魔王軍に攻めこまれた国の王家一族は、亡命を企てたがうまく行かず、山奥の村に隠れ住んでいた。
しかし見つかってしまい、塔に幽閉されてしまい、そのまま数年が過ぎた。
このまま、世間から忘れられたまま、塔の中で一生を過ごすと思っていたアリシア王女たちの前に、ある日突然、魔王が美女たちを連れて降臨した!
「アリシア王女は、母親に似て結構美人だ。将来、私のよき妻になれるやも知れない」
魔王はそう言って、アリシア王女を、彼女の
魔王の力は絶大だ。その意思に背くことは即・死罪を意味する。
それに魔王の護衛のアマンダ魔王妃は、その存在だけで背筋が寒くなるほどの死神的女剣士だ。
魔王の“意向”を実行するためなら、武力行使も辞さないという怖い顔をしている
かくして、アリシア王女は、14歳で魔王城で暮らすことになった...
《★★★小説家になろうに連載中の同名の作品をハーメルンでも投稿を始めました。空創士★★★》
ネコ耳❤アリシアの魔王城日記
これは、私が心から愛し、尊敬する魔王さまと私の記録❤
テルース歴5064年 5月10日。
私の名前はアリシア・ミラーニア・ゲネンドル。
父の名前はデルン・リッグラム・ゲネンドル。
そう、魔王に国を滅ぼされ、テルースの世界における魔王さま最初の領土となったブレストピア国の元王です。
ふつうであれば、テルースの世界で有力な王国の第二王妃の娘として、何不自由なく暮らし、15、6歳になれば、王族や公爵あたりの息子とかと結婚し、妃殿下、または公爵夫人などとして“玉の輿に乗った”、優雅で贅沢な暮らしを続けるはずだったのが...
いろいろとあって、
見初められたってことは、いつか魔王の嫁さんになり、夜ともなれば、夫婦としてあんなコトやこんなコトをしなければ...
きゃあっ、恥ずかしい、恥ずかしい!
いくら回想記とは言え、こんなことを書くのは恥ずかしいわ...
私がこれから記すことは、私が魔王さまの目に留まり、魔王城に暮らすようになってからの記録。
これを記す理由は、将来生まれて来るであろう孫たちや子孫たちのため。
なぜ、没落した元王族の娘が魔王の妃になれたのか、魔王さまとの生活がどんなものであったかを書き、子孫たちがいつの日か、結婚とか夫婦生活の問題で迷った時に、それを解決する一助にでもなればと思ったからなの。
◇
私の母の名前は、ゲネンドル王の第二王妃ラーニア・セリナーユ・アイヴァー。
私はラーニアの長女。ちなみに、魔王さまのもっとも愛する妃の一人であるルナレイラ王妃さまの異母妹ということになる。
魔王の軍勢と同盟国である鬼人族の軍勢が、私たちが住んでいたイヴォール城に迫った時、国王であったお父さまは、家族を連れて盟主国へ亡命しようとしたの。
だけど、時すでに遅く、盟主国への道はすべて厳しい検閲が敷かれていたため、しかたなく馬車をUターンして、国境からかなり離れた山奥の小さな村に隠れ住むことになった。
魔王軍と鬼人族の軍によるブレストピア全土の占領が終わったあとで、鬼人族国の大王は、魔王との取り決めにしたがって、鬼人族国の領土となった元ブレストピア国東部の調査を始めた。
いわゆる“検地”とか言うもので、新しい領主が、新たに征服した土地の田畑の面積、収穫量の調査などをするために農民の田畑を調べるの。
そしてその時に、調査にやって来た鬼人族の兵士たちに、山奥の村に私たちが隠れ住んでいるのが見つかってしまったの。
私たち家族は鬼人兵たちに捕らえられ、鬼人貴族のところに連れて行かれたのだけど、ちょうどそのころ鬼人族国は魔王の訪問を受けていてすごく慌ただしかったらしい。
あとで知ったことだけど、鬼人大王という方は、ベンケー・ シュテン大王というお名前の女鬼人で、大の鬼戦士でさえ負かすほどの怪力の持ち主なんだとか。
その女の鬼人族大王が、どういうわけか魔王にひと目惚れして―― やはり強者は強者に惹かれるということなのね―― 魔王のハートを射止めようと忙しかったらしく、元ブレストピア国の没落王族のことなどどうでもよかったみたい。
報告を受けた鬼人大王は、「どこかに閉じこめておけ」と命じたきり、すっかり私たちのことを忘れてしまったらしい。
私たちを捕らえた鬼人族貴族は、大王が次の命令を出すまで取り敢えず、私たちの居城であったイヴォール城から北に200キロのところにある小さな塔に私たちを幽閉した。
その塔は、ヤーダマーと呼ばれていたこの地方を治めていた、ブレストピア国の地方貴族が作った小さな砦で、砦の中心に八角形で五階建ての塔があり、地名をとってヤーダマーの塔と呼ばれていたらしいの。
ヤーダマーの塔は、このあたり一帯の見張り塔および砦を管理する者の住居として使われていたのだとか。
ヤーダマーの塔での生活は、当然お城に住んでいたころとは比べものにならないくらい質素なものだった。でも、警護の鬼人兵たちは、元王族の私たちを尊敬してくれたし、地元の村人たちも元国王であった父と私たち家族をたいへん尊敬し、慕ってくれた。
そんなわけで、ヤーダマーの塔に住むことになったゲネンドル王の家族―― いや、もう王族じゃないんだけど―― ゲネンドル一家は、お父さまを含めて10人。
その内訳は、お父さまで元ブレストピア国王であったデルン・リッグラム・ゲネンドル、元第二王妃であったマイテさまと彼女の娘のルナレイラと息子のカリブ。元第三王妃であったラーニア(私の母親)と私アリシアと妹のビア。元第四王妃であったモナさまと彼女の息子のジオンと娘のキアラ。それに侍女三人と使用人が二人。
私たちは、もう王族じゃないんだから、せめて自分たちの住んでいる塔を少しでも住みよくしようと、塔の警備隊長さんの許可を得て敷地内に小さな畑を作って、自給自足用の野菜を植えたり、小さな花壇を作ってお花を植えたりしたの。
こうして殺風景な塔の生活を少しでも明るくしようと、お父さまも|おばさまたち
私もルナレイラお|義姉
最初は、畑の作り方とか栽培の仕方などまったく分からなかったので苦労したけれど、親切な村人たちに教えてもらって少しずつ収穫できるようになったの。
お父さまも以前のように戦争とか外交の問題とか、経済・行政の問題、宮殿内の人間関係とかに頭を痛めることもないヤーダマーの塔での生活がとてもお気に入ったようで、庭園いじりや野外作業で顔や手足が日に焼けるにしたがって次第に食欲も出るようになり、元気も出て、精も出て、毎晩お母さまやほかのおばさまたちと寝室で元気に夫婦の営みに励むようになった(汗)。
お城に住んでいた頃、お父さまたちの寝室と私たちの寝室はかなり離れていたんだけど、ヤーダマーの塔では、二階、三階と一応離れてはいるけど近いし、部屋にはそれぞれ木のドアがあるけど、寝室から響いてくるお父さまの吼え声とか、お母さまやほかのおばさまたちが上げる声とか、すべて筒抜け同然なの。
私やルナレイラお|義姉
そんなはた迷惑で騒々しい夫婦の営みが、延々と夜半まで続くの。
お父さまって、私のお母さまを含めて三人の奥さんがいるでしょ? だから、単純計算で一人2時間ずつくらい夫婦の営みをするとしても、毎晩6時間ほど夫婦の寝室から漏れてくる声や音を聴くことになるのよね(汗)。
最初の頃は、恥ずかしくて布団の下で耳を塞いでいたけど...
そのうちに慣れちゃって... 一生懸命に聴くようになっていた(汗)。マイテさま、お母さま、それにもっとも若いモナさまとか、一人ひとり声とか反応とかが違って、それがまた興味深くて。さらに排卵期が近まると気分が高まるらしい人もいるらしくて...
好奇心も手伝って、ますます興味深くなっるってわけ。
私とルナレイラお|義姉
寝室には二段ベッドが二つあって、その一つの下段を私が使って、上段がビア。もう一つの二段ベッドの下段をルナレイラお|義姉
ルナレイラお義姉さまは、さすがに私より年が三つ多いだけあって、私たち姉妹がまだ知らない男女の事も知っているらしい。だけど“そういうこと”を話すのはあまり乗り気じゃないの。彼女はそういうことを話すのははしたないと思っていたのね。
女の子同士の恋の話―― と言っても、当然ヤーダマーの塔でのことじゃなくて、私たちがまだイヴォール城に住んでいた頃に、〇〇〇男爵がステキだったとか、□□□伯爵の息子が背が高くてカッコイイとか、舞踏会で△△△子爵と踊ったとか、何十人の貴族たちが彼女との踊りの順番を待っていたとか、他愛ない話しを聞きながら、うまいこと男女のコトを聞き出すの。
ルナレイラお|義姉
えええ――っ!14歳って、今の私の年じゃない?”私もガンバらなきゃ!って ...... こんな山奥の塔に、どんな白馬の王子さまがやって来るってのよ?!せいぜい、道に迷ったロバくらいでしょ。
そんなこんだで、ヤーダマーの塔での暮らしは、けっこう健康的な生活だったの。
だけど、お母さまたちには困ったことがあったの。いえいえ、それはお父さまたちの夫婦仲の問題ではなく、それは娘である私たちが証言できるほど、毎晩夫婦円満にやっていた。
お母さまたちの悩みというのは、日焼けの問題。毎日陽を浴びて仕事をするというのは、健康的ではあるけど、肌を白く保ちたいという女性にとっては困った問題なのよね。
ある晩、私がマイテさまからお借りした本を返しに行く途中で、居間のある階に降りて行こうとした時、お母さまがマイテさまとモナさまと三人で葡萄酒を飲みながら話しているのを聞いてしまった。
「デルンさまは、日焼けしていても男ですから、全然かまいませんけど...」
「デルンさまは、日に焼けていた方が男らしくてよろしいですけど、わたくしたちは女性ですから、あまり日焼けするのは困りますわ」
「そうですわね。これ以上日焼けしたら、ベッドで服を脱いだ時、顔と腕だけが日焼けしているわたくしたちを見て...」
「そんなわたくしたちを見たら、デルンさま、きっと幻滅されますわ!」
「いくら片田舎の塔に幽閉されていても、美しい女性であることを保つ努力は欠かせませんのにね...」
「マイテさまのおっしゃる通りですわ!」
問題は、かなり深刻みたいだった。
「まったく同感ね、アリシアちゃん!」
「!」
後ろから突然声が聞こえたので、思わず叫んでしまうところだったわ。
ルナレイラお姉さまが後ろに来ていた。彼女は手に刺繍枠をもっていた。おそらく、部屋で刺繍をしていてわからないところがあってマイテさまに聞きに行こうとしていたらしかった。
「私たちも、たっぷりとフランボエザ・オイルを塗って、いつ白馬の王子さまが現れても困らないようにしておきたいわね」
にっこりと笑うルナレイラお|義姉
フランボエザ・オイルって、何でもエルフが作っている秘薬とかで、すごい日焼け止め効果があるの。
でも、お城から持って来たフランボエザ液も残り少なくなったので、お嫁入前である私たちが日焼けしないようにって、私たちだけに使わせてお母さまたちは使ってなかったの。
でも、お母さまたちの深刻な悩みは、ひょんなことから解決しちゃった。
妹のビアが、お母さまたちの悩みを鬼人族の警備隊長さんに訴えたからなの。警備隊長さんはたいへん優しい方で、村人に“フランボエザ日焼け止めオイル”を入手するようにたのんで、一ヶ月に一度村にやって来る行商人から入手してくださったの。
妹のビアは12歳になったばかりだけど、この年齢で大の男、いえ、鬼人族の警備隊長さんを手玉に取るなんて... いえ、上手に利用する知恵を持っているなんて、まったく驚きだわ。
この才能は、私も見習いたいくらい。
だけど、このまま成長したら、将来ビアはどんな女性になるのかしら?
“フランボエザ日焼け止めオイル”の効果はバツグンで、少し日焼けしていた肌も数日すると、日焼けしてないお胸とかオシリなどと同じく白くなってしまい、ルナレイラお|義姉
前にも言ったけど、ルナレイラお
母は違えど、私たちは生まれた時からいっしょに育てられたためもあってか、とても仲良し。ルナレイラお
髪はピンクで―― これはやはりピンクの髪を持つマイテさまの血を引いたのね―― それが彼女の白い肌をさらに引き立てるみたいで、とてもよく似合うの。
お城に住んでいた頃は、後ろで纏めて長くたらしていたけど、塔に住むようになってからは、手入れが簡単な三つ編みにしている。
ルナレイラお|義姉
5歳になった頃から、あちこちの王族や貴族から是非息子の嫁にとか、孫の嫁になどという申し出が引きも切らなかったそうだけど、賢明なマイテおばさまが「ルナレイラには婚約とか結婚とかは、まだ早すぎます」と言って断って来たってお母さまから聞いたわ。
ルナレイラお|義姉
エタナールさまって少し不公平だと思わない?
質素だけど、楽しい日々が続いていたヤーダマーの塔の生活。
気がつけば、5年も経っていた。このまま、ここで囚われの身のまま、一生を過を過ごすものとみんなが諦めてしまっていた。
おそらく、私もルナレイラ|お義姉
お父さまやお母さまたちが、どう考えていらしたか知らないけど、私やルナレイラお|義姉
そんな私たちの生活にある日、突然異変が起きた。
その日のことを、私は一生忘れない。
それはテルース歴5064年3月10日のことだった。
その日も天気が良かったので、私たちは朝から庭で仕事をしていた。
私は、昨日、村人が「今年は豊作でしたので」と言って持って来てくれた葡萄を食べすぎて、少しお腹の具合がよくなくて塔のトイレに行っていた。
「アリシア、だいじょうぶなの?」
しばらくすると心配したお母さまが来て、ドアの外から声をかけてくれた。
私はようやくピーピーシャーシャーが終わり――
(恥ずかしいことにお母さまに、下痢の音を聴かれてしまったわ。これがもし恋人だったら、オヨメに行けなくなるところよ?)
「うん。だいじょうぶよ、お母さま」
下痢のし過ぎでひりひりするオシリをそろりと拭いてから、ドロワーズを上げながら答えた時-
「誰か来たわ! なんかエライ人がゾロゾロ。護衛の兵隊さんもたくさん!」
上の階にいたビアたちが叫ぶ声が聴こえた。
「お父さまを捕らえに来たんだ!」
ジオンの悲痛そうな声。
「えっ!?」
お母さまは、それを聞くとあわてて走って行った。
私も急いでトイレのドアを開けて、手も洗わずにお母さまのあとに続いた。塔の入口から外の様子を見ていた使用人のギトスが大きな声で叫んだ。
「あれは... ブレストピア国を占領した魔王と鬼人です!」
ギトスはお父さまと同じ
「きっと、ゲネンドル王さまを処刑するために来たんです!」
侍女のマルカが青ざめた顔で私たちを見て言った。
そういう噂は私たちも聞いていた。
魔王が占領した国の王や貴族たちの男たちは皆殺しにしているって話。女は美しかったら性ドレイにされ、そうじゃないオンナは、女子どもといっしょにドレイとして売り払われるという話。
次の瞬間、お母さまは