ネコ耳❤アリシアの魔王城日記   作:空創士

15 / 18
第15章 魔王城で花嫁修業

 昨夜の婚約式は滞りなく行われ

みんな夜遅くまで楽しそうに話したり騒いだりしていた。

 

 ただ............ 私は、あの後で酔っぱらってぶっ倒れてしまった!

誰かが私を抱っこして部屋に運んでくれたらしいのは知っているが、誰だかよくわからなかった。

何だか分厚い胸らしいのを感じたので、男らしいとは思ったが、意識が朦朧とし、世界が急速で回転して、思考はぶっ飛んでしまっい、奈落の底にス――っと落ちてしまった。

 

 

 朝、目が覚めると頭がガンガン痛かった。

カーテン越しに入る陽の光が眩しすぎる!

部屋は私とビアの部屋だ。キャビネットの上の置時計を見ると...... 

ヤバっ、すでにお昼を回っている!...... 

 

「う~ん...... 頭痛い――!」

「あら、目が覚めたの?」

私の声を聞いたのか、お母さまが寝室に入って来た。

 

「まったく。いくら美味しいからって、シャンパン飲みすぎよ!」

お母さまは居間にもどるとトレーにカップを乗せてもどって来た。

「これ飲みなさい」

渡してくれたカップの液体を飲む。

ジンジブレ(ショウガ)とメウ(ハチミツ)の入ったお茶だった。

風邪にも二日酔いにも効く家庭薬だ。

暖かく甘味のある甘いお茶がおいしい。

お茶を飲みながら、自分の恰好を見ると、寝間着を着ている。

 

「お母さま、着せ替えてくださったのね」

「わたしじゃないわ。魔王さまよ」

「え...... 魔王...... さ...... ま?」

思わず、お茶を飲みかけた手が止まる。

「あなたが倒れた時、すぐに走って来て、シャンパンの飲みすぎですって言ったら、『私が部屋へ運ぼう。将来、私の妻となるのだから、それくらいはさせてもうらう』っておっしゃられて、あなたを抱き上げて部屋まで運んでくださって......」

「私を着替えさせた......?」

「そう。『着替えさせるのも将来、夫となる私の役目だ』って言って......」

 

きゃ――――っ!

 

恥ずかしくて布団を頭からかぶってしまった。

 

「下着も...... 『酔っているのだから、楽にしてあげた方がいいでしょう』っておっしゃられて......」

「え?え?え――っ?」

布団の中で確認すると...... 

寝間着の下にはブラジャーはつけてなかった!

 

下は......?

手で触ってみると、何も履いてなかった!!

 

全身完全スッポンポンだった!

 

きゃ――っ!

きゃ――っ!

きゃ―――――っ!

何度も叫んだ。

 

“魔王さまにハダカにされちゃったよ――!”

“魔王さまにハダカを見られっちゃったよ――!”

“これでオヨメさんに行けなく...... って、もう、私、魔王さまの将来の奥さんなんだっけ?”

 

「何を一人で騒いでいるんだか。将来の夫に身体を見られたくらいで何よ?いつもお大浴場では見られているくせに」

確かにお母さまのおっしゃる通りだ。

「わたくしなんか、毎回、胸を揉まれているのよ。夫がいる身なのに......」

お母さまのおっしゃっていることは、ごもっともだ。

 

「ラーニアさま、アリシアちゃんの具合はどうですか?」

ドアからモナさまが顔を覗かせた。

彼女たちの部屋は隣りなので、簡単に行ったり来たりできる。

「だいぶ良くなったみたいだわ」

「で、なんですか、『夫がいる身なのに』って言っているのが聴こえましたけど?」

「ああ、そのこと。いえ、この娘(こ)がね、昨日、魔王さまに......」

「やめて、やめてっ、言わないで、言わないで!」

「ああ、魔王さまに服を剥ぎとられて、スッポンポンの姿を見られたことですね?」

モナさま、すべてご存じだった......(泣)

 

「でも、魔王さまって、本当に紳士ですね!」

「紳士も何も、将来、妻にしようっていう娘が倒れたら、そりゃ助けに来るでしょう」

「それはそうですね。で、何を話しあっていたんですか?『夫がいる身なのに』って言って、アリシアちゃんのことではありませんよね?」

「いえね、この娘(こ)が、将来夫になる魔王さまにハダカを見られてって大袈裟に騒いでいるものだから、わたくしなんか、毎回、お風呂で胸揉まれているって話していたんですよ」

「あ、なるほど!わたくしも揉まれまくっていますわ」

「まあ、わたくしたちは、一家全員処刑されてもおかしくないのを命を助けてもらった上に、魔王城で至り尽くせりの生活をさせてもらっているんだから......」

「胸を揉まれたくらいで不満を言ったり、愚痴をこぼしたりするのは罰が当たりますけどね」

 

「お母さま、講義に行かないの? あ、お姉ちゃん、起きたんだ?」

ビアが部屋に入って来た。

「行きますよ。アリシア、あなたも行くのよ。午前中はずっと寝ていたんだから、せめて午後からは講義に出ないとアマンダさまが......」

「行きます、行きますっ。服を着るから、先に行っていて!」

「マルカを手伝わせるために呼んであげましょうか?」

「あ、マルカには何か食べるものを持って来るように言ってもらえませんか、モナさま?」

「お安いご用ですわ」

 

 

 寝間着を脱いで、バスルームでシャワーを浴びる。

昨夜はお風呂にも入らないで寝ているので、汗臭かったらイヤだし、年頃の娘はいつもきれいにしていなくては。

 

バスルームでシャワーを浴びていたら、マルカが入って来たみたい。

「アリシアさま、食べ物持って来ました」

「ありがとう」

「それと、ラーニア奥さまから、お手伝いをするように言いつけられました」

そう言いながら、バスルームに入って来た。

「手伝いなんかいらなかったのに」

「いえ。ラーニア奥さまの言いつけです」

 

マルカが髪を洗ってくれる。

髪長いから、一人で洗うと時間かかるのよね。

「アリシアさま、胸、かなり大きくなりましたね!」

「え、本当?」

 

マルカはお世辞を言わない娘だから、彼女の言葉はうれしい。

「アリシアさまは14歳で、これだけ胸が大きkじゅなっています。もう、わたしのより大きいみたいです」

 

まあ、マルカのより大きいって言ってもね。

彼女、エルフ族なので胸、そんなに成長しないし。

でも、マルカは18歳。完全に“大人のエルフ”だ。

“大人のエルフ”は、マイテさまのハダカを何度か見たことがあるけど、胸はいたって控えめなのよね。

 

「そう?私のはマルカのより大きいの?」

「大きいですわ。見ただけでわかります」

「じゃあ、マルカのを見せて!」

「え、わたしのを?」

「いいでしょ。私しかいなんだし、ここは バスルームだし」

「い、いいですわ。アリシアさまの頼みなら!」

 

マルカはさっさとエプロンを外し、メイド服を脱ぐ。

シュミーズの下は...... 都会風なブラジャーとおパンティだった!

「あまり見ないでください。恥ずかしいわ。これ、仲間のメイドさんたちからもらったんです」

なーるほど。

さっさとブラジャーを外すと、下からは手の平からちょっとはみ出すくらいのオッパイが現れた。

なーるほど。

たしかに私のより小さい。

マルカのオッパイの確認をして、自分のオッパイにかなり自信をもった。

 

 10分ほどかけて髪と身体を洗い終わった。

バスルームから出て、バスタオルを巻いたままで髪を乾かす。

魔王城では、女性は髪を乾かすのに『どらいやー』という、おかしな名前の魔法具を使う。

これで何枚もタオルを使って、1時間以上も髪を乾かす必要がなくなるので女性にとっては大助かり。

 

 10分もかからずに髪を乾かし終えた。

それから下着を着て、プリーツのついた薄黄色のミニスカートに、白の長袖ブラウスを着る。

ブラウスは小さな柄がはいた涼しそうな生地で、肩は丸出し。胸も肩のラインまで大きく開いていて縁にはフリルがついている可愛いやつで、肩紐でがついているモデル。

 急いでマルカの持って来てくれたアリュウスを三角形にした奇妙な軽食を2個食べ、水をコップ一杯飲んでから、講義が行われている部屋へ向かった。

 

 

 講義は、別館にある教室で行われる。

私もビアもルナレイラお義姉(ねえ)さまも、元ブレストピア王国の王女だ。

ブレストピア国はなくなったとは言え、魔王はブレストピア国の元王と王妃であったゲネンドルお父さまとマイテおばさまに敬意を表する意味で、そして、「王族にふさわしい結婚式を」というアマンダさまたちの助言もあり、リリスさまとハウェンさまの監修のもとで、魔王の王妃としてふさわしい礼儀作法、食事のマナー、音楽、踊り、絵画といった一般教養を叩きこまれた。

 

 将来、魔王の妻になることが決まっている私とビアも、この『花嫁修業』に強制参加させられた。

『花嫁修業』では、礼儀作法、一般教養のほかに、経営学、哲学、そして軍事学― これはアマンダさまが必須科目として入れたもので、決して王妃たちを戦に送り出すためと言うことではなく、戦とはどういうものかを教えるためだった― までも教えられることになった。

 

 私もビアもルナレイラお義姉(ねえ)さまも、ブレストピア国では一応花嫁修業みたいなことを習わされていた。でも、それは主に読み書き、計算、縫い物、刺繍、家庭管理といった一般教養だった。

 アマンダさまたちは、魔王城の奥で贅沢に暮らし、子どもを産むだけの王妃ではダメだとの認識のもと、ルナレイラお義姉(ねえ)さま、私たち姉妹、マイレィちゃん、エイルファちゃん、エリゼッテちゃんたち王妃候補者や王女たちが徹底的な訓練を受けていた。

 

 この花嫁修業は、その内容もすごかったけど、講師も優秀な講師がそろえられていたことから評判になり、政府高官や高級軍人の娘たちも魔王とアマンダさまの許可を得て講義に参加できることになった。

 この講義の話は、マデンキ(魔法式遠隔伝達器)で同盟諸国の首脳の知るところとなり、「魔王国の『花嫁学校』がすごくいいらしい!」と大評判になり、それがきっかけで同盟諸国の王侯貴族の娘たちまで遊学という形で魔王城に半年間留学して講義を受けるようになっていた。

 

 花嫁修業は、魔王城での講義のほかに、研修も行われ、テルースの世界のファッションを席巻している魔王国が誇る『モンスタイル工房』における1ヵ月間の研修期間も含まれていた。

 『モンスタイル工房』は、名前こそ創立当初の名前を使っているが、今やテルースの世界の国々に工場を持ち、そこから生み出され、販売網に乗る最新のファッションは、ひそかに敵陣営の国々にも密輸され、今や隠れた爆発的ブームになっていると、ウルフニディオ(オオカミ人族)の講師が教室で言っていた。

 

 研修生たちは、『モンスタイル工房』の工場で、最新ファッションがどのようにして創り出されているかを、デザインの開発から工場での生産、商店における販売までを学ぶ。

 そして“労働の尊さ”を学ぶために、裁縫工場- そこでは、ソントンプ研究所で発明された、『ミシン』という最新式の裁縫機械が毎日フル稼働をしている工場だ- で、一ヶ月間、裁縫職人として働かされる。

 

「いいこと? 魔王国の王妃となる女性は、ただのお飾りではないのよ。しっかりと教養をつけることはもちろん、魔王さまがもっとも力を入れていらっしゃる事業も実際に体験し、自分の腕を使って何かを生み出すということがどれほど大変かを仕事をして経験するのよ」

「そうすることで、自分の得手不得手もわかるから、どの事業でもっともルーク王さまに貢献できるかわかるし、庶民の暮らしがわかる王妃にもなれるの」

リリスさまやハウェンさまは、そう言って容赦なく研修生たちを鍛えるの。

 

 

 若い女性には、花嫁修業をする『花嫁学校』があったのだけど、若い男には何もなかった。

若い男性にとって、出世する道は、軍隊に入るか、何かの職人や商人に弟子入りするかしかなかったみたい。そこで、経済・貿易大臣であるペンナス伯爵、農業・漁業・工業大臣であるゲラルド侯爵などが発起人となって、魔王に男性用の『職業学校』の創立を進言したらしいの。

 アマンダさまもその考えに同意したことから、『花嫁学校』の創設に遅れること2年目にして『職業学校』が魔王国に創立され、農業部、工業部、商業部、鉱山業部、金属・冶金部 、科学部、林業部、水産業部の8学部がスタートし、特別学部として情報部、教育部、医学部、健康・福利部が作られたんだって。

 

 『職業学校』は、その計画が発表されて以来、すごい関心を集め、若い男性だけじゃなく、若い女性たちからも『職業学校』で学ばせて欲しいという願いや嘆願書が数万も魔王国の行政庁に寄せられたそう。

それを知った魔王さまが、「男女に等しく教育を受けられる機会をあたえるべきだろう」と一言言われたとかで計画が変更され、開校一ヶ月前に男女共学が発表されると、魔王国だけでなく、同盟諸国からも多くの入学希望者が入学嘆願書を魔王国政府に送ったのだとか。

 

「アリシアさん、何をボーっと外を見ているのですか!」

二日酔いが完全に治ってなく、集中が出来ないこともあって、『職業学校』って、どんな学校なんだろう......と窓から外を見ていたら、礼儀作法担当のクレッチャー先生に叱られた。

 

「そもそも、大事な礼儀作業の授業に遅れて来るとは何ですか!?」

「す、すみません!昨日、シャンパンとか言うお酒を飲みすぎて......」

「それが、そもそも間違いなんですっ!何ですか?レディーが、シャンパンはエールの5倍も強いという予備知識もなくガブ飲みするとは!」

「弁解のしようもありません。恥の上塗りで、酔っぱらったあとで魔王さまにお部屋に抱っこされて連れて行かれてしまって......」

「え?!」

クレッチャー先生が、また大声で叱ろうと口を開けたままフリーズした。

 

「「「「「「「「「魔王さまに抱っこ―――?!?!」」」」」」」」」」

クラス中の生徒が一斉に反応した。

 

「そ、それで、その後どうなったの?」

「魔王さまにキスされたの?」

「魔王さまに抱かれたの?」

「魔王さまと婚前交渉したの?」

「魔王さまといっしょに寝たの?」

 

ワイワイガヤガヤとクラス中とんでもないカオスになってしまった(汗)。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。