおとなしく暮らしていけば前世よりも長生き出来るだろう。だがそれでは俺は納得・・出来ない。

 

「復讐はいいことだとは言えんぞ」

 

「な!?」

 

まるで心を読んでいたかのようにいつの間にか入ってきた老人がそう言った。

 

「事故にしてはバスの壊れ方がおかしいと思っていたが。坊主、お前は犯人を見たんだな」

 

俺は唖然としながらもうなずく。先ほどまでは優しい雰囲気を纏っていた老人が今ではまるで歴戦の戦士のような強い雰囲気になっているからだ。

 

「坊主。お前はその犯人をどうしたい?見つけたいか?捕まえたいか?それとも…殺したいか?」

 

老人はおよそ8歳の子供にするようなものではない質問をした。ここで普通の少年なら恐怖やらなんやらで怖気づいてしまうかもしれない。だが幸か不幸か俺は前世で17年、現世で8年生きた男だ。今自分の中にある感情を正直に伝えることができる。

 

「俺は仇を取りたい!!家族の仇を取りたい!!!」

 

叫んだことにより体中が痛んだが気にしない。

 

「そうか」

 

老人はそう言うと、俺の方に近づき、そして、俺の腹を殴った!!

 

「がっ!!!」

 

体に稲妻のように痛みが走る。肺から空気が抜けていくのがわかった。数秒間俺の息が止まり、そしてそこからさらに数秒たった、そして変化に気づく。

 

体が妙に熱い。

 

「痛みが……ない?」

 

俺は体を起き上がらせる。さっきまでの痛みが嘘のようになくなっている。

 

俺は老人の方を見る。老人はにかっと笑った。

 

「坊主。名前は?」

 

「……吉崎 栄」

 

「そうか栄。わしの名前はメッシーナ。お前にこの『波紋』の技術を教えてやろう!!」

 

これがおれの物語の始まりだ。俺が名前を思い出すことのない世界での戦いの日々の始まりの日だ。

 

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