エイルファという名前のエルフっ子が、馬車から降りる時に転げ落ちて、その時にひざをすりむいて、治療と着替えを私たちの部屋ですることになり、侍女のマルカに治癒してもらって、汚れた服を着替えることになってね。
そのエルフっ子が穿いていた下着は、白地に淡い水色とピンク色の柄が入っていて、縁には繊細なレースが施されているという、とてもカワイイ下着だったの。正直言って、私もルナレイラお
「かわいいわ!こんなのだったら、ワタシも穿くかも?」
ビアの声が私たちの気持ちを代弁していた。
「ふふふ。ちゃんとプリシルさまが、みなさんの分の下着もお土産に持たせてくれていますわ!」
魔王さまの使者であるイクゼルさまが、にこやかに笑ってみんなを見たの。
(お母さまの反応 ビックリして) 「え?」
(モナさまの反応 うれしそうに) 「え!」
(ルナレイラお
(私の反応) 「やだァ!」(汗)
(ビアの反応) 「やった――!」思いっきりジャンプ!
(マルカの反応) 「......」
各人各様の受け取り方だった。
その間、イクゼルさまは、新しい超短いピンクのドレスをカバンから出して、エイルファに着せたの。
ピンクのドレスもとてもステキなドレスで、着終わって立ち上がったら、エイルファって年はいくつか知らないけど(たぶん、ルナレイラお
なんだか、妙に色っぽいの。
「さあ、エイルファちゃん。あなたの役目は私の助手でしょ?」
「はい」
「じゃあ、怪我の治療も終わったし、新しい服にも着替えたのですから、馬車にルナレイラ王女さまたちへお渡しするお土産の入ったカバンを取りに行ってちょうだい」
「え、でも、イクゼルさま、このドレス窮屈で動きにくいから階段を上り下りするのは...」
「誰ですか、そんな動きにくいドレスを注文して作らせたのは?知りませんよ、動き安かろうと動きにくかろうと、パンティが見えようと見えまいと。ちゃんと自分の役目を果たさなければ、魔王城に帰ったらアイフィさまに言いつけますわ。いえ、アマンダさまの方がいいかしら...」
「ひえ―――っ。行きます、行きます!」
エルフっ子は、バネ仕掛けみたいに部屋から飛び出して行った。
やはり、アマンダさまってみんなに怖がられているのね。
「アリシアにビア。エイルファさんのお手伝いを!」
「はい」
「はいっ、お母さま!」
「マルカもギトスといっしょにお手伝いしてあげて!」
「はい、モナ奥さま」
「いえ、あれは、あの
「うちの子たち、どうせ何もしてないんですのよ。お気にせずに」
「そうですわ。アリシアちゃんと年も近いようですし。それに、私たちはそろそろ応接室へ参りましょう。デルンさまも、もう用意が出来ているでしょうから」
「それでは、お言葉に甘えて」
魔王さまがよこした使者・イクゼルさまとお父さま、マイテさま、ルナレイラお
たくさんのカバンや荷物を運んでいる間に、私たちはすっかりエイルファちゃんと仲良しになっちゃった。エルフっ子って、最初はワガママで高慢ちきな娘かと思ったけど、そうじゃなかった。
エルフっ子、エイルファって名前なんだけど、彼女によると、アマンダさまが、私たちにあまり気を使わせたりしないように、おとなしいイクゼルさまを使者に立てることを魔王さまに進言したのだとか。
イクゼルさまって、ご主人は魔王国の偉い大臣さんなんですって!
そのご主人のゲラルドさまって言う
その農園を、魔王さまのことがとても気に入ったミタン王が、魔王さまに一目惚れした王女たち- アンジェリーヌさまとジョスリーヌさまのお二人を妻として娶ってもらう代わりに、魔王さまに農園を譲ってあげたのだとか。
以来、魔王さまは“類まれなる経営能力”と“有能な者を惹きつける能力”でもって、農園での経営を短期間で5倍とか10倍の規模にして、それをベースに一国の王となる戦いを始めたらしいの。
そして、数々の戦いに勝利し-ブレストピア王国とマビンハミアン帝国を征服してから、農園時代にゲラルドさまが有能であったことを見抜いていた魔王さまは、魔王国の大臣として迎えたらしいの。
イクゼルさまは、農園で働いていた時に長らくゲラルドさまを慕っていたそうだけど、告白する勇気がなくて、それを魔王さまの奥さまの誰かが背中を押してあげて、それで目出度く結婚されたんだって。
今は立派な大臣夫人であり、侯爵夫人になっていると言う羨ましいような幸運の持ち主。
だけど、出自が平民だからなのでしょうね、全然偉ぶったところがないので、私もお母さまたちもルナレイラお
結局、長持は重過ぎるので、使用人と親衛隊の人たちに任せることになっちゃった。
親衛隊の人たちって、本当に優しくて力持ちで親切♪ 顔はちょっとおっかないけど。
私たちはたくさんのカバンを塔に中に運び終わってから、私たちの部屋でおしゃべりをした。
エイルファちゃんは、何でもリエルさまと言う王妃さまの妹なんだって。
そう言えば、魔王さまの妃のひとりは神教官ってマイテさまか、お母さまから聞いたことがあるわ。
アイフィさまって、アンジェリーヌさまやジョスリーヌさまみたいに、すごい魔術を使われるんだって。
魔王国には、ほかにも有能な魔術師がたくさんいるって聞いたことある。
天才魔術師とかもいて、その中には、元ブレストピア国のお抱え魔術師もいるんだって。
「あたしは魔法は全然ダメなのよ。そんなこと、どうでもいいんだけど」
ベッドに腰かけて、短いドレスからすらっと出た長い足をブランブランさせながらエイルファちゃんは言うんだけど、その足が眩く見えたわ。
恥ずかしいところが見えそうなくらい短いドレスって、こんなに足をきれいに見せるんだ...
あらためて、“短いことはいいことだ”みたいな衝撃を受けた。
「魔王城ってタイクツなのよ。それでイクゼルさまが、使者としてヤーダマーの塔に魔王さまの新しい奥さまをお迎えに行くって聞いて、アマンダさまにお願いしてイクゼルさまの助手として来たの」
あっけらかんとエイルファちゃんは言ったけど...
あのアマンダさまに頼みこむなんて、このエルフっ子、心臓に毛が生えているのかしら?
「この黄色いドレス、素敵...」
ビアが、ベッドの上に置かれた黄色のドレスを手にとって頬に当ててうっとりしていたの。
「プリシルさまたちが、あなたたちにたくさん服や下着を持ってこさせているのよ!」
そう言って、エイルファちゃんは部屋にいっぱいおかれたカバンの中から、二つをとってベッドの上に置いたんだけど、その時、「ったく、なんでこの娘たちは、あんなダサい服着ているのよ?」ってエイルファちゃんがつぶやいているのが聞こえたけれど、ダサいって何?田舎っぽいってことかしら?
「はい。これが... 『アリシア王女へ』って書いてあるから、あなたのね。そして、こちらが『ビア王女へ』って書いているからビアちゃんのよ」
「え?私たちに?プリシルさまから?」
「うん。あ、アマンダさまも装飾具を送ってくださっているわ」
「へ?アマンダさまが?」
「わお!うれしい!」
妹は素直に喜んでカバンから次々と服などを出し、胸に当てたりしているけど、私はアマンダさまが贈ってくれたと知って驚いたわ。
「アマンダさまって、すごく苦労された人だから、あんなに怖そうに見えて- 実際も怖いんだけど、よく気が付くし、子どももいるから、お優しいところもあるのよ」
へえ、人は見かけによらないのね。
先入観をもって人を見ちゃダメって、お母さまが口うるさく言っていたけど本当だったんだ。
「これ、あなたに似合いそう!」
エイルファちゃんが、取りだして私の身体の前に当てたのは白地に黒い水玉模様が入ったドレス。
なぜかスカートの部分は黒という奇妙な色合い?
そして―― 当然、短い!
いや、短すぎるでしょ、これ?
「だ、だめよ。こんなの着たらドロワーズが見えて恥ずかしいわ!」
「だからさ、これを履くのよ」
そう言って取りだした、恥ずかしいところが見えそうなお股ギリギリのドロワーズ…
いえ、これは最早ドロワーズなんてものじゃないわ!
破廉恥下着って呼ぶのかしら?
「パンティって言うの!」
そして、胸のふくらみだけを隠す…
布切れ?
「これ、ブラジャーって言うの」
「きゃっほう!これかわいいわ!」
ビアを見ると、そのパンティを手にとって見て、何と頬ずりまでしているじゃない?
そして、エイルファちゃんがいると言うのに恥ずかしくないのか、さっさとドロワーズの紐をゆるめて脱いでスッポンポンになって、パンティを穿いて、少女用のブラジャーとやらを付けてた!
「さあ、アリシアもその窮屈なコルセットと不格好なドロワーズを脱いでブラジャーを付けてパンティを穿くのよ!」
「え、イヤよ。恥ずかしいわ!やめて、やめて!」
必死の抵抗もかなわず、あれよあれよと言う間に、ドレスを脱がされ、ペチコートを脱がされ、コルセットも外され... ブラジャーを付けられてしまった。
“あ、何だかかわいく胸が収まったわ...”
我ながら驚いていたら...
今度はドロワーズを脱がされた!
これでももうオヨメに行けなくなる...
ま、まあ、女の子同士だからいいか。
それに、魔王さまが、もうオヨメにもらってくれるって約束してくれているから別にいいんじゃない?
見られたからって毛が減るわけでも増えるわけでもないもんね。
「あれェ!アリシア、そこ、わたしよりしっかり生えてる ?ナマイキな!」
恥ずかしいところが見えそうな下着を穿かせる時に、エイルファちゃんが叫んだ。
な、なんで私の方がエイルファちゃんよりしっかり生えてるというのが、生意気なんでしょうか?
「お姉ちゃん、ブラジャーとパンティ姿きれいよ!」
「お姉ちゃんじゃなく、お姉さまと呼びなさいって、いつもお母さまが言っているでしょ!」
ヤーダマーの塔に住むようになってからは、村の人がいつも果樹園の果物や手作りのお菓子を持って来てくれるようになったの。
理由は、お父さまがブレストピアの王さまだったころ、良い王さまだったからのだと思う。
週に三回ほど、手作りのお菓子を持って訪ねて来る村人のおばさんの娘たちとビアが仲良くなっちゃって。その娘たちはビアとも年が近かったので、いい遊び友だちになって、それはそれでいいんだけどね。
その二人姉妹の妹が姉を「お姉ちゃん」と呼ぶので、ビアもそれが堅苦しくなくて気にいったみたいで、何度注意されても、私の事を「お姉ちゃん」と呼ぶようになったの。
まあ、しかたないか...
そんなわけで、都会では若い子がみんな着ているという下着をドキドキしながら初体験したんだけど―― 妹の言葉であっても、エイルファちゃんいわく、“しっかり生えたところ”がはみ出そうな限界ギリギリまで攻めた下着が、私にも似合うって聞いてうれしかったわ!
でも、後世のために再度ここで強調しておくわ。
わたしのは、それほどしっかり生えてないわ!お母さまはもっと多いし、ビアだってもうしっかり発育しているし!
あまりしっかり生えているって書いていると、ますます濃くなりそうだから、その恥ずかしい下着が見えそうなくらい短いドレスを着た感想を書くわね。
「これが、私?」
姿見に映っているのは、腰にぴったりしたスカートと、白地のシルクに黒い水玉模様がいっぱい入った上衣に、同じ生地のテープ風の幅の広いベルトがとてもよく似合っていて...
まるで、どこか別の世界に住んでいる王女さまみたいな女の子が姿見に映っていた!
恥ずかしいところが見えそうなくらい短いドレスの下から伸びた自慢の長い足。
もう、すっかり“大人の女性”になったようなルナレイラお
これはこれで、大人の女性に変貌しつつある少女の魅力というもので、魔王さまはさすがに慧眼でそれを見抜かれたのに違いない。
私とビアが、お土産にもらった下着や服をとっかえひっかえしている間に、応接室ではお父さまとマイテさまたちのお話が終わったみたい。
「エイルファさん、それにアリシア、ビア、ダイニングへ降りて来て!」
お母さまの声で、私たちは着せ替え人形遊びを中断してダイニングへ降りた。
相変わらずニコニコ顔のイクゼルさまを上席にして、お父さまとマイテさまが正面に。
その横にはルナレイラお
「エイルファちゃんはここね!」
イクゼルさまの声でエイルファちゃんは使者さまの横の席に。
「アリシアとビアは、こことここよ」
私とビアはお母さまの両横に。
全員が座ると、久しぶりに王さまらしい衣装を着た―― 王冠は被ってないけど―― お父さまが、威厳を出して重々しい声でおっしゃった。
「こほん!みんなもすでに承知していることだが、この度、魔王さまは我が輩の娘であるルナレイラ、それにアリシアとビアを魔王城に移り住むべく、イクゼル・ベルジオン侯爵夫人を使者として遣わされた...
ルナレイラは、魔王城で魔王の妃として相応しい教養をつけるために数か月間、きっちりと教育を受けられたあとで魔王と結婚することが決まっており、魔王さまは、今回、イクゼル侯爵夫人を通して、結納の品々と我が輩ならび妻と子どもたちへの贈り物を丁寧に送って来られた...」
と、まあ、お父さまは長々とおっしゃったのだけど、あまり長すぎるから端折って書くと、ルナレイラお
これは、魔王さまがヤーダマーの塔に降臨された時にすでに決まっていたこと。
今回は、それに、お母さま、カレブ君、モナさまとジオン君、キアラちゃんもいっしょに住むことが決まったことがイクゼルさまから伝えられた。お母さまが、私たちといっしょに住むことになった理由は、私もビアもまだ子どもだから- って、私、もう14歳なんだけど?
モナさまは、この前、私とビアの身代わりになるって申し出て却下というか、保留になっていたんだけど、やはり魔王城に行くことが決まったみたい。
イクゼルさまいわく、ジオン君とキアラちゃんは、やはり教育制度の整った魔都の方がいいのでは、とアマンダさまやプリシルさまが魔王さまに言ったらしいわ。
ついでに、私たちの面倒を見慣れている侍女のマルカもいっしょに行くことになったみたい。
マルカ、すっごくよろこんじゃって。塔に残ることになった侍女のバラメさんとタンニイの手をとって飛び跳ねていたわ。